少し前に著作「カメラプラス トイカメラ風味の写真が簡単に」で行われたカラーマネージメントについて書いた。来たる11月13日に、そのネタでセミナーをやることになったので、今回はそのお知らせをさせていただきます。
今までも、MD研究会がらみの本ではカラーマネージメント技術を利用した運用がされてきた。その方法はというと、ジャパンカラーを基準にワークフローを組み立てるということだ。ジャパンカラーというのは、印刷の標準のことで、用紙や印刷法の違いなどにより種類がある。
その中でも、枚葉機を使いコート紙に刷る場合の標準をベースにするというのが、私が関わった中で行われてきた方法だ。ジャパンカラーでは印刷する用紙やインク、ベタ濃度などの取り決めがあり、基準とするカラーチャートに近似した印刷をすることが、ジャパンカラーに準拠するということになる。
今までも、MD研究会がらみの本ではカラーマネージメント技術を利用した運用がされてきた。その方法はというと、ジャパンカラーを基準にワークフローを組み立てるということだ。ジャパンカラーというのは、印刷の標準のことで、用紙や印刷法の違いなどにより種類がある。
その中でも、枚葉機を使いコート紙に刷る場合の標準をベースにするというのが、私が関わった中で行われてきた方法だ。ジャパンカラーでは印刷する用紙やインク、ベタ濃度などの取り決めがあり、基準とするカラーチャートに近似した印刷をすることが、ジャパンカラーに準拠するということになる。
つまり標準を元にした運用がしたい場合は、「コート紙用のジャパンカラーに準拠して刷って貰う」という取り決めをしておくことが前提となる。ただし、どこの印刷会社でもジャパンカラーに対応できるというわけではなく、カラーマネージメントや標準印刷にきちんと取り組み、安定した印刷が可能であるということが条件になる。
こうやってジャパンカラーという目標ができることにより、初めてきちんとした印刷シミュレーションが可能になる。印刷といっても、印刷機や用紙、インク等の違いにより、色再現は変わってくるのだから、そういった条件をきちんと決めておかなければシミュレーションのしようがないということだ。そして、その条件を規格化したものがジャパンカラーというわけだ。
このジャパンカラーでの運用を容易にさせるのが、アドビシステムズ社により開発され、フリーで公開されているプロファイルだ。「Japan Color 2001 Coated」(コート紙)、「Japan Color 2001 Uncoated」(上質紙)、「Japan Color 2002 Newspaper」(標準新聞紙)などのタイプが現在用意されている。
ユーザーはこれらのプロファイルを使い校正設定を行うことにより、モニタやプリンタで印刷のシミュレーションが可能になる。つまり、ジャパンカラーで運用するということは、これらのプロファイルを使ってシミュレーションをしながらデータの作成をし、印刷段階ではなるべくジャパンカラーに準拠した刷りを心がけてもらうということになる。
●専用プロファイルはなぜ作らない?
ジャパンカラーを基準にできるのは、ジャパンカラーで想定されている用紙に近い色再現が得られる場合だ。ジャパンカラーでは用紙の銘柄まで指定されているので、それと紙質がかなり違う用紙であれば、意図するような結果は得られない。
毎日コミュニケーションズから刊行された「デジカメでトイカメ!! キッチュレンズ工房」の場合は、この点でちょっとしたズレが生じた。この本で使用されたのは微塗工紙で、コート紙と比べれば色再現域は狭くちょっと沈んだ感じになってしまう。これはある程度仕方のないことなのだが、専用のプロファイルを作れば、色のマッチング精度はもっと上がるはずだ。
印刷機や用紙ごとにプロファイルを作成し、それを使えば色は合いますよ、というのがカラーマネージメントの理屈だ。しかし、実際には印刷会社の方からプロファイルが支給されるということはほとんどない。というのは、以下のような理由からだろう。
用紙の種類というのはすごくたくさんあるから、いちいちプロファイルなんて作ってられない。プロファイルを作成するためには、事前にカラーチャートを本機を使って印刷しなければならない。また、プロファイルの精度を高くするためには、何度かのテスト印刷が必要だ。
入稿したデータがどこで印刷されるのか分からない。大きな印刷会社であれば、印刷機もたくさんある。どの印刷機で刷るのかは分からないし、空いてなければ他社に回されるということもあり得る。
プロファイルを作成するためにはスキルを要する。チャート上の色の測定値を読み込めば、プロファイル作成ツール任せでプロファイルは自動的に作成できる。しかし、その状態から実際に使えるプロファイルにカスタマイズすることは簡単ではない。デジタルカメラ、製版、印刷、カラーマネージメントなどの総合的な知識が必要とされるからだ(印刷用プロファイルの場合)。
このような理由もあり、専用プロファイルを使った運用というのはあまり普及していないが、生意気にも「カメラプラス」の印刷では、専用プロファイルを作ってもらい、満足できる仕上がりを得ることができた。スペシャルなワークフローではあるが、たとえば雑誌やシリーズ本など、用紙が決まっているような場合には、専用プロファイルは有効な方法だと思う。
11月13日のセミナーでは、この時プロファイルを作ってくれたプロバンクの庄司正幸氏、印刷をお願いした大丸グラフィックスの中島弘稀氏とともに、「カメラプラス」でのワークフローを軸として、どのような応用が可能か? ということについて話をしたいと思っています。
要するに、クリエイター側のイメージをいかに印刷物として再現させるか?
といった話で、色に関わるさまざまな立場の方の参考になればと思っています。
◇JPC定例セミナー
「カラーマネージメントの実践と応用」
〜具体的な事例から、ワークフローについて考えてみる〜
2007年11月13日(木)13:30〜17:00(13:15〜受付開始)
アップルジャパン株式会社 セミナールーム
< http://www.jpc.gr.jp/jpc/seminar/071113.html
>
【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
・上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/
>
・「カメラプラス トイカメラ風味の写真が簡単に」(雷鳥社刊)
< http://www.maminka.com/toycamera/plus.html
>
こうやってジャパンカラーという目標ができることにより、初めてきちんとした印刷シミュレーションが可能になる。印刷といっても、印刷機や用紙、インク等の違いにより、色再現は変わってくるのだから、そういった条件をきちんと決めておかなければシミュレーションのしようがないということだ。そして、その条件を規格化したものがジャパンカラーというわけだ。
このジャパンカラーでの運用を容易にさせるのが、アドビシステムズ社により開発され、フリーで公開されているプロファイルだ。「Japan Color 2001 Coated」(コート紙)、「Japan Color 2001 Uncoated」(上質紙)、「Japan Color 2002 Newspaper」(標準新聞紙)などのタイプが現在用意されている。
ユーザーはこれらのプロファイルを使い校正設定を行うことにより、モニタやプリンタで印刷のシミュレーションが可能になる。つまり、ジャパンカラーで運用するということは、これらのプロファイルを使ってシミュレーションをしながらデータの作成をし、印刷段階ではなるべくジャパンカラーに準拠した刷りを心がけてもらうということになる。
●専用プロファイルはなぜ作らない?
ジャパンカラーを基準にできるのは、ジャパンカラーで想定されている用紙に近い色再現が得られる場合だ。ジャパンカラーでは用紙の銘柄まで指定されているので、それと紙質がかなり違う用紙であれば、意図するような結果は得られない。
毎日コミュニケーションズから刊行された「デジカメでトイカメ!! キッチュレンズ工房」の場合は、この点でちょっとしたズレが生じた。この本で使用されたのは微塗工紙で、コート紙と比べれば色再現域は狭くちょっと沈んだ感じになってしまう。これはある程度仕方のないことなのだが、専用のプロファイルを作れば、色のマッチング精度はもっと上がるはずだ。
印刷機や用紙ごとにプロファイルを作成し、それを使えば色は合いますよ、というのがカラーマネージメントの理屈だ。しかし、実際には印刷会社の方からプロファイルが支給されるということはほとんどない。というのは、以下のような理由からだろう。
用紙の種類というのはすごくたくさんあるから、いちいちプロファイルなんて作ってられない。プロファイルを作成するためには、事前にカラーチャートを本機を使って印刷しなければならない。また、プロファイルの精度を高くするためには、何度かのテスト印刷が必要だ。
入稿したデータがどこで印刷されるのか分からない。大きな印刷会社であれば、印刷機もたくさんある。どの印刷機で刷るのかは分からないし、空いてなければ他社に回されるということもあり得る。
プロファイルを作成するためにはスキルを要する。チャート上の色の測定値を読み込めば、プロファイル作成ツール任せでプロファイルは自動的に作成できる。しかし、その状態から実際に使えるプロファイルにカスタマイズすることは簡単ではない。デジタルカメラ、製版、印刷、カラーマネージメントなどの総合的な知識が必要とされるからだ(印刷用プロファイルの場合)。
このような理由もあり、専用プロファイルを使った運用というのはあまり普及していないが、生意気にも「カメラプラス」の印刷では、専用プロファイルを作ってもらい、満足できる仕上がりを得ることができた。スペシャルなワークフローではあるが、たとえば雑誌やシリーズ本など、用紙が決まっているような場合には、専用プロファイルは有効な方法だと思う。
11月13日のセミナーでは、この時プロファイルを作ってくれたプロバンクの庄司正幸氏、印刷をお願いした大丸グラフィックスの中島弘稀氏とともに、「カメラプラス」でのワークフローを軸として、どのような応用が可能か? ということについて話をしたいと思っています。
要するに、クリエイター側のイメージをいかに印刷物として再現させるか?
といった話で、色に関わるさまざまな立場の方の参考になればと思っています。
◇JPC定例セミナー
「カラーマネージメントの実践と応用」
〜具体的な事例から、ワークフローについて考えてみる〜
2007年11月13日(木)13:30〜17:00(13:15〜受付開始)
アップルジャパン株式会社 セミナールーム
< http://www.jpc.gr.jp/jpc/seminar/071113.html
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【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
・上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/
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・「カメラプラス トイカメラ風味の写真が簡単に」(雷鳥社刊)
< http://www.maminka.com/toycamera/plus.html
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