[5178] 「リトルナイトメア2」をクリアして「悪夢ロス」

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《久しぶりにドキドキワクワクを堪能》
 
■装飾山イバラ道[282]
 「リトルナイトメア2」をクリアして「悪夢ロス」
 武田瑛夢

■Scenes Around Me[87]
 小川てつオくんのこと[18]
 エノアールカフェで撮った写真[2](2006年)
 関根正幸
 


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■装飾山イバラ道[282]
「リトルナイトメア2」をクリアして「悪夢ロス」

武田瑛夢
https://bn.dgcr.com/archives/20210302110200.html

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●走って飛んで、自分が叫ぶ感じ(笑)

祝日などが入り間があきましたが、ゲーム「リトルナイトメア2」をプレイし、無事にクリアしました(ぱちぱち)。

ゲーム実況の動画で知った「リトルナイトメア」ですが、NintendoSwitch版のスペシャルエディションを購入。

リトルナイトメア2 | バンダイナムコエンターテインメント
https://n6ls.bn-ent.net


やはり、見るのと自分でやるのとは大違い。コントローラーの振動から感じられる鼓動のリアル感、謎解きの面白さにすっかりハマってしまった。

毎日少しづつ進んでいき、9日間楽しむことができた。かなり面白くて難度もほどよい、素晴らしいゲーム。久しぶりにドキドキワクワクを堪能した。アドベンチャー系ホラーゲーム初心者さんでも遊びやすいと思う。

※以下はネタバレとなりますので、未プレイの方は要注意です。

前作のあらすじなどは、以下の前回の記事をご覧ください。

装飾山イバラ道[280]「リトルナイトメア2」体験版をプレイしてみた
https://bn.dgcr.com/archives/20210119110300.html


実際にグラフィックはより美しく、ゲーム要素は前作よりも複雑化しているようだ。前作も動く絵本の豪華版のような、恐ろしくも静かな雰囲気でファンを集めた。今作は、よりアクティブに頭を使って逃げ回るゲームとなっている。走って飛んで、自分が叫ぶ感じ(笑)。

私などはコントローラーの扱いに慣れるまでが大変で、走って飛んで掴んで登るということを、普通にできるようになるまでが修行という感じ。

森から始まって、学校や病院などとステージが変わっていく。ボリュームもしっかりあるのに、まったく飽きることなく遊ぶことができた。

●ヘタはヘタなりに利点もある

自分が到達している場面までは、YouTubeのゲーム実況動画を鑑賞することもできた。これは、ストーリーの進行が一方向のゲームなので可能なことだ。ゲーム直後に同じシーンでドキドキハラハラしているのを見て、共感する楽しみ。

私が数え切れないほどトライしてやっと抜けた場所を、初見でスルっと通過している実況者もいた。さすがだと感心する。ゲーム勘とか、反射神経の良さで進行のスピード感が違うものだ。

ただ、私のようにヘタはヘタなりに利点もあって、ゲーム制作陣が用意したほとんどの攻撃シーンを見ることができたような気がする(強がり)。

特に学校の理科実験室のシーンでは、女性教師からのありとあらゆる殺られ方を、この身に受けることとなった(笑)。はぁ、女性教師が怖すぎる。

逃げ方はとにかく早く進め! のスピード系と、そーっとそーっと隠れていくステルス系があるようだ。それぞれのシーンでうまい具合に違っていた。ステルス系だと気づくまで、走り周って喰われすぎたり、スピードで良かったのにモタモタ隠れたり。つくづくヘタすぎて嫌になりそう(笑)。

このゲーム、デス数はカウントされないので、何回死んでも復活して再トライできることが救いだった。

進むにつれて、方向スティックの操作が複雑なものが出てくるのも、難易度を考えてくれているのだろう。何度でもトライできるので、少しづつは逃げるルートを覚えられる。しかし、頭ではわかっていても、手をタイミング良く動かせるとは限らない。だんだん疲れも出てきて、自分との戦いでもあった。

●YouTube実況動画に感謝

主人公モノは前半で女の子シックスと出会い、二人で協力して脱走を試みる。女の子はコンピュータの動きなので、少し誘導もしてくれるのが優しい。セリフはない。全部自分ができることで考えるのとは違い、女の子がいてくれる前提での謎解きもなかなか面白かった。

暗くて寂しい画面の中に、手をつないで一緒に逃げられる相手がいるという癒し効果。長時間のゲームプレイになるので、この可愛い要素は見ていて和む。

ホラーゲームだけれどグラフィックの作り込みが美しい。しかし、いくつもセーブデータを分けることができないので、後戻りはチャプター単位のみ。これがちょっと残念だった。

恐怖を覚えながら駆け抜けた場所に、もう一度簡単には戻ることができない。特に学校のシーンでは、給食を食べる部屋が見所満載だった。怖くてサッサと通ってしまったけれど、もっとじっくり見たかったー。

そんな時もやはりYouTubeに感謝。ゲーム実況者さん達がこのシーンを拡大表示してくれていたので、確認ができてありがたかった。

やんちゃな小学生のようなキャラクターが、じゃがいもを放り投げたり、ケチャップを延々出し続けたり、いたずらをしているシーン。本当だったら完全に学級崩壊。

いたずらと簡単には言えない、悪質極まりないものまである。よく見ると子供たちは、頭がからっぽで木製の人形のようだ。残酷で不気味な人形劇を見ているような不思議な気分。

そして、どのチャプターにも「場を支配するボス」がいて、ボス戦をくぐり抜けて次へと向かっていくことになる。

●クリア後になぜか「悪夢ロス」

タイトルにもあるように、ナイトメア(悪夢)な要素が満載なゲーム。学校ではいじめ、厳しい教師、バケモノだらけの病院。何もせずテレビを見続ける大人達。どれも恐ろしい要素だけれど、それは逃げ出せば終わっていくとも言える場所。

終盤に近づくにつれ主人公の悪夢が、もっと奥深いものであるという事に気づいていく。

一体自分は何から逃げているのか、守りたい気持ちや助けたい気持ちが正しかったのかを自問するような展開に。終わり方はリトルナイトメアらしいものだった。あぁ、本当に悪夢。

没入感のある暗いゲームだからこそ、その日ゲームから出れば爽快感もあった。それなのにクリア後は終わっちゃった感に包まれた。寂しいロスな気分だ。

これは言うなれば、「悪夢ロス」だろうか。悪夢なんて見たい訳では無いはずなのに、妙に魅力のあるあのオルゴールの音色が頭の中に響く。

ボリューム的には一日でクリアを目指す実況者もいたので、程よい長さだと思う。もちろん隠し要素や収集アイテムを完璧にこなすとなると、かなり時間が変わってくる。私もまだ、いくつも取りこぼしがある。すべて集め終えると見られる、真のエンディングシーンもあるらしい。

●真エンディング

ここからは別日執筆。私は帽子はどのチャプターでも一、二個の取りこぼしがあり、ファントム(子供の亡霊のような影)もいくつかを見つけられてはいなかった。

結局はYouTubeの実況動画のお世話になって、見つけられる場所をチェック(感謝)。その後、自分のゲーム画面でそれぞれのチャプターに戻って、帽子とファントムを集めていった。

やはり「真エンディング」は大きなテレビ画面で見たかったし、ゲーム内の収集履歴の数字を完璧に埋めたいというこだわり。せっかくゲーム内を自分の足で歩き始めたのだから、ラストシーンは動画ではなくゲーム内で見たかったのだ。

しかし、場所がわかっているから簡単に収集できたわけではなく、もう一度あの難所を通るのが大変すぎた。

学校の女性教師や、病院のバケモノ達だ。ルート、手順を完璧に記憶して挑んでいても実際の操作が難しい。とはいえ再び落ち着いて恐怖の場所に戻ることで、このゲームの世界をもう一度堪能できたのは良かった。それだけ、リトルナイトメアの世界は美しく魅惑的なのだ。

「真エンディング」も見終わり、謎だった点が少しづつ線へと繋がっていくような想い。

悪夢ロスだった時とは違って、今はもう少し晴れやかな気分だ。なぜならこのゲーム、まだまだ先が作られそうだし、完全クリア後は心おきなく実況動画が見られるのだ。

それぞれの考察に対して自分の考えも持つことができて、楽しみ方が広がる。解釈に正解がある訳でなく、意味を自分なりに考えるのもまた楽しい。

実は私、もう少し救いのある終わり方を期待していたのだけれど、救いもなくまだまだ謎は闇の中。シックスとモノが手をつないで、二人が一緒に逃げていたシーンが思い出される。癒しだったなぁ。

今回、自分でも動画を見ないでゲームに没入する時間と、ネタを仕入れに動画に頼る時をしっかり分けていた。

実はYouTubeのサムネイル画面は、インパクトの強いものを選ぶ実況者が多いため、怖いボスキャラの姿を先に知ってしまうこともあった。これはもうしょうがないことと割り切っていた。

それでもネタバレの危険をうまくコントロールしながら、新しい楽しみ方ができたことが成果だったと思う。

動画を見るだけでのその魅力は分かっていたつもりだったけれど、ゲームで難所を乗り越えると、やはり実感が違ってくる。ぜひ実際にゲームをプレイして楽しむことをオススメしたい。


【武田瑛夢/たけだえいむ】
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/


NintendoSwitchの高温警告が頻繁な問題。外付けファンを買って対応していた。しかし、今後の修理の可能性やらを考えると、夫と同じ結論になった。「もう一台買おう」。ということで、二代目が下のネオンイエローとネオンパープルのSwitch。色選びは即決で。上のに乗っている黒いのが外付けファン。

・ネオンイエロー、ネオンパープルのSwitch
http://eimu.com/dgcol/swwi01

二台あると、スプラトゥーン2で夫と一対一で戦うことも出来た。ブキの性能を試す時などに便利かも。Switchは持ち歩きでも遊べるはずが、うちではほとんどTVでしか使っていない。


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■Scenes Around Me[87]
小川てつオくんのこと[18]
エノアールカフェで撮った写真[2](2006年)

関根正幸
https://bn.dgcr.com/archives/20210302110100.html

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前々回に続いて、代々木公園内のテント村にあるエノアールで撮影した写真を紹介します。

以前の連載で、将棋を指している写真を撮っていて注意された、と書きましたが、その時の写真が出てきました。

https://live.staticflickr.com/65535/50982620416_c99c90f248_c

ネガアルバムには2006年5月21日の日付がついていますが、前々回紹介したテント村の住人の写真展よりも前の事だと記憶しているので、2005年に撮ったのかもしれません。

ネガを見ると、この他にも何枚もエノアール内の写真を撮っていて、注意されても仕方なかったな、とは思いました。

2006年6月24日

この日、ジェラルドがエノアールにやってきました。

https://live.staticflickr.com/65535/50986881203_87c07921e5_c

ジェラルドはフランス人のアーティストで、第84回の連載に書いた通り、世界中を自転車で移動して、現地で撮った写真や手に入れたものをコラージュしていました。

ジェラルドは2006年4月のヨパクラでもDJをしていましたが、この日はエノアールでDJを行いました。

https://live.staticflickr.com/65535/50982726582_36d7206851_c

後年、ジェラルドはエノアールで展示を行っています。展示の写真も、フィルムがみつかれば紹介する予定です。

2006年10月29日

この日、エノアールの引っ越しイベントが行われました。

当時、渋谷区はテント村の住人にアパートを斡旋して、テント村からの移住を促しました。そして、住人が立退くとテント跡を囲って立入禁止にして、テント村に新たに人が入って来ないようにしました。

テント村の規模が小さくなると、都は公園内に点在していたテント村を一か所にまとめようとしたようです。エノアールも、その影響で当初の場所から、西門よりに移転することになりました。

小川てつオくんは、この機会に引っ越しイベントを企画しました。

https://live.staticflickr.com/65535/50982620211_e80e2469b4_c

イベント当日、私が少し遅れてエノアールに着くと、テントが出来ていました。テントの幌は、どこかで拾ってきた広告用の旗を流用したようです。

https://live.staticflickr.com/65535/50982619996_6ea0c71530_c

テントの中にはてつオくんが寝ていました。

https://live.staticflickr.com/65535/50982620116_8dc8729c68_c

ヨパクラの常連で、建築物の解体の仕事をしていたキンコバさんが、テントを取り壊そうとしていました。

https://live.staticflickr.com/65535/50982619711_ac75e72774_c

テントの上部が撤去されると、裸で寝ていたてつオくんが起き上がって、「寝た子を起こすな」と連呼しながら、飛び跳ねました。

周りは薄暗くなっていたので、私は三脚を立てて撮影していたのですが、シャッターを開けている間、何人かがフラッシュを焚いたので、てつオくんの姿が複数写っています。

https://live.staticflickr.com/65535/50981913203_b324612cd6_c

てつオくんのパフォーマンスが終わると、テントの中にあった布団などが片付けられて、何組かのゲストが演し物を披露しました。

【せきね・まさゆき】
sekinema@hotmail.com
http://sekinema.com/photos


1965年生まれ。非常勤で数学を教えるかたわら、中山道、庚申塔の様な、自転車で移動中に気になったものや、ライブ、美術展、パフォーマンスなどの写真を雑多に撮影しています。記録魔


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編集後記(03/02)

●偏屈BOOK案内:安田登「役に立つ古典」NHK出版 学びの基本 2019
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4144072452/dgcrcom-22/


筆者は学者ではなく、下掛宝生流ワキ方能楽師。この本では、私たちが直面するさまざまな問題に対するヒントがある古典「古事記」「論語」「おくの細道」「中庸」を選び、すらすら読めるように工夫がなされている。

役者の本領発揮で、「頭で分かる」よりも「腑に落ちる」ことを大事にしているという。

「論語」は孔子と弟子たちの言行録である。弟子の質問に孔子はこう答えた、といった問答が主に書かれている。それも2000年も前のものだから、ただ読んだだけでは意味がよく分からない個所が多い。

そのため、「論語」には古来、それをどう読むか、という解釈の歴史がある。その解釈学のひとつのピークが、12世紀の朱子学である。だが、上から目線の読み方である、と筆者は断じる。

そして「論語の解釈」ではなく「『論語』そのもの」と向き合おうと考えた。さらに踏み込んで「論語」に出てくる漢字を、孔子の時代あるいはそれ以前に存在していた漢字に直して読むことにした。

驚いたことに、「論語」の中には孔子の時代にはなかった文字がたくさんあった。これは仕方のないことで、口誦の孔子の教えを文字化する時に、彼らの時代の漢字をあてたからだろう。

そこで筆者は孔子の時代の漢字に直して読んでみると、いくつもの発見があった。従来の一般的解釈とは全く意味が変わってくる言葉もあった。有名な「四十にして惑わず」の「惑」は孔子の時代にはない。

ない場合は、孔子はそうは言わなかった可能性が高い。おそらく別のことを言っていて、それが文字化される間に変化して「惑」の字になったのではないかと考えられる。

「惑」は部首を取ると「或」になる。「区切る」という意味。これに土偏をつけると「地域」の「域」になり、「口」で囲むと「國」になる。どちらも区切られた地域を表す。

となると「四十にして惑わず」ではなく、「四十にして区切らず」という意味ではないのか。自分を限定しがち、ではいけないということではないのか。結果として訪れるのが「五十にして天命を知る」なのである。

「仁」は孔子が最も重視した徳目だが、いざそれが何かと問われると、答えるのが非常に難しい。「論語」の中の「仁」に関する章句をすべて摘出し読んでみると大混乱する。つかまえどころがない。

なにしろ孔子の時代に「仁」という漢字はまだなかった。孔子は「超人」の意味で「仁」を使っていたのかもしれない。

筆者はこう結論する。「2500年前の『不安』に対する処方箋としてかかれた『論語』、それは現代の私たちの不安をも鎮め、社会の不安に立ち向かう力を与えてくれる、とても新しい本なのです」。

筆者は古典を「転ばぬ先の杖よりも、転んだあとの絆創膏」だという。筆者のいうことは、深読みしすぎだという気がしないでもない。でも「誠をせめる」読み方は、古典を身近に感じさせる。(柴田)


●作業サポートアプリ『アヴェ・クラシック』続き。iOS版のレビュー続き。

「使用感的にこれが一番いい、と思ったのは擬似的に人間に監視されてる感があるところです。スマホの使用を諫めたり応援してくれたりというのがキャラを通して発信される方が同じメッセージでも強いのだな、と思いました。」

「イケメンがいるというだけでこんなに集中できるものかと驚きました。すごい。イケメンすごい。」

イケメンって凄いんだな(笑)。でも確かに「やめちゃうの?」と言われたら、裏切りにくくて、もう少し我慢しようと思えるよね。

データの引き継ぎができないとか、ストーリーの続きが読みたいとか、などの書き込みもあったわ。最後の更新が2年前。LINEスタンプやグッズ販売もあったわ。そっかー。

気になるのは、アプリ立ち上げ時に、クリップボードからペーストする挙動があること。バグなら、早めに修正しないとアップストアから消えるかもね。(hammer.mule)

iOS版
https://apps.apple.com/jp/app/id1325399668


Android版
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.aveclassic


LINEスタンプ
https://store.line.me/stickershop/product/3206443/ja


Twitter。制作会社さんが忙しくて進んでいないみたい。中国語版があるのか!
https://twitter.com/aveclassic