ところのほんとのところ[146]死生観という言葉
── 所 幸則 Tokoro Yukinori ──

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このところ、夏風邪が長引いて、喉が痛くて眠れない日が多かった。

そういえば、去年の夏も同じことがあって、トークショーがあるのに声がほとんどでない所幸則をみんなに見せてしまい「こんなに喋らないところさんは初めて見た」とみんなに言われたのだった。

しかし、ずいぶん長いこと、体調の悪い日が続く。これが年齢なのかなと思うんだけれど、[ところ]より10歳以上年上の人たちが元気に過ごしているのもよく見る。

これが個体差というやつなのかな?? とか思う時が多いが、逆に無理しても今やってることはケリをつけなければという思いが強い。

たまに体調のいい日が続くと、けっこう頑張って新作シリーズに力を入れてしまい、また体調を崩す、という繰り返しをよくやってしまう。そして、今やっている「お散歩ジャンプ」シリーズを撮るたびに、複雑な思いにかられる。

被写体は7歳の娘、それはそれは愛おしい。一緒に散歩できる時は必ず写真を撮る。彼女は学年でも飛び抜けて身体能力も優れていて、走っては飛び、走っては飛び、ただそれだけで楽しいようだ。

いい作品が出来ていくのは[ところ]も楽しい。だがその現場では、否応なく思い知らされることある。




[ところ]に残された時間は、彼女よりもはるかにが短いということだ。これからあと、[ところ]が作品制作に使える時間は長くて15年というところだろう。一方彼女には、やりたいことを元気にやれる時間が50年以上あるんだ。

この頃になってやっと、自分自身が人生の半ばを過ぎたことをすごく実感してきた。あと何シリーズ、作品を残せるのだろうか、とかね。

最近、「お散歩ジャンプ」シリーズのクラウドファンディングがスタートした。

https://greenfunding.jp/lab/projects/1594

https://www.facebook.com/events/1215263178503945/


トークショーのあと、杉山武毅さんがfacebookにこう書かれている。

写真家・所幸則の新作写真集のクラウドファンディングが始まりました。ふと見せてもらった、この写真シリーズの原型となる一枚の写真に僕は釘付けになりました。写真のイメージの端正さ、コンセプトを全面に押し出す所幸則にあって、もっとも望まれていた死生観や家族というパーソナルな、感情的なモチーフ。それが「One Second」というシステムに落とし込まれた時、美しい可憐な花のような愛しい作品になるのです。うたかた堂で出版します! ぜひ応援してください。

ここで死生観という言葉が出てきた。ああ、そうかそういうことなんだろうなと僕も思った。腑に落ちたというか。

生き急いでる感じがね。無意識のうちに出てるんだろうなって。とりあえず今できることを頑張るしかないかな。


【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則  http://tokoroyukinori.seesaa.net/

所幸則公式サイト   http://tokoroyukinori.com/