ところのほんとのところ[102]【所幸則 コンテンポラリー フォト ファクトリー】/所 幸則 Tokoro Yukinori

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さて、東京渋谷と香川県高松市との二重生活が始まってもう一年が過ぎました。実際こんなにキツいとは思わなかったというのが[ところ]の素直な感想です。

渋谷を撮り続けながら高松も撮り、それに渋谷の森も加わって、さらに新シリーズまで始まってしまったのです。この作品は「月刊CAPA」で、9月号から毎号連載している中でも発表していきますから、ぜひ楽しんでいただきたいと思います。

そのタイトルがすごく気に入りました。【所幸則 コンテンポラリー フォト ファクトリー】です。[ところ]の私塾の名前も、所塾からこの名前に変えました。
< http://ichikojin.sakura.ne.jp/tokorojyuku/ >

今は作家活動をしながら、私塾もやり、香川県の写真のプロジェクトもやり、けっこう時間のやりくりが苦しいというのが本音です。ここに大学からも声がかかり、[ところ]の身体が保つのか疑問ではあります。



フォト・ラボKからの選抜メンバーと、所塾香川チームによって構成される「k-Lovers Photographers」は、高松駅のシンボルタワーでの初展示も3日前に終え、10月1日からは2回目の展示を、栗林公園の側のカフェ想創の二階ギャラリーでも行います。テレビも取材にくるようで、かなり注目されています。

問題はみんなの意識です。やっぱりまだまだメンバーの気持ちが甘い。3回目の展示は春に東京でやりますが、そういう意識の人は出品させないつもりの[ところ]です。

このたびの所塾スペシャル(毎月第4日曜日/宮益坂)では、モデル二人とヘアーメイクとスタイリストも動員しての撮影がかなり楽しかったですね。

最近そういうことを滅多にしていなかったせいもあり、撮影自体にそう乗り気と言うわけでもなかったのですが、性格なのかな。一生懸命メークしてる姿を見ていると、演出や、服装と場所、キャラクターに合わせた設定をすぐ考えて撮ってしまう。もはや習性なのかもしれません。

スタイリストの設定は、近未来から現代にやってきたという、よくあるものでした。[ところ]は、愛し合う二人は追われる者で、未来から2013年に無事逃げおせた瞬間、顔を見合わせるという演出を、その場で加えてやってもらいました。

今回のクルーのうち二人は香港のスタッフでしたが、個人対個人ではこんなに何仲良く出来るんだよなあとしみじみ思いました。よかったら是非みて下さい。
< https://www.facebook.com/yukinori.tokoro >

さて、数日前に大学の同期の友人が死んだという電話が入りました。告別式が終わっても[ところ]はなんだか実感がありません。死因は書いてはいけないような気がするから書きません。彼は特定の業界では一時期、すごくもてはやされたフォトグラファーです。[ところ]と同じ雑誌を飾ったこともあります。[ところ]はノージャンルな写真家なので、そういうこともあったのです。

時々道ですれちがっては、車のクラクションを鳴らしあう。その程度の付き合いでした。個展にも二回ほど来てくれたでしょうか。そういえば彼の個展には一度も行ってないことに今気がつきました。[ところ]は、職業フォトグラファーの個展にはほとんど行かないのです。しかし、今は、行ってあげればよかった、と思っています。

一年半ほど前に、渋谷のアトリエにその友人が来たことがあります。突然電話がかかってきて、たまには会いに行っていいか、積もる話でもしようと言うのです。一時間ぐらい話したでしょうか、途中からソワソワし始めて、話のネタになるかなと思って作品のファイル持って来た、と彼が切り出しました。

[ところ]は、そういうつもりはまったくなかった。彼とは同級生としてだけ話がしたかった。いいやつだから、なおのことその思いが強かった。しかし、彼の本当の目的はそれだったようです。多分回りのいつもの人に見せても、ちゃんとコメントしてくれる人がいなかったのではないかと思います。

[ところ]は他人の写真を見てお世辞は言えません。とくに二人きりではなおのこと。誰かいれば、ある程度気遣って話せるようにはなったのですが。

数10枚の写真を見ました。[ところ]には彼が言う「作品」には見えなかった。仕事のファイルとしか思えない。確かにうまいと思います。彼の生きて来た世界の中では、充分上級の写真がそこにはあると思う。だけど、面白いとも思えなかった。撮ったとき、媒体に載った時はそれなりに面白かったのでしょう。

いくつかプライベートで撮ったものも見たのですが、どれも面白いから撮ったと本人が思ってるだけで、[ところ]にはアイデアだけの写真にしか思えませんでした。だから面白くないと正直に言いました。もちろん、もう少しやわらかい表現だったと思うけれど。

彼はしばらく時間をおいて、[ところ]の写真を批判し始めました。そうしないと彼の心のバランスがとれなかったのでしょう。その後、彼は落ち着いたようで、さっきの批判はエールのつもりだったと言って帰って行きました。何に悩んでるのか、もう少し聞ければよかった。今はそう思う[ところ]です。

【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/ >
所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/ >