ところのほんとのところ[55]街を撮るってことはこういうことなのかな/所幸則 Tokoro Yukinori

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東日本大震災に対する義捐を目的として自分ができることは何かを考え、様々なチャリティー写真展への参加に加え、写真作家・所幸則個人としてできることとして、東京・渋谷の作品をチャリティーオリジナルサイズA5サイズ(148mm×210mm)に設定し、特別価格10,000円で販売したいと思います。

作品はA5サイズでも良さが伝わる3枚を選びました。各50枚程度を考えています。すべての作品にチャリティ企画としての、きちんとしたオリジナルプリント証明書をおつけします。一枚につき9,000円を日本赤十字に寄付し、約1,000円を送料等にします。それ以外にも、すべてのプリントの売上の25%を2011年末まで寄付することも決めました。以下に詳細を掲載しています。
< http://www.tokoroyukinori.com/information/charity/ >

所幸則写真展「PARADOX─渋谷ハチ公前」
会期:5月9日(月)〜18日(水)10:00〜18:00 入場無料 雨天休館
会場:しぶやアオガエル(東京都渋谷区道玄坂2-1 渋谷駅ハチ公前広場)



◎渋谷は変わり続けるスピード感のある街 所幸則

私、所幸則は長く渋谷に住んでおりますが、渋谷の街自身を主役にした素敵な写真芸術作品がないということを不思議に思っていました。人生の大半を渋谷で暮らしてきた写真家として、この街をどう撮ることがいいのか数年間悩み、出した結論がこの写真たちです。

今まで渋谷を舞台とした写真作品はあったけれどそれらは背景としてだったと思います。ただ静止した街の風景写真では渋谷の魅力は伝わらないと思いながら、渋谷の魅力を引き出す為にはどうすればいいかを考えたとき、自分のこれまでの写真活動における被写体との向き合いかたの中になにか答えがあるような気がしてきました。

私は渋谷を撮ることを決意するまで、人物ばかり撮ってきました。それはファッションモデルだったり、女優だったり、俳優だったり、ミュージシャンだったり、有名スポーツ選手だったりしました。その人物の魅力を、自分の作風でどう引き出すかを考えて撮ってきました。

もし、街の建物も人のような存在だとしたら、渋谷という人が着ている服やバッグを、車や電車や歩行者に置き換えたら......そしてそれらが、動画のようなに動きをもった写真になれば、渋谷らしさに繋がるのではないかと考えました。

渋谷は変わり続けるスピード感のある街です、新しい文化をどんどん生み出す街でもあります。3.11に起きた天災のようなものによって起きてしまう変化ではなく、これからどんどん元気に変わっていく姿を見届けるのが私の願いです。

今回は、ほんの少し前までは見られたけれど今は見られなくった風景と、数か月前の渋谷の姿も展示しています。渋谷を好きな人達に、より好きになってもらえると幸わいです。           (渋谷ハチ公前展示序文より)

[ところ]は今年、国内での個展は今回で終わりだと思われる作品展示をしています。渋谷ハチ公前広場の展示「渋谷1秒in渋谷ハチ公前」では、未発表作、新作等の展示もしています。渋谷にお寄りの時はごらんください。手製のリーフレットも少数おいてありますので、ぜひお持ちかえりください。

今回は、友人の建築家・西森陸雄さんの紹介からスタートして、人づてに渋谷の町内の人達の要望があるということで、渋谷の区役所に推薦され展示をすることになったものだ。会う人会う人がみんな喜んでくれた。それがとても新鮮だった。街を撮るってことはこういうことなのかな、その街に住んでいる人達に喜ばれることなのかな、と。

展示を始めてからは、今度は中で管理をしているおばさんや、おじさん、おじいちゃん、おばあちゃんに顔を会わせるたびにお礼を言われたのには驚いた。中には涙ぐみながら「ずっと渋谷を撮ってください」と[ところ]の手を握りながら言われたりもした。いつもの個展をするようなギャラリーではありえないことだろうな。

この人達にとって、渋谷は人生そのものなんだなーと改めて思う。僕にとってもそうなりつつあるのだけれど。渋谷区に住んでもう22年。渋谷中心に活動し始めてから26年にもなる。この後もできる限り撮り続けたいと思っている「ところ」です。

ニコニコ動画「写真家の異常な愛情」では芸術と未来を中心に、いろいろなアーティストとの対話を放送しています。前回予告していた大物監督は、押井守さんでした。お互いの作品になにか共通するものがあって、すごく楽しみにしていましたが、期待通りの話になりました。

押井作品からは、自分とはなにかという、人間の存在についての深い考察が読み取れますが、「ところ」の作品からは人間の不在が感じられるという鋭い指摘をうけました。

押井作品では、人間の人間である証明のようなものとして、ゴーストという言葉が使われるけれど、「ところ」の渋谷の街の写真に写る人間たちも、ある種のゴーストに見えたのかも知れませんね。意外な指摘もうれしかった「ところ」でした。

グラフィックアートマガジン「アイデア」の編集長・室賀清徳さんとの対談は羽良多平吉という鬼才グラフィックデザイナーのことと書籍の今後の話。そして、東京フォトの実行委員である池末浩規さんとの対談では、東京フォトの今後の、また、池末さんもアートへの深い考察眼からみた僕の作品の講評などアート好きにはたまらない内容でした。ニコニコ動画に、生ではなく動画としてアップしてあるので、ぜひ見てください。
< http://com.nicovideo.jp/community/co60744 >

今週の日曜日の20時からは、天才音楽家・徳澤青弦君とゲームと僕らのかかわりとか、それがどう自分の写真や音楽に関係するのかなどを話そうと思っています。混雑の場合、プレミア会員やコミュ会員が優先されて、見られないこともあるのでご了承ください。

【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/ >
所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/ >