[4950] ディスクコピー507枚◇“The piano”の紹介(続き)◇永遠凝視者

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《大好きな単純作業》

■グラフィック薄氷大魔王[643]
 パンドラの箱を開けちゃった(その3)
 ディスクコピー507枚
 吉井 宏

■エセー物語(エッセイ+超短編ストーリー)[43]
 “The piano”の紹介(続き)◇永遠凝視者
 柴田友美
 



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■グラフィック薄氷大魔王[643]
パンドラの箱を開けちゃった(その3)
ディスクコピー507枚

吉井 宏
https://bn.dgcr.com/archives/20200212110200.html

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前回までのあらすじ。昨年末から2台のHDDが連続して壊れたので、古いHDDから新しいポータブルHDDにデータファイルを移動することに。しかし、作業1台目にして絶不調。つまり、3台連続で故障。

14代の古いHDDをクレードルでMacに接続して確認してみたところ、なんと、13台がダメだった! 「むき出し3.5インチHDDとクレードルを卒業するチャンス」「記録媒体の世代交代」と前向きに捉え、今使ってる現役HDD数台から新しい大容量ポータブルHDDに移し替えた。

●光ディスクの棚卸し?

HDDのバックアップ態勢はOK。クラウドには主なファイルをアップ済みだし、Dropboxも使ってる。あとはやはり光ディスクだろう。実際のところ20年近く前のDVD-Rで読めないものってないし、今メインで使ってるBD-Rはもっと長寿命らしいし。ディスクに焼くのは時代遅れ感あるけど、安全なのは確か。

この機会に、すべての光ディスクの中身をぶちまけて棚卸しというか、内容の整理と移し替えしちゃおうか……。使用機材や記録媒体の世代交代というか全移し替えは、はからずも約10年ごとにやってきた。ちょうどいいタイミング。

20年前に全MOディスクをDVD-RAMにコピー、その後DVD-Rに移し替え。10年前には全CD-RをDVD-Rに移し替え、BD-Rも使い始めた。(CD-Rは読めないものが少々あったし、最初期に焼いたものはフォーマットに問題があって、ファイル名が文字化け)

●長期保存用BD-R最強

BD-Rにも寿命はあるわけだけど、長期保存用BD-Rが最強らしい。本来なら捨ててるはずのファイルごと、念のため保存したものがほとんどだから、万が一、消えてもあきらめがつく。一般のBD-Rと使い分けるのがいい。

もちろん、必要なものだけ選別して保存するのがベストだけど、大量のファイルの選別に時間をかけたくないから、そのまま丸ごと焼いちゃう。最低限のファイルに選別したものは、すでにあるわけだから。

ただ、移し替えやディスク焼き、クラウドにアップすること考えると、やはりファイル容量のダイエットって重要。多少は選別しよう。

●捨てないゴミ箱

実は以前から、極端なことをやってる。ここ10年ほど、仕事や作品の不要ファイルや途中経過ファイルを、Macのゴミ箱に入れて消去したことがない(明らかに不要なものはさすがに捨ててる)。

どうしてるかというと、デスクトップの「不要フォルダ」に移動する。ゴミ箱に入れて消去すると後で必要になったら困るから、というより、ゴミ箱に入れたら即座に空にしないと、気が済まない危険な性分だからw

で、数十GBくらい溜まって容量的に邪魔になってきたら、選別する時間をかけずに、そのままDVD-RやBD-Rに焼いてから削除するのだ。それでディスク枚数がやたら増えた。その他、録画など一時的使用の、いますぐ捨ててかまわないBD-Rが200枚くらいある。

●スピンドルの賽の河原 消滅作戦

物置部屋のスチールラックの最上段は、ディスク入りのスピンドルを重ねて積んであって、賽の河原状態。一旦下ろして写真撮影。DVD-RやBD-R、音楽CD、映画DVDなどなど。これらの他、ディスクファイルやCD入りの段ボールがいくつもあったりする。
https://www.yoshii.com/dgcr/sainokawara-IMG_2453

焼いたディスクは、Disk Catalog Makerで作成したインデックスで数えられる。CD-R、DVD-R、BD-R合わせて784枚ある。

786枚の内訳 = 277枚のBD-R、61枚のCD-R、446枚のDVD-R
  ↓
25GBのBD-RをCD-Rで50枚分、DVD-Rで5枚分と換算
  ↓
507枚のCD-RとDVD-Rは約90枚のBD-Rに収まるぞ!

上記の不要な200枚のBD-Rを捨ててしまえば、277+90−200=BD-Rのみの167枚に減量可能だ! パッと見で明らかに不要なフォルダを捨てれば、100枚程度にはなるだろう。50GBのBD-Rを使えば50枚!

最新のブルーレイドライブも購入。3〜4層100GBのBD-R XLにも対応。上の計算でいけば、786枚のディスクをたった25枚にまとめられる!

ディスク枚数を大幅に減らせることに気がついちゃったのが運の尽きw 以来、とりあえず507枚のDVD-RをせっせとHDDにコピーしてる。本格的な整理と大容量BD-R焼きは、まだちょっと先の話だけどね。

●継続、継続、単純作業

何度も書いてるけど、こういった「ちょっと操作したり監視する必要があり、片手間に何週間も延々続ける単純作業」が大好物。

過去にはMOディスクをDVD-RAMにコピー、書籍自炊もそうだし、ビデオテープやカセットテープ、レコードのデジタル化もそう。

CDのリッピングは千数百枚をアプリや標準フォーマットが変わるたびに、都合4回もやったw 監視してないとフィラメントのリールのトラブルを起こす、3Dプリントもそう。

作業が続く間は気が散らないので、仕事や制作にめちゃくちゃ集中できるのだ。なんならこの作業、何度繰り返してもいい。控えとしてもうワンセット焼くとか、新しい光ディスクの規格ができたらもう一度焼き直すとかw

●データファイル全体の量が判明

今回良かったこと。過去の仕事フォルダや作品、iTunesライブラリや写真など含むメインファイルは、重複分を含まず1TBに収まる程度とわかってた。

しかし、あちこちのHDDや光ディスクに散らばってるデータファイルが、どのくらいあるのか見当もつかなかった。大きくて重い、正体不明の何かをひきずってる気分。

それが、古いHDDを一気に失ったことと、処分予定の光ディスクを一旦HDDに全部集めたことで、全体の量がなんとなくわかってきた。

録画や録音などの雑データが3TB程度、捨てずに保存しておいた各種バックアップが4TB程度(ゴミ箱に捨てる代わりに焼いたディスクを除く)。

計7TBとしても重複分が多いわけで、簡単な整理で半分程度にできるだろう。つまり、メインファイルと合わせてもポータブルHDD一個に収まる量ってこと。いきなり身軽な気分になったぞw

……で、この後。モノ減らしや整理に勢いづいてたせいで、もうひとつのパンドラの箱を開けてしまうことになる。直接の続編にはしないけど、たぶんそのうち書きます。


【吉井 宏/イラストレーター】
HP  https://www.yoshii.com

Blog https://yoshii-blog.blogspot.com/


未使用のDVD-RとCD-Rがスピンドルにどっさり。DVD-Rはたぶん10年前、CD-Rは音楽イベントで配る用に購入したから、15年以上前のやつ。古くても支障ないという説もあるけど、DVD-Rはともかく、CD-Rの登場機会はもうないだろうなあ。捨てよう。

○吉井宏デザインのスワロフスキー

・三猿 Three Wise Monkeys
https://bit.ly/2LYOX8X


・幸運の象 LUCKY ELEPHANTS
https://bit.ly/30RQrqV


・SCS ペンギンの赤ちゃん PICCO
https://bit.ly/2JStbC4



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■エセー物語(エッセイ+超短編ストーリー)[43]
“The piano”の紹介(続き)◇私の舌の電車

柴田友美
https://bn.dgcr.com/archives/20200212110100.html

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◎エッセイ

“The piano”の紹介(続き)

2017年12月5日の号に続いて、タカスギシンタロさんの”The piano”をご紹介します。今回はその中から「台風」と「空」の英訳と元の日本語を掲載します。

|エセー物語(エッセイ+超短編ストーリー)[008]“The Piano”のご紹介
|沈むティーポット/柴田友美(超短編ナンバーズ)
https://bn.dgcr.com/archives/20171205110100.html



The Typhoon

A typhoon read a newspaper while waiting for the train.
Scraps of paper fluttered around, and pigeons landed.
The train rolled toward the platform.
The doors opened, and the typhoon boarded.
The passengers became sucked in by the wind.
Someone stepped on another person’s foot, and then they began to argue.
The wind grew even stronger.
The doors closed, and the train began to move.
Just then, the image of the typhoon vanished from the weather bureau’s radar.
All the trains, which ran in a loop, began to run counterclockwise.
Inside the train, a grey storm blew, and it became unclear what happened after that.

台風

台風が新聞を読みながら電車を待っている。
紙くずが舞い、鳩が墜落する。
電車がホームに滑り込んでくる。
ドアが開き、台風が電車に乗り込む。
車内の風に客が吸い寄せられる。
誰かが誰かの足を踏んでけんかになる。
風はいっそう強くなる。
ドアが閉まり、電車が動き出す。

そのとき、気象庁のレーダーから台風の画像が消える。

環状線のすべての電車が、反時計回りに走りはじめる。
車内では灰色の暴風雨が吹き荒れ、もはや何が起こっているのか判然としない。

The Sky

The small, fleecy cloud secretively slipped the Sun, which he had stolen, into his shirt pocket. He sped across the highway of clear, blue sky, missing the road sign, “SKY ENDS HERE.”



ひつじ雲が胸ポケットに盗んだ太陽をしのばせて、青空のハイウェイを逃走中、うっかり標識を見逃した。

ココヨリソラオワル

↑↑↑

なんだか混沌とした感じとか、疾走感とか、英語で読んでも楽しいですよね。

電車がホームに滑り込んでくる

The train rolled toward the platform.

で「滑り込んでくる」、が「rolled toward」となっていたので、rollってこんな時でも使えるんか? と思って辞書を引いてみました。

そしたらrollは色んな意味で使えるようですねー。車が進むという意味以外でも、涙が流れる、とか、雷がゴロゴロ鳴る、と言う意味でも使えるようです。

ロールケーキは英語でも roll cake と言うのかと思って検索しました。そしたら roll cake でもよいようで、それとは別に Swiss roll という言い方も出てきました。なぜスイスなのかは、これから調べようと思ってます。

『The Piano』(Kindle版)
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◎超短編

私の舌の電車

どこかの子供が電車のおもちゃを持っていて、そのおもちゃの中に私の舌が入ってしまい、レールの上を走らなくなったらしい。

私の舌はちゃんとあるのに、なぜそんな事になったのか。とにかくその子に謝りに行こうと思ったが、電車は実際に私の舌を乗せてどこかを走っているのだと思い、楽しくなって、その子に会いに行くのをやめた。


【柴田友美(しばたともみ)】

短いお話を書いています。
huochaitomomi@gmail.com

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私個人のホームページ
http://mrs-mayo.babyblue.jp/menu/index.html



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編集後記(02/12)

●偏屈BOOK案内:桑原晃弥「読むだけで人生に革命が起きる トランプ108の言葉」

この本の発行日は2016年10月15日。トランプが第45代アメリカ合衆国大統領に就任したのは2017年1月20日、選挙戦を勝ち抜いて正式に大統領に決定したのは2016年12月19日。まだ選挙中に、大統領当選イケルと読んで出版したのだろう。一応Amazonの内容紹介でも「アメリカ大統領候補まで上り詰める」としているが。この本の関係者は、トランプが大統領になるよう祈願しただろう。

参考文献はトランプ著・共著が3、ドナルド・J・トランプ著が3、ジェローム・トッチリー著が1、Newsweekが4号。これらの文献からトランプのキャッチーな言葉を拾い出し、見開きの右ページに大きな特太明朝で2〜4行に組む。左ページは原則、上半分がトランプの写真、下半分がテキスト20字×18行。この構成で108の見開き。章の扉は見開き左に黒地テキスト白抜き、右ページにコラム。

専門家たちの予測を嘲笑うような、「政治の素人」の連戦連勝の快進撃だが、本選で勝てるかどうかは分からない。そういう段階で出版された本だから、もしダメでも問題なさそうな構成になっている。用心深いバクチ本、といっていいかな。だから、少し舐めていたのだが、ホントに大統領になってから読んでみたら、意外に面白い。トランプの言葉は案外平凡だが、本文が読ませる。

元編集者として、この行き届いた構成に感心する。各話のタイトルもうまい。気に入ったのはこれだ。第11話 困難への挑戦「それは不可能だ、というセリフを聞かされると 私は誰よりも 興味をそそられる」。成功が約束されている比較的簡単な仕事と、みんなが難しいと考える仕事のどちらを選ぶか。トランプはもちろん、後者にこそやりがいを感じるという。それにはわけがある。

厄介な問題を前に、あれこれ理屈をつけて「これは不可能だ」と決めてかかる人とは、「知事」であり「上院議員」である。「彼らは困難を上手に語ることはできるが、決して解決しようとはしないし、その力も持っていない。困難を前にすると責任の重圧に怖気づくだけだ」。一方、トランプは彼らが怖気づく相手、ユニオンや弁護士と連日激しい交渉をしているし、負けたことはない。

ポジティブとかいう甘っちょろいものではない。トランプにとって「ひどい問題」は、いつだって「素晴らしい機会」でもある。いいな、こういう気概の人に国の運営を委ねているアメリカは。わたしにとってすごく痛い言葉があった。「服装は人がものを言う前からその人間を饒舌に物語る」。我ながら服装に無頓着だった。というより、バカ丸出し。若い頃を思い返すと本当に恥ずかしい。

トランプは酒もタバコもやらず、コーヒーも飲まない。食事も健康に良いものを優先させている。カジノホテルを所有するが、ギャンブルはやらない。独特の髪型だがかつらではない。100%自毛。握手は大嫌い。美しい女性が大好き。ミス・ユニバース機構を買収。三度の結婚と二度の離婚を経験、婚前誓約書を交わしているので財産を失うことはない。とにかく無茶苦茶すごい男。(柴田)

桑原晃弥「読むだけで人生に革命が起きる トランプ108の言葉」
2016 すばる舎
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799105582/dgcrcom-22/



●胃カメラ続き。生検の結果は良性。飲酒や喫煙をしない。以前、ピロリ菌検査もやって陰性。はじめての胃カメラの時に、「この手のポリープができる人は胃がんにはならない」と言われた通りだ。

全然心配していなかったが、検査してもらえると安心する。ポリープは薬で対処するとのことだ。つまり、次に検査するまでは薬を飲み続けることに……?

こちらが不快感がおさまったと言えば終わりなのだろうか。一ヶ月以上飲んでるけど、まだ気持ち悪さはあるんだよなぁ。少しマシにはなったけれど。

胃ポリープ自体はバリウムで見つかったわけで、集団検診は受けておくもんだなぁと。食道ポリープは胃カメラで見つかったので、数年おきに胃カメラだってやっておくといいかもしれない。(hammer.mule)

たばこ・お酒と胃がんの関連について
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/256.html

飲まないからと言って、ならないわけではない