曜日感覚のないノラネコ[14]「お客様事例」を作る/須貝 弦

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ここ何年か、ライターや編集といった仕事を細々とやっているけれど、時代とともにメインの仕事は移り変わります。ある時期は、秋葉原のPCショップを回って注目商品や相場を調べる仕事がメインでした。クライアントはWeb媒体で、当時(1999年〜2000年頃)Webコンテンツの執筆がメインというのは多少の珍しさもあったのだろうか、井上以知子さんの著書「パソコン在宅SOHO成功物語」で紹介してもらったこともありました。
< http://bn.dgcr.com/archives/20000805000000.html >

しかし、振り返ってみるとアキバ通いはほんの数年。ごくわずかなサラリーマン編集者時代も含めると、もっとも手がけてきた分野は「事例取材」です。あるときは雑誌の記事として、またあるときは広告記事として。そして、企業が自社のWebサイトで掲載する製品導入事例を取材・執筆する機会も多くなっています(というか、こちらのほうがニーズがあるような気がする)。


「ユーザー事例」「導入事例」「成功事例」などと呼ばれるこれらの企画は、紙/Webを問わずIT関連の媒体や企業のSPツールとして定番でしょう。人が何か商品を買ったり契約したりするとき、他人がどんなふうに使っているのか、どうしてそれを買うことを決断したのか、それによってどんなメリットが得られるのかといったことは、大いに気になるものです。個人でも、デジカメが欲しいとなれば、既に購入しているユーザーの評価が気になるし、雑誌やWebサイトに掲載されるレビューだって気になるでしょう。

そして、企業のWebサイトにユーザー事例が掲載されていれば、それはまさに「ショーケース」となります。プレユーザーはユーザー事例を読むことによって製品やサービスへの理解を深めるのはもちろん、自社がそれを利用しているシーンであったり、もしくは自分がその製品やサービスの導入を上司に提案しているシーンなどもイメージできるかもしれません。さらに、「ああ、このメーカーはこういった企業と取引をして良い関係を築いているのだな」といったことを知ることもできます。

良い事例記事を作るためには、当たり前ですが「良い事例」が存在しなくてはいけません。ただ「上手に使っている」「メリットを得られている」といったことだけでなく、その顧客と良い関係を日頃から築いている必要があります。そこをないがしろにして「とりあえず顧客DBからアタリをつけて、アポとって取材してみて、どうか!」では、上手くいかないこともあるのです。

いや、もちろん顧客DBからアタリをつけてアポを打診することもあるわけですが、単に「自社の宣伝のために事例取材をする」のではなく、事例取材がキッカケでも良いから「私はお客様と対話がしたい」という姿勢をしっかり見せておくことが、良い事例取材を行う条件のひとつだと感じています。

「事例記事を作らなくちゃ」という意識だけで先走った行動をとると、顧客からは「そりゃアンタんあところは宣伝になるだろうけど、ウチにメリットあるの?」という話にもなりかねません。もっとも、私はライターであって私自身がアポを取ることはないので、想像の範囲ですが。

また、仲が良すぎる相手とナアナアでやってしまうのもダメ。例えばソフトウェアメーカーの場合、担当者同士の関係がフレンドリーだからといって適当に事例記事を作ろうとすると、取材の段になって顧客から「ねぇ○○さん、あの機能なんだか使えないんだけどさぁ〜(笑)」なんて話が飛び出してしまうこともあります。何を聞きたいか、何を話してほしいかは、事前に正直に正確に詳しく伝える。もし先方がお困りのことがあれば、しっかりヒアリングして対処する。先の「対話したいという姿勢」とは、そういうことを含むのです。

【すがいげん/ライター】< http://www.macforest.com/ >
営業されている方、とくにサービスやシステムを売られている方は、営業先に「で、事例は?」って聞かれることが多いと思います。また、競合他社がどうやっているかも、当然気になるもの。私も、他の「ライター」と呼ばれる方々がどうやって喰ってるのか、いつも興味があります……。