ところのほんとのところ[5]ベルリンよりパリとそそのかした画家が来日
── 所 幸則 ──

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僕がパリにいく前に、パリから画家がやってきた。本当のところ、とっても憧れてる画家だ。

絵が好みとかそういうことではないんだけれど、在仏28年、パリにアトリエを構えて、すごく儲かってるわけではないがやっていけてるということが、本当に素晴らしいと思う。

日本でも、名古屋から西方面では1〜2年に一回数カ所で個展をやってる。だから1〜2年に一回は、二週間くらい日本に滞在してる。

僕は8年前に、パリにCFの監修役で一週間ほど滞在した時にいろいろお世話になった。行ってみるとほとんどすることがなかった。一時間ずつ二回、パリの編集スタジオでチェックするだけだったので、ほとんどの時間を美術館巡りとかおいしいものを食べに郊外に行ったり、という今から考えると夢のような仕事の旅行だった。



特にバルビゾンの鹿料理は素晴らしかったし、ジャン=フランソワ・ミレーの晩鐘を描いたポイントがあって、そこで同じポーズで写真撮ったりとか、なにやってんだろ? って感じではあったけど(苦笑)まあ、楽しかったぞ。

その前後からイタリア好きになったので、プライベートではほとんどイタリアばかりに行ってて、フランスはご無沙汰になってしまったが、フォトグラファーで食べていくにはヨーロッパではロンドン、パリ、ベルリンが有力な都市だと思い知ったこの8年だったとところは思う。

その画家が、フランスから珍しく一年に二回、日本に来たのが今年だった。6月に一度、二度目が今回だ(10月終わり)。ところのほんとのところ[3]で、ベルリンよりパリがいいじゃんかー! とそそのかした画家が彼である。

彼は東京に知り合いが少ないので、僕もギャラリーの紹介や美術関係の友人にアポをいれたりしている。彼の作品はなかなか面白いと思うんだけど、販売できるかどうかという最後の線は僕には判断できないし、ギャラリーの方向性もあるからとりあえず会ってもらっているところだ。

京都に住んでる美術家で文筆家の友人には、東京に来る前に大阪滞在期間が3日あるというので、彼の家で作品を見てもらった。「僕が紹介して、恥をかくようならお茶を濁すかも……」といってたけど、森美術館の館長に連絡を取ってみるといってるのだから気に入ったのだろうな。

その後、連絡がついたので土曜日に会うことになった。すぐに森美術館が決まるとも思えないし、会ってみないとわからないので、まずは「アイデア」の編集長に紹介してもらった青山のギャラリーでの話が進んだので、ちょっとほっとしてるところ。

他にもイベントキュレーターの高村征也君に、キュレーターが集まるイベントに連れて行ってもらって、知り合いのキュレーターなどに紹介してもらったり、意見を聞いたり、僕もいろいろためになったなーと思う。しかし、毎日オープニングパーティーに参加して、キュレーターと会ったりしてるので、僕も実際疲れた〜。あと二日パーティーが続く。

彼の今後の人脈作りのためでもあるし、パリに行ったときはお世話になるので、日本では僕が頑張ろーと思う、ところです。

【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則
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所幸則公式サイト
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by G-Tools , 2008/10/31