[4364] パパ、私、作家だよ!

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《頭がパンパンになるのだw》

■ローマでMANGA[109]
 パパ、私、作家だよ!
 midori

■グラフィック薄氷大魔王[524]
 「テンキー付きAppleワイヤレスキーボード」「Thingsまた復活」
 吉井 宏
 



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■ローマでMANGA[109]
パパ、私、作家だよ!

midori
https://bn.dgcr.com/archives/20170614110200.html

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ローマ在、マンガ学校で講師をしているMidoriです。私の周辺のマンガ事情を通して、特にmangaとの融合、イタリア人のmangaとの関わりなどを柱におしゃべりして行きます。

●もう一つのコミックスフェア

最近、イタリアではコミックスフェアが増えている。

ちょっと前まで、ローマ、ルッカ、ナポリだったのに、すぐに思いつくだけでも、ミラノ、トリノ、ノヴァーラ、レッジョエミリア、フォルリ、ラスペツィア、ジェノバ、クネア、アレッサンドリア、ロヴィーゴ、サッサリ、パレルモ、エトナ、ブレッシャ、パドヴァ、リミニ、今年からヴェローナでも開かれるようになった。

ごく小規模なものまで含めると、一年中イタリアのどこかでコミックスフェアをやっている。

ローマは年に二回、ROMICSという名前のフェアがあって、フィウミチーノ空港にほど近い大きなフェア会場を使って開催される。
http://www.romics.it/


ただ、年々どちらかというと、キャラフェスのような感じが濃厚になってきた。参加するブースもキャラグッズを売るブースが増えている。カップラーメンの屋台やカタナのブースもあって、ジャパン・キャラフェスですか? という感じだ。

ところが、2015年にARFというコミックスフェアを開催する人? 団体? が現れた。グッズは排除。マンガに徹する。

ブースはほとんどがマンガ出版社。私が講師を勤める学校と、もう一校のマンガ学校とマンガ画材のブースが、出版社ではないので異彩を放つほどだ。自費出版のコーナーが結構大きいのも嬉しい。

場所は、前回フリマの話で登場した地域で、元国立屠殺場跡を使う。1900年代初頭の建物で、正面入り口の門の上には牡牛とそれを取り押さえる人物の彫刻が置かれてなかなか威厳がある。
https://www.tgtourism.tv/2017/04/30634-30634/


当時、国立でまとめて屠殺を行い、流通させたのだからかなり経済効果があったと思う。もっとも、肉をしょっちゅう購入できるのは金持ちだけで、庶民にとって肉はクリスマスとか特別な日だけの特別な食べ物だった。

東京築地市場(早く豊洲に移転を決めましょう、都知事様)のような感じで、周りには屠殺場で働く人を相手に食堂ができた。

メニューは屠殺場から出る臓物料理。牛の舌、レバー、心臓、肺を細かく切ってトマトでグツグツ煮込む。牛テールをたっぷりのセロリとトマトで煮込む。まだミルクだけを飲んでいる子牛の腸を、トマトで煮てパスタと和える。

今でもその食堂がリストランテとして二軒残っている。角にあるペコリーノがおすすめ。
http://www.ristorantepecorino.it/album/index.php?a=0


その隣にある1887年開業のケッキーノは、35年前までは先代の経営でトラットリアだった。庶民的な値段で庶民料理を出す美味しい店だった。20数年前に息子二人とその従姉妹が経営者になって、庶民料理を洗練させ、ワインを「他のレストランが探しに来る」くらい集めて高級レストランにした。

高級でも給仕やオーナー兼ソムリエの態度がスノッブではなく、料理も美味しいし良い店だった。五年前に行ってみたら、給仕はガサツで味が大幅に落ち、高級は値段だけだった。何を間違えたのか他人事ながら残念な店だ。
http://checchino-dal-1887.com/


あ、ついつい興奮してしまった。マンガ、マンガ。

元国立屠殺場はMACRO TESTACCIOと名前を変えて、文化的催し物の会場として使われている。
http://en.museomacro.org/


MACROは“Museo d’Arte Contemporaneo Roma”「ローマ現代美術館」の頭文字を取ったもの。屠殺時代の牛を吊り下げていた鍵手などを残して、なかなかシュールな佇まいをしている。
https://goo.gl/rbymdh


TESTACCIOはこの地域の名称、モンテ・テスタッチョから取っている。前回のテキストで説明したけど、古代ローマ時代にギリシャからの輸入でワインやオリーブオイルを運ぶために使った、土製のアンフォラを割って積み重ねて山にした。その山の名前がテスタッチョなのだ。

●コミックスフェアに作家として参加

ARFは金土日の三日間の開催。金曜日に「作家」として参加して来た。

“AUTORE(作家)”と書かれたカードを首から下げて無料で入場する。無料も嬉しいけど、還暦過ぎて夢だった役割を得てマンガフェアに入場する、その事実が嬉しい。

「パパ、私、作家だよ!」と天国の父に報告する。父は、好きな事があるならそれをして行くのが幸せなんだよ、とずっと言っていた。無理して私立の女子美に通わせてくれたのも私の幸せを願ってのこと。人間、生きてる限り、諦めちゃいかん。

まず、学校のブースに挨拶に行く。イベント担当のフランチェスカが一人で右往左往して焦っているので、まず学校ブースの準備を手伝うことにする。

若い友人でmanga作家(ユーロmanga)で学校の同年代のスタッフと友達になり、学校の事務所を仕事場にして色々と無償で手伝っているパオロもブースのオープン準備を手伝う。

時おり、私とパオロの本を出版したUppercomicsの代表者、ガエターノからパオロに電話が入る。一人で切り盛りしていてとても間に合いそうにないから、誰か手伝いに来て、という連絡だった。

パオロはガエターノがあまりにも当然のことのように色々頼みすぎると、イライラしていてとてもぶっきら棒に答える。

私は私の本を出版してくれたことがありがたくて、生まれたばかりの小規模な出版社が色々足らないのは当然だろうと考えて、イライラしてないので気の毒に思って手伝いに行くことにする。

もっとも、パオロみたいに色々頼まれていないので気楽なのだけど。色々頼まれても(主にサイトやポスターなどのイラスト)喜んでやると思うけど。

Uppercomics のブースは2メートル平米ほどの小さなブース。そこで、ガエターノが段ボール箱に囲まれて無表情で黙々と作業をしていた。元々あまり表情が豊かではない青年だけど、4月5月と大事なコミックスフェアが続けざまにあって、荷物を抱えて移動し、開催中は座り続けてクタクタなのだ。

「作家」としての役割はUppercomicsでなので、ブースの準備が整ったところで二脚ある椅子の一つに座って、作家の役目を果たすことにした。つまり、ライブで絵を描いて人の興味を引くのだ。

このところ、モダン和装に興味が出て、そういう写真を集めている。その写真を元にイラストを描いた。と、そうこうするうちに、な、なんと私の本を目当てに来る人が何人か出てきた。

本を買ってくれた人には、お得意の似顔絵を白地のページに描く。似顔を描いていると、面白そうに見て人が立ち止まる。営業能力も身についてきて、すかさず本の内容の説明をする。

キャラフェスになってしまったRomics とは違って、40代、50代のお客さんも多い。「過ぎた日の良いところを、人生の価値が物を持つことだけじゃなかった時代の話です」に共感してくれる。

その説明にうなづきながらパラパラとめくって、そのままあっけなく買ってくれたりする。さすが、マンガ専門のフェアだ。

お客さんが途絶えたところで、家で描いていたモダン和装少女の絵の続きを描く。それをじっと見ていた母子の母親が「息子がすごくその絵を気に入ったんだけど……」と言う。

タダであげてしまってもいいんだけど、「プロ」の二文字が頭に浮かんで「買ってくれるなら」と言ってみたらそれでもいい、と言う。

値段を聞かれてとっさに5ユーロ(600円くらい)と言って、後で若い友人等にバカかと言われた。もっと高くつけてよかったと。安売りはよくないんだけど。でも望まれるのは嬉しい。
https://www.facebook.com/midori.yamane/posts/10213550202257572


午後、学校のブースでは、学校の宣伝のために無償で似顔を描く。私のセミナーの生徒が数多くやって来て、似顔じゃなくて何か私の絵を希望され、モダン和装少女を墨で描いた。絵を望まれるのはやっぱり嬉しい。

●「パパ、私、アーチストだよ!」

月に一度、ローマから80キロほど北の、ビテルボという街の私塾にmangaのワークショップへ通っている。
https://www.arsartisviterbo.com/conosci-i-docenti


私塾のオーナーのバレリオは絵描きさんで、自らもデッサンや油絵のワークショップを持っている。

バレリオに私の本をプレゼントした。一か月後、メッセージではなくて口頭で伝えたかったとして、嬉しいことを言ってくれた。

「あれはmangaとかグラフィックノベルとかではなく、『良い本』というジャンルに入るべきだ」

「センシブルな人は深く読めるだろうし、センシブルでない人は自分が何を感じたのか分析できないまま、何かを感じるだろう。両端を掴むことが出来る。だからあれはアートだ」

「あなたはmanga家とか講師とかではなくて、自分をアーチストと意識すべきだ。絶対に描き続けなければいけないよ」

どうです、この言葉。ちょっと赤面しつつ「でも、あれだけでは食べられなくて……」とあんまり関係ないことを言ってしまった。バレリオは首を横に振って「アーチストはその作品で食べられるかどうかは関係なく、制作する義務があるんだよ」と言った。

バレリオ「あなたは自分の表現方法を見つけたんだ」
私「ちょっと年食ってるけどね」
バレリオ「一生かかっても見つけられない人もいるんだよ」

わかった。「パパ、私、アーチストだよ!」

バレリオの後押しがあって、私は自分が感じたことを表現していいのだと自信を持ってしまって、おかげで自分で色々制限をつけておたことに気がついた。

それで、ARFで写真を元にして、あまりしたことのない水彩で、モダン和装少女を練習を兼ねて描いたりしたのだ。

●朝だ朝だーよ♪

今後やるべきことは、今までもずっとあった課題の解決法を見つけること。

家事との時間の兼ね合いだ。テキパキしてる方ではないし、物が多いこともあって片付けが下手。おまけに農地と言っていいほどの庭の手入れはキリがない。

さらには、旦那は定年退職したし、息子は大学中退してサッカー場やコンサートのセキュリティーのバイトをしている。つまり、昼食時と夕食時に家族の全員か誰かがいるので、調理と後片付けの作業が毎日二回ある。

旦那は絵やmangaを描くことの意味やかかる時間には無頓着で、キッチリ片付いた家が普通だと思ってる(大抵そうか)から、家の整理整頓を後回しにしてmangaのネタを考えて座っていると機嫌が悪くなる。

今までは家族が就寝後真夜中にやっていたけど、疲れも出てどうも効率が悪い。だから早朝にシフトすることにした。6時起きをとりあえずの目標にしたものの、なかなかうまくいかない。

それでも、寝起きのグダーっとした感じに浸りたい気持ちを、とりあえず目が覚めたら起きる、というふうに頭を切り替えることができた。息子の高校が終わってから9時起きが習慣になっていた。この習慣を少しづつずらしていけばいいのだ。

「早朝に仕事」にシフトした友人何人かは、5時半に起きる。何も邪魔が入らない時間が3時間から4時間手に入ってるとてもよい、とのことで、いずれは私も……。

年取って来て夜中にトイレに起きることが多々あるのだけど、大抵3時半ごろ。これがもう少しずれれば一石二鳥なんだけど。


【Midori/アーチスト/マンガ家/MANGA構築法講師】midorigo@mac.com
さっそく ↑

バレリオが褒めてくれた私の本はこれ ↓ が元です。更新しなくちゃ。

MangaBox 縦スクロールマンガ 「私の小さな家」
https://www-indies.mangabox.me/episode/58232/



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■グラフィック薄氷大魔王[524]
「テンキー付きAppleワイヤレスキーボード」「Thingsまた復活」

吉井 宏
https://bn.dgcr.com/archives/20170614110100.html

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●テンキー付きAppleワイヤレスキーボードが出た〜!

Magic Keyboard(テンキー付き)- 日本語(JIS)
http://apple.co/2r7KyIF


遅すぎるわー。どんだけ苦労してテンキーなしキーボードに慣れたかと。……ほしいけど、今のペンタブとキーボードを左右に並べる配置では、長いテンキー付きキーボードを置くのはむずかしい。

だいたい、どこがMagicなんだ? 誰もがあきらめてたテンキー付きワイヤレスキーボードがリリースされるという魔法かw まあ、プロ向け重視の一環だろうけど。

ワイヤレスキーボードに装着するテンキーを買ったこともあるけど、「こんな不細工なもんつけるくらいならテンキーなしに慣れよう!」って思った。一見アルミだけど、実はプラスチックに銀色の塗装 orz

従来のテンキー付きキーボードでは、文字キーから遠く離れたテンキーに手を動かすのが面倒になってる。スッと上にずらせば数字打てるほうがラク。もちろん、大量に打つときはテンキーがあるほうがいいけど。

実用的には、pageupとpagedownキーがテンキーなしキーボードにもあればなあとか思うくらい。

Modoはじめ3Dソフトではテンキー付きキーボードのほうが便利なはずだけど、テンキーを使うショートカット(表示方法や視点を変える)は使わずに来ちゃったから、特に不便はない。

たぶん英語圏などでは、言語切替が必要なくアルファベットと数字を打つのに差がないからテンキーがなくても違和感ないんだろうな。日本語と切替えすると数字が全角になったり面倒。ATOKで数字は半角になるようにしてるけど、確定は面倒。

素朴な疑問。テンキーなしのノートパソコンで、普通にエクセルなど表計算ソフトを使ってる人は多いと思うけど、数字を大量に打ち込むのに上の数字キーでやってるの? それとも別にテンキーを用意してるの?

●Thingsをまた復活させた

「自分をプログラムで動かす」的に、仕事細分化リストでいい具合に進められそうなのに、いくつか仕事が重なってくると項目が増えてきて、どれから進めたらいいかわからなくなる。ぐぬぬ。やっぱThings復活させるか。たぶんもう四〜五回目。

Things 3
https://itunes.apple.com/jp/app/things-3/id904280696?mt=12


Thingsだと大ざっぱにでも日付を入れておけば、自動的に今日やるべきToDoが優先順に提示されるから、迷わなくてよくて気がラクなのだ。

ただ、いつもThingsをチェックしてメンテナンスしてないと、済み項目や変更した項目や未入力項目とかでぐちゃぐちゃになる。いつもそれで面倒になって、シンプルなテキスト予定表に戻っちゃう。チェックをしっかりやる前提で入れるか。

インストールしてThings Cloud同期完了。前回使ってた259日前までの項目が出てくるw

過去ログやゴミ箱にも過去の項目がいっぱい。性格的には間が空いた259日分の項目を調べて記入したくなっちゃうところだけど、ガマン。過去データは全部捨てる。Thingsはログとして使っちゃダメなのだ。これからやることのリストとしてのみ使う!

お〜! カレンダー表示がある〜。この機能はほしかった! 項目のスケジュールが感覚的にわかりにくかったのだ。カレンダー.appは苦手だけど、これだったら使いやすい。
http://www.yoshii.com/dgcr/things_calenderview

他にも新機能。リマインダー、「見出し」で項目を分類、後でやることを「今夜」にできたりなど。ユルい使い方にも対応できるようになった。

テキスト予定表に溜めてあったToDo項目をThingsに移す。Thingsとテキスト予定表では最低限の細分化項目まで。紙のメモで極細分化する。

Thingsは便利だけど弱点がひとつ。期限日でToDoを並べてくれるのはいいんだけど、それぞれの所要時間は考慮されない。所要時間が加味されれば、何から始めればいいかの順番も変わってくるのだが。

そっか、開始日時も一項目として作ればいいじゃん! 開始と終了を見えるようにすればいい。と思ったら、それじゃカレンダー.appを使うのと同じだわ。

僕的使い方。Jeditのテキスト予定表があくまでメイン。ThingsはToDo項目を優先順に並べて閲覧できる便利なソフトとしてだけ使う。Thingsの今日やる分の項目をテキスト予定表に移動したら、Thingsは閉じる。

無数のToDo項目を忘れて仕事に集中するためにこういうソフトはあるのに、いつも見てると項目を覚えてしまって頭がパンパンになるのだw


【吉井 宏/イラストレーター】
HP  http://www.yoshii.com

Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/


すっごい細かい感動。Thingsで「細分化項目をいちいち開いて項目名を選択してJeditのテキスト予定表にコピペ」が面倒だったのだが、項目名をJeditにドラッグするだけで可能なことが判明。ラク!

ソフト間のドラッグ&ドロップ。Macの基本機能なのに、テキストなどで機能しないことが多くて、最近は半ば忘れてた機能だった。他にも忘れてる機能がありそう。

・スワロフスキーのLovlotsシリーズ「Hoot the Owl」
http://bit.ly/2oOpgKg


・ショップジャパンのキャラクター「WOWくん」
https://shopjapan.com/wow_kun/


・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500


・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii



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編集後記(06/14)

●長嶋有「観なかった映画」を読む(2017/文藝春秋)。著者は芥川賞、谷崎潤一郎賞などを受賞した、売れっ子の作家である。この人の小説は読んだことがない。ブルボン小林という映画評論家も同じ人であると知った。読んだことがない。何を書いているんだ、このタイトルで、ということで読んでみた。

よくある普通の映画評論ではなかった。普通の映画エッセイでもなかった。その映画のフレコミや評判や、俳優や監督の名前を出さなくても、「本当はその映画内で起こっていることだけで語れるのではないだろうか。それが『映画を語る』ことにならないだろうか」と考えていたことを実行したものらしい。

「ずっと見続けて、それでも映画に『慣れない』ままの語りを、同類の皆さんには共感して、映画好きは新鮮に感じてもらえたら嬉しい」と序文にある。〈長嶋有の「読む、映画」〉では24本のタイトルが並ぶが、見たことある6本以外は聞いたこともないもの。個々の映画を深く掘っているわけでもない。

〈ブルボン小林のスーダラ鑑賞記〉では8本。〈書き下ろし〉では4本。そのうち2本見て他は知らないタイトル。いわゆるメジャーな映画はほとんど出てこないという、地味といえば地味、新鮮かというと新鮮かもしれない映画評論。「こんな風に映画を語った本は他にないと思う」。確かにそれはそうだが。

けっこう執拗に出てくるのが「市民のバイクを奪うこと」の考察だ。007「スカイフォール」の冒頭で、ボンドはそこらのバイクを当たり前のように奪い疾駆する。これが核爆弾の起動を阻止しようとしているのだったら、バイクを奪われた市民も実は「助けてもらった」ことになるから、まあ問題としない。

ところがこの映画ではそんな建前はなく、すべてMI6の内輪もめだ。だったら、市民のバイクを奪う行為は倫理的にいけない。あとで何らかのエクスキューズがあることを望みながら鑑賞する。切実な問題だという。そういえばそうかもね。筆者はよく母親と一緒に映画を鑑賞する。珍しい母子だが、まあいい味を出している。

この本の構成は、326ページ中227ページで本文は終わっている。そのあとに70ページ使って「2012-2016の映画備忘録」が続く。短文だから映画評論とまではいかない、作者のメモである。続いて28ページもつかった索引。資料的な意味はあまりないような本でそれが必要か。ページを増やすのが目的としか。

イラストは堀道広、おそろしくヘタである。味がある、で片付けてはいけない。この表紙でよくOK出したな文藝春秋。読み落としているか、心配で本文を二度読んだ。しかし、何を言いたいのかやっぱりよく分からない。知らない映画ばかり出されてもなあ。わたしにとっては「読まなかった本」とする。(柴田)

長嶋有「観なかった映画」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163906045/dgcrcom-22/



●3時半は静かで好きな時間ですわ。2時起きの本が売れていたような。/テンキー今頃……。遅すぎるわ〜。/メンテ……わかります。

/ダイエット続き。「しんどい〜」「身体が動かない〜」とぼやき、5〜10分ほどゴロゴロした後、半ボケのままジョギングウェアを着用。水分を補給し、最低限の身支度をし、玄関に向かう。それがだいたい5時50分〜6時10分の間で、平均すると6時スタートになる。

走り始めは、身体が凄く重い。引きずるように走りはじめ、なぜこんなことをしているのだろうと後悔する。帰宅する頃には、しんどいものの身体は軽くなり、走れて良かったと喜ぶ。

体型はすぐには変化しないが、脚の変化は早い。200m走るのもしんどい身体が、翌日には400mでも大丈夫なようになる。息が上がるまでの距離も伸びる。

変化の乏しい体重や体型をモチベーションにしては走れないが、その脚や身体(体力)の変化が達成感になるので走れる。それでも、ぶつくさ言いながら起きるんだけど。(hammer.mule)

朝2時起きで、なんでもできる!
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B008BCD0PG/dgcrcom-22/

3巻まで出てるわ。知らなかった〜

「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B01IBF61AS/dgcrcom-22/