デジアナ逆十字固め…[18]ローパスフィルターのクリーニング
── 上原ゼンジ ──

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クリーニングキットプロ変な工作ばかりしているので、気をつけないとCCDにゴミがついてしまうことがある。デジタルカメラの場合はこのゴミが命取りで、ゴミを取り除かない限り画像の同じ位置に黒い点となって映り込んでしまう。まあ、こうなった場合にはメーカーのサービスセンターで掃除をして貰わなければならないので、ちょっと面倒だ。

これを嫌う場合は、高倍率ズームレンズを付けっぱなしにしてレンズ交換はしない、というような人もいるが、プロの場合にはそうもいかない。となれば、なるべくゴミが付かないように扱い、もし付いてしまった場合には自分でクリーニングをする技術を身につけておいたほうがいい。

以下、撮像素子のクリーニングに関する情報を書き記しますが、自分で試してみる場合は、よく使用カメラのマニュアルを読み、自己責任にてお願いします。


●クリーニングのためのキット

デジタルカメラの場合、レンズを通して入ってきた光を撮像素子で受ける。一眼レフカメラの場合、ふだんファインダーで覗いている画像というのは、ミラーで反射させた画像であり、撮影時にはミラーが跳ね上がり、シャッターが開いて撮像素子に光が当たる。

つまり、レンズを外し、ミラーを上げ、シャッターを開いた状態にすれば、直接撮像素子を見ることが出来るようになる。撮像素子にはCCDやCMOSがあるが、通常はその表面にローパスフィルターがある(Foveonのようにない場合も)。つまりゴミが付くのはローパスフィルターであり、ローパスフィルターのクリーニングを行なうということになる。

私の使っているニコンのカメラの場合、使用説明書には「ローパスフィルターのお手入れ」という項目があり、ブロアを使ってホコリを吹き飛ばす方法が記されている。ただ、「非常に傷つきやすいため、ニコンサービスセンターにクリーニングをお申し付けくださることをおすすめします」とも書かれている。

一方、ローパスフィルターを清掃するための「ニコンクリーニングキットプロ」という製品も販売されている。こちらの説明書きには「ニコンデジタル一眼レフカメラに付属している使用説明書には、イメージセンサ(ローパスフィルター)のクリーニングについて、『ブロアーで取り除けない汚れがある場合は、当社サービス部門にクリーニングをお申し付け下さい。』等の記載がありますが、『イメージセンサクリーニング説明CD』をよくお読みの上、内容を充分ご理解いただくことにより、クリーニング作業を行なっていただくことができます。」と書かれている。

つまり、自己責任であることには変わりはないが、方法をきちんと理解し、適切な道具を利用すれば、自分でクリーニングすることも可能ということだ。キットの内容は「ハンドラップ、クリーニングスティック、シルボン紙、クリーニングクロス、ブラシ、ブロアー、説明CD-ROM 2枚」となっている。

これで税込み8,190円というのは、ちょっと高い気もするが、このキットを使った無料の「ローパスフィルター清掃講座」というのもあるので、ローパスフィルター清掃の正しい知識と技術が身に付くのであれば、高くはないと思う。Webで検索すると「危ない情報」も転がっているので、ぜひメーカー推奨の正しい知識を学んで欲しい。

キヤノンの場合は「センサークリーニングキット・SCK-E1」(税込み5,040円)があるが、こちらはサービス窓口で利用法の説明をした上での対面販売しか行なっていない。まあ、撮像素子を交換ということになれば、ひじょうに高い修理代がかかってしまうので、その辺り慎重になっているということでしょう。

●ホコリが付かないようにするためには

ローパスフィルターにゴミが付くというのは、レンズ交換をする時などにミラーボックス内に埃が入ってしまい。シャッターを切るたび、ミラーがバッタンバッタンするので、巻き上げられて付着してしまうというケースが多いようだ。

つまり、まずはボディの中にホコリが入ってしまわないようにすることが肝心。レンズにホコリが付いていれば、先にブロアで飛ばしておく。また、ボディの中やミラーに付いているホコリも付着予備軍なので、見つけたら除去しておく。この場合、カメラを下向きにした状態にしておくことが重要。上向きでブロアをしても舞い上がったホコリがローパスフィルターの上に着陸してしまうからだ。レンズを交換する際には、カメラは下向きにして置いておくというのもポイント。

ブロアは先に毛が付いていたり、プラスティックなどの固いものはダメ。ブロアでローパスフィルターを突っついて傷つけてしまうケースも多いらしい。また、ブロアは消耗品なので、古くなってカスが吹き出てくるようなものは使ってはいけない。

エアダスターなど、スプレーでホコリをすっ飛ばす製品もあるが、これはローパスフィルタークリーニングには向いていない。ローパスフィルターに内容物が付着して汚してしまう場合もあるし、強力な風圧で舞い上がったホコリがファインダーなどに入り込んでしまうこともあるので厳禁。レンズにも使わないほうがいいとのこと。

ミラーをアップしてローパスフィルターのゴミを吹く場合は、バルブではなく「クリーニングミラーアップ」で行なう。シャッター幕を破損するおそれがあることと、通電していると静電気でホコリが付きやすくなるそうだ。

●メーカーにより違う清掃法

実際にどのあたりにゴミが付いているかの確認は、白い紙などを撮影し、その画像の等倍観察により行なう。撮影をする場合は絞りを深くし、ピントはぼかすのがポイント。モニタ上で発見したゴミは、実際に撮像素子に光を当てて肉眼でも確認しておく。モニタで見たのとは上下が逆さまになるので注意。

ニコンの場合は「クリーニングスティック」に「シルボン紙」という紙を巻き付け、無水アルコールを含ませて、拭き取る方式だ。またキヤノンの場合は「センサークリーニングスタンプ」を押し当てて、吸着させる方式。サードパーティーのものでは静電気を利用してホコリを吸い付けるような製品もある。

◇フォトグラフィックソリューションズ・ブラシオフ
< http://www.ginichi.com/shop/digital_acc/detail/acc_146.html
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「クリーニングスティック」というのは柳箸(正月などに使う丸い箸)の先を平らにしたようなもの。その先端に「シルボン紙」を巻き付けて使うわけだが、先の方に5ミリぐらいの余裕を持たせる。つまり直接木製スティックの固い部分を当てるのではなく、紙を丸めた柔らかい部分だけを使って掃除をするということだ。この方法で、レンズでもミラーでもきれいに出来るので、覚えておいて損のない技術だと思う。

スティックは円を描くように動かし、最後はスッと抜くようにしてゴミを取り去る。詳しい方法に関しては「ニコンクリーニングキットプロ」付属のCDをご覧下さい。

【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇キッチュレンズ工房
< http://kitschlens.cocolog-nifty.com/blog/
>
◇カラーマネージメント情報室
< http://d.hatena.ne.jp/cmi/
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※隣町で花火大会があったので、レンズベビーをつけていった。今まで見たことのないような宇宙的な花火の写真撮影に成功。
< http://kitschlens.cocolog-nifty.com/blog/
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