アナログステージ[18]博士と助手 3ラボ目「ありきたりのコンテンツを斬新に考える」/べちおサマンサ

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【前回のあらすじ】
自称・国内最先端の研究所に勤めるまつばら博士と助手の小松カヲリ。役に立ちそうもない電話の発明ばかりする博士に、だいぶ愛想を尽かし始めたカヲリくん。今回は、少しだけまともなお話です。
< http://bn.dgcr.com/archives/20090303140400.html >

「カヲリくん、カヲリくん…」
「はぃ、はかしぇ… なんれすか…」
「今日は、平成何年何月何日何曜日かね…」
「記憶によると、平成21年7月14日の火曜日だと…」
「わしら、前回登場したの、いつだっけ…」
「わかりましぇん…」
「腹肥ばかり登場しているのを見て、嫉妬と同時に、ウチらの出番は本格的になくなったと危惧してしもーたよ。でも、こうやって登場できたということは、べちおくんも忘れてはいなかったわけだ」
「そうですね、とりあえずはもう、きわどいネタはやめましょうよ」
「なにを言っているんだね、きわどいネタなんて、なーんにもありゃせんわ」
「いやいやいや、そんなことないですよ。読む人読んだら、相当きわどいですよ。べちおさんの正体が、世にバレていないからいいようなものを…」



●画期的! でもないけど、どこもやっていないコンテンツ

「ところで、新しい開発品はどんな感じですか?」
「うむ、いい感じじゃよ。ただ、試作で検証するには、まだまだデータが足りない状態じゃけどな」
「どんな感じなんです?」
「なに、とってもシンプルかつ、世の人々の関心が高く、あちこちのWEBサイトで人気のコンテンツのひとつとなっているものじゃて」
「といいますと?」
「占い。しかも手相」
「手相ですか?」
「そうじゃ。手相占い。といっても、手に線を描いた画像を載せたり、バーチャル手相占いとか、真実の口に手を突っ込んで占う機械と違うけどね」
「といいますと?」
「WEBサイトにアクセスしてもらい、性別や年齢、簡単なプロフィールを入力後、手の平をWEBカメラに映す。WEBカメラで取り込んだ映像を、収集したデータを基に、該当するデータと比較して、診断結果を表示する。いま、そのデータを集めているんじゃけど、なかなか集まらんのじゃよ」
「ほうほう、それは面白そうですね」
「試しに、カヲリくん、このカメラに手の平を映してみたまえ」
「こうですか?」

〈コマツカヲリさんの手相診断結果〉

【運命線】すでに大きな分岐点に差し掛かっています。ここがあなたの今後の人生を左右する、重要なポイントになります。周囲の人物を見直してみることをおすすめいたします。
【頭脳線】上司に邪魔されている傾向があり、伸び悩んでいるようです。ときには思い切った決断を。
【生命線】病気や生死にかかわる事故にあわないかぎり、長生きします。
【結婚線】見当たりませんでした。

「博士、かなり当たっていると思いますけど、間違っているところもありますね。いや、間違っているというより、バグがありますね」
「まぁ、こういったらなんじゃけど、手相なんて統計学みたいなものだし」
「確かに、駅横とかで机だして占っている易者さん達も、経験値の差がありそうですよね。あ、この易者さんは、経験豊富そう…とか」
「手相って、成長するというじゃろ? その年代、その背景で掌線が変化してくるものだし、指紋と同じで、同じ手相というのはないしな」
「そうですよね。でも、手相で共通する事例はたくさんありそうですけど、細かいところまでのサンプルを、データベース化するのは大変そうですね」
「そうなんじゃ。運命線や生命線、結婚線なども、人によって違うしの。もしかすると、未知の掌線が存在している人もいるかもしれん」
「は? なんですか、未知の掌線って」
「こう、山手線のように、手の平に円を描いているような掌線とか、あちこちで分岐していて、複雑怪奇になっている、都心環状線みたいな掌線とか」
「いません」
「たとえば、この辺は浜崎橋ジャンクションのように、いつも血行が悪くなっているとか」
「だから、そんな人いませんから」

●あなたの掌線は何線?

「まぁ、よっぽど数奇な人生を送っていない限り、掌線の場所というのは位置が決まっておるじゃろ。たとえばじゃが、なにも一億人分のデータベースを初めから準備しなくても、別にいいのじゃ」
「なんですか、その数奇な人生って」
「ほれ、ワシの手相をみてみそ」
「うわ! なんですか? って、ぜんぜん分かりませんけど」
「ここが品川、ここ熱海ね。そんで、ここが名古屋。して、京都」
「東海道新幹線っていいたいだけですね、そうなんですね…」
「ブー。ただの東海道線じゃ! ほら、ここは新横浜じゃなく、戸塚じゃ」
「もう、ぶっていいですか?」
「まてまて、暴力はいかん。で、初めに膨大なデータを集めなくてもいいんじゃよ」
「といいますと?」
「アクセスして診断を受けた人の結果を、そのままデータベースとして取り込むのじゃよ」
「あ、なるほど」
「診断の初めに、簡単なプロフィールを入力してもらうのも、データベースから参照するのと同時に、ログ収集の役に立つし。診断結果を表示したあと、『診断結果はいかがでしたか?』と、簡単なアンケートを回答してもらうことで、より近く、より正確な診断結果を出す基にもなる」
「博士って、バカにしか見えないけど、ツボは外してませんよね」
「実はじゃな、このシステムは手相だけじゃなく、人相にも使えるし、日本人が大好きな風水にも応用できる」
「おー、風水診断は、ものすごく興味がありますね!」
「そうじゃろ。予め用意してある間取りのテンプレートに、ドアの位置やら家具やら、細かいアイテムを配置して診断するんじゃ。この辺ならR言語とか使わなくてもFLASHで作れるしの」
「そうですね、ある程度、診断結果として確立できているものは、プログラムを組まなくてもいけそうですよね」
「風水で重んじる、重要アイテムもセレクトできる、細かい気配り」
「なんですか、それ?」
「白いツボとか黄色いハンカチとか、身につけると急にモテモテになったり、パチンコで一攫千金を得られて、札束と美女に囲まれた広告に出演できる、ラッキーパワーが秘められた天然石とか」
「わーーーーーわーーーーーわーーーーーー!!」
「どうしたんじゃ?」
「ダメです、ダメです、ホント、そういう何気ない文章の冒険はやめましょううって…」

●間違ったエコロジー

「しかし、用途は広そうですよね、ホント」
「日本人って、他の事例とかに当て嵌めるのが好きな民族だし、当て嵌まると妙な安心感を覚えたりするからの」
「あー、それってありますね。わたし、ファッションなんかでも、どうしても周りの同世代とか気になっちゃいます」
「そうじゃろ? ワシみたいに白衣を着ていると見せかけて、実はボディペインティングじゃったとか」
「へ?」
「一年中、クール・ビズ! なんちてな。ウソじゃよ。でも、ボディペインティングって、衣食住の中でも一番のエコじゃな」
「それは違うと思います」
「慣れだよ慣れ。はじめはためらっていたものの、いつの間にかセーラー服を着て飲み会にいけるようになるのと一緒じゃって」
「……」
「そういえば、最近はCMでもなんでも、エコと表示させて謳っておけば、地球に優しくしています! みたいな風習が蔓延しておる。あれはいかん」
「といいますと?」
「CO2削減といいながらも、結局は…」
「あーー、博士、もうダメです、その先はダメです、ホントに、本当にやめましょうよ」
「だって、スーパーに売っている、大根や鶏肉にまでエコマークとか付いてそうな勢いだよ?」
「いいじゃないですか。博士、エコは既に企業内ではNGワードのカテゴリですよ。会社が打ち出したエコの曖昧さに、従業員がツッコミいれたら、家族が路頭に迷う時代ですから。もう、その話はやめたほうがいいです」
「そうなのかね?」
「はい、そうです。某牛丼チェーン店が太陽光発電を導入して、店の入り口に『ただいまの発電量○○kwh』とかデカデカと電光掲示板を設置しているのも、ツッコミ入れてはダメです」
「これ見よがしに、『うちの企業はエコロジーに全力を注いでいます!』っていう、ただの押し付けにしか見えないけどね…。あんな電光掲示板を設置するお金あるなら、残業代払えばいいのに」
「ですよね、黙ってやってこそ評価されるものなのに…。だいたい、真剣にエコに取り組んでいる会社って、そういう『ムダ』なものに投資しないですし、消費者が自然に気がついて評価する部分ですからね」
「商品で出せないご飯食べたら、刑事告訴されちゃうとか?」
「……。とにかく、企業のエコは批判したらダメです」
「そのうち、大手海外ブランドが、20万くらいするエコバッグ発売したり」
「アハハ、エコバッグを海外へ買いにいく、豪華エコロジーツアーとか」

【べちおサマンサ】pipelinehot@yokohama.email.ne.jp
FAプログラマーであり、ナノテク業界の技術開発屋。
< WEB SITE:http://www.ne.jp/asahi/calamel/jaco/ >
< Posterous:http://bachio.posterous.com/ > ←マメに更新してます。

・エコの曖昧さを回避するため、エコ規格法案とか出始めたりして。そういうことを平気でやる国だと、ちょっと思っていたり。/齋藤さん(わが逃走)の、『ねつ造された記憶』、あります、あります。ワタクシもお店の憶え間違いの多いこと。
・ムスメとムスコとご家庭バンドを結成。吹奏楽部でパーカッションや、友達バンドでドラムをやっているから、ドラム以外でと、ムスメはギター。ギター以外なら何でもいいよ…ということで、ムスコはドラム。オヤジは自然にベースに。ラボに置きっぱなしのベースで、数年ぶりにスラップを練習。楽しいなぁ/とりあえずはコピーをやろうと、ワタクシが選曲しようとしたら、即、ダメだし。仕方ないので、子ども達に選曲を任せると、マニアックな選曲。
・ダメ出しされた曲 < >
・子どもたちの選曲 < >
CANON ROCKは、3年くらい前に、Jerry Cくんが公開したのをきっかけに、YouTubeでブームになり、ワタクシも耳コピして遊んでいたり。/どうでもいいけど、弾けるのかね? と嘲笑っていたら、ぎこちないけど弾き始めていた…。仕方ないので、ベースパートを耳コピ始めた。あー、面倒だ。