デジアナ逆十字固め...[127]『こんな撮り方もあったんだ! アイディア写真術』刊行
── 上原ゼンジ ──

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新しい本が出た。『こんな撮り方もあったんだ! アイディア写真術』というタイトルで、デジカメWatchに書かせていただいた原稿を大幅加筆訂正し、撮りおろしの写真などもたくさん入れて構成した本だ。内容は、宙玉、太陽画、ブレ写真、万華鏡写真、トイ蛇腹、水玉・泡玉など。多くの作例を交え、撮影の方法などを紹介している。

今までの本というのは、わりと読者のニーズなども考えながら構成していたのだが、今回のは私の趣味が前面にでており、ここ何年か私が最近取り組んできたことの集大成的なものになっている。

元はと言えば、日刊デジタルクリエイターズの連載用に思いついたネタだった。「手作りのレンズを作ったらどうだろう?」という発想から連載を始めたが、一週間ごとに締切がやってくるため、必死でネタを考えなければならなかった。それがどんどん広がって、宙玉レンズや手ブレ増幅装置へとつながったというわけだ。

一番始めの工作は、紙筒の先に100円ショップで買った双眼鏡のレンズをくっつけ、フタのスライドによりピント合わせをするというものだった。金属を加工したりするスキルがなかったのと、なるべく簡単な工作にして、いろんな人に楽しんでもらいたいと思ったからだ。そんな工作を6年もやっていたらどんどん工具も増えてゆき、この間はついにボール盤まで買っちゃいました。

ボール盤というのは、電動ドリルとそれを支える台が一体化したもので、垂直に穴をあけることができる装置のこと。なんでこんな大袈裟なものを買ったのかというと、宙玉レンズ用にガラスのフィルターに穴をあけるためだ。最初にフィルターに穴をあけた時は専門家に依頼した。でも、やはり自分でできた方が便利なので、穴をあけるための試行錯誤を始めた。




でもねえ、うまくできるようになるまでに10枚ぐらいフィルター割っちゃいましたよ。最初は普通の電動ドリルにガラス用の刃を付けてグリグリと削っていたのだが、穴をあけているうちに微妙に動いてしまい、穴はあいても中心にならないのだ。

こんな作業には、刃も穴をあける物も固定できるボール盤が向いていると知ったのだが、値段が高いしけっこうゴツい。しょっちゅう使うものでもないから、使ったあとの置き場にも困ってしまう。

そんな時に私が出会ったのは、REXONの小型ボール盤DP2250Rでした。本体寸法はW180×D275×H410mm。想像してみてください、幅が18センチしかないんですよ。小さいでしょ。しかもお値段ナント11,500円。これは買うっきゃないでしょ。早速カミさんに内緒でポチりました。しかしいくら小さいとはいえ、これを使うとかなりの騒音が出るので、すぐにバレちゃったけど。

◇これがそのボール盤
< http://www.japan-hobby-tool.com/cart/syouhin.php?cat=00000052&no=00003104
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●いつもとは違う体制で編集

単行本の制作というのは、通常は編集さんと二人でチマチマやるんだけど、今回は少し規模が大きかった、最初の打ち合わせは編集2名、デザイナー2名、そして私という5人で行った。その後もメーリングリストを作って互いに意見を交換しながら、構成やタイトル、表紙デザインなんかを決めていったのでなかなか面白かった。ただ、デザイナーさんには著者まで直接意見を言ってくるので、ちょっと負担だったかもしれないけど......。

いつものやり方だと、デザインのフォーマットを貰って、こちらでInDesignに組んだものを渡し、デザイナーさんにブラッシュアップしてもらうというような段取りなのだが、今回はドサッと写真やテキストを編集さんに渡して「好きにして」という方式をとった。

自分であんまりやり過ぎると、考えが限定されてしまって面白くないからだ。やはりチームで作業をするのなら、違った面白いアイディアをどんどん取り入れていきたい。

そういう意味では編集者、デザイナーの手間のかかった本になったと思う。そして自分で出来上がった本を見ていて思ったんだけど、「オレって相当しつこい人間だよな」ということだ。きれいなレイアウトでオブラートにくるんでは貰っているけど、粘着的な部分が滲み出しているように思う。森山大道さんからは「病気」と言われたけど、こういう部分のことなのだろうか。

●本の中身を全ページ見せます!

今回は本の中身をパラパラと見てもらうために、全ページが収録された動画を作ってみた。InDesignから見開きのPDFに書きだしたものを、Photoshopのバッチ処理でリサイズなどの処理をしてJPEG化。iMovieに読み込んで、それぞれの写真の秒数を設定した。最初は文字が見えすぎで全ページ無料配布になりそうだったので、解像度を落としてYouTubeにアップしてみた。

本の中身を見せるというのはあるけど、新刊で全ページというのはないんじゃない?(ありますか?)なんでこんなことをやろうと思ったかと言うと、本をパラパラやってみれば、興味を持ってくれる人も増えると思ったからだ。

Amazonなんかでも、「なか見!検索」はあるけど、私自身はあまり利用していない。それよりもYouTubeにアップしておいた方が、人目に触れる機会も増えるんじゃないかという計算だ。

まあ中身を見せると言っても、0.3秒でページが切り替わっちゃうんですよ。本当に次々ページが変わるので、なんとなくは分かるけど、よくは分からない。「なんかよく分からないけど面白そうだから買っちゃえー!」という人がいっぱい増えてくれるというのが狙いなんだけど、さて効果はあるかな。

・YouTubeにアップした動画
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・インプレスジャパンでは目次なども掲載されてます
< http://www.impressjapan.jp/books/3273
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