[4355] ショート・ストーリー「帰省の準備はお早めに」

投稿:  著者:



《基本、目の前のことで手一杯なのだ》

■ショート・ストーリーのKUNI[215]
 帰省の準備はお早めに
 ヤマシタクニコ

■はぐれDEATH[30]
 はぐれは成り行きで生きる
 藤原ヨウコウ




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ショート・ストーリーのKUNI[215]
帰省の準備はお早めに

ヤマシタクニコ
https://bn.dgcr.com/archives/20170601110200.html

───────────────────────────────────

「やー、喜村先輩。何やってるんですか」

「梨本か。見てわかるだろ。何もやってないさ」

「そのようですね。退屈じゃないですか。なんでしたら僕の友達のグループ、というかコミュに参加してみては」

「コミュ?!」

「いろいろありますよ。僕は今んとこ、勤めてた会社のコミュ、卒業した高校のコミュ、大学のコミュ、住んでた街のコミュ、歯医者の恐怖を語ろうコミュ、アニメコミュ、映画大好きコミュ、あと……」

「わかったわかった、いろいろ入ってるんだ。付き合いのいいやつだな。おれはそんなのどうでもいいさ。なんで、死んだ後までそんなことしなくちゃいけないんだ。それに、おれのこと先輩先輩というなよ」

「仕方ないじゃないですか。僕より先にこっちに来たんですから。あ、同期のコミュってのもありますよ。つまり、いつ死んでこっちに来たかっていう区分。これでいうと、先輩と僕は同期になるんです」

「知るか!」

そう、ここは死んだ人間が来るところ、いわゆるあの世でございます。喜村さんも梨本くんも、割と最近死んだので、まあ新死人というところでしょうか。死人仲間でも、やはり死んだ時期が近いと親しくなるようでございます。

「だいたいおれは昔からみんなと一緒というのが大嫌いなんだよ。なんでいちいちみんなと一緒じゃなきゃならないんだ」

「いや、そのほうが何かと便利だからでしょ。効率の問題っすよ」

「みんな年頃になるとどんどん結婚する。結婚しないと周りがやいのやいのと言う。おれはうんざりして、結婚なんか一生しないと決めたね」

「だれか好きな人はいたんですか」

「いたけど相手にされなかった」

「なんだ。結婚『できなかった』んじゃないですか」

「学校出て社会に出て、こつこつ働き、金を貯めてみんなは家や車を買った。おれはそんなもの絶対買うまいと決め、実際買わなかった」

「お金があったのに、ですか」

「なかったんだよ! うるさいな。それから、当時は民民党支持者が多かった。自自党も多かった。おれはどっちもいやだった。腹がたつので新聞読むのも選挙に行くのもやめた」

「それって結局、めんどくさがりってことじゃないんですか。いや、別にいいですけど」

「しかしな。最近の若いやつの政治離れはひどいもんだし、結婚しないやつも増えてるじゃないか。時代がおれに追いついたというか。おれってひょっとしたら早く生まれすぎたのかもな」

「はあ」

「とにかくな。おれはみんなでつるむのが嫌いなんだから、ほっといてくれ」

「そうですか。僕なんか今でも勤めてた会社のコミュを通じて、社内の人事とかいろいろ知ってますけどね。それにここ、サークル活動も盛んなんですよ、知ってました? 来月は年に一度の発表会だとかで、いまあちこちで盛り上がってますよ。僕も案内状もらいました。ほら、これ」

「知るもんか。勝手にやれよ」

「偏屈だなあ」

「偏屈でけっこうだ」

「ふうん。それはそうと、もう準備してます?」

「何の」

「お盆の帰省」

「はあ?」

「いや、僕たち死んだ人間はお盆に帰るじゃないですか、住んでたところへ」

「ええっ」

「お盆の時期って混雑するからみんな早めに準備するらしいです。もう今、5月の終わりじゃないですか。とっくに受け付け始まってるんですよ」

「受け付けって、何の」

「僕も初めてなんで詳しくは知らないんですが、なんでも地上行きの直行エスカレーターが出るそうです。期間限定の。それに乗るのが一番楽だそうです。通ってた幼稚園コミュがありまして、そこで知りました」

「そのエスカレーターが、まさか激混みとかいうんじゃないだろうな」

「激混みどころか……ってレベルらしいですね。乗り場にはものすごい行列、エスカレーターではもうほとんど折り重なってまして、みんな落ちそうになるのを必死で手すりにしがみついてるとか。ただし早めに『特別便』を予約しておけばだいじょうぶらしいです」

「なんで死んでまでそんなことしなくちゃならないんだ!」

「僕に言われても知りませんよ」

「だいたい死んだ人間はふわ〜っと飛んだりするんじゃないのか。エスカレーターって何だよ」

「確かに、エスカレーター業界との癒着を疑う声もあるようです」

「いや、そういうことじゃなく……あー、ま、いいさ。そういうことなら、おれはやめた」

「え、帰省しないんですか」

「ああ、しない」

「ご家族とか生きてらっしゃるんじゃないですか」

「よぼよぼのお袋がいるだけだ。わざわざ行かなくてもじきにこっちへ来る」

「そんなことないですよ。それに、よぼよぼなお母さんほど、やっぱり帰ってきてほしいもんじゃないですかね。絶対、みんなそう思ってますよ」

「ほら出た。そういう、『みんなそうだから』というのがいやなんだよ。おまえもやっぱりそういうんだな。せっかく後輩だと思って仲良くしてやったのに。よし、帰らん! 何が何でも帰らん!」

「そんなこと言わないで。帰ったほうがいいですってば」

「だめだ!」

「そこをなんとか」

「うーん……じゃあ、帰るよ。だけど、お盆の時期ははずす。混んでるの嫌いだし」

「いつ帰るんです」

「知らん。とにかく、お盆はいやだ。ほかの、ゴールデンウイークとかシルバーウイークとか、なんか最近いろいろあるだろ。月曜日に祝日を持って来て三連休にしたりさ。ああいうのでもいいだろ」

「いや、趣旨としてどうかと」

「プレミアムフライデーでもいい」

「プレミアムフライデーに死者が帰るって聞いたことありません。だいたい午後3時以降の数時間しかないじゃないですか」

「うるさい。とにかくみんなが行かないときに行く!」

というわけで、へそまがりであることにアイデンティティを見いだしている喜村さんは、純粋平日、ど平日、しかも天気の悪そうな時期を探しまして梅雨の真っ盛り、6月の某日に帰ることにいたしました。

「おー、ここが地上行きエスカレーター乗り場か。えっと、ここが入り口で……」

「お客様お客様」

「なんだよ」

「ただいまの時期は地上まで直行便はございませんが、よろしいでしょうか」

「え、そうなんだ。途中で乗り換えか」

「さようでございます。まずあちらのエスカレーターに乗っていただき『東の果て』まで行っていただきます。そこから代替バスで、『中の果て』エスカレーター乗り場に行き、『果ての果て』行きエスカレーターに乗って終点まで。そこからパラシュートで、各自自由に降りたっていただくことになります。

なお、『東の果て』からバス乗り場まではけっこうな距離がございますのであらかじめご了承ください。また、本日運行しておりますエスカレーターはお盆の直行便とは違いまして、旧型のものですので若干乗り心地が劣りますがご容赦ください」

「なんだそりゃ。めちゃくちゃ不便そうじゃないか。最後はパラシュートって、失敗したら死ぬぞ。あ、もう死んでるか」

「お盆以外の時期は利用者がほとんどございませんので、直行エスカレーターを運行すれば大赤字になります。なにとぞご理解ください」

「しかたないなあ」

喜村さんは言われた通り、直行便ではないエスカレーター乗り場に行き、ろくに整備していないらしいがたがたのエスカレーターに乗り、途中、混んでるわけでもないのに振動がひどくて振り落とされそうになりながら「東の果て」まで行き、そのあとかなりの距離を歩いて代替バス乗り場に行き、これまたぼろぼろのがたがたのお尻が痛くなるようなバスに乗り換え、またエスカレーターに乗り、最後はパラシュートで、やっとこさ地上に降りました。

「あー疲れた。いくらシーズンオフと言ってもひどいもんだ。死ぬかと思った……ってもう死んでるか。なんだ不便なもんだな、こういう表現を使えないのは。『死ぬほどうまい』も『死んでもいやだ』も使えないし、『おまえなんか死ね!』といっても無意味だったりするんだよな。あー不便だ不便だ……と言ってるうちに、なつかしのわが家が見えてきたじゃないか。見えてきたんだけど……」

ふと、出発前に梨本くんが言ってたことを思い出しました。

──お盆に帰ったほうがいい理由はもうひとつあります。お盆だと最初から地上ではみんなが死者を迎える態勢に入ってるじゃないですか。何も言わなくてもお供えをしてたり。そして帰るときも送り火をたいて送ってくれます。上げ膳据え膳なわけです。ところがお盆以外はそうはいきませんので、もしご家族に帰ってきたことを知らせたいなら、なんでも自力でやらないといけないんですよ。

「……そんなこと言ってたなあ。うーん、どうしようかなあ。そもそも知らせなくちゃいけないんだろうか。黙って帰ってまた黙って出てきてはいけないんだろうか。いや、それでは一方的にのぞきに行っただけになる。そもそもお盆というのは、死者と生者との交流の場ではないのか、なーんてな。いや、この場合お盆ではないのだけど、うーん。どうしたものか」

そうこうしている間に実家の前に着きました。梅雨の真っ最中ですので雨がびしょびしょびしょびしょ降っておりますが、死人ですから気にしません。蒸し暑いせいか表の戸は開けっ放し。

そのまま入っていきますと、畳の部屋に年取った母親が座っています。テレビを見ながらひとりごとをぶつぶつと言っております。

「早いもんで、もうすぐあの子の新盆やけど、へそまがりのあの子のことやからお盆にも帰ってけえへんやろなあ」

わかってるじゃないか、さすがおふくろ。

「そしたらもったいないから、お盆のお供えも買わんとこ」

ケチか。いやいや、それでいいさ。

全体的にいっそうコンパクトになったように思えるのはやせたのでしょうか。まじまじ見る顔は、顔というよりはしわの集合体といった趣になっておりまして、ほんとに老けたなあと思わざるを得ません。

いくつになったっけ。えっと。80は超えてるよな。いや90だっけ。いかん。親の年もわからないなんて、親不孝もいいとこだ。

喜村さんはそっと手を母親の肩に置きましたが、当然母親は何も気づきません。やっぱり。むむむ困ったなあ。あたりをきょろきょろと見回すと、棒の先に緑色のボールがついた、肩たたき棒がタンスのそばに転がっているのが目につきました。喜村さんはそれを持ち上げ、母親の肩をそっとたたきました。母親はびくっとして、それからぽつりとつぶやきました。

「あ、帰ってきたんか」

喜村さんが「イエス」の意味でまた一つたたくと母親はうなずき、目を閉じました。

「ああ、もうちょっと右。あ、そうそう。いや、もうちょっと左やな。右に行きすぎやわ……あ、そこそこ。あーええ気持ちや。もうちょっときつうてもええけどな」

母親の指示に従いながらぽこん、ぽこん、またぽこん、と肩をたたいているうちにさすがにちょっとしんみりとした気分になってくるのですが、いやいやいかん、おれとしたことがこんなことでどうする、とぎゅっと脇を締めるとつい力が入ってぽこっ!と叩いてしまい「何すんねんな、痛いがな!」と母親に怒られ、へそまがりを貫くのもなかなか難しいわいと思ったりする喜村さんなのでした。


【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net
http://midtan.net/

http://koo-yamashita.main.jp/wp/


しばらくヨーグルトを食べるのをやめていたが、なんとなくまた買ってみた。前はプレーンヨーグルトだったが、今度は気分を変えてカップ入りのやつにした。ところが、乳酸菌が「生きたまま腸に届く」とか、「胃で生き残る力が強い」とうたっているヨーグルトにもいろいろあるんだね。

ビヒダス(ビフィズス菌)、ソフール(シロタ株)、おなかへGG(LGG乳酸菌)だとかLG21(ラクトバチルスガッセリー)とか。どれが一番いいのかわからないので毎晩、交替で食べてます。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■はぐれDEATH[30]
はぐれは成り行きで生きる

藤原ヨウコウ
https://bn.dgcr.com/archives/20170601110100.html

───────────────────────────────────

成り行き任せで生きてきたからはぐれになった、という説も大いにありそうだが、何から何まで成り行きに任せていたわけではない。殆ど成り行きだけど。

「節目節目で何らかの決断を下す」というのが一般的ではないかと想像しているのだが、この段階ですでに間違っていると指摘されてもボクは驚かない。ボクの世間知らずは底なしなのである。

だからといって、このことを言い訳にするつもりは更々ない。知らないことを知っていることにできるほど、ボクは自信家ではない。「知っているつもりが勘違いだった」などはザラにあるので少々のことでは驚かない。

大胆なのか小心者なのか、得体の知れないのがボクである。ボク自身よく分かってないし。

最初に決断したのは小学校4年生くらいに「大学へ何がなんでも行く」と決めた。理由は単純で、技術系の会社員になりたかったからだ。

そもそも就職というのは、「技術系の会社員になる」としか思っていなかったのだ。他にも職業があるのは知っていたが、どれもこれもいわゆる専門職だけなのだ。

何しろまわりは親父と同じ会社の人ばかりである。同級生には農家だのなんだのいたが、ボクの世間知らずの底なしさは“=無知”そのものなのである。

かてて加えて、思い込みの激しさも尋常ではない。会社員=技術屋という概念しかボクのなかにはなかった。こうなると、もう大学はマストの条件となる。親父しか見ていないのだ。我ながらなかなかスゴいと思う(笑)

小学生の時によく「将来なりたい職業は?」というのがあったが、ボクの場合は筆頭が会社員である。さすがにこれでは可愛げの欠片もないと思ったので「画家」とか「考古学者」とかも入れていたのだが、これらはあくまでも夢のまた夢で、当時のボクには現実性など皆無としか思えなかった。

いや、憧れはあったのだが、まさか今こんな稼業をしているとは夢にも思わなかったしね。小賢しいといえば小賢しいガキではあるが、ここにボクの小心者ぶりが見事に見てとれる。冒険とか博打とは本来縁遠い人なのだ。はぐれたけど。

てなワケで、大学に入るためのロードマップはソッコーで出来てしまい、高校受験の時にはそれなりの苦労をすることになった。

ボクが京都に来るまで過ごしていたのは広島県福山市。ボクが高校受験をした頃は、かの悪名高い「総合選抜制」という制度が公立高校に課せられていて、かつての名門校がことごとく凋落していた時期でもある。

今は盛り返してるようだが、とにかく学力の平均化が眼目だったので、行っても志望する大学に行けるかどうかすら怪しかったのだ。この悪夢のような呪縛から逃れていたのは、広島大付属高校、福山校と一部の私学だけである。ちなみに当時、福山には広大付属に肉薄できる私学はなかった。

広島市内の某有名私立進学校に行くか、岡山のボクが行った高校へ行くかの二択である。広大付属はさすがにハードルが高すぎた。

そこで岡山の私学を受験することになったのだが、ここでボクの普段の成績が問題になった。マトモに勉強していなかったのだ。とんだ片手落ちもいいところなのだが、計画というのは立案通りに進まないものである。

ロードマップはどこへ行ったとツッコミがジャンジャン入りそうだが、兎にも角にも半ば強引に志望校を受験し合格した。詳細は省くがなりふり構っているような状態ではなかったので、我ながら相当無茶をした(笑)いや、インチキはしていません、念のため。

大学は前にも書いた気がするのでパス。タナボタ合格だ。大学院も同様。

院で印刷の研究をしていたので、就職先はというともう完全に大手印刷会社の二択で、幸い片一方に引っかかった。この時もあんまり気負わなかったと思っている。

ちなみに、なぜ採用になったのかは未だによく分からない。それでも、小学生の頃に思い描いたロードマップは、完成しかけたのだ。退職さえしなければ(笑)

退職についても前に書いた気がするので、どんどん飛ばす。自業自得である。

で、結局「あり得ない」はずだったこの稼業に入るのだが、これまたどこかで書いた気がするのでパス。まぁとにかくとことん受け身なのだ。行き当たりばったり、とも言う。

さすがにこればかりは成り行きで済ませられなかったので、それなりの抵抗は試みた。出版社の持ち込みは必須なので、デビュー前からやっていたのだが、最近は「メールでサンプル送ってください」というケースが増えてきたので萎えている。

少なくともボクは、リアルに対面しないと頼める仕事も頼む気にはなれない。逆もまた然りである。それでも、メールなり電話なりで依頼されたお仕事を断ったことは皆無に等しいし、機会があれば必ず担当さんに会うようにしている。

こういう前時代的なやりとりが、相手にとっては邪魔くさいのかもしれないが、一応筋だけは通しておきたいのだ。受け身とはいえ、受けっぱなしに済ませていいことではないと思うからだ。

ボク本人は成り行きで済まされるのだが、この成り行きに巻き込まれたり、巻き込んだりした人は、かなりの被害を被っているはずである。邪推かもしれないけど。

「筋を通す」じゃ済まないことだってやらかしている可能性を、ボクは否定しない。

どこでどう転んでいるのかまで、鈍感極まりないボクが分かるはずもない。大抵すっかり忘れた頃に言われて(しかも本人は何かをやらかしたという認識すらないのだ)「え?」となるのが関の山で、ボクが知らないところで何を言われているのかなんて、興味すらわかない。

それが成り行きならそれはそれでしゃあなしだ。正直、弁解するのすら面倒くさい。

開き直っているワケではない。ボクに関する諸々の事象は自覚しているにしろ無自覚にしろ、ボクが発信源であり、その結果がどうなるかなどという高等な生き方などしていない。

基本、目の前のことで手一杯なのだ。特にこの稼業に入ってからその傾向は強くなった。

あたり前の話である。明日は何も保証されていないのだ。そんな環境で将来のロードマップを再構築するなど、ボクに言わせれば時間の無駄、労力の無意味な浪費、愚の骨頂極まりない堂々巡りの思考ゲームに過ぎず、結局どう死ぬかという、究極的な未来像にしか辿り着かないのだ。

ここまでアホ全開な人も珍しいかもしれないが、深遠な哲学的考察などボクとは無縁の世界である。宗教に至っては論外だ。いや、他人の信仰心は否定しません。ボクが無神論者なだけで。

運命などという得体の知れない何かにも興味はない。とことん唯物論者なのだ。なにしろ、生命の起源ですら確率論で片付けかねない人である。

成り行きで生きる、というのは今目の前で起きている事象を受け入れるか拒むかの二択でしかなく、ボクは大抵楽な方を選ぶのだ。その結果こうなっただけのことであり、それ以上でも以下でもない。

それでも何かしらの意思なり意図なりが(自覚していないにも関わらず)あるとしたら、それは絵を描き続けていることと、読書を続けていることぐらいだ。

この二つだけは、ボクの生活に常にあり将来もあり続けるだろう。「三つ子の魂百まで」というが、これを地で行ってるのが我ながら笑える。

遺伝だの育った環境だの、要因は色々あると思うが、これに関しては別稿に譲る。ちょっと調べたらけっこう根が深かったのだ。

計算違いと言えば娘ぐらいか。まさかここまで見事にボクと奥さんが反映されるとは……まぁ、当たり前と言えば当たり前なんですが、目の当たりにすると時々ドキッとしますよ。これまた成り行きの一言で片づけるおとおさんだったりする(笑)

まぁ、とにかく成り行きで生きていると、このようなダメな人になるのだが、これまたしゃあなしだ。よし、今回はキレイにオチがついた!


【フジワラヨウコウ/森山由海/藤原ヨウコウ】
YowKow Fujiwara/yoShimi moriyama
http://yowkow-yoshimi.tumblr.com/

http://blog.livedoor.jp/yowkow_yoshimi/


装画・挿絵で口に糊するエカキ。お仕事常時募集中。というか、くれっ!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記(06/01)

●羽生善治・NHKスペシャル取材班「人工知能の核心」を読む(NHK出版新書、2017)。番組企画は2015年にスタートし、間髪を入れずレポーター役を引き受けた羽生が、アメリカ、イギリス、日本各地を取材班と一緒に飛び回る。あまりに取材へエネルギーを投入したため、本業の対局で負けることもあった。

番組は2016年5月15日に「NHKスペシャル 天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る」として放送された。羽生は人工知能の進化を肌身で感じており、その進化を人間の新たな可能性を切り拓くものだと肯定的に考える人だったから、様々な論点の核心にズバリ切り込む、考えられる最善のレポーターであった。

「人間VS人工知能」という単純な対立構造を考えるのではなく、人間がさらに可能性を広げるために、人工知能をどう使っていくべきかを探る優れた番組。なんで棋士がテクノロジー革命を考えるんだ? と舐めていてすみません。最前線の取材後に、更に重ねた思索の結果を注ぎ込んだこの本、素晴らしい。

羽生自身には人工知能の専門的な知識があるわけではない。ビッグデータ、ハードウェアの向上、ソフトの発展とくにディープラーニング(深層学習)の台頭などは理解していたが、シンギュラリティ(技術的特異点)について初めて知った時、10%も信じられなかったという。だがこの棋士は前向きの人だった。

彼は人工知能を「仮想敵」とは位置づけない。「人工知能が社会に浸透していくことが確実視される今、セカンドオピニオンとしての人工知能をうまく使いこなすことが、今後ある種のスキルとして問われていくのはほぼ間違いないでしょう」。わたしは人工知能をやっぱり「仮想敵」と見做す旧人類である。

彼は「究極的な意味でクリエイティブなものに結びついていくかというと、中々難しい問題です」とし、人工知能関連の講演や対談時に「人工知能がどれだけ進化を遂げても、ふなっしーを生み出すことはできないのではないか」と話す。人工知能に「こういう可能性もある」と提示させる使い方はよしとする。

企画が立ち上がって取材を進めるうち、アルファ碁が登場した。さらにリサーチを深めると、ディープマインド社デミス・ハサビスは羽生の大ファンであることも分かり、独占取材を許可された。アルファ碁の強さは、アルファ碁同士のとてつもない数の対局をこなして、データを積み重ねた結果であるという。

驚いたことにこの棋士は、自分の言葉で人工知能の核心を文章化している。なみのサイエンスライターでは太刀打ちできない、みごとな出来だ。章末の「レポート」では番組ディレクター・中井暁彦が、羽生の言葉を受けて、客観的な解説や関連題目について補足する。アンチ人工知能な人におすすめ。 (柴田)

羽生善治・NHKスペシャル取材班「人工知能の核心」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140885114/dgcrcom-22/



●コミュに積極的に所属できる人は、時間の使い方が上手いんだと思うわ……。/LG21(胃)を続けているけど、R-1(腸)への乗り換えを考え中だった。数日は生き残るらしく、いろんな種類を食べるのは良さそう!

/そういえば、人工知能の考えたレシピは、組み合わせが斬新で、でも結構おいしいというニュースを見た。

/ダイエット続き。7200kcalで検索したら、教えて!gooの「1日で7200kcalの運動したら1kg減ってる?」が引っかかった。休日に一気にダイエットしたいという人の質問だ。

気になる回答があった。「足りないエネルギーが全部脂肪を使って補われるわけじゃないです」「おそらくその半分も運動しなくても、1kgなんてすぐ落ちます。脂肪があまり落ちていないのでスタイルは良くなりませんが。」続く。 (hammer.mule)

多ければ良いのか善玉菌 意外に知らない腸内環境
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO08829470W6A021C1000000

「外からヨーグルトやサプリメントなどに含まれる菌がパッと腸内にやってきてもその多くは生存競争に負けてしまう」「コンスタントに腸に送り続ける」

今まで考えつかなかった食材の組み合わせを提案してくれるIBM「シェフ・ワトソン」
https://cookpad.com/pr/tieup/index/694


1日で7200kcalの運動したら1kg減ってる?
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/8605994.html