落下する水滴を写し止めるために、試行錯誤をしていた。水滴を一定間隔で滴下させるためのローラークランプを導入したものの、水に粘度を出すために、ローションを混ぜてみたら一発で詰まってしまい、装置は使えなくなってしまった。
分解して詰まっていたものを吸い出し、ようやく使えるようになったが、ローション作戦はもう使えない。しょうがないから、ミルクを使って試してみることにする。
しかし、私がやろうとしていたのは、水滴を使ってレンズにすることなので、レンズにならない牛乳の滴を写し止めても意味はないんだよね。自分の行動に少し疑問を感じながらも、せっかくローラークランプまで買ったんだし、なんでもいいから滴下させたいという欲望に後押しされ、ミルククラウンの実験をしてみることにする。まあ、これはこれで一度やってみたかったことではある。
実験の方法は、次のような感じ。
分解して詰まっていたものを吸い出し、ようやく使えるようになったが、ローション作戦はもう使えない。しょうがないから、ミルクを使って試してみることにする。
しかし、私がやろうとしていたのは、水滴を使ってレンズにすることなので、レンズにならない牛乳の滴を写し止めても意味はないんだよね。自分の行動に少し疑問を感じながらも、せっかくローラークランプまで買ったんだし、なんでもいいから滴下させたいという欲望に後押しされ、ミルククラウンの実験をしてみることにする。まあ、これはこれで一度やってみたかったことではある。
実験の方法は、次のような感じ。
・複写台を使って、滴下装置を吊り下げる。
・滴下装置というのは、ペットボトルを逆さまにしたものから、チューブを伝って液体が落下するもの。途中に点滴なんかに使うローラークランプが付いていて、滴下量の調整ができるようになっている。東急ハンズで500円ぐらいだった。
・ストロボではなく定常光を使い、シャッタースピードを速くして、動きを止める方式を採用。
まず、問題になってくるのがピントだ。動きを止めることも重要だが、ピントもしっかり合わせたい。マクロだから被写界深度が浅いのでけっこう難しい。そこで考えたのは、ミルクが落ちる位置に画鋲を置いておき、そこにピントを合わせておくこと。
でも、ミルククラウンというのは、王冠型になるし、滴が跳ね返ったりもするので、けっこう奥行きが出てくる。被写界深度を広くしようとすれば、シャッタースピードは落とさなければならないし、ピント合わせはけっこう悩ましい。
しかし、繰り返し作業を行ううちに、画鋲なんかは使わず、滴下するミルクをファインダーで覗きながら、直接ピントが合わせられるようになってきた。まあ、心の眼でピントを合わせるというのかな……。
というような神業を会得したわけではなく、残像でもピントが合わせられるんだということを初めて知った。ぜひ、お試しください。
●やっぱりストロボがいい
やたらとシャッターを切り、それなりにミルククラウンっぽい写真を撮ることができた。フィルムであれば、そんなに浪費することはできないので、もうちょっと確実に写し止める方法が必要になる。そこで、落ちる瞬間にストロボを発光させるというような電子的な装置が利用されてきた。でもデジカメの時代では、気軽にミルククラウンの撮影ができる。
ただし、写した画像を拡大してみると、いまいちシャープではない。これは定常光の限界なのだろうか。もともとは、水滴レンズの向こう側にじっくりとピントを合わせたいという意図で定常光を使って撮影していたが、カチっと撮影したければ硬くて閃光時間の短いストロボの光のほうが当然いいだろう。
それから、被写界深度をもう少し深くしてみたいので、今度はコンパクトデジタルカメラを使ってみることにする。コンパクトなデジタルカメラは撮像素子(CCD/CMOS)のサイズが小さく、ピントの合う範囲が広くなる。マクロできっちりとピント合わせがしたい昆虫写真を撮っている人達は、こういった撮像素子の小さなデジタルカメラをうまく利用している。
ということで、今度はコンパクトなデジタルカメラ(リコーのGX100)を使って、ミルククラウンではなく水滴クラウンに挑戦。滴下装置は使わずに大きなスポイトを使って、自分で水滴を落とすことにする。
ここでも問題になるのがピント合わせ。まず、レンズから被写体までの距離を測って合わせようと試みるが、近すぎて物差しが入らない。そこで液晶画面を見ながら、ピント合わせを行うが、釣りのオモリの鉛板で水滴クラウン大の輪っかを作り、それにピントを合わせることにする。
ピントの合う範囲というのは、ジャスピンの位置から手前は浅く、向こう側の方が深くなる。そこで、鉛の輪っかの一番手前から少し奥寄りの部分にピントを合わせるようにする。そうすればクラウン全体にピントが合うはず。水滴を落とすスポイトはもちろん固定してあって、同じ位置に落ちてくるようになっている。
左手でスポイトをつまみながら、右手でシャッターを切る。水は一滴ずつ落とすのではなく、連続的に。そして、シャッターの方も連写にしておく。こうすれば当たる確率も高くなる。一滴ずつ落として、タイミングよく写そうと思っても、まあ無理。
作例はそうやってポタポタと水滴を落としたもの。一眼レフで撮影したミルククラウンよりも、クリアに撮影できた。
◇Zorg
< http://www.zorg.com/photo/zenji/
>
あまり深い水槽に水を落としても、きれいな冠型にはならない。まず、水が全然入っていない状態から滴下を開始すればいい。それと水滴を落とす位置も重要。うまく跳ね返らすためには、少し高いところからのほうがいい。
私が本当にやりたかったのは、水滴クラウンの撮影ではなくて、水滴レンズに写ったものの撮影なんだけど、とりあえず第一段階はクリアか。
【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/
>
◇「カメラプラス トイカメラ風味の写真が簡単に」(雷鳥社刊)
< http://www.maminka.com/toycamera/plus.html
>
・滴下装置というのは、ペットボトルを逆さまにしたものから、チューブを伝って液体が落下するもの。途中に点滴なんかに使うローラークランプが付いていて、滴下量の調整ができるようになっている。東急ハンズで500円ぐらいだった。
・ストロボではなく定常光を使い、シャッタースピードを速くして、動きを止める方式を採用。
まず、問題になってくるのがピントだ。動きを止めることも重要だが、ピントもしっかり合わせたい。マクロだから被写界深度が浅いのでけっこう難しい。そこで考えたのは、ミルクが落ちる位置に画鋲を置いておき、そこにピントを合わせておくこと。
でも、ミルククラウンというのは、王冠型になるし、滴が跳ね返ったりもするので、けっこう奥行きが出てくる。被写界深度を広くしようとすれば、シャッタースピードは落とさなければならないし、ピント合わせはけっこう悩ましい。
しかし、繰り返し作業を行ううちに、画鋲なんかは使わず、滴下するミルクをファインダーで覗きながら、直接ピントが合わせられるようになってきた。まあ、心の眼でピントを合わせるというのかな……。
というような神業を会得したわけではなく、残像でもピントが合わせられるんだということを初めて知った。ぜひ、お試しください。
●やっぱりストロボがいい
やたらとシャッターを切り、それなりにミルククラウンっぽい写真を撮ることができた。フィルムであれば、そんなに浪費することはできないので、もうちょっと確実に写し止める方法が必要になる。そこで、落ちる瞬間にストロボを発光させるというような電子的な装置が利用されてきた。でもデジカメの時代では、気軽にミルククラウンの撮影ができる。
ただし、写した画像を拡大してみると、いまいちシャープではない。これは定常光の限界なのだろうか。もともとは、水滴レンズの向こう側にじっくりとピントを合わせたいという意図で定常光を使って撮影していたが、カチっと撮影したければ硬くて閃光時間の短いストロボの光のほうが当然いいだろう。
それから、被写界深度をもう少し深くしてみたいので、今度はコンパクトデジタルカメラを使ってみることにする。コンパクトなデジタルカメラは撮像素子(CCD/CMOS)のサイズが小さく、ピントの合う範囲が広くなる。マクロできっちりとピント合わせがしたい昆虫写真を撮っている人達は、こういった撮像素子の小さなデジタルカメラをうまく利用している。
ということで、今度はコンパクトなデジタルカメラ(リコーのGX100)を使って、ミルククラウンではなく水滴クラウンに挑戦。滴下装置は使わずに大きなスポイトを使って、自分で水滴を落とすことにする。
ここでも問題になるのがピント合わせ。まず、レンズから被写体までの距離を測って合わせようと試みるが、近すぎて物差しが入らない。そこで液晶画面を見ながら、ピント合わせを行うが、釣りのオモリの鉛板で水滴クラウン大の輪っかを作り、それにピントを合わせることにする。
ピントの合う範囲というのは、ジャスピンの位置から手前は浅く、向こう側の方が深くなる。そこで、鉛の輪っかの一番手前から少し奥寄りの部分にピントを合わせるようにする。そうすればクラウン全体にピントが合うはず。水滴を落とすスポイトはもちろん固定してあって、同じ位置に落ちてくるようになっている。
左手でスポイトをつまみながら、右手でシャッターを切る。水は一滴ずつ落とすのではなく、連続的に。そして、シャッターの方も連写にしておく。こうすれば当たる確率も高くなる。一滴ずつ落として、タイミングよく写そうと思っても、まあ無理。
作例はそうやってポタポタと水滴を落としたもの。一眼レフで撮影したミルククラウンよりも、クリアに撮影できた。
◇Zorg
< http://www.zorg.com/photo/zenji/
>
あまり深い水槽に水を落としても、きれいな冠型にはならない。まず、水が全然入っていない状態から滴下を開始すればいい。それと水滴を落とす位置も重要。うまく跳ね返らすためには、少し高いところからのほうがいい。
私が本当にやりたかったのは、水滴クラウンの撮影ではなくて、水滴レンズに写ったものの撮影なんだけど、とりあえず第一段階はクリアか。
【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/
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◇「カメラプラス トイカメラ風味の写真が簡単に」(雷鳥社刊)
< http://www.maminka.com/toycamera/plus.html
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