
商品名は「SUNPRINT KIT リフィル」で、10センチ四方で12枚入りのものを買った。今日は天気が良かったので、直射日光の当たる窓際で実験をしてみた。印画紙の上に乗せてみたのは、小さな瓶や電球、葉っぱなど。黒いビニール袋から印画紙を取り出すと、なるべく時間をかけずにオブジェを配置する。
陽に当てる時間は1〜5分と書いてあったので、とりあえず3分間、陽に当ててみる。時間が経ち、オブジェを取り除くと、その時点でかなりはっきりと痕がついている。これが写真の基本的な仕組みというわけだ。そして1分間水に浸けるときれいな藍色の像が際だってきて、乾かせばもう画像は定着してしまう。
もう少しハーフトーンが出たらいいなという感じだが、時間が経つとけっこうコントラストもついて、なかなかきれいな仕上がりになる。この日光写真はいわゆる「サイアノタイプ」と呼ばれる古典印画法で、SUNPRINTをプロデュースしたのはカリフォルニア大学のローレンス科学館とのことだ。我々が子供の頃に体験したものよりも、少しレベルの高い日光写真を手軽に楽しめる。
私自身は暗室経験はあるが、陽の光と水だけでカメラも使わずに画像を定着できるという体験はけっこう素晴らしいことだなと思う。机上での理屈よりも、科学の教材で像が投影されるところを目撃し、日光写真で像が定着できるというプリミティブな経験は重要だ。
美学校写真工房の生徒達の写真展とともに、先生である西村陽一郎さんの写真展も行われていた。西村さんの写真はフォトグラムによるものだった。フォトグラムというのは、暗室で印画紙の上に何か物を乗せ、ランプで露光した後は普通の写真を現像するのと同じように、現像液、定着液に浸して像を印画紙に定着させるという技法のことだ。
つまり、日光写真と同じようにカメラやレンズを使わずダイレクトに物の影を写しとるというやり方だ。単純な技法ではあるが、フィルムを使わないので粒状感のない緻密な再現で、白黒が反転した状態なので、普通の写真では表現できないような面白さがある。
西村さんの作品は、印画紙の上にチューリップを一本置いただけという単純なものだった。しかしクオリティー的にはひじょうに高度で、美しい作品だった。技法自体は単純だが、その単純なことにすごく力が注がれていることが分かる。
サイトで旧作も改めて見させていただいたが、どれも本当に素晴らしい。今、一番好きな写真家だ。
< http://www.geocities.jp/yoichiro246/
>
●息の根は止めないで
西村さんのような人にとっては、フィルムや印画紙というのは、なくなってはならないものだと思う。それは自分でフィルム現像から紙焼きまでを行ない、確固たる技術と表現方法を確立しているからだ。それにフォトグラムという技法は、デジタルでは出来ない。
ただ、残念ながらフィルムというのは、かなり早い時期になくなってしまうんだろうなと思う。メーカーの社長が「文化として残します」と言っても信用はできない。だってそんなことを言っている社長自体が残れないだろうから……。
まあ、完全になくならないにしても、入手困難になり、価格も上がりということで、銀塩者にとって住みづらい世の中になっていくことは想像に難くない。
自分自身は銀塩関係は暗室用品もカメラもすべて処分してしまい、デジタルの便利な部分を享受している。だから、自分で現像をするわけでもなく、デジタルを試してもみない人がデジタルカメラ批判をするのはうんざりだ。
ただし、銀塩でなければできない表現というのがあるのも事実で、そこの所の息の根は止めて欲しくはないなと思う。
【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇超芸術探査本部トマソン観測センター報告発表会2007
< http://www.st.rim.or.jp/%7Etokyo/thomason/
>
会期:3月15日(木)〜25日(日)11:00〜19:00
21日(水/祝)のみ休廊 日曜日は通常営業
会場:香染美術(東京都杉並区阿佐ヶ谷北1-10-1 1F)
1.未発表〜新規報告書の展示公開
2.特別企画/墨田区集中探査報告「新東京タワーのできるあたり」
・3月24日(土)17時〜19時トマソン物件スライド発表会
報告したい物件のある方は当日スライド、データー、写真をお持ちください。
◇キッチュレンズ工房
< http://kitschlens.cocolog-nifty.com/blog/
>

もう少しハーフトーンが出たらいいなという感じだが、時間が経つとけっこうコントラストもついて、なかなかきれいな仕上がりになる。この日光写真はいわゆる「サイアノタイプ」と呼ばれる古典印画法で、SUNPRINTをプロデュースしたのはカリフォルニア大学のローレンス科学館とのことだ。我々が子供の頃に体験したものよりも、少しレベルの高い日光写真を手軽に楽しめる。
私自身は暗室経験はあるが、陽の光と水だけでカメラも使わずに画像を定着できるという体験はけっこう素晴らしいことだなと思う。机上での理屈よりも、科学の教材で像が投影されるところを目撃し、日光写真で像が定着できるというプリミティブな経験は重要だ。
美学校写真工房の生徒達の写真展とともに、先生である西村陽一郎さんの写真展も行われていた。西村さんの写真はフォトグラムによるものだった。フォトグラムというのは、暗室で印画紙の上に何か物を乗せ、ランプで露光した後は普通の写真を現像するのと同じように、現像液、定着液に浸して像を印画紙に定着させるという技法のことだ。
つまり、日光写真と同じようにカメラやレンズを使わずダイレクトに物の影を写しとるというやり方だ。単純な技法ではあるが、フィルムを使わないので粒状感のない緻密な再現で、白黒が反転した状態なので、普通の写真では表現できないような面白さがある。
西村さんの作品は、印画紙の上にチューリップを一本置いただけという単純なものだった。しかしクオリティー的にはひじょうに高度で、美しい作品だった。技法自体は単純だが、その単純なことにすごく力が注がれていることが分かる。
サイトで旧作も改めて見させていただいたが、どれも本当に素晴らしい。今、一番好きな写真家だ。
< http://www.geocities.jp/yoichiro246/
>
●息の根は止めないで
西村さんのような人にとっては、フィルムや印画紙というのは、なくなってはならないものだと思う。それは自分でフィルム現像から紙焼きまでを行ない、確固たる技術と表現方法を確立しているからだ。それにフォトグラムという技法は、デジタルでは出来ない。
ただ、残念ながらフィルムというのは、かなり早い時期になくなってしまうんだろうなと思う。メーカーの社長が「文化として残します」と言っても信用はできない。だってそんなことを言っている社長自体が残れないだろうから……。
まあ、完全になくならないにしても、入手困難になり、価格も上がりということで、銀塩者にとって住みづらい世の中になっていくことは想像に難くない。
自分自身は銀塩関係は暗室用品もカメラもすべて処分してしまい、デジタルの便利な部分を享受している。だから、自分で現像をするわけでもなく、デジタルを試してもみない人がデジタルカメラ批判をするのはうんざりだ。
ただし、銀塩でなければできない表現というのがあるのも事実で、そこの所の息の根は止めて欲しくはないなと思う。
【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇超芸術探査本部トマソン観測センター報告発表会2007
< http://www.st.rim.or.jp/%7Etokyo/thomason/
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会期:3月15日(木)〜25日(日)11:00〜19:00
21日(水/祝)のみ休廊 日曜日は通常営業
会場:香染美術(東京都杉並区阿佐ヶ谷北1-10-1 1F)
1.未発表〜新規報告書の展示公開
2.特別企画/墨田区集中探査報告「新東京タワーのできるあたり」
・3月24日(土)17時〜19時トマソン物件スライド発表会
報告したい物件のある方は当日スライド、データー、写真をお持ちください。
◇キッチュレンズ工房
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- LIFE―西村陽一郎写真集
- 西村 陽一郎
- Mole 1999-10