ところのほんとのところ[29]ドイツひとりぼっち/所幸則 Tokoro Yukinori

投稿:  著者:  読了時間:7分(本文:約3,000文字)


初めてのドイツ上陸です。日本ではハノーバーだけど、こっちでの発音に近いのはハノーファーらしい。初めてのドイツがここでいいのか?? やっぱベルリンとかから入るべきだったのかなあ。という疑問を抱きつつ、シャルルドゴール空港からハノーファーへ。

飛行機に乗った時からいかにもドイツ人な感じの人に親切にされる。空港降りて、カートの使用法がわからなくて困ってるときも、となりのおじさんが親切にやってくれる。タクシーもチップうけとらないし、寡黙だけどとても親切。

ホテルの値段はパリの70%だけど、広さは130%。欠点が部屋にネット回線がないこと。ドイツってこういう方面進んでそうなイメージあったけど、やっぱ田舎町だからかな? ともあれネットスピードは良好だ。

そして何より、空港に降り立った時に管制塔のデザインの違いに驚愕。なんかカッコいいけど、怖いようなデザインだ。ホテルもパリの安ホテルでは小ジャレた感じだったのが、ドイツはシンプルでモダン。こんなに違うんだなー。同じヨーロッパなのにね。



今日はゆっくりするつもりだけど、ちょっと水とか調達に駅前に行ってくる。おーーー、なんか夕方行ったせいか、童話っぽいな。市内の路面電車が、かわいいなあ。でかいクリスマスケーキのイルミネーションも可愛い。パリのヨーロッパっぽさとはまた違うヨーロッパって感じ。お店の人もみんな親切で笑顔だった。パリのスーパーでは、レジの人には笑顔なんてなかったけど。ドイツでも田舎だからだろうか。コンパクトで全体がつかみやすいし、結構いい感じの街だ。とりあえずビール一杯だけ飲んで就寝。

朝7時半には朝食をすませて、朝からわりと調子よく散策しながらの撮影。光が結構来てて快調快調! だけど、11時ぐらいから、お腹がいたくなる。なんだー? 水とかじゃ下したことないんだけど。ストレスかなー。これは何も食べない方がいいかも、ということになるとへこんで来た。なおるまであきらめようソーセージ、と思ったけど。

とりあえず夕方の街を、作品じゃないのも撮っておこう! ってことで街に出る。ってあるいて5分で中心街だ。屋台のソーセージ屋さんの匂いに負けて、つい頼んでしまった。それも2種類。パンも丸いのが2個ついて来た。こんなには食えないなー、って野外のテーブルにいくと、自転車の旅行者みたいな外国人が、ボナペティ ♪どうぞ召し上がれ! とか言ってきた。ん? フランス語か? フランスから来てるのね自転車で、すごいなあ。セボン「美味しいね」と返しておく。

次の日の朝に、壊されようとしているビルディングを撮っていたら、おばあちゃんがビルを指差しながらいっぱい説明してくれようとしてるんだけど。まったくわからない。すいません。ハノーファー駅からのまっすぐの道で、歩いて3分の正面のビルだしこの街にとってなにか大事な建物だったんだろうな。最後にここを頑張って撮って、空港に向かう。その後、大変なことが起きるとは思いもしなかった......。

僕は今回撮る量が半端じゃないから、2TBのHDDを持って旅をしている。さらに、良いと思ったカットはMacBook ProのSSDにもコピーして、さらにカメラ用のメモリーにもコピーして、移動のときはカメラバッグにカメラ1台だけいれてほかにはHDDや、メモリー系の物をいれて機内に持ち込むようにしていた。だって飛行機のロストバゲッジの確率って結構あるし、やっぱ、デカイHDDなので携帯するような設計でもないから衝撃にも弱そう、空港でぽんぽん放り投げられたら怖いし。

重量制限に厳しいエアフラには毎回ギャーギャー言われながら、コートのポケットに変圧器入れたり、パリフォトのカタログはズボンのベルトを緩めて差し込んだり、ありとあらゆる手段を講じてくぐり抜けて来た。あー、ファーストクラスに平気で乗れたらなあ。頭上の物入れにはとても入らないサイズです。キャビンバゲッジというタグを付けてもらって、CAに渡すと機内のロッカーみたいなとこにいれてもらえる。

今回は、スーツケースが重量オーバーしたがなんとか許してもらう。手荷物の制限は基本8kgぐらいだが、ある程度アバウト。それでも4kg分くらいはコートやズボンのポケットに突っ込んだりしてなんとかすり抜けたので、安心してハノーバー空港からシャルルドゴール空港へのフライトの便に乗るタラップへ進むと、その手前で豪腕ドイツ人に「ヘビーバッグ! ビッグバッグ!」とか注意されて、まるまる強奪されてしまった(!)。

あれ? 不意のことでうまく対処ができなかった。例えば、大きいバッグの中にHDDとメモリーカードの入ってる小さいバッグが入っていたので、パスポートが入ってるバッグだからとかなんとか言って、それだけでも奪い取れば良かった。と、後悔してるうちに離陸。

万が一の事があってもまた撮ればいいじゃないか、とか正論をふりかざしつつも、だけど同じ写真は二度と撮れないんだよ、今回パリでも10枚〜15枚はいいのが撮れてるし、ハノーバーでも思いもしないカットが撮れた。なんであそこであんな動きしたんだろうって人がいて。やっぱ僕は引きがつよいな〜って思ってたのに、あーーーーーー、取り返しがつかない! って、確率的には低いんだけど。すんごい最悪のことばっかり考えてしまった。飛び降りるならやっぱ「ラストタンゴインパリ」にでてた鉄橋のうえからかなあ、絵的に、はあ。

せっかくメモリーカードに粗選びした写真いれてても、バッグごと一緒じゃこんなときは意味がないじゃないか。今度からメモリーカードはポケットにいれとこうって思ったり。こんなに頑張ったり、奇跡のようなタイミングでハノーバーに来てたんだなと思うようなこともあったし、撮り直しなんてきかないじゃん。

しかし、真面目そうなドイツ人だったじゃないか。乗り継ぎ便じゃないし。99%大丈夫だ! しかしなあ、フランスの担当者が真面目じゃないかも、とか妄想が頭を駆け巡る。考えすぎて頭ががんがんして来た。と思ったら着陸態勢に入った。え、1時間半も目を潤ませながら考えてたのか? タラップを降りたらそこに本来はキャビンバゲッジのはずだったけど、取り上げられてたバッグ達がいっぱい並んでた〜。もちろん僕のも!!

もう、ぼくはこれだけで充分ですう〜。と思ったけど、ちゃんとスーツケースも一番目に出て来たから迷わずゲット! 思わずスキップ♪ はあ、今度こそ体からはなすもんか! 外国から外国に一人ぼっちでの初めての旅は終わった。「はじめてのおつかい」のようだった。

【ところ・ゆきのり】写真家

CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/ >
所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/ >

◇『1 Sec ONE SECOND 01』出版記念 One Second - SHIBUYA-YUKINORI TOKORO
会期:2009年12月5日(土)〜2010年1月24日(日)
会場:PROGETTO(プロジェット)店内にて
< http://www.progetto.co.jp/event/index.html >
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by G-Tools , 2009/12/11