昨日は友人の写真展めぐりをした。まずは、京橋の「ZEIT-FOTO SALON」で行われていた、楢橋朝子さんの「half awake and half asleep in the water 06/07」。「NU E」「FUNICULI FUNICULA」に続くシリーズで、半分水中に没したイメージ。
って、何のことだか分からないな。水中カメラを使って撮った写真だが、レンズの下側半分が水の中、上の半分は水の上に出た状態で撮影している。別に水中写真家ではないので、潜って撮っているわけではない。たぶん前かがみになって水にカメラを浸けながら、シャッターを押してるんだろうねえ。
水中と水上の割合はきっちりと半々というわけではない。画面は斜めに傾いていたり、波が当たったりして不定形だ。水の上に写っているのは、遠くの風景であったり、建物であったり、水遊びをする人だったり、空であったり……。水に浸かりながら外界を覗くような、すごく不思議なイメージだ。
って、何のことだか分からないな。水中カメラを使って撮った写真だが、レンズの下側半分が水の中、上の半分は水の上に出た状態で撮影している。別に水中写真家ではないので、潜って撮っているわけではない。たぶん前かがみになって水にカメラを浸けながら、シャッターを押してるんだろうねえ。
水中と水上の割合はきっちりと半々というわけではない。画面は斜めに傾いていたり、波が当たったりして不定形だ。水の上に写っているのは、遠くの風景であったり、建物であったり、水遊びをする人だったり、空であったり……。水に浸かりながら外界を覗くような、すごく不思議なイメージだ。
このシリーズの写真集は、アメリカのNAZRAELI PRESSという出版社から刊行されたばかり。なかなか立派な写真集が出来上がったが、色校正ではけっこう苦労をしたらしい。
楢橋さんはネガカラーフィルムで撮影し、自分でプリントまで行っているのだが、反射原稿からの印刷でも、カラーマネージメントの技術というのはけっこう役立つと思う。スキャニングしてしまえばデジタルデータなのだから、ディスプレイやプリンタで仕上がりイメージの確認もできる。
セレクトした写真のバラ校正を印刷本機で出すというのもいいと思う。コストを抑えながら、より本刷りに近い仕上がりの確認ができるからだ。まず、初めにワークフローから考えていけば、コストを下げつつ、イメージに近い仕上がりも望める。反射原稿で入稿する写真集の場合でも、もう少しワークフローを改善する余地はあると思う。
◇03FOTOS
< http://www.03fotos.com/
>
●馬とサボテン
その次に行ったのは、広尾で始まったばかりの尾仲浩二さんの写真展「馬とサボテン」。尾仲さんが自主ギャラリーの「街道」を再開したことは、少し前に紹介した。南阿佐ヶ谷の木造アパートを改造して作った写真展示スペースだ。
こちらの方は手作り感のあふれるギャラリーだが、今回の広尾の「エモン・フォトギャラリー」は、有栖川公園の近所のお洒落なギャラリー。尾仲さんの作品は、この夏、旅をしてきたメキシコの写真だったが、コンクリート打ちっ放しのスペースになかなか似合っていた。というか、このギャラリーで写真展をやるという話になり、スペースにあった写真ということで、なぜかメキシコが思い浮かんだのだという。
普段は一眼レフにカラーネガフィルムで撮影しているのだが、今回の旅にはパノラマカメラも携えて行った。フジフイルムの「TX-1」だ。通常の35mmのフィルムでは1コマで24×36mmの写真撮影ができるが、このカメラでは、切り替えで24×65mmの写真撮影が可能。つまりだいたい2コマ分の長細い写真になるということ。
そのパノラマカメラを駆使して撮影された、縦長や横長のメキシコの風景は、尾仲さん独特のプリントのカラーに合って、なかなかいい感じだった。今回のこのパノラマ写真をプリントするために、イーゼルやネガキャリアを自作したそうだ。また、プリント時には周辺光量落ちを回避するために、すべて覆い焼きしながら行ったのだという。
ここで言う覆い焼きというのは、周縁部が暗くなってしまうから、周縁部だけ手や紙で覆って露光秒数を変えるということ。自分のイメージ通りにプリントするために、そんなテクニックも使っている。小さな馬に乗って移動した話や、野良犬に追いかけられた話なども聞けて面白かった。
◇尾仲浩二展「馬とサボテン」
< http://www.emoninc.com/test/exhibition/onaka.html
>
●ネコの爪痕
最後に行ったのは新宿2丁目の「ポルトリブレ」。ここでは以前にも紹介したトマソンの煙突男・飯村昭彦さんの写真展「芸術状物質の謎4」が行われていた。超芸術トマソンの物件もあるが、街に密かに佇む芸術状のオブジェを撮影したものがメインだった。
壁や鉄柱などの写真が多いのだが、何度もペンキを塗り重ねたり、錆びたり、車がこすったり、ネコが引っかいたり、ナメクジが這ったりした痕跡を4×5のカメラでかっちりと複写している。
誰もいなくなった深夜に、機材を持って現れ、三脚を据え、きちんとライティングをして撮影するのだという。その行為まで含めて面白いと思うが、現場に到着して一枚目を撮影するまでに一時間ぐらいかかり、撮影が終わるまでに一晩かかるらしい。そこまでのことをやってたんですね。ホントに脱帽。
そうやって撮影された写真は本当に美しいですよ。普段は誰も注目することのない、ただの壁や鉄柱が、飯村さんに発見され、記録されることによって、芸術として再現されるというわけだ。
◇飯村昭彦写真展
< http://www.k5.dion.ne.jp/%7Emidosm/syasinten/index.html
>
トマソンつながりの美学校の友人、広瀬勉さんの型録写真展(30)「夏の塀」は、南阿佐ヶ谷の「街道」で、11月30日(金)から始まる。広瀬さんは穴あきブロックの写真で有名。穴あきブロックというのは、ブロックの種類のことで、まあ、穴の空いたブロックのことだな。その穴の形にいろいろ種類があって、菱形とか、三ッ山とか、千鳥模様とか、そういうのが、いーっぱいある。そういう写真をいーっぱい撮ってきた人。
今、ネットで調べたらけっこう穴あきブロックを撮ってる人っているんだね。でも広瀬さんは20年以上ブロックの写真を撮っていて、「塀帳」(トムズボックス刊)というブロックの写真集も出したりしてるから、穴あきブロック界での位はけっこう高いんじゃないかな?
◇ギャラリー街道
< http://kaido.mods.jp/
>
【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/
>
◇「カメラプラス トイカメラ風味の写真が簡単に」(雷鳥社刊)
< http://www.maminka.com/toycamera/plus.html
>
楢橋さんはネガカラーフィルムで撮影し、自分でプリントまで行っているのだが、反射原稿からの印刷でも、カラーマネージメントの技術というのはけっこう役立つと思う。スキャニングしてしまえばデジタルデータなのだから、ディスプレイやプリンタで仕上がりイメージの確認もできる。
セレクトした写真のバラ校正を印刷本機で出すというのもいいと思う。コストを抑えながら、より本刷りに近い仕上がりの確認ができるからだ。まず、初めにワークフローから考えていけば、コストを下げつつ、イメージに近い仕上がりも望める。反射原稿で入稿する写真集の場合でも、もう少しワークフローを改善する余地はあると思う。
◇03FOTOS
< http://www.03fotos.com/
>
●馬とサボテン
その次に行ったのは、広尾で始まったばかりの尾仲浩二さんの写真展「馬とサボテン」。尾仲さんが自主ギャラリーの「街道」を再開したことは、少し前に紹介した。南阿佐ヶ谷の木造アパートを改造して作った写真展示スペースだ。
こちらの方は手作り感のあふれるギャラリーだが、今回の広尾の「エモン・フォトギャラリー」は、有栖川公園の近所のお洒落なギャラリー。尾仲さんの作品は、この夏、旅をしてきたメキシコの写真だったが、コンクリート打ちっ放しのスペースになかなか似合っていた。というか、このギャラリーで写真展をやるという話になり、スペースにあった写真ということで、なぜかメキシコが思い浮かんだのだという。
普段は一眼レフにカラーネガフィルムで撮影しているのだが、今回の旅にはパノラマカメラも携えて行った。フジフイルムの「TX-1」だ。通常の35mmのフィルムでは1コマで24×36mmの写真撮影ができるが、このカメラでは、切り替えで24×65mmの写真撮影が可能。つまりだいたい2コマ分の長細い写真になるということ。
そのパノラマカメラを駆使して撮影された、縦長や横長のメキシコの風景は、尾仲さん独特のプリントのカラーに合って、なかなかいい感じだった。今回のこのパノラマ写真をプリントするために、イーゼルやネガキャリアを自作したそうだ。また、プリント時には周辺光量落ちを回避するために、すべて覆い焼きしながら行ったのだという。
ここで言う覆い焼きというのは、周縁部が暗くなってしまうから、周縁部だけ手や紙で覆って露光秒数を変えるということ。自分のイメージ通りにプリントするために、そんなテクニックも使っている。小さな馬に乗って移動した話や、野良犬に追いかけられた話なども聞けて面白かった。
◇尾仲浩二展「馬とサボテン」
< http://www.emoninc.com/test/exhibition/onaka.html
>
●ネコの爪痕
最後に行ったのは新宿2丁目の「ポルトリブレ」。ここでは以前にも紹介したトマソンの煙突男・飯村昭彦さんの写真展「芸術状物質の謎4」が行われていた。超芸術トマソンの物件もあるが、街に密かに佇む芸術状のオブジェを撮影したものがメインだった。
壁や鉄柱などの写真が多いのだが、何度もペンキを塗り重ねたり、錆びたり、車がこすったり、ネコが引っかいたり、ナメクジが這ったりした痕跡を4×5のカメラでかっちりと複写している。
誰もいなくなった深夜に、機材を持って現れ、三脚を据え、きちんとライティングをして撮影するのだという。その行為まで含めて面白いと思うが、現場に到着して一枚目を撮影するまでに一時間ぐらいかかり、撮影が終わるまでに一晩かかるらしい。そこまでのことをやってたんですね。ホントに脱帽。
そうやって撮影された写真は本当に美しいですよ。普段は誰も注目することのない、ただの壁や鉄柱が、飯村さんに発見され、記録されることによって、芸術として再現されるというわけだ。
◇飯村昭彦写真展
< http://www.k5.dion.ne.jp/%7Emidosm/syasinten/index.html
>
トマソンつながりの美学校の友人、広瀬勉さんの型録写真展(30)「夏の塀」は、南阿佐ヶ谷の「街道」で、11月30日(金)から始まる。広瀬さんは穴あきブロックの写真で有名。穴あきブロックというのは、ブロックの種類のことで、まあ、穴の空いたブロックのことだな。その穴の形にいろいろ種類があって、菱形とか、三ッ山とか、千鳥模様とか、そういうのが、いーっぱいある。そういう写真をいーっぱい撮ってきた人。
今、ネットで調べたらけっこう穴あきブロックを撮ってる人っているんだね。でも広瀬さんは20年以上ブロックの写真を撮っていて、「塀帳」(トムズボックス刊)というブロックの写真集も出したりしてるから、穴あきブロック界での位はけっこう高いんじゃないかな?
◇ギャラリー街道
< http://kaido.mods.jp/
>
【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/
>
◇「カメラプラス トイカメラ風味の写真が簡単に」(雷鳥社刊)
< http://www.maminka.com/toycamera/plus.html
>
- デジカメでトイカメ!! キッチュレンズ工房 ~ピンホールに蛇腹、魚眼でレトロでアナログなデジタル写真を撮ろう!~
- 上原 ゼンジ
- 毎日コミュニケーションズ 2007-06-22
by G-Tools , 2007/11/29