8月中に新しい本が出る予定だ。タイトルは、「うずらの惑星」。
いろんなレンズやフィルターを工作して遊ぶための本、「カメラプラス」の続編だが、今回は工作色は薄くなり、ミクロの向こう側の宇宙を撮影した作品集となっている。現在、本文やカバーのデザインが上がってきているところだが、なかなかカッコいいデザインで、刷り上がりが楽しみだ。
毎度印刷に関しては、ガタガタうるさいことを言わせてもらっているが、テスト印刷の感じもイメージ通りなので、本番でも同じように刷ることができれば、著者としては文句はない。ただ、テストの時と本番とでは印刷するスピードも違うから、なかなかコントロールは難しいらしいのだが……。
いろんなレンズやフィルターを工作して遊ぶための本、「カメラプラス」の続編だが、今回は工作色は薄くなり、ミクロの向こう側の宇宙を撮影した作品集となっている。現在、本文やカバーのデザインが上がってきているところだが、なかなかカッコいいデザインで、刷り上がりが楽しみだ。
毎度印刷に関しては、ガタガタうるさいことを言わせてもらっているが、テスト印刷の感じもイメージ通りなので、本番でも同じように刷ることができれば、著者としては文句はない。ただ、テストの時と本番とでは印刷するスピードも違うから、なかなかコントロールは難しいらしいのだが……。
今度で四冊目の本になるが、それぞれで印刷のポイントは違っていた。一冊目は「カラーマネージメントの本」で、用紙の方も刷りやすい通常のコート紙だったから、特に問題はなかった。データを作る側がカラーマネージメントの環境を整え、印刷のターゲットをジャパンカラーとすることで、ややこしいワークフローを考えなくても、それなりに色は合ってくる。
二冊目の「キッチュレンズ工房」の場合は、少し風合いのあるラフな紙を使った。コート紙よりもツカが出るし、書籍向きということで採用された紙だったが、ちょっと問題があった。CMYK変換にはJapan Color 2001 Coatedを使い、ジャパンカラーのタイプ3(コート紙用)をターゲットとしたのだが、コート紙とはかなり紙質が違ったため、刷り上がりがいまいちだったのだ。
まあ、成り行きで沈んだ感じになるということは、想定していたことだったのだが、もう少し対策を考えても良かったかな、という感じだった。
三冊目の「カメラプラス」では、「キッチュレンズ工房」同様ラフな嵩高紙を使ったのだが、ここでは専用プロファイルを作成した。印刷機本機でカラーチャートの印刷を行い、そのチャートを測定してプロファイルを作った。カラーマネージメントの理屈から言えば、個々のデバイスのプロファイルを作るというのは、当たり前のような気もするが、印刷機のまともなプロファイルを作るのは非常に難しく、一般的な方法とは言えない。
しかし、私のバックには日本一のプロファイル職人・庄司正幸氏がついているので、スペシャルなワークフローを組んで貰うことができた。結果、ラフだから沈むことは沈むのだが、色のマッチングということではイメージ通りで、ディスプレイでのシミュレーションにかなり近い仕上がりになった。
●印刷をフィックスしてデータを調整
今回は印刷が難しそうな写真が多かったのと、鮮やかな写真は鮮やかに、黒を締めたい写真はしっかりとコントラストがつくように、ということで塗工量の多い紙を希望した。とは言うものの、普通のコート紙だとちょっとチープに見えるということで、マットコート紙が採用された。
ただ問題は、昨今の紙代の値上がりの影響で、印刷にかかる費用を抑えたいという出版社側の意向があったこと。そんな時に切り詰めの対象となるのは、やはり専用プロファイルの作成費用。そこで、今回は汎用的なプロファイルであるJapan Color 2001 Coatedを使うことになった。
ジャパンカラーの中には、マットコート紙用の基準もあるのだが、残念ながら質のいいマットコート紙用の汎用プロファイルというのは、流通していない。そこでコート紙とマットコート紙との違いはあるが、質の高いプロファイルということで、アドビシステムズ社製のJapan Color 2001 Coatedというプロファイルを使うことにしたというわけだ。
ただし、今回も印刷機本機を使ったテスト印刷は行った。全ページにわたる本機校正をしたとしたら費用は嵩んでしまうが、A2サイズに主だった画像を集め、明るさやシャープネスの度合いを変えてテストをしたのである。
明るさのテストというのは、一つの写真の中で5段階に明るさを変えた部分を作り、どの明るさが適切であったかを判断しようとしたのだ。これは写真をプリントする際に暗室で行われる「試し焼き」の方法をそのまま採用してみた。
試し焼きというのは、プリント時に印画紙への露光秒数を段階的に変えた部分を作り、何秒露光するのが適正なのかを判断する方法だ。露光秒数以外のファクターをすべてフィックスすることにより、適切な露光秒数が判断できるようになる。
印刷の場合も同様で、テスト印刷と同じ条件で本番でも印刷をしてもらうということを第一の前提とする。そしてデータの方をその印刷に合うように補正するのだ。そうすれば、イメージ通りの仕上がりになるという仕組みだ。
今回はテスト印刷用のデータの中に、あるカラーチャートを入れておいた。ジャパンカラーには、色再現の目標値があるので、実際の刷り上がりを測定し、Lab値が近似していればいいということになる。これは専用のアプリケーションを使い色差ΔEという数値で表すことができる。
つまりクライアント側で印刷物に対し、印象的な評価だけではなく、数値を使った客観的な評価ができるということだ。これは印刷屋さんにとっては脅威だが、印刷が悪いのか、元々のデータが悪いのかも分かるし、何度も何度も色校を出すというような無駄からも解放されることにつながる。
で、今回の私の本でのテスト印刷の結果としては、マットコート紙に刷ったにもかかわらず、コート紙のジャパンカラーの基準に沿うものとなった。後は本番でもテスト印刷と同じように刷って貰えればオーケー。よろしくお願いします! と公開の場でプレッシャーをかけさせていただきたいと思います。
【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇上原ゼンジのWEBサイト
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◇「カメラプラス トイカメラ風味の写真が簡単に」(雷鳥社刊)
< http://www.maminka.com/toycamera/plus.html
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- デジカメでトイカメ!! キッチュレンズ工房 ~ピンホールに蛇腹、魚眼でレトロでアナログなデジタル写真を撮ろう!~
- 上原 ゼンジ
- 毎日コミュニケーションズ 2007-06-22
by G-Tools , 2008/07/31