
雑誌も一応ジャンルではいろいろありますが、おたく系漫画雑誌もサラリーマン向け漫画雑誌も大同小異です。表現のスタイルも、技術も、ほとんど同じ、誤差の範囲と言っていいでしょう。パラパラとめくった印象も、どの雑誌もほとんど同じに見えます。
私個人的には、6年ほど漫画の雑誌を離れていた時期があり、久しぶりに漫画雑誌に戻ることになったとき、自分のブランクを考えて、ついていけるか心配したのですが、安心するやらガッカリするやら、少数の作品を除いて、むしろ漫画全体は退行しておりました。
そんなとき、以前からお付き合いのある海外の漫画関係者や、海外の漫画家さんたち(※この場合、漫画とは、ベーデーやコミック、マナ、マンホァなども含みます)とまたお会いする機会もあり、「そうだ、彼らがいたじゃないか!」と今更ながら思い当たりました。
日本の漫画読者に、漫画というのはそんな狭いものではなくて、もっといろんな表現、テーマ、スタイルがあることをしってほしい。のみならず、漫画をこれから描こうと思う人や、すでに活躍中の漫画家さんにも、それを知ってほしいと思いました。
「漫画よ飛べ、漫画よ広がれ」という表紙のコピーは、こういう思いをこめたつもりです。
また同時期に、知り合いの漫画家さんたちから、いろんなお話を聞きました。いわく、「漫画の雑誌って貧乏臭いというか……どうしてカッコいい雑誌がないのかなあ?」
ごもっともです。カッコいいかどうかは別にして、いろんな形態の雑誌があっていいはずです。
いわく、「いま、映画のストーリーボードが、コンセプチュアル・アートという独立したアートのジャンルになっているんですよ」
なるほど古くは『ギーガーズ・エイリアン』や、最近では『スチームボーイ』など、映画(アニメ)のために作られた絵のはずなのに、映画よりもハイ・クオリティの絵があります。
「絵の力」で、映画(アニメ)という数百人の共同作業を一気に実現させる作品があるのなら、「絵の力」をもっと信じてもいいんじゃないか。そこで、「絵の力」を信じた、何でもアリのカッコいい漫画雑誌を作ろうと思いました。
必然的に、作家陣は日本国内に限らず、世界中の友人に声をかけました。どんなに長いカラー作品も収録できるようにしたいと思いました。判型も、定期刊行雑誌で最大のものにしたいと思いました。その結果が、L判=女性誌サイズです。
そして『モーニング』編集長、弊社コミック販売部ほか関係部署も全面的に協力してくれた結果、ほぼ考えた通りの雑誌が(正確にはMOOKですが)出来たと思います。
『MANDALA』という名前は、ふと浮かんだものですが、ひょっとしたら、以前モンゴルに行ったときにチベット仏教寺院を訪れて曼荼羅を見、ウランバートルで曼荼羅絵の画集を買って帰ったことがあるからかもしれません。
漫画の「漫」につながる音で始まっていますし、その混沌とした世界観こそ、自分の目指す漫画雑誌にピッタリだと思っております。アジアはもちろん、英語、フランス語にもなっており、意味はほとんどの国で伝わるはずです。
この名前のせいでしょうか、『MANDALA』ができてから、あらためて眺めてみると、現実世界のお話がほとんどありませんでした。ほとんどが、想像力から生まれた異世界の話でした。
ひるがえってわが『モーニング』を見てみますと、逆にほとんどが現実世界でのお話です。もちろん、それが悪いわけでは全然ないのですが、それだけじゃつまらないですよね。
ところで、世の中には「世界雑誌」というべき雑誌が、いくつかあります。『NEWS WEEK』『PLAYBOY』『EL』などがそうです。これらはいずれも欧米の文化から生まれた雑誌で、日本ほか世界中で発行されています。
じゃあ一方で、日本の文化から生まれて、世界で発行されて入る雑誌はあるのか。ありませんね。ちょっと悔しいです。もしそういう雑誌が出来るとすれば、それは漫画雑誌のような気がします。
『MANDALA』がそうなれば、こんなに嬉しいことはないのですが……。
新 泰幸【しん・やすゆき】y-shin@kodansha.co.jp
講談社 第7編集局モーニング編集部
MANDARA
< http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=3788393&x=C
>
※2168号の「ローマでMANGA[2]壮大な計画」で話題の雑誌です。
※『MANDALA』の内容紹介やプレゼント企画は30日(金)掲載予定です。
「漫画よ飛べ、漫画よ広がれ」という表紙のコピーは、こういう思いをこめたつもりです。
また同時期に、知り合いの漫画家さんたちから、いろんなお話を聞きました。いわく、「漫画の雑誌って貧乏臭いというか……どうしてカッコいい雑誌がないのかなあ?」
ごもっともです。カッコいいかどうかは別にして、いろんな形態の雑誌があっていいはずです。
いわく、「いま、映画のストーリーボードが、コンセプチュアル・アートという独立したアートのジャンルになっているんですよ」
なるほど古くは『ギーガーズ・エイリアン』や、最近では『スチームボーイ』など、映画(アニメ)のために作られた絵のはずなのに、映画よりもハイ・クオリティの絵があります。
「絵の力」で、映画(アニメ)という数百人の共同作業を一気に実現させる作品があるのなら、「絵の力」をもっと信じてもいいんじゃないか。そこで、「絵の力」を信じた、何でもアリのカッコいい漫画雑誌を作ろうと思いました。
必然的に、作家陣は日本国内に限らず、世界中の友人に声をかけました。どんなに長いカラー作品も収録できるようにしたいと思いました。判型も、定期刊行雑誌で最大のものにしたいと思いました。その結果が、L判=女性誌サイズです。
そして『モーニング』編集長、弊社コミック販売部ほか関係部署も全面的に協力してくれた結果、ほぼ考えた通りの雑誌が(正確にはMOOKですが)出来たと思います。
『MANDALA』という名前は、ふと浮かんだものですが、ひょっとしたら、以前モンゴルに行ったときにチベット仏教寺院を訪れて曼荼羅を見、ウランバートルで曼荼羅絵の画集を買って帰ったことがあるからかもしれません。
漫画の「漫」につながる音で始まっていますし、その混沌とした世界観こそ、自分の目指す漫画雑誌にピッタリだと思っております。アジアはもちろん、英語、フランス語にもなっており、意味はほとんどの国で伝わるはずです。
この名前のせいでしょうか、『MANDALA』ができてから、あらためて眺めてみると、現実世界のお話がほとんどありませんでした。ほとんどが、想像力から生まれた異世界の話でした。
ひるがえってわが『モーニング』を見てみますと、逆にほとんどが現実世界でのお話です。もちろん、それが悪いわけでは全然ないのですが、それだけじゃつまらないですよね。
ところで、世の中には「世界雑誌」というべき雑誌が、いくつかあります。『NEWS WEEK』『PLAYBOY』『EL』などがそうです。これらはいずれも欧米の文化から生まれた雑誌で、日本ほか世界中で発行されています。
じゃあ一方で、日本の文化から生まれて、世界で発行されて入る雑誌はあるのか。ありませんね。ちょっと悔しいです。もしそういう雑誌が出来るとすれば、それは漫画雑誌のような気がします。
『MANDALA』がそうなれば、こんなに嬉しいことはないのですが……。
新 泰幸【しん・やすゆき】y-shin@kodansha.co.jp
講談社 第7編集局モーニング編集部
MANDARA
< http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=3788393&x=C
>
※2168号の「ローマでMANGA[2]壮大な計画」で話題の雑誌です。
※『MANDALA』の内容紹介やプレゼント企画は30日(金)掲載予定です。