[5183] 相手の立場になって考えてコンテンツを作ろう/視点が変わると─

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《他者と共存していくために大切なスキル》

■LIFE is 日々一歩(135)[ウェブ]
 相手の立場になって考えてコンテンツを作ろう
 森 和恵

■ツナLIFE[006]
 視点が変わって見えてくるもの
 みなみ まいこ
 



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■LIFE is 日々一歩(135)[ウェブ]
相手の立場になって考えてコンテンツを作ろう

森 和恵
https://bn.dgcr.com/archives/20210309110200.html

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こんにちは、森和恵です。年度末の慌ただしさの中ですが、日に日に暖かくなったりして春を感じると気分がウキウキしますね。

今回は、ウェブコンテンツでの『説明責任』を語ろうかと思います。

先日のahamoでspモードが利用できない騒動と、わたしがネットでチョコを買った時に受けた仕打ちが似ていて、このテーマで書くことにしました。

コンテンツが説明不足だと、お互いに悲しみの連鎖が生まれるだけです。ほんとにね。

●ライブ授業『WordPressの組み込み方 2021年版』スタート

本編に入る前に、ライブ授業の告知をさせてください。

3月から『WordPressの組み込み方 2021年版』という新シリーズをスタートしました。

ブロックエディタ(Gutenberg)導入後の、WordPressのイマドキの組み込み方をお伝えしていきます。

そろそろWordPressを学び直したいなという方、ぜひご覧ください。

第1回アーカイブ・環境構築と初期設定


第2回アーカイブ・ブロックエディタ基礎


●『読んだ、読んでない』の通販トラブル

〈バレンタイン ピエールマルコリーニ 遅延〉で検索すると、今年の2月中頃の記事がたくさん出てきます。

何か月も前に日付指定でネット予約したチョコレートが、バレンタインに届かないというクレームが頻発し、現在はネットショップが開店休業状態となっているようです。

この騒動を横目でみながら、わたしは「やっぱりなぁ。あのショップ、対応ヤバかったもんな」と思っておりました。

というのも、この騒動の一か月前に、同じショップで嫌な思いをしたばかりだったからです。

わたしは、最短の配送日で注文したため商品はすぐ届きました。ですが、注文したものと違う味の商品でした。

間違って配送されたのかと問い合わせると、ショップ側から『時期により中のフレーバーの種類に変更があることは購入ページに記載しております。ご了承ください。』とそっけない返事がありました。

ページをよく見なおすと、商品画像の隅の方に小さな文字でそのことが記載がされていました。

当時のこのショップとのやりとりを、一連の流れでツイートしています。



但し書きを見逃したわたしも不注意でしたが、ショップ側も注意事項を購入前に確実に伝える義務があるのではないかと、憤りを感じました。

購入後に「お届けした商品はいががでしたか?」というリマインダーメールが届いたので、次のような意見メールを返信しておきました。

「画像内の文字にのみ記載されている注意事項で、ユーザーに届くのか?

この商品は、注文前のフォームで、かなりたくさんの注意事項の記載と確認の入力項目があります。『商品の味が違うことがある』ということについては、ここに掲載すべきことではないですか?

3000円で6個の商品で、味がひとつ違うということは、500円の商品が希望に添わないということです。有名ブランドのショコラティエとして、そういうスタンスで、ユーザーは納得するでしょうか?」

●「購入前の注意」をアナウンスするむずかしさ

ドコモの新サービスahamoは「spモード コンテンツ決済サービス」に対応していないのですが、そのことが申し込み予定のユーザーに周知されていなかったようで、先日ちょっとした騒動になっていました。

事の発端は、ある方の「THE YELLOW MONKEYファンクラブの注意事項を読んで、初めてahamoがspモードに対応しないことを知った。」というツイートがバズったことです。

ツイートされた方は、ahamoの公式サイトを読んでもわからなかったことを問題にしていました。気になったので「ahamo spモード」で検索してみると、spモード決済を利用するサービスから、同様の注意喚起が配信されていました。

THE YELLOW MONKEYからのお知らせ
https://theyellowmonkeysuper.jp/news/detail/11584


EXILE mobileからのお知らせ
https://m.ex-m.jp/news/detail?news_id=32014


続けて、ahamo公式ページにはどんなアナウンスかと調べてみると、トップページでは「ahamoではキャリアメールの利用ができません。」と記載があるのみで、spモード決済の利用ができないことについては触れられていませんでした。

https://web.archive.org/web/20210303030750/https://ahamo.com/

※私が調べた当時のahamoのトップページのアーカイブ

この騒動を受けて、現在のトップページでは注意事項が書き換わっています。

「ahamoではキャリアメール等一部ご利用できないサービスがあります。詳細はこちら」とし、プラン変更後に利用できなくなるサービスを説明するページへ誘導しています。

https://ahamo.com/


ユーザーが乗り換えた後で発覚せず、事前に必要な情報を周知できたことで、大きなトラブルにならずによかったと思います。

「サービスを乗り換えた利用者がどうなるか?」を、もうすこし具体的に想像していれば、騒動が起きる前に最初からこの形でアナウンスできたのかもしれません。

利用者に対して、どこまでの情報をどのタイミングで提供するのかは、むずかしいなと感じました。

●『相手の立場になって考える』=みんなが幸せ

販売する商品やサービスを売り込むコンテンツでは、マイナス面をできるだけ目立たせたくない、書きたくないという気持ちは理解できます。

ですが、説明が不十分だったときに発生するマイナスは、もっと大きく企業にのしかかります。

利用する相手の立場になって、必要なことを想像し、十分にしっかりと伝えることの大切さをしみじみと感じました。

このことはコンテンツ制作に限らず、他者と共存していくために大切なスキルだと思います。

それを面倒がらずに実行している人を心から尊敬しますし、わたしもそうあるように努力したいです。

というわけで、今回はこの辺で。

ではまた、次回お目にかかりましょう!
(^^)


【森和恵 r360studio ウェブ系インストラクター】
mail: r360studio@gmail.com
YouTube: https://youtube.com/r360studio

サイト: https://r360studio.com/



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■ツナLIFE[006]
視点が変わって見えてくるもの

みなみ まいこ
https://bn.dgcr.com/archives/20210309110100.html

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最近、少しずつ外出をすることができるようになってきた。

抱っこ紐や、ベビーカーで近所を歩くと、それまで何も気に留めていなかったことが、たくさん感じられるようになった。

今までは、交通量の多いバス通りでも、駅までの道のりが最短であるということで、狭い歩道や、ある場所では歩道がなくなるので、仕方なく車道にはみだして歩いていたが、ベビーカーを押しながらではそのような道を通ることはできず、比較的車の交通量の少ない住宅街の中の道を使うようになった。

しかし、そこは人や自転車の通行量が多く、道も狭いのでヒヤリとすることも多い。

また、歩道のちょっとした段差も、ベビーカーで越えることが非常に困難だということも、初めて知った。女性でも扱いやすいよう、軽量化や小型化されたベビーカーの車輪は小さく、自転車のようにはうまく扱えない。

毎回、うっかり段差で止まってしまい、その衝撃にスヤスヤと寝ている子供がビクッと驚く。衝撃を吸収してくれる構造を持ったベビーカーを選んだつもりだが、頭へのダメージが心配だ……。

普段、何気なく歩いていた道も、使う者の立場や視点が変わると、違った見え方ができる。

買い物で利用する店も変わってきた。

それまではある程度遠くても、安い店や新鮮な野菜の買える店を利用していたが、今はそう頻繁に買い物にも出かけられないので、一度で済み、かつ赤ちゃん連れに配慮されている施設に行くようになった。

それまで気にも止めなかった、オムツ替え台と授乳室をあらかじめ探して買い物に出る。しかも、施設の中でもオムツ替え台が、省スペース化で替えづらい向きに設置されていることが多いことにも気付かされた。

当事者にならないと、まったく気にしなかったことだ。

ただ、一人一人ではその設備を利用する期間はとても短いのだろう。

きっと使いづらくても、「今だけだから」とか、「こんなものだろう」と思ったり、そんな些細なことよりも子育ての方が忙しく、他のことにかまっていられないということの方が多い気がする。

これから子供も成長していって行動範囲が広がっていくと、また別の事が見えてくるだろう。そうして今度は自分が年老いて、また違った物の見え方になる。

街づくりや、商業施設を作る人たちは、そうした様々な事情や世代の利用者に思いを馳せて、街や建物を作る。きっと万人受けということは無理なのだろうけど、少しでもそこに近づけるという気持ちが本当に凄いと思う。

まだせいぜい隣の駅までしか自分一人で子供を連れて外出できていないが、これから気候もよくなってくるし、いろんな花が咲き乱れる季節がやってくる。

いまだ少し、人との距離は遠いかもしれないが、臆せずにいろんな場所に、子供を連れて行きたい。それまでに、いかに事前の準備を整えるかと、私の体力づくりを、がんばっていこうと思う。


【みなみ まいこ】
漫画家
nghtbee.oct1@gmail.com
https://twitter.com/maiko_oct1


私の漫画作品を投稿しているサイト
https://daysneo.com/author/373maiko/


同人誌の販売も行っています
https://yorunohachi.booth.pm



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編集後記(03/09)

●偏屈BOOK案内:川北義則「ボケの品格 清く、気高く、いさぎよく」徳間書店 2019
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198650004/dgcrcom-22/


さいきん妻から「ボケたんじゃないの」とよく言われる。正直、ボケたと自覚することは度々ある。別にショックでもなんでもないが、ちょっと不自由になったなあと思う。

同時に気楽になる。だってボケちゃったんだもん、と居直ることができる。その時々の都合で、ボケたりボケなかったりする。

筆者・川北義則さんは往年のベストセラー「男の品格」の著者。いま84歳。

行きつけの病院の担当医に「軽度のアルツハイマー型認知症です」と告げられた。認知症は脳の萎縮が原因とされる。医者が示した画像には、はっきりその兆候が見て取れた。

彼はきわめて冷静に診断を受け入れた。物忘れが増えたり、曜日が一瞬思い出せなくなったりし始めていたからだ(わたしの現状はまさにそれだよ:柴田)。

川北さんは、速く走れなくなる、瞬発力がなくなる、皺が増える、耳が遠くなるといったことと同様に、認知症も加齢とともに生じる、ある種の現象なのだと割り切ることにした。

「それだけ長生きできたということだ」と結論づけ、「ボケたからといって、できることはまだまだある」とポジティブに考える。

認知症は加齢に伴うある種の自然現象にすぎない。

医者の話では、認知症という診断に怒ったり、塞ぎ込んだりする高齢者も多いらしい。かつては「痴呆症」と、侮蔑的ニュアンスで呼ばれていたため、恥ずべきことと感じてしまうのだろう。

でも、認知症は進行を抑える薬もあるし、早めに意識的に対応策を実践すればQuality Of Life(生活の質)を低下させずにすむといわれている。

「思考力、記憶力が低下しつつあることは否定できない。しかし、それでも消滅したわけではない。わたしはそんな現実をきちんと受け入れ、その現実と折り合いをつけながら、生きていこうと思っている」。

じつに潔い。それしかないけどね。そして、「せっかく認知症になれたのだから」という思いで、この本を書いたという。いいネタを見つけてよかったですね。自分自身を取材すればいいんだから。

「人は年を重ねれば、認知症であるかないかにかかわらず、多かれ少なかれボケる。しかし。私は『いい年の取り方』と『悪い年の取り方』、さらに『いいボケ方』と『悪いボケ方』があるように思う。できればいいボケ方をしたいものだ」

自らを見つめながらいいボケの指南をしようと思ったそうだ。それにしても、タイトルはあざとい。気負いすぎではないか。編集者がつけたんだな。

「認知症」は英語で Dementia という。現在、65歳以上の高齢者における認知症患者数は約7人に1人の462万人(有病率15%)と推定されており、2025年には約5人に1人が認知症を発症すると予測されている。

それにしても……「認知症」というネーミングは、自分自身を疑っている者としていやな感じだ。そして、このテキストを書くとき、今までにはなかったようなタイプミスが異常に多かったのはなぜだ。(柴田)


●『貞操逆転世界』というマンガを三話読んだ。システムにオススメされたのだ。女性が性別隠して活躍するマンガを読んだせいかもしれない。

「市川桃奈が病院で目覚めるとそこは男女の貞操観念だけが逆転した世界だった。下ネタで盛り上がる女子高生、女性向け店舗ばかりの風俗街、トップレスの女芸人が出演する地上波に、もっこりハイレグのイケメンがジョッキを掲げるビールの看板……。」

何コレ? 男子校に女性が侵入して逮捕されたというニュース、看護師は男性が当たり前、女性がAVの貸し借り。授乳時のママさんや女性お笑い芸人は平気で胸を出す。かと思えば、胸を隠すための星マークつきの水着姿の男性の広告。

主人公の「男のもっこり水着とビールになんの関係があんのよ……」に吹き出した。そういやそうだわ。サントリーの『赤玉ポートワイン』の広告から作られた歴史?

貞操逆転世界
https://manga.line.me/product/periodic?id=916074


赤玉の歴史 日本初のヌードポスター
https://www.suntory.co.jp/wine/original/akadama/history/


『愛ちゃんの死』トレンド入りに不安の声も実は…
https://www.daily.co.jp/gossip/2021/03/07/0014133857.shtml

宝塚歌劇以外に連想できなかったわ