ところのほんとのところ[15]濃厚な二日間/所 幸則

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最近いろんな人に作品をみてもらってたわけだけど…、あっ「shibuya 1 sec」のことです。

「日本カメラ」も「アサヒカメラ」も「キャパ」も「コマーシャル・フォト」も「ZOOMマガジン(イタリア)」も「EYEMAZING(オランダ)」も「アイデア」も、「デザインの現場」も褒めてくれるし、森ビルの美術館の館長の上の人も褒めてくれた。だけど、ヨーロッパの展開がわりとのんびりしているので、財力のない[ところ]としては、なにか手を打たないと干上がってしまって、大変なことになる気がしているのでR。

そこで、パリ行きの前にアドバイスをくれたキュレーターの深瀬鋭一郎さんに相談してみようと、メッセージを送った。忙しそうだしなー、無理かな〜って思ってたんだけど、先日、深瀬さんから突然電話があり、わざわざ訪ねて来てくれた。



[ところ]の作品をもっと知ってもらうにはどうしたらいいか、いろいろ話をしていたら…。高橋信也さん(森ビルの美術館の館長の上の人)が、おもしろいですねと言ったのなら、評価は相当安定するなあ、彼は写真を見る目は相当高いから、てな話になって。あと日本に何人かキーマンがいるけれど、ちょっと行ってみますか、と車に乗せてもらってある場所へ…。

とあるビルの2階の、ギャラリーと本屋さんがくっついてるような空間。そこに穏やか感じの大田通貴さんがいた。この人なのかな? 写真にうるさいという人は? 当初は大田さんの知り合いにあたる人を訪ねていったのだけれど、その方は不在で、深瀬さんが間に入って話をしてくれて、ラッキーなことに大田さんに直接見てもらうことになった。

大田さんは一枚一枚じっくりと見ながら、おもしろいですねー、とずいぶん興味を持って下さった。僕は渋谷は嫌いだけど、あなたのこのシリーズはおもしろいと思います、そう言われて素直にうれしかったし、本のコーナーの客から「渋谷1sec見に行きましたよ、よかったです」と話しかけられたことがあったとも聞いた。

そこはギャラリー蒼穹舎というところで、森山大道はそこから世に出て行ったといってもいいような場所なんだそうだ(住所はよく変わるけど)。深瀬さんもほっとしてた。連れていって、興味をもたれなかったらどうしようと思ってたらしい(苦笑)。大田さんが、文化会館跡地の写真を指差して、ここにあった部屋で森山大道とよく飲んでたという話に結構ジーンときた。[ところ]も、もっとがんばろう!

さて、次の日に友人ウンベルトステファネリがアトリエにやってきた。ローマのフォトグラファーで、「ZOOMマガジン」が伊豆で展覧会をやった時に知り合った。その後2004〜2005年、麹町の旧日テレ社屋や、新社屋でもその展覧会は行われた。僕はイタリア語も英語もほとんどしゃべれないが、イタリアのワイン生産者の名前と、葡萄品種、ワイナリーの名前で結構盛り上がって仲良くなった(笑)。

その後も僕は「ZOOMインターナショナル版」の方とは継続した付き合いがあって(日本語版とはあまり交流もなかった)、ミラノに招かれて編集長夫妻と小旅行をしたり、彼らが来日すると必ず連絡をもらい会っていたりする。

ウンベルトとは、その後ほとんどメールだけのやり取りで何年も過ぎていった。その理由は、僕がローマよりトスカーナから上(フィレンツェ、ミラノ、ヴェネチア)に興味があって、そっち方向にばかり行っていたので会う機会がなかったからなのだ。

それが去年、僕が個展をしていた前後に、彼が日伊会館で個展をやって、お互いの個展会場に足を運んだ。そのとき、なんと、知り合ったときに「ZOOMマガジン」に掲載されたことのある作家3人でポートレートの撮りっこをしたのだけど、その写真を仕上げて持って来てくれていたのだ。これにはびっくり!

さて、なぜそんなことをしたのかというと、もう一人のミラノのファッションフォトグラファーが、ZOOM展の会場で僕がトークショーをしているときに、いくら払ったらこんなにかっこ良く撮ってくれるんだ? と茶目っ気たっぷりに聞いてきたので、お互いが撮り合えばチャラじゃないか? と僕が笑って答えたのがきっかけだったんだ。軽い気持ちで。

そうしたら、その日のうちに撮り合うことになっちゃって。渋谷のぼくんちと、その周辺で撮り合った。それがなんと4年以上前だ。

じっさい仕上がりをもらって、ちょっとあわてたんだけどね。あれはシューティングゲームみたいなもので、お互いもう会うか会わないかわからないから、状況を楽しんでる節もあって。イタリア人ってアバウトだし、とか思ってたのが大間違い(汗)僕はハッセルで撮ったポジが見当たらなくて! 申し訳ないって思ってたので…。

今回来日すると聞いて、1secでポートレート撮るよってことになって、アトリエにやって来たってわけ。通訳してくれた日本人フォトグラファーを介して話したんだけど、かなり楽しかった。これはちゃんと仕上げます!

僕が撮影してるスタイルを見て、彼はすごく感動していた。フォトグラフィーで大事なのはおおげさなセットじゃない、頭の中身なんだということを[ところ]は実証してる、僕もそうありたいと思っている、と言っていた。

ウンベルトにもらったプリントはモニターじゃよさがでないけど、一応アップしておくね。これは、光を動かしながら動画で見せた方が質感がわかっていいんだろうな。だけど、ちゃんと自分の世界にもってきてポートレートを撮れる人って多くないよね。悲しいですね。
< http://www.dgcr.com/kiji/20090410/01.jpg >

【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則
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所幸則公式サイト
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