[5154] カセットテープ再評価/マイクロビット MicroPython/開拓時代ショートショート

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《やっぱりコーエン兄弟は巧いなあ》

■再評価大百科[008]
 カセットテープを再評価する
 吉田貴之

■クリエイター手抜きプロジェクト[640]
 IoT マイクロビット編 
 MicroPythonに挑戦(2)
 古籏一浩

■映画ザビエル[106]
 開拓時代ショートショート
 カンクロー




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■再評価大百科[008]
カセットテープを再評価する

吉田貴之
https://bn.dgcr.com/archives/20210125110300.html

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昨今、カセットテープの価格が高騰しているそうです。すでにカセットテープの製造はほとんど終了しているため、音楽の記録媒体として主流だった頃、つまり1990年代後半くらいまでに製造/販売されたカセットテープが取引されているようです。

20年以上前のカセットテープが現在も「未使用」で残っており、その残存数や流通数よりも欲しい人の数が上回っているため、価格が高騰しているということなのでしょう。音楽を聴くためだけなら、便利な手段が色々ある現在、カセットテープを欲しがる人がいるのはなぜでしょうか。

◇ネガティブなイメージ

実際にカセットテープを使っていた私が思い浮かべる、カセットテープのイメージは次のようなものです。頭出しができない、伸びる、切れる、絡まる、などなど。どうしてもネガティブなイメージが先行します。

◇音質の問題

使っていて一番気になったのは、カセットテープに録音された音楽は、少しこもったような、例えるなら薄い膜を一枚かけたような音になってしまうことでした。特に、CDが普及してからは、音質の違いを明確に意識するようになりました。

◇問題を逆手にとる

しかし、デジタルでの録音や再生が一般的になった現在、この「少し劣化したような音」に魅力を感じる人も多いようです。カセットテープを経由した音は、カセットテープを使っていた世代にとっては懐かしく感じるし、カセットテープを知らない世代にとっては体験したことのないエフェクトとして、新鮮に受け止めているのではないでしょうか。これまでデメリットだと思っていたものが、実は特徴だったというのは、再評価の醍醐味でもあります。

◇モノとしての魅力

カセットテープは、「モノ」としての魅力にも優れています。レコードほどは仰々しくないし、かといってスマホで音楽を聞くよりは面倒な、音楽の詰まったモノとして「ちょうどいい」のがカセットテープなのです。プラスチックの素材感、回転部の機構、ネジ止めのソリッド感などもモノとしての魅力を高めています。

◇カセットテープの今後を予想する
カセットテープはビデオテープなどと同じ、磁気テープの一種です。カセットテープやビデオテープは家庭からは消えてしまいましたが、デジタルデータの保管には大容量磁気テープが使用されることもあります。容量あたりの価格も安く、条件さえ整えばハードディスクなどよりも長期に保管することができるそうです。

ということは、どこかに保管している数十年前のカセットテープが、まだ再生できる可能性は十分にあるのです。このような、古い音源を収録したカセットテープが掘り出されて、流通に乗る……などということもあるかもしれません。


【吉田貴之】info@nowebnolife.com

イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
https://www.idia.jp/

腕時計ポータルサイト:腕時計新聞
https://www.watchjournal.net/


兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。


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■クリエイター手抜きプロジェクト[640]
IoT マイクロビット編
MicroPythonに挑戦(2)

古籏一浩
https://bn.dgcr.com/archives/20210125110200.html

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今回は、マイクロビットのPython(パイソン)で、カスタムアイコンをLEDに表示してみます。まずは、Pythonエディターを起動しましょう。

・Pythonエディター
https://python.microbit.org/v/1.1


起動すると、あらかじめプログラムが書かれていますが、全部消してください。

マイクロビットのPythonは、JavaScript(ブロックエディタ)よりも高機能です(その代わりBluetooth機能がない)。

同じLED表示でも、JavaScriptではLEDのオン/オフでアイコン(画像)を表示しますが、Pythonでは手軽に10段階の明るさを指定して表示することができます。なお、JavaScriptでも頑張れば、0〜255までの明るさを指定して表示はできます。その代わりブロックを25個並べるか、輝度を計算して表示することになります。

手軽に10段階の輝度で表示できるPythonですが、ブロックエディタがないので、0〜9までの数値を並べて書くことになります。どのように書けばよいのかは、以下のリファレンスページに記載されています。

https://microbit-micropython.readthedocs.io/en/latest/tutorials/images.html


それでは、実際にコードを書いてみましょう。以下のコードはLEDに□を表示します。点灯しているところが9の数値で最も明るくなります。0は消灯です。

マイクロビットのLEDは5×5サイズなので、合計25個の明るさを指定します。マイクロビットのPythonではImage()のパラメーターに文字列で明るさを指定します。また、LEDの1行の区切りはコロン(:)を使います。

from microbit import *
while True:
icon = Image("99999:"
"90009:"
"90009:"
"90009:"
"99999")
display.show(icon)

プログラムを入力したら、ダウンロードボタンを押してください。HEXファイルがダウンロードフォルダにできるので、マイクロビットに転送(ドラッグ&ドロップ)してください。期待どおりにLEDに□が表示されたでしょうか。

もし、エラーメッセージがLED画面に流れてくるようであれば、コードが間違っていますので見直してください。なお、LEDにはエラーが発生した行番号が流れてくるので、それを参考に修正してください。

次に、グラデーションを表示してみましょう。せっかく輝度を指定して表示できるので、ここは輝度変化がわかるグラデーションにします。縦横グラデーションではつまらないので、斜め45度のグラデーションにしましょう。左上が暗く右下に行くに従って明るくなるようにします。

実際のプログラムは、以下のようになります。

from microbit import *
while True:
icon = Image("01245:"
"12456:"
"24567:"
"45678:"
"56789")
display.show(icon)

まあまあキレイな(?)グラデーションが表示されます。ちなみに何か処理を繰り返さず単純にグラデーションを表示するなら、while True:は不要です。さらに、表示する輝度データをまとめることで、以下のように短く書くこともできます。

from microbit import *
display.show(Image("01245:12456:24567:45678:56789"))
 
 
【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/


NHKでアニメ「SHIROBAKO」を放送しているので見てるけど、やはり何か作るというのは大変。特に集団で何かひとつのものを作っていくのは、悲喜こもごもって感じ。

一人で全部考えて、最後まで全部アニメ作れたらいいのだろうけど、現状そこまでAIが補助してくれるわけでもないし、そこまで技術が進歩してるわけでもなし。でも、何かアニメとか作ってみたいなあとは思ったり(思うだけで作らない)

・創って学ぼうプログラミング
https://news.mynavi.jp/series/makeprogram


・8K/4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/


・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/



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■映画ザビエル[106]
開拓時代ショートショート

カンクロー
https://bn.dgcr.com/archives/20210125110100.html

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◎作品タイトル
バスターのバラード

◎作品情報
原題:The Ballad of Buster Scruggs
公開年度:2018年
制作国・地域:アメリカ
上映時間:133分
監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出演:ティム・ブレイク・ネルソン、ジェームズ・フランコ、リーアム・ニーソン、トム・ウェイツ、ゾーイ・カザン

◎だいたいこんな話(作品概要)

アメリカの西部開拓時代を舞台にした、6つの物語からなるオムニバス作品。表題作の「バスターのバラード」では、往年の西部劇を彷彿とさせる銃撃戦や早撃ちによる決闘などが楽しめる。

6つの作品は、ブラックコメディの要素が強いものや、それとは対照的に広大な自然の中で繰り広げられる純文学的なストーリーまで実に多様。だが、いずれの物語でも誰かの死が描かれていることで、根底に流れているテーマを同じにする短編小説集の様相をなしている。

第75回ヴェネツィア国際映画祭脚本賞受賞。

◎わたくし的見解/盛者必衰のことわり

古い時代設定の物語であるせいか、ものすごくあっさりと人が死ぬ。テーブルから物が落ちる程度のノリで、しかも主役と思われた人物が突然絶命する様子は、ともすれば人の命を何と心得る?!と怒る人も出てきそうである。

たしかに幾つかの話は、ブラックジョークと呼ぶにふさわしい不謹慎な「おっ死んだ」感が満載なのだが、よくよく考えてみると「死」というものは、寿命の尽きる者が万全の態勢の時に、その人生に見合った適切な情緒をともなって訪れる保証はどこにもない。

むしろ、その準備など到底できていない時に命は奪われてしまうことの方が多い気がする。ひったくり犯罪のごとく見えない所からいきなり現れて、無神経で暴力的に。たとえ悪意や犯罪性はなくても、何時そうなるかが分かっている人はほとんど居ない。

まして開拓時代の人々が置かれている過酷な環境を考えれば、現代の私たちと比べて「死」との距離感がかなり近かったことが、案外的確に表現されているのかも知れないと感じた。

表題作の「バスターのバラード」では、軽妙で華奢なキャラクターの主人公が強面の無法者達をバッタバッタと斬り倒し(実際には撃ち殺し)無双感を出した矢先にやられてしまう。

ところが主人公のお尋ね者バスターが、度々カメラ目線で観客に説明するようなメタ演出が施され、決闘で勝敗(生死)を別けた相手とデュエットを始めるなど、クセが強めで攻めた演出はオープニング作品としての役割をしっかり担っていた。ああ、これからコーエン兄弟の作品を観るのだと、その幕開けを存分に楽しませてくれた。

個人的には中だるみしそうなところに、あえて配置された「食事券」と「金の谷」という極めて文学的な2つの物語がとても気に入っている。

「食事券」では、主要人物の一人である規模の小さな巡業で身を立てている興行主が、これ以上客寄せできないと分かるや否や、それまでのパートナーを捨て去る結末に、その時代を生き抜くことの厳しさが凝縮されていた。興行での劇中劇以外の台詞を極限まで減らし、物語の顛末は映像で語られるのみであるところも身にしみた。

続く「金の谷」は、ネーミングから想起されるように金脈を探し当てる話でありながら、読後感には強欲さよりも、清々しさや不思議とあたたかい気持ちが生まれてくる作品だ。直前の「食事券」とは対照的に、希望や神の加護のようなものが感じられ、6作品全体の流れとしても見事にバランスを取っていた。

小説の場合、長編作品で評価されている作家の多くは、短編の名手であるという独断と偏見を私は持っている。映画も、優れた監督はショート作品でも面白い。やっぱりコーエン兄弟は巧いなあ、とスルメをしがむように、じっくり味わうことができた秀作であった。


【カンクロー】info@eigaxavier.com
映画ザビエル
http://www.eigaxavier.com/



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編集後記(01/25)

●落合道夫さんが「2021年の世界のキーワードは脳?」と、どこかで書いていた。中共の習近平の姿がさっぱり見えず、昨年末から脳動脈の手術の噂が流れているそうだ。脳の疾患は手術が成功しても、政治的影響力は大幅に失われ、共産党内部の権力闘争は激化する。

プーチンは脳のパーキンソン病だという噂が欧米で流れているとか。確かに両手を握っている映像が見られる。これは特有の症状である手の震えを隠すためではないか。そして先般、退任後の免責法にサインした。死ぬまで大統領を続けるといわれていたんだけど、覚悟したのだろう。

北朝鮮では金正恩の生死が取りざたされている。脂肪吸引手術の失敗で脳梗塞を起こしたという噂がある。三つとも噂である。三つとも脳である。これらはみな2021年の世界を不安定にさせる情報である。そんなことより、もっと身近な、わたし自身の脳のほうが問題である。思い違い、記憶違いが増えてきた。わたしよりうんと若いハマムラさんがいるから、デジクリはまだ大丈夫だと思う。(柴田)


●そういえばまだICレコーダーが低機能で高価な頃、インタビュアーの方が、トラブルがあった時に全部消えてしまうからと、テープを併用されていたのを思い出した。

テープなら絡まってもそれ以外のところは再生できるからと。今ならさすがにテープはやめて、レコーダーを複数使いされているだろうなぁ。

カセットテープといえば、演歌はまだテープのものが売れると聞いたことがある。あ、最近は「CDセットを買えばCDプレイヤーがついてくる!」「DVDセットを買えばDVDプレイヤーがついてくる!」という、鳴かぬなら〜な通販もあったりする。

スマホ使いこなす人も増えてきているから、一足飛びに音楽配信サービスで聞くようになったりして。(hammer.mule)

DVDプレイヤーつき! 映像で綴る美しき日本の歌 ~こころの風景~(本日まで)
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CDプレイヤーつき! オーケストラで綴る・日本の愛唱歌160選(2/8まで)
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