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── 「日本語組版の考え方」向井裕一著 誠文堂新光社刊 ──

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日本語組版の考え方●「何をどのようにすれば読みやすい版面を整形することができるか」を考えるために、日本語組版の材料を整理することと、これからDTPで日本語を組む人たちのための参考書となることを目的としてつくられた本である。

日本語のベタ組みの考え方は、それほど複雑なものではない。行頭・行末の約物の配置を決め、調整の方針と調整量を決めてしまえば、あとできることは限られた範囲でしかない。この理屈が理解できれば、InDesignの文字組み設定もさほど苦にはならないだろう。

日本語はどのように組まれているのか、その理由(考え方)と、アプリケーションでどれだけの項目(属性)を設定すれば日本語は組めるのか、ということがわかれば、あらゆる場面に対応できる力がつくはずである。デザイン系学生、編集者、DTPオペレータ、InDesignの「文字組み設定」項目の多さに挫折して(?)個別の設定をあきらめている人などにおすすめである。

付録の「Adobe InDesign CS3の組版設定」が実用的だ。現在の日本語のベタ組みで流通している組み方を、行頭・行末約物の全角・半角の揃え方を基準に9種類に整理し、その特徴とともに実際のInDesignの設定を示す。このInDesignの「文字組みアキ量設定」も、わずか4種類で、9種類の版面を組み分けられることを紹介する。この設定をもとに文章を組むことで、日本語の組み方のポイントが理解できる。さっそくトライしたくなる。


組版の教則本をひもとけば、様々なルールが並んでいる。しかし、なぜそのようなルールを適用するのか? という疑問には答えてくれない。本書では組版を属性の集合としてとらえ、それぞれの性質と関連を解説。あらゆるケースに自分で対応できる考え方が身につきます。日本語の組版ルールの考え方がわかる。デザイナー・出版関係者必携の一冊です。

◎目次
1. 組版とは何か
2. 組版面を決定する属性の種類と関係
3. 基準点と方向属性
4. 揃えに関係する属性
5. 行内の配置
6. 禁則と分離禁止
7. 段落と版面の属性
8. 行頭と行末の配置
9. 版面の調整処理
付録:Adobe InDesign CS3 の組版設定

日本語組版の考え方
著者:向井裕一
体裁:ソフトカバー、菊判変形、かがり綴じ(150x220mm)、128頁2色刷
定価:本体1,400円+税
ISBN:978-4-416-60826-5

< http://www.seibundo-net.co.jp/CGI/search/syousai.cgi?mode=id&id=02853
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日本語組版の考え方
向井 裕一
誠文堂新光社 2008-02

by G-Tools , 2008/02/26