[5077] 回覧板を再評価する◇紆余曲折のInDesign自動化本◇お前はもう死んでいる

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《なるほど、そういう切り口かぁ》

■再評価大百科[001]
 回覧板を再評価する
 吉田貴之

■クリエイター手抜きプロジェクト[631]InDesign
 紆余曲折だったInDesign自動化本
 古籏一浩

■小説ザビエル[001]
 お前はもう死んでいる
 カンクロー
 



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■再評価大百科[001]
回覧板を再評価する

吉田貴之
https://bn.dgcr.com/archives/20200907110300.html

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今回再評価するのは「回覧板」です。回覧板は現在も利用している地域も多いので、再評価の対象とはならないかもしれませんが、そのメリットやデメリット、新たな可能性を考察するのは面白いのではと思い、テーマとしました。

◇利用するハードルの低さ

回覧板の一番のメリットは、利用するのに特別な道具も知識も必要ないことです。最近はコミュニティの連絡手段として、メールやLINE、SNSを使いますが、これらはパソコンやスマホを持っていることが前提だったり、ある程度のITリテラシーが必要だったりします。回覧板は老若男女、誰でも利用できるコミュニケーションツールです。

◇確実な連絡

また、回覧板は確実に情報を知らせることにも長けたツールです。回覧板は、一度受け取ると、内容を確認し、次の人に回すまでが一連の流れとなっています。これにより、誰かが情報を確認したことを、前後の二人で確認することが出来るようになります。

もちろん、誰かが回覧を止めてしまう可能性もありますが、それも前後の二人を追うことで確認できるため、責任を持って情報を伝播させることができます。

◇コミュニティの範囲の明確化

集落であってもサークルであっても、回覧板を手にすることが、そのコミュニティに属しているしるしとなります。これにより、自分が気にかけなければいけない範囲が明確になるので、諸々の調整がしやすくなるはずです。

◇コミュニケーション

大抵の回覧板は、物理的な距離の近い人同士を結んで形成されるはずです。回覧板を回す行為が、否応なしにコミュニケーションをとることに繋がり、コミュニティの連携の強化に繋がります。

◇望ましくない使い方

回覧板を利用する際、最も良くないのは自分のところで回覧を止めてしまうことです。回覧板のすべてのメリットが失われ、回覧板を前提としたコミュニケーションがなくなり、結果としてコミュニティの状態が悪化します。

また、回覧板は適度な情報量である必要があります。回覧する内容が複雑過ぎたり、内容が薄すぎたりするのも、コミュニティメンバーにとって回覧板の重要度を下げてしまうからです。

◇ITとの相性

「電子回覧板」と称した、ITで回覧板を代替しようとするサービスがいくつかありますが、調べた限りでは上記のメリットを活かしきれているものはみつかりませんでした。

会社でも自治体でも地域でも、情報伝達には苦労しており、画期的と思われたITを使った連絡では「見られていない」「見ているけれど見ていない」状況に陥っており、なかなか最適な手段は見つかっていないようです。回覧板のメリットをうまく生かした、情報伝達方法の登場を期待します。


【吉田貴之】info@nowebnolife.com

イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
https://www.idia.jp/

腕時計ポータルサイト:腕時計新聞
https://www.watchjournal.net/


兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の
整理や表現について研究しています。


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■クリエイター手抜きプロジェクト[631]InDesign
紆余曲折だったInDesign自動化本

古籏一浩
https://bn.dgcr.com/archives/20200907110200.html

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今回は、8月28日に発売された、InDesign自動化サンプルプログラム本が出版されるまでの経緯について。

・InDesign自動化サンプルプログラム
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844379070/dgcrcom-22/


InDesign、Illustrator、Photoshop、AfterEffectsなど、主要なAdobeアプリケーションの自動化本を、ようやく出すことができました。ただ、すんなりとこれらが出版できたわけではありませんでした。

最初のIllustrator 10自動化本は毎日コミュニケーションズ(現在はマイナビ)、次のInDesign自動化本は技術評論社、そしてPhotoshopやAfterEffectsなどはインプレスR&Dから出版されています。

元々の企画は2002年頃でした。Illustrator 10になりJavaScriptを使って制御できるようになったからです(リリースは2001年)。

2003年にはPhotoshop 7にプラグインをインストールすると、JavaScriptで制御できるようになりました。同じ年にAfterEffects 6.0も、JavaScriptを使って制御できるようになりました。2003年以降、自動処理できるAdobeアプリケーションが増えたのです。

DreamweaverやFireworksなど、マクロメディア系のアプリケーションも同様に制御できます。ちなみに、マクロメディア系のスクリプトエンジンの方が、高速で性能がいいです。

そこで、AdobeアプリケーションをJavaScriptを使って自動制御するための、本の企画を考えたわけです。企画段階では、Illustrator、Photoshop、AfterEffectsの3つでしたが、やがてInDesignやAcrobatなどにも展開という感じで考えていました。

最初のIllustrator10自動化本は、予定通りに出版することができました。

・Illustrator10 自動化作戦 with JavaScript
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4839913544/dgcrcom-22/


ところがこの後、自動化本の企画が出版社側の都合により、なくなってしまいました。9.11テロの余波による経済関係のダメージが、遅れてやってきたのだと思いますが、ともかく企画は消え去りました。

2年後くらいには中国の影響か、全体的に景気がよくなって出版社側も持ち直したのですが、自動化本の企画が復活することはありませんでした。

ただ、自動化処理は必ず役に立ち、必要になるはずです。結局、あきらめるのも何なので、今度は技術評論社に話を持っていきました。一番需要がありそうな、InDesignをターゲットにしました。

2008年になって、ようやく出版できたのが「組版時間を半減する! InDesign自動処理実例集」です。この時は印刷会社と連携して作成しました。

・組版時間を半減する! InDesign自動処理実例集
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774136875/dgcrcom-22/


ようやく出版できたものの、後が続きません。自動処理は予想以上にマイナーな世界、ニッチな世界でした。そうこうしているうちに、Adobeのアプリケーション群の多くが、JavaScriptを使って制御できるようになっていました。

出版社では駄目なら、自分でPDFにして出すという方向を考えました(2010年)。せっかくの自動化本なので、InDesignでテキストを読み込んで、全自動でレイアウトするという方法を使って生成しました(こういうのはマシンパワーに大きく依存するので、速いマシンでないとつらいところがあります)。

・Adobe Illustrator CS3 + JavaScript 自動化サンプル集
http://www.openspc2.org/book/PDF/Adobe_Illustrator_CS3_JavaScript_Book/

(現在はネットでの購入はできなくなっています)

自動レイアウトとはいえ、他の複数の仕事をしつつ本を書くというのはけっこう大変で、Photoshopなど途中で挫折。

そうこうしているうちに時代が流れ、マイナーな本でも出せるようになりました。そう、電子書籍です。Kindleなど電子書籍の普及により、自動化本を復活させることが可能になったわけです。ありがたや電子書籍といったところです。

今度は順番に書けるだろうということで、需要のあるものから出していくことにしました。この段階でどのようなアプリケーションの本を出すかは、おおよそ決まっていました。InDesignに関しては桁違いの量だと、前々から分かっていたので最後にすることにしました。

こうして2013年に出版されたのが、以下の本です。電子書籍の制限により、一般書籍のようなレイアウトができないため、読みやすさに関してはあまりよくありません。他にもシステムの制限で、脚注などを書くことができません。

そのため、注意事項も全部本文中に書かないといけません。つまり、本筋を書いて枝葉となる部分を欄外に書く、ということができません。

・Adobe JavaScriptリファレンス
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844395955/dgcrcom-22/


そして、次に出版されたのが以下の本です(2014年)。ESTKは現在開発終了しているので、VSCodeを使って開発することになります。が、完全にESTKの代替にはならないので、デバッグ時には必要になることもあります。

この本だけ、なぜか判型が違うのですが、出版社側もどうしてこれだけ判型が違うのか忘れてしまってるようで。他と同じサイズなら本棚に並べた時にきれいになるのですが。もしかして、ページ数が少ないので判型を小さくして、本を厚くみせようという狙いだったのかもしれません。

・ExtendScript Toolkit(ESTK)基本編
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844396137/dgcrcom-22/


そして、三度目となるIllustratorの自動化本が、2015年に出版されました。この段階で最新技術のCEPを使ったパネルとか、掲載できればよかったのかもしれませんが、残念ながらそこまでの技術(&情報)がありませんでした。

今ならもっと使い易くできるものもあります。Illustratorは自動化スクリプト作って公開したり、販売したりしている人がたくさんいますので、検索して探してみるとよいかもしれません。

・Illustrator自動化基本編
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844396498/dgcrcom-22/


同じ2015年に、Photoshopの自動化本も出版されました。Photoshopに関しては、元々途中まで原稿を書いてあったので、早く出版することができました。

・Photoshop自動化基本編
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844396676/dgcrcom-22/


次に出版したのが、2016年のプレミア&メディアエンコーダーです。が、実はプレミアとメディアエンコーダーは資料がまったくなく、ほとんど独自解析しています。プログラマ的な勘どころというか、そんな感じなので実際のところ不具合を突っ込まれても、回答しにくいというのはあります。

・Premiere Pro & Media Encoder自動化サンプル集
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844397443/dgcrcom-22/


その次に出版したのが、AfterEffectsです(2017年)。これは共著になっています。より多くのサンプルと情報を入れようとしたところ、一冊では入り切らず二冊に。実際には付録が収まらず、ダウンロードデータ内に収録できなかったものを含めています。

実は最初に出したバージョンは、アマゾンでのオンデマンド印刷にすると画像がかなり黒くなってしまって、読めないということがありました。アマゾン以外では問題ないのですが、これに対処するために図版をPNG形式から全部JPEG形式に変換することになりました。

ここらへんはバッチ処理ですぐに終わりますが、未だに原因は不明です。販売後二か月目以降のものであれば、図版は黒くならずに印刷されます。

・After Effects自動化サンプルプログラム
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B06XXVP69W/dgcrcom-22/

https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B06XXH2JC3/dgcrcom-22/


After Effectsでも一冊に入らないので、この段階でInDesignは膨大だから一冊にするのは無理だろうなとは思っていました。まず、得意な部分としてリファレンス部分から書き始めました。

他にいくつか仕事を抱えている場合、リファレンスは作りやすいからです。というのも、ひとつの命令についてだけ書けば、よく手短にできるからです。あとは地道に積み重ねるだけです。

ところが、InDesignは他のアプリケーションと違って、機能の数が桁違いです。以下にInDesignのオブジェクト等をまとめたサイトがありますので、見てもらえばわかると思います。とにかく膨大です。

・InDesign DOM CS5-2020
http://indesign.cs5.xyz/dom/domtree.html


書き始めたものの膨大ゆえに、なかなか終わらず出版社側から催促が来てしまうという状態に。そこで、当初一冊だった本を三冊に分割して出版するということになりました。こうして2019年に、後半のリファレンス部分だけ先に出版されました。

・InDesign自動化サンプルプログラム逆引きリファレンス
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844396846/dgcrcom-22/

https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844396854/dgcrcom-22/


後は本の前半部分を書けば、InDesign自動化本の完成です。残ってるのはデザイナー&出版社&編集者から募った、リクエストサンプルです。これは2018年頃にはすでにできていました。

ただ、実際に書いてみると結構ページ数に余裕があるようでした。当初の予定では300ページ弱で収まるはずでした。でも、せっかくページ数に余裕があるなら、限界まで書かないと損(?)みたいな感じがしたので(こういう本は二度と出せないので)やれるだけやることにしました。サンプルの追加と付録の追加です。

まず、その項目内での最初のサンプルスクリプト以外の図版は無しにしました。これでページ数を節約できます。また、似たようなパターンのスクリプトは、最初だけ掲載しておいて、残りはダウンロードデータに含めることにしました。

編集側には図版をひとつにまとめてもらったり、無理矢理横に並べてもらったりと、いろいろ処理してもらいました。

ページ数の限界まで…といきたいところですが、今後のInDesignのバージョンアップによる不具合や修正点などを加筆するために、若干ページ数に余裕を持たせています。

とはいえ、結局全部は入らなかったので、収録できなかった付録6〜16はダウ
ンロードデータに含めることにしました。

こうして、ほぼ20年がかりでどうにかこうにか、自動化本を出版することができました。一応当初の目的は達成したことになります。ただ、これはAdobeアプリケーションを自動化するための最低ラインの本であって、本当はこれを土台(か踏み台)にして、新たなる自動処理の本などが出てくるのがベストだと思っています。

もう本人が高齢化してるので、次の世代にバトンタッチといったところです。

・InDesign自動化サンプルプログラム
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844379070/dgcrcom-22/



【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/


Acrobat(PDF)のJavaScriptは、どうしたの? という声が聞こえてきそうですが、さりげなくオライリーの本の一部書いてたりします。本に名前は掲載されていませんが。というか、InDesignよりも面倒臭いのがAcrobatなのと、自動制御がセキュリティの都合もあって難しいので、気が向いたらデジクリに書くといった感じで…(逃げ^^;)

・創って学ぼうプログラミング
https://news.mynavi.jp/series/makeprogram


・8K/4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/


・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/



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■小説ザビエル[001]
お前はもう死んでいる

カンクロー
https://bn.dgcr.com/archives/20200907110100.html

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◎作品タイトル
コンテクスト・オブ・ザ・デッド

◎作品情報
著者:羽田圭介
出版社:講談社
単行本:473ページ
発売日:2016/11/15
文 庫:560ページ
発売日:2018/11/15

◎だいたいこんな話(作品概要)

渋谷のスクランブル交差点に、一体のゾンビが出現した。編集者との打ち合わせで、たまたまその場に居合わせた小説家Kを始めとして、多くの通行人たちはフィクションでしか知らないはずのそれを、ごく自然にゾンビとして認識し、その緩慢な動きを面白がる余裕さえ見せていた。ゾンビが一人の女性に喰らいつくまでは。

その後、各地でゾンビの出現が相次ぎ、火葬されたはずの文豪や著名やクリエイターまで甦り始める。マスコミや行政はそれらを変質暴動者と呼び、対処に追われる。

文学界では、もはや生ける屍であったKや、彼と同時期に文学賞を受賞した寡作の女流作家、また過去の栄光だけで君臨し続けている大御所作家と彼に振り回される編集者たち。さらに、生活保護受給者への対応が本職であった職員や、学校に馴染めない女子高生など多彩なキャラクターが時には接点を持ちながら、ゾンビが増殖する世界で生きる様子を描く群像劇。

◎わたくし的見解/もはや文脈さえ死に体

思いの外、本作へのAmazonでの評価が低くて驚いています。「オブ・ザ・デッド」を冠しているので当然ゾンビものなのですが、そのジャンル作品に対して期待するものが足りなかったのか、芥川賞作家の小説に求めるものとかけ離れていたのか、低評価の要因については想像することしかできません。

しかし個人的には、一目惚れしたキャッチーなタイトルに引けを取らない興味深い内容で満足しました。

確かにゾンビと人間の攻防を描くにあたって、臨場感あふれるアクションを展開するには、映画やドラマなどの映像作品と比べると文学は厳しい媒体でした。それでも、この手のエンタメ要素の強い小説をずっと手掛けている作家であれば多少違ったかも知れませんが、何しろ「コンテクスト」を取り上げているのですから、ハラハラドキドキ感が最重要ではないのです。

また、純文学を評価する芥川賞の受賞者によるものとは言え、本作が純文学ではないことは、これもまたタイトルから明らかなので、読み始めてから読み終えるまで「なるほど、そういう切り口かぁ」と感心したり納得したりはしても、がっかりするような部分はありませんでした。

てゆーか、そもそも純文学って何なんだろう? という疑問にも、登場人物を使って軽く踏みこんでみたりしている点が、私にはとても面白かったです。主要なキャラクターが多いため、特に一人を主人公と定めるのは難しい中で、原作者の羽田さんの代弁者と思われる小説家Kや美人女流作家などが、これほどテキストが軽んじられる時代の中で、「文学」を続ける意義について思い悩む様子は、さもありなん。

とは言え小説家Kによる文学界への皮肉に満ち満ちた、やや卑屈な視点は、読んでいて食傷気味になります。けれども先ほども触れた文章が重んじられない昨今。つまり、SNSなどによる文脈さえ存在しない各々が放つ短文の連なりや、もはや文はおろか単語さえ必要としない、写真や動画を使ったやり取りが主流となっている現代において、文学でご飯を食べている人なら嘆いたりぼやきたくなるのは当然でしょう。

芥川賞という栄光まで手に入れた人さえ(だからこその)悩みが尽きないことが垣間見えると、その哀愁と言うか、ほぼ恨み節に、しみじみと献杯したくなりました。

長編である本作の前半は、そのようなテキストの文脈が死に体になっている現状を描いているのかなと感じていましたが、後半はもっと広義な「文脈」とゾンビとの関連に発展していくあたりがオモチロオカチかったです。

さらに従来の映像作品からは受け取ることのできない、この小説ゆえの特徴としては、生きていても死んでるみたいな人っていますよねという、あるある感でした。ふと、自分は大丈夫なのだろうかと身の引き締まる思いにも繋がったり。やはり人間を描いてこその、ゾンビものだぜ! と断言して終わります。


【カンクロー】info@eigaxavier.com

映画ザビエル
http://www.eigaxavier.com/



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編集後記(09/07)

●ネットのどこで見たのか記録がないので、記憶に頼って。アメリカの保守カルチャーに「マスク嫌い」がベースにあるという。そのルーツは西部劇で、バンダナを巻いて顔を隠しているのは悪漢であり、撃たれても仕方がない。だから正義の存在である合衆国大統領としては、マスクなんか絶対にイヤなのだ。

もっと重要なのは、マスクをすると「偉く見えない」からだ。他の人々にはマスクをさせるくせに、自分はしない。まさにトランプはその典型例である。確かにマスクをしたトランプはかっこ悪い。わたしはもともとマスクなんか大大大嫌いだから、10メートル以内に人影がない屋外、路上ではマスクをしない。

とうとう近所の大型店舗は、マスクしないと入店お断りというヘタクソなポスターを貼り出した。マスク帝国主義の到来か。いやとっくにそうなっている。マスクは新型コロナ防衛には役に立たないばかりか、人の表情を消す。こんな気持ち悪い社会にしたのは何者だ。マスク着用義務国さえある。むしろ日本はゆるい方なのだ。やはり地球外生命体が……、といつもの陰謀論を。(柴田)


●一日も早く、電気が復旧しますように……。/吉田さん、新しいテーマに!!

/編集長、マスクの有用性については何度かここに書きましたよ〜(トホホ)。店員やお客さんに感染者が出たら、消毒で休業しないといけないし、再開してもしばらくの間、来店客が減るかもしれないから、お店にとっては死活問題ですよぅ。とはいえ、私の行動範囲では来店禁止のところは今のところなさそうですし、わりとユルユルです。

お芝居やライブ、試合を見に行きたいと思っていても、もしそこや随する場所で感染してしまったら、感染していなくても感染疑いで隔離とか外出禁止とかになったら、家人の職場まで感染疑いで閉鎖とかになったら、それでなくてもコロナの影響受けているのに、営業できなくて収入減ったり倒産なんてことになったら……。

いつどこで感染してもおかしくない、それはわかっているけれど、原因が遊びなら、後悔ダメージきっついです。ああもう無理です、そんな勇気ないです。マスクでも消毒液でも自粛でも何でもしますよ、ええ。

これ書きましたっけ? 私が耳にしたのは、日本人は目で物を言い、欧米人は笑顔で敵でないことを示すとか何とか。ことわざや慣用句にも目に関することは多いと。

なので、日本人はサングラスをしている人を警戒するし、真剣な話し合いをしている時に濃いサングラスをされたままだと侮辱されているように思うが、欧米ではそうではないと。

で、日本人は口角を上げてのわざとらしい笑顔はあんまりしないので(逆にニヤつくなとか、歯を見せるなと言われたり、軽薄な印象を持たれることがある)、欧米人からは無表情で何を考えているのかわからないと思われがちだと。日本人は、笑顔で接されても「目が笑っていない」と言っちゃうぐらい目が大事なんだ、と。(hammer.mule)