[2407] ルーブルの装飾美術

投稿:  著者:  読了時間:21分(本文:約10,200文字)


<前のデザインの方が圧倒的に好きなんだもん!>

■装飾山イバラ道[12]
 パリ旅行記(2)ルーブルの装飾美術
 武田瑛夢

■気になるデザイン[11]
 替えない方がいいのになぁ……。
 津田淳子

■曜日感覚のないノラネコ[14]
 「お客様事例」を作る
 須貝 弦

■イベント案内
 第20回CGアニメコンテスト入選作品上映会

■展覧会
 第10回亀倉雄策賞受賞記念佐藤卓展


■装飾山イバラ道[12]
パリ旅行記(2)ルーブルの装飾美術

武田瑛夢
< http://bn.dgcr.com/archives/20080415140500.html >
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ルーブル美術館は、広大すぎて全部回るには数日はかかるという。ガイド誌に載っているおすすめルートをたどるだけでもけっこう大変なものだ。今回は、ツアーではないので、どこでも見たいものからゆっくりと見られるのが利点。

私は自分のWEBサイトに「デコラティブマウンテン」という名付けたほど、デコラティブなものが大好きだ。ルーブルのように古い時代の作品が多い美術館でも、見たいものは絢爛豪華な室内装飾。そういったコテコテのデコラティブなものを刺激的に味わうには、最初から見た方が良いと思ったので、順路を決めていった。好きな食べ物は、まだお腹がすいているうちに食べた方がおいしいですもんね。

ということで、ガイド誌にも載っているナポレオン3世の居間や太陽神アポロンのギャラリーを、初日のメインとしてまわることにした。ルーブル美術館は全体をいくつかに分けて「○○翼」という名前をつけている。「リシュリー翼」がナポレオン3世の居間を含む展示室だ。ここには、あらゆる時代の美術工芸品がある。

展示室はいくつもの部屋に分かれていて、家具調度品や宝飾類を見ることができる。特に17世紀以降の家具や食器の美しさは、贅を極めていて素晴らしい。最初から力を入れて見ていては時間もかかるのに、ついつい足を止めて見入ってしまう。いちいち目が釘付けになってしまうので歩くのが大変だ。

たんすのような家具の引き手金具の装飾や、足となる部分に鎮座するライオンなど細部に至るまで凝りに凝っている。私は日本でもアンティークの宝石やカメオを見るのも好きだけれど、アンティークショップというのはさほど広くなくても全部見るのには時間がかかるものだ。小さなガラスケースをじっくりと視線を移動させて見るし、小物と自分が静かに対話するような感覚。特に際立つものは特別に囲まれたスペースに置かれていたりする(値段も高い)。

それがルーブルでは、広大なスペースに数多く置かれたガラスケースに入っているもの全てがとびきりの品々。どんなにケースの端にあるものでも時間をかけて見るだけの価値があるものだ。値段のつけようがないような逸品ばかり。デジタルカメラで全体写真、細部の写真を撮っていく。今回の旅行では失敗を含めてトータル1000枚位の写真を撮った。

家具類で一番のお気に入りは1819年制作の「化粧台」というもの。シャルパンチエ夫人の依頼で、ニコラ=アンリ・ヤコブが設計したドレッサーで、クリスタルのカットが美しい透明なドレッサーと椅子のセットだ。まるで、お姫さまの使う鏡台そのものというかわいらしさ。そして、すごく保存状態もよくてキラキラしている。

枠や台座は金色で縁取られていて、色はゴールドと透明しか感じさせない。最近のおしゃれなインテリアショップにもアクリルで作られた家具があるけれど、この時代に「透明の家具」とは、なんて素敵なんだろう。現物の綺麗さは写真に全然写らないのがもったいない。
・化粧台
< http://www.eimu.com/dgcol/dres.jpg >

多くの美術品を見歩くにつれ、さすがに流して見られるようになって来る。写真にもテーマが必要な気がしてきて、装飾に多く使われる「動物」、特に「ライオン」ばかりをバシバシ写真に収め始める。ライオンは私の絵のモチーフでもあるし、こんなにいろいろなライオンの装飾品を、しかもレベルの高いものを見られる機会はめったにないので嬉しい。
・けなげなライオン
< http://www.eimu.com/dgcol/leo.jpg >

この「リシュリー翼」で一番多くの人で混雑していたのが、アポロンギャラリーと呼ばれる61メートルの細長い部屋だ。壁面からはじまった金色の漆喰装飾が天上へと伸び、いくつもの絵画で埋め尽くされている。バロック様式の極みとも呼べるような部屋だ。

ルイ14世が、ヴェルサイユの前にルーブル宮を考慮に入れていたというのもなるほどと思う。実際にヴェルサイユにある「鏡の間」のモデルにもなっていて、自分の撮ったデジカメ写真でもこの二か所は似ていて、どっちがどっちか混乱する。
.アポロンギャラリー
< http://www.eimu.com/dgcol/apo.jpg >

こういった部屋は、総装飾づくしといった感じで、すっきりした壁面がどこにもなく、絵と扉の間や壁と天上の間にも、すべて金彩の模様や立体浮き彫りの人物で埋まっている。その装飾は、天上でピークに達するかのごとくまとめられている。

どんな時代でも、この天井を見上げる時の感覚は、見る者の思考に大きな影響を与えていたと思う。それは旅行の終わりの頃に行った、ノートルダム大聖堂でも実感した。人を大きく包む空間の力は、宮殿では権力を示すのに使われ、寺院では信仰心を高める作用があったのではないか。

1861年に完成したナポレオン3世の大広間にも、ルイ14世様式が使われている。金や彩色天井、豪華な絨毯などがあり250人を収容できるという。中央にある巨大なシャンデリアも、振り仰ぐゲストを上から包み込むパワーがある。

当時最高の技術を使ったシャンデリアは、見る者を圧倒したに違いないし、それは「未知との遭遇」の光り輝く円盤のように、何だかとてつもない。当時の人が見ても、自分の知識を超えたところにあるものを作ってしまった人がいるという感覚だったのではないだろうか。憧れや嫉妬、感銘の入り混じったような気持ち。
・シャンデリア
< http://www.eimu.com/dgcol/npo.jpg >

ルイ14世自身も、当時の財務長官であったフーケという人物の城での宴に招かれて、その城の素晴らしさに激しく嫉妬したという。後に横領による罪でフーケは投獄されるのだけれど、フーケの城の調度品のほとんどはルイ14世によってヴェルサイユへ運ばれたというのだから、よほど強い思い入れがあったらしい。

他国の王にも自分の力を認めさせたい。最も効果的なのは、自分の作ったもので包み込んでしまうことだ。ヴェルサイユ宮殿を作るヒントは、自らの過去の感情にもあったのではないか。誰かが作ったものに刺激を受けて、さらにその力を自分に取り込んでいく。それは支配する側も、作り上げる職人たちにも言えることだと思う。

私はクリエイターなので、どうしても技術や完成度に目がいってしまい、権力的なことを考えるのは後回しになりがちだけれど、今回はそういうことを同時に考えざるを得なかった。パリの歴史的芸術品とは、そういうものなのかもしれない。

次回はヴェルサイユ宮殿編です。

【武田瑛夢/たけだえいむ】 eimu@eimu.com
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装飾アートの総本山WEBサイト“デコラティブマウンテン”
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■気になるデザイン[11]
替えない方がいいのになぁ……。

津田淳子
< http://bn.dgcr.com/archives/20080415140400.html >
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皆さんは年に何回くらい飛行機に乗るのだろうか。私は海外はあまり行く機会がないが(お金がないし、長期休暇も取りにくいし・苦笑)、国内旅行へはちょくちょく出かける。4月頭の週末も、ちょっと南大東島まで行ってきた。

南大東島は那覇からおよそ360km離れた島で、人口1400人程の離島。約8km北にある北大東島と、その2島からはかなり離れたところにある沖大東島(これは無人島)とで、大東諸島と区分されている。

今回で4度目になる島行き。「南大東島に行く」というと、多くの人から「何をしにいくの?」と聞かれるが、この島独自の地形や自然、生き物等が多く、何度行っても飽きることはない。今回も、この南北大東島にしかいない、天然記念物の「ダイトウオオコウモリ」も観察したし、整備されていない自然のママの鍾乳洞でケービングし、おもしろい鍾乳石や地底湖も見られた。そして今回は3年ぶりだったので、久しぶりに島の方々にもお会いできて、非常に楽しかった。

まあ、離島の話は尽きない程あるのだが、それは少しおいておいて、その旅中に気になったのが、飛行機のデザイン。

南大東島へは、那覇空港から琉球エアーコミューターという、JALの子会社であるJTA(日本トランスオーシャン航空/元南西航空)の、そのまた子会社の飛行機に乗って行く。南北大東島以外も、沖縄の離島へ何路線かこの琉球エアーコミューター(RAC)の飛行機が就航している。南北大東島行きの飛行機・DHC-8-100型機(通称 ダッシュエイト)は39人乗り、粟国島や波照間島へ行く飛行機・BN-2B型機(通称 アイランダー)は9名乗りと、社名(コミューター[commuter]は小型機の意)の通り、小さな飛行機に乗って行く。

ジャンボジェットが多数並ぶ那覇空港でこの小型機に乗ると、それだけで離島旅行気分が高まり、非常にわくわくしてくる。RACは機体のペイントもロゴも、JALグループの中では唯一、統一ビジュアルイメージである『Arc of the Sun(太陽のアーク)』を使用しておらず、独自のデザインのままだった。このRACの飛行機は、ベースの白に黄色とブルーでペイントされ、青い尾翼には沖縄らしいシーサーが描かれていて、非常に愛らしい。離島旅行仲間からも大変に評判のいいデザインであった。
< http://ja.wikipedia.org/wiki/Image:RAC_DHC-8.jpg >
< http://ja.wikipedia.org/wiki/Image:BN-2B-RAC.jpg >

ところが、昨年4月にロゴデザインが、あのひねり菓子がくっついたようなJALのロゴデザインと統一が図られたものに変更され、新しく入った飛行機のペイントも、なんとJALデザインと同じペイントがされてしまった……。旧機体も今後の重整備のタイミングでJALのペイントに統一されるという。ガーン。
< http://rac.churashima.net/ >

グループでデザインを統一する、というのは、ブランディングやCIの観点からは重要なことなのかもしれない。でも、単純に使う側からしたら、前のペイントデザインの方が、離島旅行気分も高まり、印象にも残り、非常にいいと思う。まあこれは個人的な好みの問題だと言われてしまえばそれまでなのだが、元の方がステキなのに、わざわざ塗り直す必要、ないんじゃないでしょうかね?

ちなみに、RACの尾翼に描かれたシーサーは、和田誠さんが描いたもの。うーむ、何度見てもかわいい。

今の日本の飛行機デザインは、例えば黒を基調にしたスターフライヤーなど、洗練されたものが多くなっていますが、RACのようにローカル色溢れるものも、残ってもいいのではないだろうか。スタイリッシュだけがいい、わけではない。

【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp
今回、めちゃめちゃ主観ばっかりのコラムになってしまいましたが、でも前のデザインの方が圧倒的に好きなんだもん! ということでお許しあれ。
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■曜日感覚のないノラネコ[14]
「お客様事例」を作る

須貝 弦
< http://bn.dgcr.com/archives/20080415140300.html >
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ここ何年か、ライターや編集といった仕事を細々とやっているけれど、時代とともにメインの仕事は移り変わります。ある時期は、秋葉原のPCショップを回って注目商品や相場を調べる仕事がメインでした。クライアントはWeb媒体で、当時(1999年〜2000年頃)Webコンテンツの執筆がメインというのは多少の珍しさもあったのだろうか、井上以知子さんの著書「パソコン在宅SOHO成功物語」で紹介してもらったこともありました。
< http://bn.dgcr.com/archives/20000805000000.html >

しかし、振り返ってみるとアキバ通いはほんの数年。ごくわずかなサラリーマン編集者時代も含めると、もっとも手がけてきた分野は「事例取材」です。あるときは雑誌の記事として、またあるときは広告記事として。そして、企業が自社のWebサイトで掲載する製品導入事例を取材・執筆する機会も多くなっています(というか、こちらのほうがニーズがあるような気がする)。

「ユーザー事例」「導入事例」「成功事例」などと呼ばれるこれらの企画は、紙/Webを問わずIT関連の媒体や企業のSPツールとして定番でしょう。人が何か商品を買ったり契約したりするとき、他人がどんなふうに使っているのか、どうしてそれを買うことを決断したのか、それによってどんなメリットが得られるのかといったことは、大いに気になるものです。個人でも、デジカメが欲しいとなれば、既に購入しているユーザーの評価が気になるし、雑誌やWebサイトに掲載されるレビューだって気になるでしょう。

そして、企業のWebサイトにユーザー事例が掲載されていれば、それはまさに「ショーケース」となります。プレユーザーはユーザー事例を読むことによって製品やサービスへの理解を深めるのはもちろん、自社がそれを利用しているシーンであったり、もしくは自分がその製品やサービスの導入を上司に提案しているシーンなどもイメージできるかもしれません。さらに、「ああ、このメーカーはこういった企業と取引をして良い関係を築いているのだな」といったことを知ることもできます。

良い事例記事を作るためには、当たり前ですが「良い事例」が存在しなくてはいけません。ただ「上手に使っている」「メリットを得られている」といったことだけでなく、その顧客と良い関係を日頃から築いている必要があります。そこをないがしろにして「とりあえず顧客DBからアタリをつけて、アポとって取材してみて、どうか!」では、上手くいかないこともあるのです。

いや、もちろん顧客DBからアタリをつけてアポを打診することもあるわけですが、単に「自社の宣伝のために事例取材をする」のではなく、事例取材がキッカケでも良いから「私はお客様と対話がしたい」という姿勢をしっかり見せておくことが、良い事例取材を行う条件のひとつだと感じています。

「事例記事を作らなくちゃ」という意識だけで先走った行動をとると、顧客からは「そりゃアンタんあところは宣伝になるだろうけど、ウチにメリットあるの?」という話にもなりかねません。もっとも、私はライターであって私自身がアポを取ることはないので、想像の範囲ですが。

また、仲が良すぎる相手とナアナアでやってしまうのもダメ。例えばソフトウェアメーカーの場合、担当者同士の関係がフレンドリーだからといって適当に事例記事を作ろうとすると、取材の段になって顧客から「ねぇ○○さん、あの機能なんだか使えないんだけどさぁ〜(笑)」なんて話が飛び出してしまうこともあります。何を聞きたいか、何を話してほしいかは、事前に正直に正確に詳しく伝える。もし先方がお困りのことがあれば、しっかりヒアリングして対処する。先の「対話したいという姿勢」とは、そういうことを含むのです。

【すがいげん/ライター】< http://www.macforest.com/ >
営業されている方、とくにサービスやシステムを売られている方は、営業先に「で、事例は?」って聞かれることが多いと思います。また、競合他社がどうやっているかも、当然気になるもの。私も、他の「ライター」と呼ばれる方々がどうやって喰ってるのか、いつも興味があります……。

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■イベント案内
第20回CGアニメコンテスト入選作品上映会
< http://doga.jp/contest/index.html >
< http://bn.dgcr.com/archives/20080415140200.html >
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CGアニメコンテストは、今年で開催20年目を迎えるという国内で最も伝統があり、かつ最大規模のCGアニメコンテストとして知られている。応募総数は今回600本以上とのこと。入選作品は極めてレベルが高く、現在、デジタル映像分野のスペシャリストとして活躍するCGアニメクリエイターを多数、輩出してきた。第20回は、国際的なCGアニメの大会である『CGアニカップ』の予選会としての性格も持っている。

◇東京上映会
日時:5月5日(月、祝日)12:30〜18:00(予定)
会場:なかのZERO大ホール(東京都中野区中野2-9-7)
入場無料(予約不要)、来場者多数の場合入場制限の可能性あり。朝10時から整理券の配布を開始する。
◇大阪上映会
日時:5月24日(土)12:30〜17:30(予定)
会場:大阪市中央公会堂(通称=中之島公会堂)(大阪市北区中之島1-1-27)
入場無料(予約不要)、来場者多数の場合入場制限の可能性あり。朝10時から整理券の配布を開始する。

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■展覧会
第10回亀倉雄策賞受賞記念佐藤卓展
< http://rcc.recruit.co.jp/g8/exhibition/g8_exh_200803_2/g8_exh_200803_2.html >
< http://www.jagda.org/ass_act_kame10.html >
< http://www.tsdo.jp/ >
< http://bn.dgcr.com/archives/20080415140100.html >
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会期:3月31日(月)〜4月25日(金)11:00〜19:00 土日祝休 水20:30
会場:クリエイションギャラリーG8
(東京都中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル 1F TEL.03-3575-6918)
内容:グラフィックデザイナー亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザイン界の発展に寄与することを目的として、1999年亀倉雄策賞が設立された。この賞の運営と選考は社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)が行い、毎年、年鑑「Graphic Design in Japan」出品作品の中から、最も優れた作品に対して贈られる。
第10回となる今回は、佐藤卓氏の“21_21 DESIGN SIGHT 第2回企画展「water」のVI、ポスター、会場デザイン”に決定した。water展受賞対象作品の展示に加え、2004年に発表した紙の積層技術を活かした「紙の化石」をさらに発展させた新たな作品の発表。そして、パッケージメディアの今後の可能性を示す立体物投影の実験を会場で試みる。

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■編集後記(4/15)

靖国への帰還・内田康夫「靖国への帰還」(講談社、2007)を読む。なぜこの本を選んだのかはわからない。新聞の書評か広告で見たのかもしれない。内田康夫は浅見光彦で知られるミステリー作家だが、読んだのは初めてである。まったく事前の知識はなく、どんな物語なのか想像もつかなかった。イントロで、海軍中尉・武者滋(22歳)は茅ヶ崎海岸の防風林で一人の美しい女学生に遭う。お互いが好意を抱き彼女はこの場で彼をモデルに絵を描く、という設定は強引な気もするが、この絵が物語のキーになると想像がつく。1945年(昭和20年)、海軍厚木基地から夜間戦闘機・月光で出撃した武者は、B29と交戦中に負傷し瀕死の状態で基地に帰還する。だがそこは62年後、2007年の厚木基地だった。タイムスリップ──読み始めて1/5くらいでSFであることがわかった。武者もこの異常事態を受け入れ、急速に現在を理解していくが、敗戦にもかかわらず驚くべき繁栄を遂げた日本に驚き戸惑う。彼は現在の靖国神社の不当な扱われように呆れ、驚き、怒り、悲しむ。祀られている「当事者」として、彼は感情の赴くままに靖国神社を熱く語る。それは率直で、純粋で、わかりやすく説得力がある。靖国神社が近年、ある勢力により意図的に「問題化」されて、論議がかまびすしい中で、小説のかたちをとった「偏った世論に異議あり」という筆者の発言である、と思うがどうなんだろう。もちろん、淡い恋心のまま別れた62年後の女学生との再会も、くだんの絵の導きで実現する。タイムスリップの物語構成ではお約束の終え方があり、予想通りこの物語もそのコースをたどっていくのには苦笑したが。筆者は、主人公に「こんな病んだ社会を守る為に、かつて、若者達が命を賭して戦ったわけではないはずだ。」「現在の日本人に欠けているものは『覚悟』と『責任感』だ。」と語らせる。はげしく同感する。誰かが、何かが、この本をわたしに読ませたのかも(!?)。(柴田)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/406214400X/dgcrcom-22/ >
アマゾンで見る

デザイン事務所の封筒・名刺・ビジネス文具コレクション・靖国神社と国旗国歌について書いていたが、知識足りないよなぁ、タブーだよなぁと途中で断念した。/事務所のお引っ越しのため、物の処分の難しさを実感している。物を減らしたい。にもかかわらず、『デザイン事務所の封筒・名刺・ビジネス文具コレクション』が欲しくなってきてしまった。私は紙ものはあんまりやらないんだから、と心を落ち着かせる。先日、打ち合わせに訪れた土地で、美術書やデザインコレクション本などが、古新聞とともに軽トラックの荷台に大量に積まれているのを見た。思わず立ち止まってしまったら、戻ってきた運転手さんが「近くですか? 回収に行きますよ」と言った。こ、これ、捨てるんですか? いくらかで譲ってもらえませんか、と喉まで出かかったが、打ち合わせ時間が近づいているのと、交渉が恥ずかしいのとで諦めた。どこかのデザイン事務所がお引っ越しで捨てたんだろう。宝の山はエンジン音とともに遠くに行ってしまったさ。(hammer.mule)

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靖国への帰還
内田 康夫
講談社 2007-12-15
おすすめ平均 star
star「物語」の解釈、そして受け継ぎ
starテーマは重いんだけど設定が
starいつまで戦後は続くのか?
star小説仕立ての「靖国原論」。とてもスピリチュアル。
star平常心では読めない

妖しい詩韻 幻香 長野殺人事件 赤い雲伝説殺人事件 (ジョイ・ノベルス) (ジョイ・ノベルス) 還らざる道



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デザイン事務所の封筒・名刺・ビジネス文具コレクション
グラフィック社編集部
グラフィック社 2008-03

プロのデザインルール 2 CI&ロゴマーク編―基礎とケーススタディ (2) PAPER SHOW プロのデザインルール 1 会社・入社案内編 (1) デザイン年鑑 2008-2009 工場へ行こう!!―デザインを広げる特殊印刷の現場

by G-Tools , 2008/04/15