万年思春期[007]7話目「日々の運動」
── 木村きこり ──

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日々のルーティーン、とまではいかないが、私にはなるべく日課にしていることがある。それはジムで30分コースの筋トレをすることだ。

ジムといっても東京の田舎にある、おもに「お年寄りの女性に向けた健康体操」と看板を掲げているもので、円になって並べてあるマシーンを、30秒ごとにイス取りゲームのようにくるくると回りながら筋トレをする。中心にはトレーナーさんがいて、時々マシーンの使い方を指導する。そんなジムだ。

「お年寄り向け」とは言うが、私を含め30代、40代の中年も多く通っていて、おばさまたち同士でいろんな話をしていたりする。





とはいっても基本的にはお年寄りが多く、私がよくしゃべる年配の女性は80歳だというのだから驚きだ。ひざを悪くしていて医者に「動かさないとどんどん動かなくなってしまう」と言われたのが、通うきっかけだったらしい。

私がこのジムに通うきっかけとなったのも、ちょっとした経緯がある。大学を出て仕事をし始めた頃、体重が10キロ以上増えた。このままではいけないと思って、市が運営している体育館のジムには行っていたのだが、そこではマシーンを決まった人がいつも独占していて、思い通りに筋トレが出来なかった。そんな時、今通っているジムのトレーナーさんに出会ったのである。

それは買い物を済ませスーパーを後にしようとした時だった。若い女性にチラシを渡され声を掛けられた。「今、無料で血管年齢を計っているんですよ。試してみませんか?」そう言って指をさす方向を見れば、多くの買い物帰りの主婦たちが、なるほど何やらイスに座り機械に指を入れている。私も言われるがまま、いつの間にか機械に指を入れ血管年齢を計っていた。

そして出たのだ、衝撃の数字が。その当時私は28歳だったのだが、血管年齢はなんと40歳。数値を見た時、冷や汗が止まらなかったのを覚えている。そしてそのまま、まんまと勧誘され今に至るのである。

実を言うと私は、昔から運動自体は嫌いではなかった。そう言うと「マゾヒストだものね」とか、皮肉を言う輩がいるが、断じて私はマゾヒストではない。(物理的に痛いのも精神的に痛いのも心底嫌いである。)

好きな理由はいつも絵を描いていた子供時代から肩こりがひどく、運動すると体がほぐれ楽になるのを知っていたからだ。体育の授業は嫌いだったが(人づきあいやグループを組んで対戦するというのがつらいため)、自分勝手にマシーンなどを使うは好きだった。

そして今、日々の運動の大切さを改めて痛感している。パソコンでの作業などをしていると、本当に肩が凝る。そんな時に30分でも身体を動かすことで、こんなに身体が楽になるものなのかと驚く。また、油絵の大作などをつくる際にも、体力がついているのかあまり疲れなくなった。

あとは体重と内臓脂肪が落ちてくれれば申し分ないのだが、それがなかなか難しい。改めて食生活を見直そうと考えている。

これを書いている今も肩が凝っているので、終わり次第ジムに行こうと思います。


【木村きこり】
漫画家/美術家
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