晴耕雨読[22]簡単ロシア風ふたつの料理
── 福間晴耕 ──

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これだけ世界中の料理が食べられる日本でも、なかなか食べられない料理も少なくない。だが、実はすごく簡単に作れるものもいくつかある。

今回は、その中から自分の得意料理である、ロシア風トマトの塩漬けとウクライナの脂身版ベーコンとも言えるサーロを紹介してみよう。どちらも簡単に作れる上に、けっこうやみつきになること請け合いだ。




●トマトの塩漬

先ずは敷居が低そうなトマトの塩漬けから書いていこう。

材料:ミニトマト、ニンニク1欠片、唐辛子(1〜2本)、熱湯5カップ(1リットル)、塩大さじ3杯(これが決めてなので良い物を)、砂糖・酢大さじ1杯、粒胡椒(小さじ1杯)、ディル、ローリエ、オールスパイス少々。
※ミニトマトとディルは容器に入るだけお好みの分量で

まず熱湯5カップ、塩大さじ3杯、砂糖・酢大さじ1杯でマリネ液を作り、これを冷ます。熱湯消毒した密閉できる容器に、出来上がったマリネ液と先程のミニトマト、ニンニク、唐辛子、粒胡椒、ディル、ローリエを入れて、後は数日発酵させればできあがりだ。

トマトはマリネ液が浸透するように串で2〜3穴を開けておくといいだろう。発酵すると炭酸ガスが発生するので注意が必要だ。

出来上がったものは浅漬のような味と食感が加わって、ピクルスや漬物のような感じで味わえる。発酵は夏なら冷暗所半日、冬なら室内で2〜3日ぐらいでいいだろう。

出来上がったら冷蔵庫に入れておけば1〜2週間は大丈夫。発酵が進んでくるとマリネ液がソーダー化していて、食べると炭酸のジュワッとした食感が加わる時があるが、不思議とこれが美味かったりするのである。

詳しくは写真付きで以前Blogにまとめておいたのでそちらを参照してほしい。

http://fukuma.way-nifty.com/fukumas_daily_record/2008/05/post_dc1f.html


●脂身の塩漬けサーロ

続いては、ウクライナやロシアで広く食べられている豚の脂身のベーコン版とも言える、脂身の塩漬けサーロを紹介しよう。

脂身と聞くと抵抗があるかもしれないが、意外とこれが美味いのだ。またそのまま食べるのに抵抗がある人も、これをラード代わりに使うとすべての料理が美味しくなるという便利ものなので、ウオッカとかを飲まない人でも脂身が手に入ったら作ってみることをお勧めしたい。

材料:豚脂身の固まり…1kg(これが日本では入手困難かも、ただしこれのよしあしが味の決め手になるので、出来るだけいいものを入手したいところだ)。

水…1リットル
塩…200g(これも味の決め手になるのでなるべく良いものを)
砂糖…大さじ2杯
タマネギの皮…2つかみ(茶色い薄皮部分、これで色を付ける)
ローリエ…2枚
ニンニク・黒胡椒…適量

これらのうち塩・砂糖・タマネギの皮・ローリエを沸騰したお湯にいれて煮立て、これに豚の脂身を入れる。脂身はあらかじめ水洗いし、血管や筋などが残っていれば取り除いておいた方がいいだろう。

20分茹でたらそのまま8時間ほど冷やし、その後水気を切ってスライスしたニンニクと胡椒をまぶし、布巾かアルミホイル(またはサランラップ)で覆って一晩ほど冷蔵庫に置けば完成だ。

ちなみにウクライナ風にしたいときは塩を減らして、胡椒のかわりに唐辛子を
使うとよい。塩漬けなので数か月以上は保存が利き、酒のつまみに最適だ。

薄くスライスして黒パンに載せ、たっぷりとカラシを付けて食べるのが本場ロシア風の食べ方だ。

レシピでは塩を200gも使うと書いてあり作るときには躊躇したが、脂身には塩がそれ程染み込まないのと、直接すり込むのではなく塩水で煮るせいか、それ程塩辛くもなくマイルドな味だった。それでも心配な人はウクライナ風に塩をちょっと減らして作ると良いと思う(自分の場合は150g)。

肝心の味のほうだが、基本は塩漬けだけあって、特別な癖もなく脂身の筈なの
にいくらでも食べられそうな感じだ。

特にポピュラーな食べ方と言われている、冷凍して薄くスライスしたものに辛子をたっぷりつけて食べると、豚肉の臭みもなく、これをつまみにいくらでも酒が飲めそうなのが恐ろしい。

しかも、脂が胃に膜を作るせいか、強い酒でも平気で飲めるのである。こちらも実際の制作記を、写真付きでBlogにまとめておいたので参考にしてほしい。

http://fukuma.way-nifty.com/fukumas_daily_record/2014/01/post-e0a8.html



【福間晴耕/デザイナー】

フリーランスのCG及びテクニカルライター/フォトグラファー/Webデザイナー
http://fukuma.way-nifty.com/


HOBBY:Computerによるアニメーションと絵描き、写真(主にモノクローム)を撮ることと見ること(あと暗室作業も好きです)。おいしい酒(主に日本酒)を飲みおいしい食事をすること。もう仕事ではなくなったので、インテリアを見たりするのも好きかもしれない。