[5100] セダンを再評価する/MacのシェルでダミーのCSVデータを作成/またもや、ドリフ

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《これまた泥臭いところが絶妙でした》

■再評価大百科[003]
 セダンを再評価する
 吉田貴之

■クリエイター手抜きプロジェクト[633]IoT Orange pico編
 MacのシェルでダミーのCSVデータを作成する
 古籏一浩

■映画ザビエル[101]
 またもや、ドリフ
 カンクロー




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■再評価大百科[003]
セダンを再評価する

吉田貴之
https://bn.dgcr.com/archives/20201012110300.html

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昭和では当たり前だった「車を所有すること」は、平成を経て、当たり前ではなくなりました。なかでも「セダン」と呼ばれるタイプの車は、SUVやミニバン、トールワゴンなどの新しいタイプの車におされ、かなり少なくなりました。そんな「セダン」を評価するポイントについて探っていきます。

◇セダンの定義

車が好きな人であれば、「セダン」と聞くと想像する形があります。ボンネットとキャビン、リアデッキが明確に分かれた、いわゆる3ボックスタイプの車です。しかし、広義には2ボックス(キャビンとリアデッキが分かれていないもの)も含まれ、また前述のSUVやミニバン、トールワゴン「以外」で、2ドア(いわゆるクーペ)を除いた、背の低い車を総称することもあります。

◇乗り降りしにくい、運転しにくい

セダンが選ばれなくなった理由はいくつかあります。ひとつは乗降のしにくさでしょう。車高の低い車は、特に年齢を重ねるにつれて、乗り降りが面倒なものです。また、乗車した際の目線が低くなるため、身長の低い女性などには運転しづらいのも理由のひとつだと思われます。タクシーは、ドライバーも利用者も、いろいろな人が乗る可能性がある乗り物ですが、背の高いタクシーが徐々に増えていることからも、車高が高いことの利便性が推し量れます。

◇年寄りくさい

さらに、「いつかはクラウン」という言葉に象徴されるように、昭和の時代にはセダンの高級車に乗ることがステイタスであった時代がありました。これを知っている世代にとっては、セダンがおじさんくさい、年寄りくさい乗り物である印象があり、敬遠する傾向にありそうです。

◇安定感がある

このように、選択肢の増加とイメージの低下に伴い、徐々に需要が減っていったセダンですが、それでもセダンが良いと思うユーザーが少なからずいるはずです。その理由を分析してみましょう。ひとつは、その「安定感」にありそうです。高速度で巡航する自動車は、横風などの影響を受けやすい乗り物です。橋の上や、台風のときなど、トラックや軽自動車が風に煽られてひっくり返るシーンを見たことがある方も多いでしょう。車重がそれなりにあって、車高の低いセダンは、走行安定性に優れた自動車です。

◇燃費が良い

また、車高が低いということは、空力性能にも優れていることになります。正面から見たときの面積が少ないほうが、風の抵抗を受けずスムーズに走行できるであろうことは感覚的にも理解できます。また、SUVやミニバンに比べると車重が軽いので、同じ人数を乗せたときの燃費はセダンに歩があります。

◇機械式立体駐車場に強い

都会のマンションや有料駐車場などで採用されることの多い機械式立体駐車場では、車高に制限があることがあります。車高の高い最近の自動車では、利用できる台数に制限があったり、駐車料金が割高になったりする場合もあります。セダンが一般的だったころに作られた機械式立体駐車場もまだまだ多いので、駐車場で困らないのはセダンのメリットの一つかもしれません。

◇格好いい

しかし、一番の評価ポイントは「格好いい」ことです。格好良さは主観が強い評価基準ではありますが、車高の高い車の「格好いい」は、「威厳がある」とか「圧倒される」という言葉に代替される格好良さではないでしょうか。ひとつのモノとして「格好いい」と思わせてくれるのは、セダンタイプの形状であることは多そうです。

その証拠に、昭和のセダンが「旧車」として人気を集めていますし、現在でもスポーツタイプの車のほとんどがセダン的な車高で登場しています。車をもつことが当たり前ではなくなった昨今、ファッションや趣味として車を持つのであれば、セダンの数々のデメリットも愛おしく感じるのではないでしょうか。


【吉田貴之】info@nowebnolife.com

イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
https://www.idia.jp/

腕時計ポータルサイト:腕時計新聞
https://www.watchjournal.net/


兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。


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■クリエイター手抜きプロジェクト[635]シェル・コマンド編
MacのシェルでダミーのCSVデータを作成する

古籏一浩
https://bn.dgcr.com/archives/20201012110200.html

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今回は、Macのシェル(bash, zsh)でダミーのCSVデータを作成してみます。生成するのは数値のCSVデータです。文字列もできなくはありませんが、表組みなどでとりあえず縦横指定された数のCSVデータを、ダミーで用意する場合に便利かもしれません。

なお、今回はseqコマンドを使っています。このseqコマンドは古いMacでは実装されておらず使えません。が、似たような処理を行うjotコマンドがあります。完全な代替にはなりませんが、ほぼ同様に使う事ができます。

まず簡単なところで、1から10までの数値データを生成してみましょう。

その前に、以下のように入力して、デスクトップにカレントディレクトリを移動します。これは、ファイルが生成されれば、デスクトップ上に反映されるので見た目に分かりやすいから、という理由です。本当は生成したいフォルダ(ディレクトリ)に移動してから、各種コマンドを実行するのが吉です。

cd ~/Desktop/

ターミナルで、以下のように入力すると1から10までの数値が表示されます。

seq 10

1
2
3
4
5
6
7
8
9
10

このデータをnumber.txt(number.csvでもよい)として保存するには、以下のようにコマンドを入力します。

seq 10 > number.txt

数値範囲を指定してデータを生成することもできます。-100から100までの数値データを生成する場合は、以下のようにコマンドを入力します。

seq -100 100 > number.txt

数値を1ずつでなく5つずつ増やす場合は、以下のようにコマンドを入力します。

seq -100 5 100 > number.txt

小数値も指定できます。以下のようにすると、1から10まで0.1ずつ増えていく数値が生成されます。

seq 1 0.1 10 > number.txt

ただ、これだと1や2が1.0や2.0のようになりません。1.0のようにしたいなら、以下のようにコマンドを入力します。

seq -f'%.1f' 1 0.1 10 > number.txt

桁数を揃えたい場合は、以下のように-wを付けます。

seq -w 1 100 > number.txt

ここまでは、1行につき1データしかありません。そろそろCSVデータのように、コンマ(,)で区切って生成してみましょう。以下のように、-s,とすると,で区切られた1行のデータが生成されます。以下の場合は-wもつけてあるので、桁数を揃えたデータになります。

seq -w -s, 1 100 > number.txt

なお、コンマでなく空白区切りにしたい場合は、以下のように入力します。"-"ならハイフン区切りに、"#"なら#区切りになります。というか、好きな文字を入れることができるので、生成するデータに合わせればよいでしょう。

seq -w -s" " 1 100 > number.txt

それでは横5個、縦10個の数値データを生成してみましょう。テキストエディタで、以下のように入力します。ファイル名をseq1.shのようにして保存します。その際、改行コードはLFにして保存してください。

for i in `seq 10`
do
for j in `seq 5`
do
echo -n "$i$j,"
done
echo
done

ファイルを保存したら以下のようにコマンドを入力します。

chmod 755 seq1.sh

seq1.shが生成したファイルの名前(ファイルパス)になります。デスクトップ上に保存していない場合は、保存したフォルダの場所とファイル名を指定してください。用意できたら以下のように入力します。

seq1.sh > number.txt

すると、以下のような数値が生成されnumber.txtファイルに保存されます。

11,12,13,14,15,
21,22,23,24,25,
31,32,33,34,35,
41,42,43,44,45,
51,52,53,54,55,
61,62,63,64,65,
71,72,73,74,75,
81,82,83,84,85,
91,92,93,94,95,
101,102,103,104,105,

「そうでなくて1から順番に値を生成して欲しい」という人もいるかもしれません。この場合は、以下のようにすると、1〜55までの数値が生成されます。10や5の値を変えると、好きな数だけ生成できます。

for i in `seq 0 10`
do
for j in `seq 5`
do
echo -n `expr $i \* 5 + $j`","
done
echo
done

「ダミーデータなんだから乱数で構わない」という人もいるかもしれません。この場合は、以下のようにすると、0〜32767までの整数のランダムな値が生成されます。

for i in `seq 10`
do
for j in `seq 5`
do
echo -n "$RANDOM,"
done
echo
done

「乱数でいいけど0〜99までの範囲にしたい」という人もいるかもしれません。この場合は、以下のようにすると、0〜99までの乱数値になります。

for i in `seq 10`
do
for j in `seq 5`
do
echo -n $((RANDOM % 100)),
done
echo
done


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/


せっかくなので、100万個のCSVデータを生成させてみました。2.2GHz 6Core & HDDで約30秒ほどでした。古いマシンなので、最新マシンでSSDならあっという間に生成されそうです。

・創って学ぼうプログラミング
https://news.mynavi.jp/series/makeprogram


・8K/4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/


・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/



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■映画ザビエル[101]
またもや、ドリフ

カンクロー
https://bn.dgcr.com/archives/20201012110100.html

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◎作品タイトル
テネット

◎作品情報
原題:TENET
公開年度:2020年
制作国・地域:アメリカ
上映時間:150分
監督:クリストファー・ノーラン
出演:ジョン・デイビッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ケネス・ブラナー

◎だいたいこんな話(作品概要)

ウクライナのオペラハウスで、無差別テロが発生した。事件解決のために投入された特殊部隊に、一人のCIA工作員が紛れていた。彼の任務は、オペラハウス内にいる「プルトニウム241」を奪取したスパイを救出すること。

CIA工作員の名も無き男は、確保したケース内のプルトニウムが謎の物体であることに気付きながら、それでもスパイの救出には成功したはずだった。だが、脱出の際にロシア人たちに捕らえられ、情報を引き出すための拷問にかけられる。

男は自決用の毒薬を飲む寸前に阻止されてしまったが、同じく拷問を受けていた仲間の薬を手に入れ、何とか服用に成功する。しかし毒薬は他の薬とすり替えられており、男が目を覚ますとフェイという人物から、これまでの出来事はあるミッションに対する適性を試すものだったと明かされる。

名も無き男に課せられた新たなミッションとは、未来で開発された「時間の逆行」を可能にする技術によって起きる、第三次大戦よりも恐ろしい世界の消滅を防ぐことだった。

◎わたくし的見解/カラクリは案外シンプル

スパイ映画だと聞いていたのに、未来で開発された技術を駆使する、未来から来た敵と闘うという、ややこしい内容になっていました。(クリストファー・ノーラン監督はスパイ映画だと言いはっているようですが)。

ところで、人類はおろか地球全体を消滅に導くかも知れない未来の技術とは、「時間の逆行」を可能にするもの。このツールの面白さは、従来のタイムトラベルものよりも仕組みが妙に泥臭い点です。その野暮ったさに、かえってリアリティーが生まれているかも知れません。

時間の逆行を可能にする装置を使うと、確かに過去に遡れるのですが、3日前に戻るには3日かかる、つまり10年前に行きたければ10年の月日を要する訳です。

劇中では、未来の技術を秘密裏に研究している人物から、主人公に対して時間の逆行についてのチュートリアルが実施されます。エントロピーがどうのこうのと小難しいことを説明してみたり、量子力学では逆行も起きるとか何とか、それらしいウンチクを並べておいて、白衣を着た研究者の女性は結局「考えないで、感じて」と、ブルース・リーみたいなことを主人公に伝授します。

これは同時に観客たる私たちに対して、この映画で何を楽しめば良いのかという解説でもあります。量子の世界では起こりうるって言ったって、そんなもん人間のサイズでは到底無理なんだけれども、映像なら逆再生で表現出来ますやん。せやから、やってみましてん。逆再生の映像って面白いじゃないですかぁ。ということなのだと思います。

YouTubeで「歌ってみた」とか「踊ってみた」とか沢山ありますが、予算もセンスもアイデアも実現力も全然違うとは言え、クリストファー・ノーランによる面白いと思ったから「やってみた」映像は、やはり桁違いの出来映えです。しかも、これまた泥臭いところが絶妙でした。

「インセプション」の時も、カメラを逆さまにして天地が逆転するという古典的なカラクリを用いていたのですが、今回の逆再生も往年のドリフターズのコントを彷彿させます。

さらに単純な逆再生だけでなく、逆再生したような動きを演者にしてもらった映像を、さらに逆再生して順行しているように(つまり普通に動いているように)見せるなどで生まれる、独特のぎこちなさには何とも愛嬌がありました。

今どきのCG技術を用いれば、そんな面倒なことをする必要はないはずなのに、あえてアナログな手法で生まれる揺らぎであったり、ノイズのようなものがあることで、綺麗に整った映像よりも不思議と印象的なものになっていました。

何だか、さっぱり分からんなと感じながら、ぜひともオモシロ映像&スパイ映画的なド派手ロケーションで繰り広げられるアクションを楽しんで欲しいと思います。

また、いつも時間と空間など壮大なテーマに手を出して物語を展開するクリストファー・ノーラン作品ですが、映画「インターステラー」の中での「愛は証明できないけど、観測できるわ」という台詞のように、本作でも最終的にヒューマニズムに落とし込むという必殺技は健在です。間違いなく本年度イチオシの娯楽大作です。


【カンクロー】info@eigaxavier.com
映画ザビエル
http://www.eigaxavier.com/



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編集後記(10/12)

●読売新聞10月11日(日)の「編集手帳」は図書館を取り上げていて、わりと興味深かった。古本で買った「川柳漫画全集」明治の巻に、「図書館に入りぬ眠りぬ出て行きぬ」という句があって、「来た、見た、勝った」と語調が似てとぼけた味がある、という。その「来た、見た、勝った」って何だろう。恥ずかしながら知らなかった。世界史を選択しなかったツケがまわってきた。

「来た、見た、勝った」はカエサルがポントス王を討ったとき、友人に書いた手紙の文で、簡単明瞭な手紙の例とされるんだって。また、昭和の作家、中野重治は中高生の頃、試験勉強をする人がたくさんいて「図書館をけがす仕方のように思った」と書いている。それが本来の利用法ではあるまいと。確かに以前は、図書館の仕切りのついた個人用スペースは、常に受験生らしい人たちがいた。

それをコロナが変えた。個人用スペースは全部使用不可か、数個おきにしか使用できなくなっている。そればかりか、館内にいるのは(勉強をする人に限らず)60分以内にして下さいという、事務的なアナウンスもある。コロナのせいで、受験生らが図書館から駆逐されようとしている。気の毒に思う。コロナ以前から、彼らの姿を快く思わないという、不寛容な人もいるらしい。

「いつぞや調べ物に寄った際、当欄も考えさせられた」。当欄って業界用語だな。なんかエラソーである。「年配の方がカウンターで、とある月刊誌がないのかと尋ねていた。館員は定期購入の対象ではない、どうしてもご希望なら次年度、検討しますと説明に努めたが、気まずい雰囲気が伝わってきた。昨今は雑誌も安くはない。(略)幅広い層に読書機会を提供するのが図書館の使命ではある。とはいえ、タダ読みさせるスポットでは困る」。

その通りだ。まあ、どこの図書館に行っても、そのコーナーは人気だ。わたしも時々利用させてもらう。「閲覧後、やっぱり欲しくて『来た、見た、買った』となればいいが。さもなければ出版社は傾き、早晩、雑誌自体が出なくなる。さてどうしたものか、読書の秋、図書館に思いをはせたい気がする」と、格好よく締めるが、ありえないシミュレーション、素人による机上の空論ではないのか。ばかばかしい。

それにしても、コロナ下の図書館はとても居心地が悪い。椅子席も大型机席も、使用禁止の席が多すぎる。内外の映画DVDのライブラリーも、人がいないときに行かないとチェックできない。もっとも、どの図書館のライブラリーも相当に旧作揃いで、ここ数年どころか、10年、20年、もっと前の作品ばかりである。

クラシックな映画が好きだし(わかりやすいので)、それもたまに見る程度だから、問題ではない。そういえば最近、DVDレンタルショップを覗いたこともない。ネットでは gyao.yahoo.co.jp を時々チェックしている。たまにいい映画に当たる。図書館とネットのおかげで、本も映画もお金がかからない。ありがたいことだ。しょぼい話でスイマセン。(柴田)


●テネット見たい!

/NFCタグシール使ってみたいの続き。サンワサプライのアプリだと、「このアプリ用タグ」モードと、「オープンタグ」モードがあった。「このアプリ用タグ」だと、複数の動作を組み合わせることができる。

「ひとことメモ(テキストデータ)」「音設定」「Wi-Fi設定」「タイマー設定」「Bluetooth設定」「アラーム設定」「アプリ起動」「テキスト読み上げ」。

「オープンタグ」モードだと、
「電話をかける(番号指定で発信)」
「SMS作成(番号指定でメッセージ付SMS発信)」
「電話帳登録(名前・番号・アドレスを指定し保存させる)」
「メールを作成(宛先・題名・本文指定でメール送信)」
「ブラウザでWebページ表示」
「Facebook(指定したユーザIDのFacebookのWebページを開く)」
「アプリ起動(インストールしているもの)」
「Google Map起動(検索ワードや緯度・経度で)」
「Google Mapナビ(出発地・到着地の緯度・経度でナビ)」

Android用アプリ『NFCタグマティック』だと、他にも。私の使っているAndroid機は、iPhoneみたいにマナーモード用ハードスイッチがなくて、すぐに消音やマナー切り替えはできないんだけど、このアプリとNFCタグを使えば、切り替えできるみたい。続く。(hammer.mule)

NFCかんたん設定アプリ(サンワサプライ)
https://direct.sanwa.co.jp/contents/sp/nfc/app_page.html


NFCタグマティック
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.tagmatic&hl=ja


サンワサプライ NFCタグ
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00GXSGL5G/dgcrcom-22/