電子書籍に前向きになろうと考える出版社[20]選ぶ自由を提供するための株式会社出版デジタル機構/沢辺 均

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「株式会社出版デジタル機構」の発起人会が先週3月9日(金曜)に開かれた。発起人は、勁草書房、講談社、光文社、集英社、小学館、新潮社、筑摩書房、版元ドットコム、文藝春秋、平凡社、有斐閣の11社。

代表取締役社長に同準備会代表幹事の植村八潮(東京電機大学出版局局長)、取締役に野間省伸(講談社代表取締役社長)、堀内丸恵(集英社代表取締役社長)、相賀昌宏(小学館代表取締役社長)、監査役に菊池明郎(筑摩書房代表取締役会長)を選出した。
< http://www.shuppan-d.info/2012/03/001193.html >

こうして、設立4月2日(月)をめざして、最後の準備を進める。資本金振込、法務局への届け出、という段取りだ。

僕の立場から言えば、講談社・小学館・集英社という出版界最大手から、版元ドットコムという数人規模の出版社(の団体)までが集まって株式会社をつくったという、かなり画期的なものになったと思う。

出版に意味があるとすれば、さまざまな考えを自由に表明できるようにしておくことで、社会の行方を考えたり決めたりするときにそれを生かすことだと思う。ほんとうに、1000人規模の大手から、1人2人の零細出版社までがさまざま存在することで、その表明の自由が確保されるのだ。

そして、それは唯一読者が選んで本を買うという行為だけで、存在できるできないということになるだけで、ほかの力からは自由にあることにこそ意味があるのだと思う。




たとえば、ポット出版の本が存在して(おおきな)本屋にならぶこと。これが自由な表現の証明だし、また読者からすれば、さまざまな本があるからこそ、選ぶ自由も得られるのだと思う。

出版デジタル機構は、電子書籍の世界でも、こうした選ぶ自由を提供するために発足したと言える。手前味噌ではあるけれど、そのなかに版元ドットコムのような零細出版社グループが存在することがそのことの証明なんだと思う。

さて、出版デジタル機構では、たとえば電子書籍フォーマットでも、こうした選ぶ自由を最大限にいかすように決めることができていると考えている。

電子書籍をめぐってはDRM(かんたんに言えばコピープロテクトみたいなもの)をめぐる議論がときどき現れる。個人的には、DRMは読者の本へのアクセスや管理に不自由を与えると考えているけれど、出版デジタル機構で作ろうとしている電子書籍にはDRMをかける予定である。

第一に、今すぐ出版社のほとんどがDRMを受入れるとは思えない。もちろん著者もだ。

第二に、DRMが音楽配信のように本当に不要になるのかどうかは、今結論を出すことができない。

第三に、DRMは、かけられるようにしておけば、かけたくない出版社や著者がいても、ただかけないようにできるからだ。

第三のことがイチバン大切だと思う。かけたいもの、かけたくないものが両方いて、その妥当性に議論の余地があるときに、どちらもできる状態を作っておくことが、その時点での判断として大切なのだ。

フォーマットも同様。EPUBだドットブックだ、XMDFとか議論はあるけれども、出版デジタル機構でつくる電子書籍は、オオモトのタグテキストを中間交換フォーマットにしておいて、どれにでも変換できるようなものしようとしている。

EPUBはオープンで国際的な基準だから正しいとか、ドットブックは組版表現が練れているとか、さまざまな人の「信念」が入り乱れる。いまの時点でどれが正しいとは結論が出ていない。そもそも電子書籍市場はそれを語るほど、多くの読者の評価にさらされていない。

だから、そんな「信念」の対立に一生懸命になるよりも、どれにでも対応できて、コストがそれほどかからない方法を選び、準備しているのだ。

さらにさらに、このフォーマットに関しては、実際に電子書籍を制作している会社+個人、を中心に、「原案」を示して意見をもらって、さらにそれを叩き直して、最終決定に持って行こうと考えている。

デジクリの読者には、フォーマットなどに関心をもっているひとも多いと思う。ぜひ意見を聞かせてもらいたい。

「電子書籍制作事業者さま・電子書籍販売事業者さま向け説明会」を以下の要領でひらきますので、ぜひ参加をお願いしますね。

◎電子書籍制作事業者さま・電子書籍販売事業者さま向け説明会

日本出版インフラセンター(JPO)主催で、経済産業省「コンテンツ緊急電子化」事業の「電子書籍制作事業者様・電子書籍販売事業者様向け説明会」が開催されます。この説明会は制作会社様・電子書籍販売事業者様・出版社制作担当者様に、フォーマットに関する説明をさせていただきます。ふるってご参加ください

電子書籍制作事業者様・電子書籍販売事業者様向け説明会
申込みフォームはサイト参照。
< http://www.shuppan-d.info/2012/03/001123.html >

電子書籍制作事業者様・電子書籍販売事業者様向け説明会
主催:日本出版インフラセンター
参加対象:制作会社様・電子書籍販売事業者様・出版社制作担当者様

【第1回】3/23(金)15:00〜17:00 於:書籍協会4階
【第2回】3/27(火)15:00〜17:00 於:書籍協会4階
(内容は同じです)

内容
1.電子書籍のフォーマットについて
2.電子書籍制作事業者の選定について

【沢辺 均/ポット出版代表】twitterは @sawabekin
< http://www.pot.co.jp/ >(問合せフォームあります)

ポット出版(出版業)とスタジオ・ポット(デザイン/編集制作請負)をやってます。版元ドットコム(書籍データ発信の出版社団体)の一員。NPOげんきな図書館(公共図書館運営受託)に参加。おやじバンドでギター(年とってから始めた)。日本語書籍の全文検索一部表示のジャパニーズ・ブックダムが当面の目標。