デジアナ逆十字固め…[73]水滴レンズを静止させる/上原ゼンジ

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前回は消臭ビーズをレンズ代わりに使ってみるという話を書いた。その後、ホームセンターや100円ショップで、いろんな透明ゲル状物質と遭遇した。まず、猫砂。もちろん本物の砂じゃなくて、小さな球状の固体。これが猫のオシッコを吸うと大きくなって、プヨプヨの小さな玉になる。7.2リットルも入っていたから、買うのを躊躇したが、芸術のためにゲット。猫飼ってないし、余ったらどうしよう。自分で使うっつってもなあ……。

猫のオシッコ用のものがあるんだから、赤ちゃんや老人用のオムツの中にもこういった物質が入っていてもおかしくはない。というか、昔オムツを洗濯機に入れてしまい、ほかの洗濯物に透明のデロデロのものが付着して、カミさんが激怒したという事件があったなあ。そう、そう、そう、ありました、ありました。うん、オムツは止めておこう。


ネットで探して買ったのが、植物栽培用のもの。土の代わりに使うのだが、透明のコップなんかに入れておくと、部屋に飾っておいても美しい。最初の状態では、1mm程度の玉なのだが、水を吸うと最大12mmぐらいになる。このぐらい大きいとレンズとしても使いやすいのでGood。

さらに手頃なのは、同じく植物栽培用のものだが、100円ショップで入手した。量が多くないし、105円で買えるところがいいな。猫砂を買う前にこれを見つけていれば……。ということで、私の真似をしてみたい人は猫砂よりも、100円ショップの植物栽培用のものがいいよ、というトクトク情報でした。

●ツルの先に水滴をつける

ゲルを使わなくても、花や葉っぱについた水滴をレンズにするという方法もある。花や葉っぱというのは、水を良くはじくので、けっこうぷっくりとしたレンズが出来上がる。ただ、屋外で撮る場合には、水滴レンズと被写体の位置が問題になるし、ブレやすく風に弱いという難点がある。

とりあえず、室内で試してみた。等倍のマクロレンズを使っているが、さらに寄りたいので、ベローズを併用した。ベローズというのはレンズとボディの間に挟む蛇腹で、これを延ばしていくと、かなり小さなものまで画面いっぱいに撮影できるようになる。

近所を徘徊して、実験に使えそうな植物を採集してくる。まず、つる性の植物。できればツルの先端の、くるりんとした部分に水滴をのせてレンズにしてみたい。

撮影は割と神経を使うものだった。まず、被写体が小さいのが一番の原因。それから、レンズに余計なものが映り込まないように気をつけなければいけないし、レンズに映り込む光源の形なんかも気になる。ツルをうまい具合に支持しなければいけないし、ツルの先にスポイトで水滴を乗せるのもなかなか難しい。

けっこう大変ではあるけど、水滴は透明度が高くてきれいだし、この水滴の宇宙は今後も楽しめそうだ。

ついでに、花や葉っぱについた水滴自体の撮影もしてみた。水滴をレンズとして使うのではなく、水滴自体にスポットを当てるということ。花の写真を撮る時に霧吹きで水滴を付けて撮影する方法があるが、いい気になってシュッシュカ、シュッシュカ、霧をかけていると、ちょっとあざといイメージになってしまう。分かりやすい、きれいきれいな写真のイメージだ。その辺は避けて通りたいんだけど、突き抜けられれば、面白くなりそうな気もする。

◇つるレンズと水滴を味わう写真
< http://www.zorg.com/photo/zenji/ >

●ミルククラウンのテクニックを応用

葉っぱに水滴を乗せるのではなく、空中に静止した水滴をレンズにする方法というのも、実際に試してみることにした。ミルククラウンの撮影法が応用できるはずだ。ミルククラウンというのは、牛乳の海の中に牛乳のしずくを垂らすと、王様の冠のような形にはねるというもの。

撮影法としては、暗い所でストロボを光らせる。短い閃光時間のおかげで、落下する雫を静止させることができるというわけだ。ただし、いいタイミングでシャッターを切ることは至難の業なので、電気的な装置を使ってタイミングを合わせるというのが、一般的なミルククラウンの撮影法だ。

しかし、私としては、とりあえずちょっと試してみたいだけなので、そんな装置を買ったり作ったりというのはしたくない。デジカメだったら、撮影枚数を気にする必要はないし、ヘタな鉄砲も数打ちゃ当たる方式で、とりあえずやってみることにした。それと、最近のカメラはシャッタースピードも早くなってるから、定常光で動きを止められないだろうか、というのも試してみたい。

ネットで調べたミルククラウンの撮影法で知ったのが、水滴を一定間隔で落とすための器具。点滴で使うものですね。ローラークランプというらしいが、管に圧力をかけて、滴下量のコントロールを行う。これはぜひ欲しい器具だね。なんか医療用の器具とか理化学器具っていうのはそそられるんだよなあ……。

調べてみると安いものなのだが、安いものに高い送料がかかるのが、ちょっとくやしい。しばらく買い控えていたが、結局東急ハンズでチューブ付きのものを発見して、即購入。勝利は目の前だ。

ペットボトルのフタに穴を開けてチューブを取り付ける。さらにペットボトルの底を切って逆さまにして水を入れておけば、ポタポタと水滴が落ちる装置の完成だ。試しに水を入れて滴下量のコントロールをしてみるが、なかなか調子いい。

実際に落とす水の中には、ローションを入れて、少し粘度を増してみた。ミルククラウンがクラウンの形になるのは、水よりも少し粘っこいからだ、という記事を「子供の科学」で読んだような記憶があるからだ。

そして、すべてのセッティングを終え、水滴を垂らそうとしたのだが、全然落ちてくれない。たぶんローションを入れたせいだろう。チューブをしごいてみたり、いろいろやってみたが、うんともすんとも言わない。一回装置を全部バラして、吹いたり、吸ったりしてみたが、完全に詰まってしまっているようだ。

ウーム、どうしてくれよう? (つづく)

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