ツナLIFE[006]視点が変わって見えてくるもの
── みなみ まいこ ──

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最近、少しずつ外出をすることができるようになってきた。

抱っこ紐や、ベビーカーで近所を歩くと、それまで何も気に留めていなかったことが、たくさん感じられるようになった。

今までは、交通量の多いバス通りでも、駅までの道のりが最短であるということで、狭い歩道や、ある場所では歩道がなくなるので、仕方なく車道にはみだして歩いていたが、ベビーカーを押しながらではそのような道を通ることはできず、比較的車の交通量の少ない住宅街の中の道を使うようになった。

しかし、そこは人や自転車の通行量が多く、道も狭いのでヒヤリとすることも多い。





また、歩道のちょっとした段差も、ベビーカーで越えることが非常に困難だということも、初めて知った。女性でも扱いやすいよう、軽量化や小型化されたベビーカーの車輪は小さく、自転車のようにはうまく扱えない。

毎回、うっかり段差で止まってしまい、その衝撃にスヤスヤと寝ている子供がビクッと驚く。衝撃を吸収してくれる構造を持ったベビーカーを選んだつもりだが、頭へのダメージが心配だ……。

普段、何気なく歩いていた道も、使う者の立場や視点が変わると、違った見え方ができる。

買い物で利用する店も変わってきた。

それまではある程度遠くても、安い店や新鮮な野菜の買える店を利用していたが、今はそう頻繁に買い物にも出かけられないので、一度で済み、かつ赤ちゃん連れに配慮されている施設に行くようになった。

それまで気にも止めなかった、オムツ替え台と授乳室をあらかじめ探して買い物に出る。しかも、施設の中でもオムツ替え台が、省スペース化で替えづらい向きに設置されていることが多いことにも気付かされた。

当事者にならないと、まったく気にしなかったことだ。

ただ、一人一人ではその設備を利用する期間はとても短いのだろう。

きっと使いづらくても、「今だけだから」とか、「こんなものだろう」と思ったり、そんな些細なことよりも子育ての方が忙しく、他のことにかまっていられないということの方が多い気がする。

これから子供も成長していって行動範囲が広がっていくと、また別の事が見えてくるだろう。そうして今度は自分が年老いて、また違った物の見え方になる。

街づくりや、商業施設を作る人たちは、そうした様々な事情や世代の利用者に思いを馳せて、街や建物を作る。きっと万人受けということは無理なのだろうけど、少しでもそこに近づけるという気持ちが本当に凄いと思う。

まだせいぜい隣の駅までしか自分一人で子供を連れて外出できていないが、これから気候もよくなってくるし、いろんな花が咲き乱れる季節がやってくる。

いまだ少し、人との距離は遠いかもしれないが、臆せずにいろんな場所に、子供を連れて行きたい。それまでに、いかに事前の準備を整えるかと、私の体力づくりを、がんばっていこうと思う。


【みなみ まいこ】
漫画家
nghtbee.oct1@gmail.com
https://twitter.com/maiko_oct1


私の漫画作品を投稿しているサイト
https://daysneo.com/author/373maiko/


同人誌の販売も行っています
https://yorunohachi.booth.pm