[5156] オンライン授業のトラブルあれこれ/AIの衝撃・二連発

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《インスピレーションの表現もAIがやっちゃうのか》

■ネタを訪ねて三万歩[195]
 オンライン授業のトラブルあれこれ
 海津ヨシノリ

■グラフィック薄氷大魔王[685]
 AIの衝撃、二連発 「テキストから画像作成」「存在しないアニメ絵」
 吉井 宏
 



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■ネタを訪ねて三万歩[194]
オンライン授業のトラブルあれこれ

海津ヨシノリ
https://bn.dgcr.com/archives/20210127110200.html

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オンライン授業の一年間が終わりました。もしかしたら4月からもオンラインかな? という気はしますが、どうなるんでしょうね。しかし、外出しなくなってしまった一年は「アッ」という間でした。

とにかく色々と新しいコトを、待ったなしで消化しなくてはならない展開の連続は、いろいろと新鮮であると同時に大変な毎日でした。そもそも、対面授業よりも準備や対応に時間がかかるわけですから。でも、多くの真面目で熱心な学生に助けられたのはラッキーでした。

トラブルも当然のように発生します。たとえば、オンライン授業ゆえ機種を限定できないのです。学生がどのような環境でも使えるツールということで、オンライン版を色々探していて、よいツールを発見したわけです。

そして、シラバスに記載していなかったツールを使うことを学生に説明して、授業に取り入れたのは良かったのですが、このサイトはログインが必要なのです。ただし、フリーメールアドレスでの登録でも問題ないので、ソレを学生に推奨しました。ところが予期せぬ問題が発生してしまいました。

一部の学生から、サイトの新規ログイン処理で、「このフォームはスパムボットによって送信されたものとして検出されました。エラーが発生した場合は、管理者に連絡してください」というアラートが出てしまい、いくつかのメールアドレスで試しても登録ができないというものでした。

調べて見ると、スパムボットによって収集されたメールアドレスは、主にスパムメールを送信するために使用されているとのこと。つまり、その学生のメールアドレスがスパムとして処理されていることで、受付拒否となっているようです。

いや、複数のメールアドレスでも同様ということはIPアドレスかも知れません。さすがに専門外なので、お手上げ状態です。そこでダメモトで、Facebookに以下の文面で質問してみました。

あるサイトでの新規ログイン処理で「このフォームはスパムボットによって送信されたことが検出されました。エラーが発生した場合は、管理者に問い合わせてください」と出て、先に進めない学生が出てしまいました。この回避策をご存じの方いますか? どのメールアドレスでも結果は同じだそうです。私はこの状況を経験していないので、困り果てています(>_<)

ちなみに、実際にはいい加減な英文を併記しています。外人さんが多い故の普段の癖です。まっ、翻訳機能があるので必要ないのかも知れませんが、普段の日本語はかなり変な翻訳結果になる場合が多いので。

ところがこれに対して、スウェーデンの友人から速攻で「札幌在住のスウェーデン人がこの件に関して詳しい」というメッセージが届きました。こっちも速攻で質問したら、これまた速攻で「学生はVPNを使用している可能性があるので、VPNをオフにするように指示してください」と英語の返事が届きました。

VPN(Virtual Private Network)……つまり、マンンションなどの集合住宅からのアクセスだ、ということが推測できます。ただし、私は同一環境を得ることができないので、VPN設定をオフにする方法を正しく説明する事が難しいと判断しました。

結果として、どうしたモノかと考え込んでいたのですが、幸いなことにくだんのサイトはログインしなくても、私の目的は完了できることを確認して、問題はとりあえず解決しました。

細かい説明はプライベートな部分なので伏せますが、スウェーデンの方はどちらとも、家族ぐるみでお付き合いしている古くからの友人です。しかし、お互いが英語でのやりとりというのもなんとなく笑えますね。

ちなみに、最初のメッセージをくれた方は英語、ドイツ誤、オランダ語、フィンランド語ができるそうです。回答をくれた方は英語だけでなく日本語もできます。多分もう少し別の外国語も話せる感じ。それに引き換え私は怪しい日本語とかなりいい加減な英語……ちょっと恥ずかしい。

ところで、2019年末から執筆しているオンライン記事で、昨年はPowerPointやTeamsなどについて色々と書いたのですが、それをあるSNSの教員用情報交換グループに紹介して下さった先輩がいたので、早速そこに出向いて入会手続きをしたのです。

公開ではあっても、一応マナーとして入会することで正式に発言しようと思っていましたが、どうも入会手続きに表示されるはずの質問が表示されなかったのです。その件で2回ほどメールのやりとりをしたのですが、もうなんだか面倒臭くなってしまい「結構です」と入会を辞退しました。

信用されていない雰囲気がプンプンだったので。もしかして、非常勤講師だとだめだったのかもですね。どうでもいい話ですが、紹介して下さった先輩に対して、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

■えこひいきミュージックと映画

"Tempelriddernes Skat/The Lost Treasure Of The Knights Templar" on Directed by Kasper Barfoed in 2006(DK)

邦題「テンプル騎士団_失われた聖櫃〈アーク〉」。デンマークの小さな島を訪れた子供たち(女子2名、男子2名)が、テンプル騎士団の宝物を指し示す地図を発見し、黒い兄弟団との戦いが始まる……。内容的にはジュブナイル冒険作品。主演のジュリー・グランドヴィッグ・ウェスターが賢い少女役で、とってもいい感じでした。

Ztracený poklad templářských rytířů (2006)-trailer


1年後に作成された続編の「テンプル騎士団_聖杯の伝説(Tempelriddernes Skat II/The Lost Treasure Of The K)」も続けて見ると楽しいです。聖櫃をめぐる決戦後、突如黒い兄弟団によって主人公の父が誘拐され、新たな冒険が始まる

Tempelriddernes Skat II - Tv2 Film Trailer


実は3本目の続編(Tempelriddernes skat III: Mysteriet om slangekronen)もあるのですが、残念ながら日本では未公開でDVDも出ていません。直訳すると「テンプル騎士団_蛇冠の謎」かな。

tempelriddernes skat III


このように良質な、実写のジュブナイル冒険作品は、残念ながら日本ではほぼ絶望的ですからね。

"Hello, Goodbye" by Beatles & Wings 1967(U.K)

レノン=マッカートニー名義で公表されていますが、実際はポール・マッカートニーが単独で書いた楽曲だそうです。歌詞がシンプルなので、初級英語の教材になっていますね。意外と素敵な歌詞だと感じています。

オジサン化している私にとって、最近の楽曲は意味不明的にダメです。とくに日本の音楽は無理な感じ。音作りが複雑すぎるからなのかもね。60年代から70年代の曲がやっぱりいいですね〜。基本的に音楽の可能性のほとんどは、Beatlesがやってしまったからかも知れませんが、とにかく何時効いても新鮮な感じがします。それこそがオジサン化なのでしょうけれど……。

The Beatles - Hello, Goodbye



【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/お菓子研究家

実は昨年12月上旬に京都でハンズオンセミナーを予定していましたが、さすがにあの状況での開催は無謀なので、取りやめとなりました。早く収拾してほしいですが、やはり、お酒の席が問題なのでしょうかね。気を使っていてもアルコールが入ると、三密なんて絶対に無理でしょう。

にもかかわらず、徒歩圏内にある居酒屋ではマスクなんてしている人は皆無で、連日連夜大騒ぎしているのを見て興醒めしていました。わざわざ居酒屋を迂回して、目的のコンビニまで向かうことがほとんどです。これじゃ、歩行タバコのお馬鹿さんを避けて通るのと何も変わらないですね。

そういえば、家での飲酒習慣がない私は、遂に丸一年間一滴のアルコールも摂取することなく過ごしてしまいました。まっ、正確には2月19日を過ぎないと1年とはならないのですが、更新は確実となったので……。

ところで2021年は「仕切り直しでリスタート」と固く信じて、セミナー用のノートPC専用として、12インチの液晶タブレットを12月にゲットしました。XP-Pen Artist12です。激安ですが、とっても使いやすくて高性能。

サイズの決め手は12インチで、概ね全体のサイズがノートPCと同等だったからです。これで状況によっては、ダブルモニターとしても使えます。PowerPoint等でプレゼンテーションを行う場合は、PowerPointのノート機能が生きてきます。もちろん、タブレットとしても画面に直接描けるメリットは計り知れませんね。

なにより、XP-Pen製品のパッケージ内に収められている付属品が素晴らしいのです。定番の専用手袋やシリコンクロスだけでなく、とっても助かるUSB延長ケーブル。

ACアダプター用のオプションとして、台湾やフィリピンなどで使われているOタイプ。インドやシンガポールなどで使われているBFタイプ。ブラジルやメキシコなどで使われているSEタイプのアダプターが付属しています。そして、衝撃に強い筒状の専用ペーンケース。細かい部分にメーカーの気配りが感じられます。

で、年明けにXP-Pen Deco mini4という超小型のタプレットも購入してしまいました。予備のペンとUSBアダプターの金額で、タブレットが買えてしまう価格設定にイチコロでした。もうこうなると、XP-Pen沼というべきかもね。

yoshinori@kaizu.com
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■グラフィック薄氷大魔王[685]
AIの衝撃、二連発 「テキストから画像作成」「存在しないアニメ絵」

吉井 宏
https://bn.dgcr.com/archives/20210127110100.html

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●テキストから画像を作成する「DALL-E」

そのうちこういうのが出るだろうとは思ってたけど、現実になってしまった。今までにもテキストの内容に応じてネットから集めてきた画像を合成するようなものはあったが、レベルがちがう。

DALL.E: Creating Images from Text
https://openai.com/blog/dall-e/


例えば、一番上のイラスト。

「赤ちゃん大根」が「チュチュ」を着て「犬の散歩」をしている

括弧内を、プルダウンメニューで別の単語に差し替えると、たちどころに30枚のイラストが生成される。下に多数ある作例を開くと単語を入れ替えられるので試してみて下さい(さすがにまだ、自前のテキストに対応するところまでは行ってないけど)。

僕的にはアボカドの作例がツボ。椅子やティーポットに応用されたアイディアなんか、「上手いなあ!」と感動してしまう。アボカドをピカチュウに替えて、実用的な製品デザインも生成。アイディア段階としては無敵。

こういうインスピレーションの表現もAIがやっちゃうのか……。人間は調整や選択をするくらいしかやることなくなる orz

アイディアはAIが無数に作ってくれて、そこから良さそうなものを選んで、ブラッシュアップすることになりそうだなあ。AIより面白いもの考えられるかなあ? あとはもう「情」の世界しかw

●存在しないアニメ絵「This Anime Does Not Exist」

数日後、またまたAIの衝撃。無段階にアニメ絵が変化するもの。雰囲気やニュアンスが変わるだけじゃなく、「見たことないタイプの絵」や、Deep Dream的な連想が加わった「悪夢的な絵」になったりする。
https://thisanimedoesnotexist.ai/index_jp.html


下のスライダ2本を操作。上のスライダで「複雑度、派手度」を調整。下のスライダは左に寄せるかスペースバーを押して動きを止めておくほうが見やすい。

作者の解説サイト↓
https://nearcyan.com/this-anime-does-not-exist/


「存在しないアニメ絵」とはいえ、たぶんWebからサンプリングしてきた「萌え絵」をソースにしてるんだろう。

思ったのは、元絵の作者が、自分の絵のAIによるとんでもない変化を見てどう感じるんだろう? ってこと。改竄や冒涜と思う人もいるだろうけど、「AIが自分の常識を平気で限界突破してくれる」のは刺激になるんじゃないか? 僕だって自分の常識の殻や限界を突破した先を見てみたい。

上のアボカドやピカチュウも同じく、「普通はそんな考えしないし、思いついても実際に形にするまではしない」ってところをAIは平気でやっちゃうのだ。黙々と作業を続ける産業用ロボットと同じく、「知的」な作業も「めんどくさい」「疲れた」とかの感情抜き。おそろしいw

○渋谷の画材ウエマツのショーウインドウの展示に参加してます。
「渋谷&YouTube 春の呼吸アート展 ~牛とアマビエでコロナを撲滅~」
1月いっぱいやってます。
https://kirasuma.info/20210102_art_1/



【吉井 宏/イラストレーター】
http://www.yoshii.com

http://yoshii-blog.blogspot.com/


「あつもり」っていうと、どうしても「人間五十年、化天のうちを比ぶれば」って信長が舞うアレと思っちゃう。「翔んだカップル」シリーズで、轟二郎が信長の格好して敦盛を舞うのすごい好きだったなあ……。

○吉井 宏デザインのスワロフスキー

・十二支(丑年)OX
https://bit.ly/37gbNEN



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編集後記(01/27)

●偏屈BOOK案内:丸山宗利・吉田攻一郎・法師人響「驚異の標本箱 ─昆虫─」KADOKAWA 2020
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041094348/dgcrcom-22/


いままで見たことがない、凄まじく美しい昆虫の写真集である。もともと昆虫は美しい。じっくり見るとさらに美しい。大概の人はそうは思わない。ムシは嫌われものである。ムシしたいという人が多い。だが、A4変形160ページフルカラーのこの写真集を見れば、誰もがその美しさに驚愕するだろう。いや、昆虫愛好者だけだな。超精細大画面の迫力。価格も驚異の5280円だけど。

元昆虫採集少年で高校の生物部長だったわたしなのに、この本には見たこともない蝶や甲虫が出てくる。そっちの方が多い。海外の虫たちは奇妙な形態に派手な色彩が目立つ。これまで見てきた昆虫図鑑はいちおう形態や色がわかるが、ほれぼれと眺めるほどのものではない。識別に役立つだけの実用書だった。しかし、この本は違う。昆虫の美の表現を徹底的に追求した美術書、研究書だ。

昔は昆虫標本の撮影は難しかった。高価な機材と特別な技術を要した。デジカメが普及し、機材を含めた高性能化が進み、だれでも美しい写真が撮れるようになった。15年ほど前から「深度合成撮影」という技法が普及し、小さな虫でも全体にピントが合う写真を作成できるようになった。全然知らなかった。

この写真集は撮影技術を駆使しつつ、昆虫のありのままの美をあますことなく表現することに注力している。たぶん、実物よりも美しいだろう。多くは標本のように真上から撮影されている。部分の超アップなど、ものすごい迫力だ。

この本で見るような拡大率になると、被写界深度が極端に浅くなる。そこでカメラ、もしくは被写体を少しずつ前後にずらしながら撮影し、合焦している部分だけを積層して、全体に焦点が合った写真を作り上げるのが、深度合成という技術である。システムやライティング、撮影については本書を読んでほしい。

撮影された写真をパソコンに取り込み、深度合成ソフトを用いて合成処理する。その写真を画像処理ソフトでレタッチし完成となる。傾き、明るさと色の調整、とり切れなかったゴミの処理などを行う。顕微鏡を覗いても肉眼で見えるものは限られる。深度合成は画面に捉えたすべてを可視化する。

最初に単体で登場するのは「世界最美」とタイトルが付けられた、日本のハンミョウである。わたしの昆虫採集では粗末に扱ってきた、地味な甲虫のはずだが、黒バックに浮かび上がったこの美しさはなんだ。神々しい。この見開きを妻に見せたら、即「虫なんかきらいだよ」とムシされた。予想通りだ。それにしても超ハードカバーで用紙も厚くズシッと重い、充分凶器になり得る本である。(柴田)


●ポケモンGO。最近は惰性で続けていて、レイドバトルへの参加もしなくなっていたし、新しい情報を得ることもなく、イベントにも不参加。

一日一回アプリを立ち上げて、相棒に実をあげ、タスクを確認し、達成ボタンを押す。あとはポケモンGO Plusを連携させて、道具やポケモンを自動取得、のみ。友達にギフトをあげることも、もらったものを開くこともしなくなったし。忙しくなると立ち上げることすらしなくなった。

頭の中に「ステイホーム」という言葉があって、散歩ぐらいはどうってことはないのに、スーパーや銀行へ行く時だって、寄り道をせず、なるべく早く帰宅しようとしてしまう。

歩くゲームなのに歩けないし、レイドバトルのために路上に止まりたくない。そもそもこのゲームのバトルシステムを面白く思えないの……。スペシャルタスクは、「レイド勝利」「ロケット団とバトル」などが進まず放置。続く。(hammer.mule)