前回はドリルドライバにカメラをくっつけてグルグルと回す、という話を書いた。これは、企画倒れでろくな写真が撮れなかったのだが、柴田編集長から扇風機を使ってみてはどうかというメールが届いた。私としては回転方面からはもう足を洗いたかったのだが、編集長からジキジキに提案されたら断れまい。ということでやってみました。
まず、工作の仕方を考える。一番簡単なのは扇風機の羽根にカメラをくくりつけてしまう方法。でもしっかりくくりつけないと、どこかにカメラが飛んで行ってしまいそう。それにピッタリくっつけてしまうと液晶画面が隠れてしまうし、何の操作もできないんだよな。
で、羽根を外して、回転軸に切ってあるネジに、ナットを使って留めるという方法を考える。前回はこういう工作をする時には現物を持って行って、合わせてみると確実、という話を書いたが、羽根のない扇風機を持ってウロウロしているオジさんというのは、かなり怪しい。そこで今回はノギスで測っていくことにする。
まず、工作の仕方を考える。一番簡単なのは扇風機の羽根にカメラをくくりつけてしまう方法。でもしっかりくくりつけないと、どこかにカメラが飛んで行ってしまいそう。それにピッタリくっつけてしまうと液晶画面が隠れてしまうし、何の操作もできないんだよな。
で、羽根を外して、回転軸に切ってあるネジに、ナットを使って留めるという方法を考える。前回はこういう工作をする時には現物を持って行って、合わせてみると確実、という話を書いたが、羽根のない扇風機を持ってウロウロしているオジさんというのは、かなり怪しい。そこで今回はノギスで測っていくことにする。
ホームセンターに行って、8ミリのネジに合うナットと、カメラを固定するためのL字の金具を購入。しかし家に帰って付けようとしたら扇風機のネジにナットが合わない。「だから、扇風機を持ってけって言ったじゃん!」と弱虫の自分を責める。やはり、扇風機を持って行って合わせてみるべきだろうか? でも恥ずかしい……。心は乱れ、仕事も手につかない。
考えに考え抜いた末、扇風機本体ではなく、羽根を留めていたキャップの方を持っていけばいいのだと思いつき、一人ニンマリする。早速ポッケにキャップを入れてホームセンターへ。金物のコーナーに行ってネジを合わせてみるのだが、残念ながら合うものがない。
このホームセンターのネジコーナーはかなり充実していて、ミリネジだけでなく、インチネジも扱っているような店だから、ここで合うものがないということは規格外なのかもしれない。そう言えば扇風機のメーカーは、まったく聞いたことのない会社だった。困ったなあ、ちゃんとしたメーカーの扇風機を買うべきだろうか。
●どのカメラを投げるべきか?
扇風カメラの工作はちょっとお休みして、今度はカメラを放り投げることに挑戦。「カメラトス」については前回もちょっと書いたが、少しちょっかいを出してみることにする。カメラトスというのは空中にカメラを放り投げ、空中で撮影を行う方法だ。
たとえば、セルフタイマーを使い、自分に向けてシャッターを押す。撮影の直前にカメラを放り投げれば、空撮したセルフポートレイトが撮れる……かもしれない。シャッタースピードを遅くして放り投げれば、大地が歪んで写る……かもしれない。いずれにせよ、トライ&エラーを繰り返し、偶然を呼び込むようにして撮影する方法で、うまくいけばなかなか面白いイメージが得られる。
カメラトスにはいろんな手法があるが、一番きれいなのは、暗い場所で様々な色の発光体を撮影する方法。シャッタースピードを遅くすれば、点光源がきれいな光のラインとなる。投げる時のひねりの加え方で、さまざまな模様になる。
私はこのカメラトスを知った時に、カメラを受け止めそこなった時用の命綱をどうやって付けたらいいのか、ということをまず考えた。まあ、普通はカメラが落ちて壊れたら大変だから、誰でも落下防止策というのを考えて当たり前だ。でも、命綱を付けて放り投げるのは真のカメラトスとは言えないようだ。
「ああ、ナンだ。君はヒモを付けて放り投げたんだ。でも、そんなのカメラトスって言って欲しくないんだよねー」ということらしい。カメラを手に持ち、振り回しながら撮影する、というジャンルはあるようだが、「トス」と一緒にしてはいけないということらしい。
被写体の方は豆電球やLEDを使ったイルミネーションみたいなものが向いているようだが、パソコンモニタに映し出した画像でもいいらしい。これは簡単そうだが、もし放り投げたカメラがモニタに激突したら……とか、キーボードやパソコンの上に落ちてきたら……なんていうことを考えると、心が折れそうになる。しかし俺は今、勇気を試されているのだ!
結局弱虫でチキンな私は、テレビの前にお布団を敷いて撮影することにしました。まあ、これでもどうにかなりそうな気がする。まず、カメラトスの定番である携帯電話を使って撮影に挑む。しかし、なかなかうまく撮影することができない。マニュアルが効かないから、シャッタースピードのコントロールが難しいのだ。
夜景モードで撮影すれば、シャッタースピードを遅くできそうだが、なぜかテレビ画面がしっかり写ってしまう。いやしっかりというのは嘘で、画像はブレてはいないが、多重露出のような感じで、2重3重に写ってしまう。これが携帯電話の限界なんだろうか。
しかたないので、コンパクトデジカメで撮影することにする。まずリコーのGX 100。これならマニュアルでシャッタースピードの制御も可能。しかし、ボディを振ってみると中でなにか動く感じ。この間ドリルドライバの先に付けられてグルグルやられたもんだから、脱臼でもしてしまったのだろうか? さらに衝撃を与え、複雑骨折でもしたら大変だから、しばらくは安静にしておいたほうがいいかもしれない。
リコーには、工事現場など屋外でハードに使うことを想定して作られた、防水デジタルカメラG600という機種がある。これは「1.5mの落下テストもクリア」という衝撃に強い製品なのだが、カメラトスに向いた製品と言えそうだ。防水・防塵・耐冷仕様ということで、この機種じゃないと撮れないような作品というのもありそうだな。でも、ちょっと高い。
ニコンのCOOLPIX5000は最近使っていないから投げてもいいかな、と思ったのだが、ちょっと重いから落ちた時の衝撃は強そうだ。それに液晶画面が動くようになっているので、つなぎ目が折れて液晶画面だけ外れてしまうという事故は充分に考えられる。
最終的に今回命を賭して貰うことになったのは、キヤノンのIXY DIGITAL 810 ISだ。携帯電話よりはかなり重たいが、出っ張りのないデザインでしっかりとした造りだ。いい仕事をしてくれるんじゃないかと期待している。ちょっと不安そうではあったが、お布団を2枚敷くということで納得してもらった。
まず、シャッタースピードを2秒に設定して放り投げ、テレビ画面を撮影してみる。しかし、ブレないでちゃんと写る。何回か試してみるが同じ。2秒もシャッター開けてるのに、それはないでしょう。なぜだ? そうか、テレビというのは走査線がビュンビュン走って表示してるから、長時間露光でも瞬間しか写らないのか。じゃあ、わざとブレさせるカメラトスの被写体としては失格じゃん。
私はそのことに気づくと、カメラトスに向いた被写体を求め、またあてのない旅に出たのだった。
(つづく)
◇流し展
現在、「街道」の流し台を借りて、写真と手作りレンズを少し展示しています。街道というのは写真家・尾仲浩二さんが運営するギャラリーです。現在、尾仲さん、叶芳隆さん、坂巻剛好さんの写真展を開催中。私の写真はショップスペースの流しにあります。コンナ感じ↓
< http://kitschlens.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-ca3f.html
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◇街道
< http://kaido.mods.jp/
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【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇上原ゼンジの新刊
「うずらの惑星 身近に見つけた小さな宇宙」(雷鳥社刊)
< http://www.zenji.info/profile/uzura.html
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◇上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/
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