日経サイエンス7月号「特集:量子の地平線」と、それに関連したTwitterのまとめで思い出したので書いてみたい。
https://togetter.com/li/508344
だいぶ前の大学生だった頃、美大にもかかわらず、なぜか理数系の専門的なクラスがあった。
案の定、そこを受講する学生は殆どおらず、理系崩れの自分の他は、医学部を目指していたのに、親の反対を押し切って、美大に転向した友人と、他数名しか居ない状況だった。
授業後半になると、すっかり先生と我々は勝手知ったる同士と化して、カリキュラムにあるコースをしょっちゅう逸脱して、様々な話題で盛り上がっていた。
もちろん知識差があるので、多くは先生があるテーマについて講義するスタイルをとったが、それでも普通の授業のような一方通行のやり取りではなく、けっこう面白かった記憶がある。
ある日、どんな流れだったか思い出せないが、量子力学についてその実在性を証明するという話になった。なにせ、上のTwitterのまとめにもあるように、量子力学では箱の中の猫は生きていて同時に死んでいるとか、すんごい離れたところにある2つの粒子が、テレパシーしてるみたいに影響し合うとか、妙な話ばかり出てくるからだ。
その証明が凄かった。おもむろに先生は前提となる定理を数式で書きはじめると、後はそこからひたすら起こりうる状態を数式で計算し始め、たちまちの間に黒板は計算で埋め尽くされたのだ。
結局、90分間の講義の大部分を計算とその説明に費やして、量子力学で言われている事が計算で出てくることを実証されたのだが、既に途中で我々の貧弱な頭脳では計算を追っかけることも、説明を理解することもできなくなっていたのを今でも鮮明に覚えている。
あの計算を理解することはできないかもしれないが、それでもどんなものだったか、もう一度振り返ってみたいと今でも思うのだ。
【福間晴耕/デザイナー】
フリーランスのCG及びテクニカルライター/フォトグラファー/Webデザイナー
http://fukuma.way-nifty.com/
HOBBY:Computerによるアニメーションと絵描き、写真(主にモノクローム)を撮ることと見ること(あと暗室作業も好きです)。おいしい酒(主に日本酒)を飲みおいしい食事をすること。もう仕事ではなくなったので、インテリアを見たりするのも好きかもしれない。