[5179] 骨伝導イヤホンを使ってみた/日々の運動

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《耳が解放されて》
 
■グラフィック薄氷大魔王[690]
 骨伝導イヤホンを使ってみた
 吉井 宏

■万年思春期[007]
 7話目「日々の運動」
 木村きこり
 


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■グラフィック薄氷大魔王[690]
骨伝導イヤホンを使ってみた

吉井 宏
https://bn.dgcr.com/archives/20210303110200.html

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昨年末にようやく購入。「ようやく」というのは、2019年秋にFacebookの友人の投稿で知り、12月に「スター・ウォーズ EP9 スカイウォーカーの夜明け」を観た帰りに、蔦屋家電の「AFTER SHOKZ」特設会場で試して以来だったから。なんとなく迷ってて一年以上たってしまった。

AFTER SHOKZ
https://aftershokz.jp/


骨伝導イヤホンってのは、音が鼓膜ではなく、骨の振動によって聴覚神経に伝わるもの。こめかみ〜頬骨に当てたユニットの振動が音として聞こえる。ユニットが振動してるのはわかるけど、音としてはあまり出てない。装着すると、とたんに音がする。不思議で面白い感覚。

利点としては、「耳を塞いだり何か突っ込まなくていい」が大半。つけてる状態は非常に快適。要するに、耳に何か突っ込まず、音を撒き散らすスピーカーも使わずに、部屋に音を満たせるようなもの。

「部屋に音を満たす」のはなかなかむずかしいのだ。セパレートのスピーカーは、方向や位置のバランスが気になる。単体スピーカーは、椅子の下か頭の上でないとダメ。BOSEの筒状モノラルスピーカーも、配置がむずかしくてあまり使ってない。以前、イヤースピーカー的なものも使ったことあるけど、有線だったから自由度は低かった。

購入したのは「AFTER SHOKZ」の「AEROPEX」という機種。使い勝手も満足してる。音楽を聴いたり映画を観るのに、普通に使ってる。一般のイヤホンのようなデリケートな開口部がなく、扱いが雑で大丈夫ってのもイイ。もちろん防水だし。

http://www.yoshii.com/dgcr/aftershokz-IMG_2862

大きな音が出せないのが弱点。映画とか観てて音量が足りなくて、音量を最大にするとビリビリ振動する。下位機種にくらべ、上位機種では相当大きくしないとビリビリしないのだが、それでも最大音量ではこめかみがビリビリ震えてちょっとくすぐったい(大音量では振動ユニットの振動が音として聞こえるため、電車等では注意)。

音質は下位機種にくらべればイイと思うけど、それでも純粋に音楽を楽しむ用としては物足りないんじゃないかなあ。特に低音。iPhone付属イヤホンのほうが豊かな音がする。骨の構造による個人差もあるのかも。

また、本末転倒だけど、骨伝導イヤホンは耳栓的に使うことができない。環境音に気を取られずに集中したい場合、耳が完全にフリーなのでいろんな音が聴こえてしまう。その点、冗談なのか真面目なのか、AFTER SHOKZには「耳栓」が付属するのだ(蛍光ピンクのマーブル模様が気持ち悪いw)。

http://www.yoshii.com/dgcr/aftershokz-IMG_3090

大きな音量でなく、パソコンのスピーカー代わりに使うのが良いと思う。マイクもついてるので、通話やネット会議もできる。耳が解放されてて、違和感がないのは素晴らしい。


【吉井 宏/イラストレーター】
HP http://www.yoshii.com

Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/


アナウンスあったっけ? WACOMドライバが1月26日にM1搭載Macに対応してた。旧バージョンでもとりあえず動いてたそうだけど、正式サポート。これでM1搭載Mac購入に青信号。でも、ダラダラとAppleCare切れマシンを使ってて、「別にこのままでもいいかな」とか思い始めてるw M1搭載のMBP16かiMacなど、本気高性能マシンの登場まで待つかな。

○吉井宏デザインのスワロフスキー

・十二支(丑年)OX
https://bit.ly/37gbNEN



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■万年思春期[007]
7話目「日々の運動」

木村きこり
https://bn.dgcr.com/archives/20210303110100.html

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日々のルーティーン、とまではいかないが、私にはなるべく日課にしていることがある。それはジムで30分コースの筋トレをすることだ。

ジムといっても東京の田舎にある、おもに「お年寄りの女性に向けた健康体操」と看板を掲げているもので、円になって並べてあるマシーンを、30秒ごとにイス取りゲームのようにくるくると回りながら筋トレをする。中心にはトレーナーさんがいて、時々マシーンの使い方を指導する。そんなジムだ。

「お年寄り向け」とは言うが、私を含め30代、40代の中年も多く通っていて、おばさまたち同士でいろんな話をしていたりする。

とはいっても基本的にはお年寄りが多く、私がよくしゃべる年配の女性は80歳だというのだから驚きだ。ひざを悪くしていて医者に「動かさないとどんどん動かなくなってしまう」と言われたのが、通うきっかけだったらしい。

私がこのジムに通うきっかけとなったのも、ちょっとした経緯がある。大学を出て仕事をし始めた頃、体重が10キロ以上増えた。このままではいけないと思って、市が運営している体育館のジムには行っていたのだが、そこではマシーンを決まった人がいつも独占していて、思い通りに筋トレが出来なかった。そんな時、今通っているジムのトレーナーさんに出会ったのである。

それは買い物を済ませスーパーを後にしようとした時だった。若い女性にチラシを渡され声を掛けられた。「今、無料で血管年齢を計っているんですよ。試してみませんか?」そう言って指をさす方向を見れば、多くの買い物帰りの主婦たちが、なるほど何やらイスに座り機械に指を入れている。私も言われるがまま、いつの間にか機械に指を入れ血管年齢を計っていた。

そして出たのだ、衝撃の数字が。その当時私は28歳だったのだが、血管年齢はなんと40歳。数値を見た時、冷や汗が止まらなかったのを覚えている。そしてそのまま、まんまと勧誘され今に至るのである。

実を言うと私は、昔から運動自体は嫌いではなかった。そう言うと「マゾヒストだものね」とか、皮肉を言う輩がいるが、断じて私はマゾヒストではない。(物理的に痛いのも精神的に痛いのも心底嫌いである。)

好きな理由はいつも絵を描いていた子供時代から肩こりがひどく、運動すると体がほぐれ楽になるのを知っていたからだ。体育の授業は嫌いだったが(人づきあいやグループを組んで対戦するというのがつらいため)、自分勝手にマシーンなどを使うは好きだった。

そして今、日々の運動の大切さを改めて痛感している。パソコンでの作業などをしていると、本当に肩が凝る。そんな時に30分でも身体を動かすことで、こんなに身体が楽になるものなのかと驚く。また、油絵の大作などをつくる際にも、体力がついているのかあまり疲れなくなった。

あとは体重と内臓脂肪が落ちてくれれば申し分ないのだが、それがなかなか難しい。改めて食生活を見直そうと考えている。

これを書いている今も肩が凝っているので、終わり次第ジムに行こうと思います。


【木村きこり】
漫画家/美術家
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編集後記(03/03)

●偏屈BOOK案内:岡部伸「新・日英同盟 100年後の武士道と騎士道」白秋社、2020
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アメリカ西海岸とハワイとイギリスと韓国しか行ったことがないけど、一人で行ったイギリスがいちばんよかった。いつの頃か忘れたが、当時は出版社の社員だった。大規模な国際的印刷機材展を取材に行ったのだが、会社が出張を認めたわけでなく、休暇をとって自費で一週間ほど、ロンドンと近郊を自由きままに楽しんだ。

筆者は産経新聞論説委員。2015年から12月から2016年4月までロンドン支局長を務める。アメリカにもロシアにも暮らしたが、イギリスでの生活が最も違和感なく心地よかったそうだ。そして、日英は歴史的にも地政学的にも磁石のN極とS極のように強く引き付けあう必然性があることがわかったという。

「脱中国」に舵を切ったイギリスは、「中国との黄金時代」に幕を閉じた。パンデミックと香港問題を経て、分断されていた欧米は再び結束し始めた。いま日英は限りなく同盟に近い、準同盟関係と考えてよい。

コロナ禍後、世界は米英を中心としたアングロサクソン同盟国と独仏を中心としたEU、そして中露の三極構造が作り上げられる見込みだ。

「ヨーロッパの日本がイギリスだ」と言うのはロンドン支局で取材助手を務めていた、当時30歳のジョン・ビショップ君。

両国ともに島国であり、四面を海に囲まれている。また古くから海上交通が盛んであり、両国とも海に資源を求める海洋民族という共通点がある。適度に春夏秋冬があり、四季感にも似たようなものがある。地形的、地域構成にも似通っている。

面積は日本が37万8000㎢(世界61位)、イギリスが24万3600㎢(世界78位)。イギリスの人口は日本の約半分。2020年1月31日、イギリスはEUから正式に離脱した。

わが国は戦後、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本の5G(先進五ヵ国)に加わっている。現在はイタリア、カナダを加えてG7。

国際通貨基金2019年時点の調べでは日本のGDP(国内総生産)は4兆9717ドル(世界3位)、イギリスは2兆8288億ドル(世界5位)、両国とも世界をリードする経済大国である。比較的小さな島国なのに、七つの海に君臨する繁栄した国という点が共通する。

この本ではイギリスと日本が似ている点を上げるだけでなく、新たな同盟関係に進もうとしている日英の現状を詳しく解説しており、非常に読み応えがある。あり過ぎる。わかりやすい例で、日英が左側通行である歴史的な理由をあげる。

世界で左側通行を採用しているのは、イギリスと英連邦諸国の他、日本など少数派である。日本が自動車の左側通行を採用したわけは、江戸時代まで、武士同士がすれ違うとき左側に差した刀が触れあうのが無礼だったからだ。それを避けるために、相手の右側を通行するのが常識だった。その習慣が、そのまま左側通行に持ち込まれたという。

イギリスでも、騎士は左に剣を差していた。緊急時に右手でさっと剣を抜けるように。また、馬車の左側通行が普通だったが、1773年には条例で定められた。こうした左側通行の共通点も、日英が親近感を抱く理由になっている。文化人類学者の梅棹忠夫は著書の中でこう主張する。

「産業革命が世界の中心にあった四大文明圏ではなくイギリスという世界の中心から離れた島国で生じ、それが非西洋圏では極東の島国、日本において少し遅れて生まれたのは、両国が大陸からの侵略を避ける一方で、大陸の文明を導入するのに程よい距離にあったことに主たる理由があるとされる」なるほどねー。(柴田)


●宝塚で『シティハンター』を上演する話は書いたっけ? 山田風太郎の『柳生忍法帖』もするよん。

今年の大劇場は、ベートーベン(+ゲーテとナポレオン)、ロミオとジュリエット、アウグストゥス(オクタヴィアヌス帝)、楠木正行、シャーロック・ホームズ、柳生十兵衛と今後発表のものと。

外部劇場は、
『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』(ブロードウェイミュージカル、曲はガーシュウィン)、
ヘンリー7世、
シェイクスピア『十二夜』、
『幽霊刑事』(有栖川有栖作)、
『ダル・レークの恋』(菊田一夫作、インド北部のカシミール、ダル湖舞台の身分違いの恋)、
スイスのリゾート地サン・モリッツに佇むホテルを舞台とした第二次世界大戦中期の話、
竹久夢二の人生を描いた作品を撮る映画監督、
『ヴェネチアの紋章』(塩野七生作)、
『ほんものの魔法使』(ポール・ギャリコ作、『ハリスおばさんシリーズ』読んでた〜『ポセイドン・アドベンチャー』見てない〜)、
『マノン』(マノン・レスコー)+今後発表。(hammer.mule)

【吹替の帝王】第14弾『ポセイドン・アドベンチャー <日本語吹替完全版>コレクターズ・ブルーレイBOX』

同じ役に5人の吹替版があるのね