《オレも死ぬまで怠け者であり続ける自信がある》
■わが逃走[221]
アホの自覚と性怠説 の巻
齋藤 浩
■もじもじトーク[89]
リエズカフェバーに出演しました
関口浩之
■わが逃走[221]
アホの自覚と性怠説 の巻
齋藤 浩
■もじもじトーク[89]
リエズカフェバーに出演しました
関口浩之
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■わが逃走[221]
アホの自覚と性怠説 の巻
齋藤 浩
https://bn.dgcr.com/archives/20180719110200.html
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豪雨、そして異常な暑さ。
数十年に一度の被害、みたいな言葉を耳にするけど、「数十年に一度」がこうも頻繁に来ているということは、いままでの常識が通用しなくなっている、ということに他ならない。
若かった頃の常識にすがりながら、的外れなことを言う大人を見て、若者が「やれやれ」と思うのはいつの世も同じだ。
たとえば、真夏に運動する際、「水を飲むとバテる」という考えは、今では非常識。さすがにそれは、どんなアホな大人でも知っている。しかし、それは「水さえ飲めば大丈夫」という意味ではないのだ!
大人になると性根が曲がってきて、他人の意見を聞かなくなり、物事を自分に都合良く解釈するようになる。
オレもそうだし、周りの同世代もそうだから間違いない。なので、自覚して、自覚して、自覚して、自覚した上で危険から身を守らねばならない。
守るのは自分の体だけではない。自分の無知や無自覚が、周囲の人を危険にさらす可能性の方が高いのだ。
たとえば立場の高いアホに対し、部下や後輩は遠慮し、忖度し、空気を読んでそのアホさを指摘しない。
指摘されないということは、自分がそれだけアホだということかもしれないぞ。
アホによるアホな指示出しは、とりかえしのつかない損失につながる。
そうなる前に、それを意識して、意識して、意識して、意識した上で家族や仕事仲間やご近所さんと接しなければならないと思うのだ。
さてアホを自覚した我々は、新しい常識を真摯に受けとめると同時に、古くからの慣習や言い伝えなども知っておく必要がある。
とある地方の神社には、「津波でここまで水が来たから、これより下に家を建ててはいかんよ」と彫られた石があるらしいし、事実震災時にはそこまで水が来たと聞く。
S玉県にある私の実家の近くに古くからある医者の長屋門には、天井から小舟が吊るしてある。つまり、ここも昔から水が出るのだ。
実家のある場所はもともと「井戸尻」という湿地帯だそうで、本来の地名は「佐知川」だ。
しかし今は「プラザ」と改名された。ふざけた地名である。
これによって、以前どのような土地だったかを想像することができなくなってしまった。
想像させないようにしている、とも言えるだろう。
想像力の放棄は思考停止と同義語である。
思考停止は、危機管理能力の低下に繋がる。
市のサイトで荒川ハザードマップというのを探してみた。
「プラザ」は完全に水没。そりゃそうだろう。ちなみに指定避難所は私の通っていた小学校だ。
入学してから卒業までの間に、昇降口の階段が(地盤沈下の影響で)2段増えた学校である。大丈夫なのか?
よくみると、避難所マークの脇に「3F」というアイコンがついている。注釈を見ると、2階までは水没するので、3階以上を避難所とするそうだ。
本当に大丈夫なのか?
そして、もしもの時は、根拠のない自信を持ってはいけない。
「ここは絶対に大丈夫」というアホのひと言で、家族全員が危険にさらされるのだ。
普段の、いつもの、安全なときにこそ、いざというときの避難の方法を話し合っておくといいかもね。
こう暑いと何かを考えること自体がおっくうになってくる。わかります。オレもそうだから。
思うに、人は生まれながらにして怠け者なのだ。仮にこれを性怠説とする。
広告制作も性怠説を前提としているところがある。
人はみな説明されることを嫌う。学ぼうとしない。なので、相手が説明されていることに気づく前に、この商品がイイと「感じさせる」のだ。
深く考える前に、その判断は正しいとすることの方がラクである仕組みを作るのだ。
ともすれば古典的ともいうべき考え方であるが、人が変わらない以上、これは送り手にとって“使えるシステム”と言えよう。
怠け者はそうそう治らない。オレも死ぬまで怠け者であり続ける自信がある。
ならばせめて、せめてアホを自覚しようと思う。その積み重ねが、自覚しないよりはマシな世の中を作ると思っている。根拠のない自信ではあるが。
【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/
1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。
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■もじもじトーク[89]
リエズカフェバーに出演しました
関口浩之
https://bn.dgcr.com/archives/20180719110100.html
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もじもじトークの関口浩之です。
暑い日が続いてますが、みなさん、元気ですか。水分補給と睡眠をしっかり採りましょう。
僕は昨日まで大阪出張でした。今回、たくさんの荷物(活字やフォント関連の書籍や部品)をスーツケースに入れて移動していたので、数百メートル歩くだけで、汗だくになりました。
とは言え、徒歩10分ぐらいの距離にタクシー使うのも気が引けるので、重いスーツケースをゴロゴロ引きずりながら、何度も駅を乗り継ぎで8件のお客様を訪問しました。計算してみたら一日5キロぐらい歩いていました。
出張中は深夜まで打ち合わせや会合が立て込んでいるので、ホテルに戻ってから急ぎの仕事をこなし、セミナー資料を作り、などがあり睡眠時間が3時間ぐらいのことが多いです。
なので、現在、かなりヘロヘロ状態でメルマガを書いております。がんばる……。
●リエズカフェバーとは
7月17日(火)22:00〜23:30のインターネット生放送TV「リエズカフェバー」に出演しました。収録後の記念写真と放送スタジオの様子をアップしますね。
ジャーン!
http://bit.ly/2utrzrF
でも、リエズカフェバーの番組をご存知の方は多くないですよね。
エンターテインメント雑談ウェブテレビ番組「リエズカフェバー(rie’s CafeBAR)」は、毎回、多方面から様々なゲストを迎えて、90分間、わいわいと楽しく、タメになる(?)番組を毎月1〜2回、放送してます。
「一日の終わりにまったりだらーんと聞いて頂いて、明日からまた頑張ろう! みたいな番組を目指しています」というスタンスが好きです。
番組のメインパーソナリティーは、瀬口理恵さんと、はたなかあきらさんの二人です。「ゆるいけど、なんかすごい、楽しい」ってノリのお二人です。
そんな大好きな二人を、勝手に紹介しちゃいますねーー!
瀬口理恵さん(普段は、りえちゃんと呼んでます)は、Five Dimension Graphics(5DG)という屋号でフリーランスデザイナーとして活動。WebデザインやアプリUIなどの制作が得意。デジタルハリウッド大阪校で講師もしてます。
著書に『人を惹きつける美しいウェブサイトの作り方』があります。ピンクの髪型がトレードマーク。ときどき、違う色になることもあります。
はたなかあきらさん(普段は、はたぼーと呼んでます)は、[ai:yo] creative entertainment. 代表のアートディレクター&グラフィックデザイナーです。
グラフィックデザインを中心に販売促進/ブランディング等の媒体を企画/制作が得意。守備範囲が広い、雑種系クリエイター。インディーズレーベル[ai:yo] music independents.も主宰してます。JAGDA正会員。
なんか、すごそうでしょ。
今回で第136回ということで、すごいですよね。継続は力なり、です。
第1回のリエズカフェバーがいつなのか調べてみたら、なんと、2011年4月27日でした。8年以上、定期開催しているインターネット生放送番組は、滅多にないと思います。
調べたついでに、アーカイブを見始めてたら、面白くて1時間ほど見てしまいました!
リエズカフェバーのテーマが、めちゃくちゃ、好きなんです。
〜素敵な明日をあなたと一緒に迎えるために〜
これを、番組エンディングでみんなで朗読するのが、参加する楽しみのひとつなんです。
●コロちゃんと文字のお話しました
前回もそうでしたが、まにまにころころのコロちゃんこと、川合和史さんと出演しました。いつも、ありがとうございます。
前回のリエズカフェバーVol.122では、宇宙の話と、文字の誕生の話が中心でした。つまり、年表でいうと138億年前の宇宙の誕生から、文字が誕生した約5,000年前までのお話でした。
今回のリエズカフェバーVol.136では、約560年前の15世紀のグーデンベルグの時代から現在に至るまでの活字の歴史をお話しました。
活版印刷と写真植字の歴史やトピックスなど、わいわいと楽しく雑談しました。
今回の番組で使用したスライドと持ち物(金属活字や写植メインプレートなど)の写真、街中で撮影した街もじのスライド、33枚共有しちゃいますね。
下記からPDF形式で33ページの資料がダウンロードできますので、お楽しみください。
http://bit.ly/2uzb5y1
なお、今回の番組のアーカイブがアップされたら、次回のもじもじトークでお知らせします。
●船場ビルディング
今回の放送スタジオは、「船場ビルディング」という建物の中にあります。はたぼーのひみつ基地スタジオということですが、住所も公開されています。
スタジオの様子も、さっき、写真で公開しました。秘密なの? 秘密じゃないの? どっちなの??
前回、訪問した時も「この建物、なんか素敵だなぁー」って思ってました。なので、Googleで調べてみたら、「指定有形文化財」でした。とはいえ、普通に事務所や店舗が入っていて、住居として使っている方もたくさんいるようです。
堺筋本町と淀屋橋の中間ぐらいのところにあるので、ばりばりのオフィス街です。外観からすると、「ちょっとレトロでモダンなビル」には見えるけど、特に際立った特徴があるわけでないので、見過ごしてしまう建物です。
でも、いったん中に入ると、こんな素敵な景色が広がってました。ねっ、素敵でしょ!
http://bit.ly/2uuJUES
このビルが建てられたのが1925(大正14)年だから、今から93年前の建築構造物なんです。オフィス街に点在する古い建物は、再開発でスクラップ&ビルドされて、今風の近代的なきれいなオフィスビルになるのが通例です。
リノベーションを繰り返したとは言え、大正モダンな建造物が、いまだに、普通のオフィス&住居の複合ビルとして、生き残っていることが、すごいなと思いました。
聞いた話ですと、建築当初の頃は、馬車や荷車が出入りしていたそうです。なるほど、一階正面玄関を入ると、回廊のような景色になっていたのは、その理由なのだと理解できました。
都会の中に、こんな感じの大正モダンな空間が保存されて、現代建造物と共存できる街づくりって、大事だと思います。そういうプロジェクトが、もっとあってもいいのでは、と思った大阪出張でした。
では、二週間後に、またお会いしましょう。
【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
http://fontplus.jp/
1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。
その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。
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編集後記(07/19)
●真魚八重子「バッドエンドの誘惑 なぜ人は厭な映画を観たいと思うのか」(洋泉社/2017)で、「イヤな映画を作ろうとして作り、それが自然な歯車によって機動している完璧な作品だ。ゆえに本書でもトップを争う不快感マックスな映画である」と評しているのがトマス・ヴィンターベア監督の「偽りなき者」である(2012/デンマーク)。最近ご無沙汰だったGEOでようやく見つけた。
見なければよかった。正直、そう思った不快なストーリー。少女クララの発したウソで、ルーカスの職と名誉が失われ、強烈な村八分にあい、愛犬を殺され、リンチにあう。真相を知っているのは、映画を観ている者だけだ。大好きなルーカスに軽く注意されただけで立腹し、仕返しに幼稚園長にウソをつくクララ。
「ルーカスがきらい。ルーカスのおちんちんがぴんと立ってた」。たまたま兄の知的障害がある友人から、エロ動画を見せられ、卑猥な言葉を聞かされていたので、それがつい口から出たのだ。それを聞いた女園長グレテが暴走を始める。卑猥な妄想でクララを問い詰める。困惑するクララはうなづくしかない。
グレテは保護者会を開き、悪意の妄想をしゃべりまくり、性的虐待があったという結論を出す。集団ヒステリーになった親たちは、うちの子も被害者だと名乗り出る。ルーカスが無実を訴えるため幼稚園に行くと、グレテは逃げ出し遠くの方から「変態!」と罵るだけで話にならない。その老醜が厭度高い高い。
クララは一人でこっそり謝りに来るが、ルーカスはやさしく追い返す。クララの父テオとルーカスは、幼馴染みで無二の親友で、テオはルーカスがウソをつくときの仕草までよく知っている(重要な伏線)。クララ「何もなかったの。私がわざと言っただけ。それなのに何だか変なことになったの」母「厭な出来事の記憶は頭が忘れようとするの。でも現実なのよ」ときいたふうなことを。
被害にあったという子供たちの証言はすべて同じつくり話で、彼らのいうルーカスの家の地下室なんて、そもそもないのだ。息子マルクスが同居を始め、失職したルーカスを励ますが、村人の悪意や迫害は激しくなる一方である。ついにルーカスは逮捕されるが、もちろん証拠は何一つなく釈放される。それでもルーカスを変質者だと決めつけた村人たちは、彼に暴行を加え迫害する。
真相を知るわたしは腹立たしくてならない。わたしは愚かで野蛮な村人たちを憎悪する。「ランボー」のような男に変身して欲しい。しかし、ルーカスは憎悪には向かわず、一貫する毅然とした態度からは、そういうヒーローもいるんだと思うしかないが、そういう物語がカタルシスをもたらすわけないだろう。
念入りに設計された厭な厭な物語。エンディングだって、一度傷つけたルーカスを元に戻すわけないだろ? という監督の悪意が感じられる。「思わず現実味をもって観入ってしまう映画に屈しながら、作り物だとわかっているのに、精神的にダメージを受けてしまう物語の神秘を思う」と真魚八重子。主人公を演じたマッツ・ミケルセンはカンヌで男優賞を受賞。納得である。暑いから「ランボー」を見ることにした。(柴田)
「偽りなき者」
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00DEE04KK/dgcrcom-22/
真魚八重子「バッドエンドの誘惑 なぜ人は厭な映画を見たいのか」
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4800311810/dgcrcom-22/
●「天井から小舟」に驚いたとともに、素晴らしいと思った。/地名の変更。昔の災害を忘れたいのと、注意喚起は違うよね。
/パッケージやキャッチコピーに騙されがちなの……。雰囲気で買っちゃうことある。
洗剤のラインナップに、「除菌」とあって少し高い。そりゃ除菌効果ある方がいいわと思いつつ、ノーマルのはどうだろうと調べたら、そこの説明に「除菌成分入り」とあった。前者は効果は高いのだろうが、後者に入っていないのだと錯覚したわ。続く。 (hammer.mule)
■わが逃走[221]
アホの自覚と性怠説 の巻
齋藤 浩
https://bn.dgcr.com/archives/20180719110200.html
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豪雨、そして異常な暑さ。
数十年に一度の被害、みたいな言葉を耳にするけど、「数十年に一度」がこうも頻繁に来ているということは、いままでの常識が通用しなくなっている、ということに他ならない。
若かった頃の常識にすがりながら、的外れなことを言う大人を見て、若者が「やれやれ」と思うのはいつの世も同じだ。
たとえば、真夏に運動する際、「水を飲むとバテる」という考えは、今では非常識。さすがにそれは、どんなアホな大人でも知っている。しかし、それは「水さえ飲めば大丈夫」という意味ではないのだ!
大人になると性根が曲がってきて、他人の意見を聞かなくなり、物事を自分に都合良く解釈するようになる。
オレもそうだし、周りの同世代もそうだから間違いない。なので、自覚して、自覚して、自覚して、自覚した上で危険から身を守らねばならない。
守るのは自分の体だけではない。自分の無知や無自覚が、周囲の人を危険にさらす可能性の方が高いのだ。
たとえば立場の高いアホに対し、部下や後輩は遠慮し、忖度し、空気を読んでそのアホさを指摘しない。
指摘されないということは、自分がそれだけアホだということかもしれないぞ。
アホによるアホな指示出しは、とりかえしのつかない損失につながる。
そうなる前に、それを意識して、意識して、意識して、意識した上で家族や仕事仲間やご近所さんと接しなければならないと思うのだ。
さてアホを自覚した我々は、新しい常識を真摯に受けとめると同時に、古くからの慣習や言い伝えなども知っておく必要がある。
とある地方の神社には、「津波でここまで水が来たから、これより下に家を建ててはいかんよ」と彫られた石があるらしいし、事実震災時にはそこまで水が来たと聞く。
S玉県にある私の実家の近くに古くからある医者の長屋門には、天井から小舟が吊るしてある。つまり、ここも昔から水が出るのだ。
実家のある場所はもともと「井戸尻」という湿地帯だそうで、本来の地名は「佐知川」だ。
しかし今は「プラザ」と改名された。ふざけた地名である。
これによって、以前どのような土地だったかを想像することができなくなってしまった。
想像させないようにしている、とも言えるだろう。
想像力の放棄は思考停止と同義語である。
思考停止は、危機管理能力の低下に繋がる。
市のサイトで荒川ハザードマップというのを探してみた。
「プラザ」は完全に水没。そりゃそうだろう。ちなみに指定避難所は私の通っていた小学校だ。
入学してから卒業までの間に、昇降口の階段が(地盤沈下の影響で)2段増えた学校である。大丈夫なのか?
よくみると、避難所マークの脇に「3F」というアイコンがついている。注釈を見ると、2階までは水没するので、3階以上を避難所とするそうだ。
本当に大丈夫なのか?
そして、もしもの時は、根拠のない自信を持ってはいけない。
「ここは絶対に大丈夫」というアホのひと言で、家族全員が危険にさらされるのだ。
普段の、いつもの、安全なときにこそ、いざというときの避難の方法を話し合っておくといいかもね。
こう暑いと何かを考えること自体がおっくうになってくる。わかります。オレもそうだから。
思うに、人は生まれながらにして怠け者なのだ。仮にこれを性怠説とする。
広告制作も性怠説を前提としているところがある。
人はみな説明されることを嫌う。学ぼうとしない。なので、相手が説明されていることに気づく前に、この商品がイイと「感じさせる」のだ。
深く考える前に、その判断は正しいとすることの方がラクである仕組みを作るのだ。
ともすれば古典的ともいうべき考え方であるが、人が変わらない以上、これは送り手にとって“使えるシステム”と言えよう。
怠け者はそうそう治らない。オレも死ぬまで怠け者であり続ける自信がある。
ならばせめて、せめてアホを自覚しようと思う。その積み重ねが、自覚しないよりはマシな世の中を作ると思っている。根拠のない自信ではあるが。
【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/
1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。
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■もじもじトーク[89]
リエズカフェバーに出演しました
関口浩之
https://bn.dgcr.com/archives/20180719110100.html
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もじもじトークの関口浩之です。
暑い日が続いてますが、みなさん、元気ですか。水分補給と睡眠をしっかり採りましょう。
僕は昨日まで大阪出張でした。今回、たくさんの荷物(活字やフォント関連の書籍や部品)をスーツケースに入れて移動していたので、数百メートル歩くだけで、汗だくになりました。
とは言え、徒歩10分ぐらいの距離にタクシー使うのも気が引けるので、重いスーツケースをゴロゴロ引きずりながら、何度も駅を乗り継ぎで8件のお客様を訪問しました。計算してみたら一日5キロぐらい歩いていました。
出張中は深夜まで打ち合わせや会合が立て込んでいるので、ホテルに戻ってから急ぎの仕事をこなし、セミナー資料を作り、などがあり睡眠時間が3時間ぐらいのことが多いです。
なので、現在、かなりヘロヘロ状態でメルマガを書いております。がんばる……。
●リエズカフェバーとは
7月17日(火)22:00〜23:30のインターネット生放送TV「リエズカフェバー」に出演しました。収録後の記念写真と放送スタジオの様子をアップしますね。
ジャーン!
http://bit.ly/2utrzrF
でも、リエズカフェバーの番組をご存知の方は多くないですよね。
エンターテインメント雑談ウェブテレビ番組「リエズカフェバー(rie’s CafeBAR)」は、毎回、多方面から様々なゲストを迎えて、90分間、わいわいと楽しく、タメになる(?)番組を毎月1〜2回、放送してます。
「一日の終わりにまったりだらーんと聞いて頂いて、明日からまた頑張ろう! みたいな番組を目指しています」というスタンスが好きです。
番組のメインパーソナリティーは、瀬口理恵さんと、はたなかあきらさんの二人です。「ゆるいけど、なんかすごい、楽しい」ってノリのお二人です。
そんな大好きな二人を、勝手に紹介しちゃいますねーー!
瀬口理恵さん(普段は、りえちゃんと呼んでます)は、Five Dimension Graphics(5DG)という屋号でフリーランスデザイナーとして活動。WebデザインやアプリUIなどの制作が得意。デジタルハリウッド大阪校で講師もしてます。
著書に『人を惹きつける美しいウェブサイトの作り方』があります。ピンクの髪型がトレードマーク。ときどき、違う色になることもあります。
はたなかあきらさん(普段は、はたぼーと呼んでます)は、[ai:yo] creative entertainment. 代表のアートディレクター&グラフィックデザイナーです。
グラフィックデザインを中心に販売促進/ブランディング等の媒体を企画/制作が得意。守備範囲が広い、雑種系クリエイター。インディーズレーベル[ai:yo] music independents.も主宰してます。JAGDA正会員。
なんか、すごそうでしょ。
今回で第136回ということで、すごいですよね。継続は力なり、です。
第1回のリエズカフェバーがいつなのか調べてみたら、なんと、2011年4月27日でした。8年以上、定期開催しているインターネット生放送番組は、滅多にないと思います。
調べたついでに、アーカイブを見始めてたら、面白くて1時間ほど見てしまいました!
リエズカフェバーのテーマが、めちゃくちゃ、好きなんです。
〜素敵な明日をあなたと一緒に迎えるために〜
これを、番組エンディングでみんなで朗読するのが、参加する楽しみのひとつなんです。
●コロちゃんと文字のお話しました
前回もそうでしたが、まにまにころころのコロちゃんこと、川合和史さんと出演しました。いつも、ありがとうございます。
前回のリエズカフェバーVol.122では、宇宙の話と、文字の誕生の話が中心でした。つまり、年表でいうと138億年前の宇宙の誕生から、文字が誕生した約5,000年前までのお話でした。
今回のリエズカフェバーVol.136では、約560年前の15世紀のグーデンベルグの時代から現在に至るまでの活字の歴史をお話しました。
活版印刷と写真植字の歴史やトピックスなど、わいわいと楽しく雑談しました。
今回の番組で使用したスライドと持ち物(金属活字や写植メインプレートなど)の写真、街中で撮影した街もじのスライド、33枚共有しちゃいますね。
下記からPDF形式で33ページの資料がダウンロードできますので、お楽しみください。
http://bit.ly/2uzb5y1
なお、今回の番組のアーカイブがアップされたら、次回のもじもじトークでお知らせします。
●船場ビルディング
今回の放送スタジオは、「船場ビルディング」という建物の中にあります。はたぼーのひみつ基地スタジオということですが、住所も公開されています。
スタジオの様子も、さっき、写真で公開しました。秘密なの? 秘密じゃないの? どっちなの??
前回、訪問した時も「この建物、なんか素敵だなぁー」って思ってました。なので、Googleで調べてみたら、「指定有形文化財」でした。とはいえ、普通に事務所や店舗が入っていて、住居として使っている方もたくさんいるようです。
堺筋本町と淀屋橋の中間ぐらいのところにあるので、ばりばりのオフィス街です。外観からすると、「ちょっとレトロでモダンなビル」には見えるけど、特に際立った特徴があるわけでないので、見過ごしてしまう建物です。
でも、いったん中に入ると、こんな素敵な景色が広がってました。ねっ、素敵でしょ!
http://bit.ly/2uuJUES
このビルが建てられたのが1925(大正14)年だから、今から93年前の建築構造物なんです。オフィス街に点在する古い建物は、再開発でスクラップ&ビルドされて、今風の近代的なきれいなオフィスビルになるのが通例です。
リノベーションを繰り返したとは言え、大正モダンな建造物が、いまだに、普通のオフィス&住居の複合ビルとして、生き残っていることが、すごいなと思いました。
聞いた話ですと、建築当初の頃は、馬車や荷車が出入りしていたそうです。なるほど、一階正面玄関を入ると、回廊のような景色になっていたのは、その理由なのだと理解できました。
都会の中に、こんな感じの大正モダンな空間が保存されて、現代建造物と共存できる街づくりって、大事だと思います。そういうプロジェクトが、もっとあってもいいのでは、と思った大阪出張でした。
では、二週間後に、またお会いしましょう。
【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
http://fontplus.jp/
1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。
その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。
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編集後記(07/19)
●真魚八重子「バッドエンドの誘惑 なぜ人は厭な映画を観たいと思うのか」(洋泉社/2017)で、「イヤな映画を作ろうとして作り、それが自然な歯車によって機動している完璧な作品だ。ゆえに本書でもトップを争う不快感マックスな映画である」と評しているのがトマス・ヴィンターベア監督の「偽りなき者」である(2012/デンマーク)。最近ご無沙汰だったGEOでようやく見つけた。
見なければよかった。正直、そう思った不快なストーリー。少女クララの発したウソで、ルーカスの職と名誉が失われ、強烈な村八分にあい、愛犬を殺され、リンチにあう。真相を知っているのは、映画を観ている者だけだ。大好きなルーカスに軽く注意されただけで立腹し、仕返しに幼稚園長にウソをつくクララ。
「ルーカスがきらい。ルーカスのおちんちんがぴんと立ってた」。たまたま兄の知的障害がある友人から、エロ動画を見せられ、卑猥な言葉を聞かされていたので、それがつい口から出たのだ。それを聞いた女園長グレテが暴走を始める。卑猥な妄想でクララを問い詰める。困惑するクララはうなづくしかない。
グレテは保護者会を開き、悪意の妄想をしゃべりまくり、性的虐待があったという結論を出す。集団ヒステリーになった親たちは、うちの子も被害者だと名乗り出る。ルーカスが無実を訴えるため幼稚園に行くと、グレテは逃げ出し遠くの方から「変態!」と罵るだけで話にならない。その老醜が厭度高い高い。
クララは一人でこっそり謝りに来るが、ルーカスはやさしく追い返す。クララの父テオとルーカスは、幼馴染みで無二の親友で、テオはルーカスがウソをつくときの仕草までよく知っている(重要な伏線)。クララ「何もなかったの。私がわざと言っただけ。それなのに何だか変なことになったの」母「厭な出来事の記憶は頭が忘れようとするの。でも現実なのよ」ときいたふうなことを。
被害にあったという子供たちの証言はすべて同じつくり話で、彼らのいうルーカスの家の地下室なんて、そもそもないのだ。息子マルクスが同居を始め、失職したルーカスを励ますが、村人の悪意や迫害は激しくなる一方である。ついにルーカスは逮捕されるが、もちろん証拠は何一つなく釈放される。それでもルーカスを変質者だと決めつけた村人たちは、彼に暴行を加え迫害する。
真相を知るわたしは腹立たしくてならない。わたしは愚かで野蛮な村人たちを憎悪する。「ランボー」のような男に変身して欲しい。しかし、ルーカスは憎悪には向かわず、一貫する毅然とした態度からは、そういうヒーローもいるんだと思うしかないが、そういう物語がカタルシスをもたらすわけないだろう。
念入りに設計された厭な厭な物語。エンディングだって、一度傷つけたルーカスを元に戻すわけないだろ? という監督の悪意が感じられる。「思わず現実味をもって観入ってしまう映画に屈しながら、作り物だとわかっているのに、精神的にダメージを受けてしまう物語の神秘を思う」と真魚八重子。主人公を演じたマッツ・ミケルセンはカンヌで男優賞を受賞。納得である。暑いから「ランボー」を見ることにした。(柴田)
「偽りなき者」
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00DEE04KK/dgcrcom-22/
真魚八重子「バッドエンドの誘惑 なぜ人は厭な映画を見たいのか」
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4800311810/dgcrcom-22/
●「天井から小舟」に驚いたとともに、素晴らしいと思った。/地名の変更。昔の災害を忘れたいのと、注意喚起は違うよね。
/パッケージやキャッチコピーに騙されがちなの……。雰囲気で買っちゃうことある。
洗剤のラインナップに、「除菌」とあって少し高い。そりゃ除菌効果ある方がいいわと思いつつ、ノーマルのはどうだろうと調べたら、そこの説明に「除菌成分入り」とあった。前者は効果は高いのだろうが、後者に入っていないのだと錯覚したわ。続く。 (hammer.mule)