[2601] 沖縄の牛乳は1リットルパックじゃない!

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<一瞬でも世界7位>

■気になるデザイン[22]
 沖縄の牛乳は1リットルパックじゃない!
 津田淳子

■装飾山イバラ道[31]
 iPhoneアプリいろいろ
 武田瑛夢

■おかだの光画部トーク[10]
 初心者向けデジカメ入門:1 カメラを選ぶ《その9》
 マクロレンズ
 おかだよういち


■気になるデザイン[22]
沖縄の牛乳は1リットルパックじゃない!

津田淳子
< https://bn.dgcr.com/archives/20090310140300.html
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電車や街中で、マスクをしている人をすごく多く見かけますね。風邪やインフルエンザ予防もあるんでしょうが、やはり花粉症の方が多いんだろうなぁ、と思って見ています。私は数年前からちょっと目がかゆかったり鼻がむずむずしたりするものの、「私は花粉症ではない」と言い聞かせ、なんとかしのいでいます(しのげてるのか?)。

そんな時期だからこそ、でしょうが、先日電車内で目につく広告に出会った。コンタック600プラス」という、鼻水鼻づまりくしゃみを改善する薬の広告。ドア横に貼られた小さなものなのだが、なんと「目的地ではないが、つぎの駅で鼻をかみたい。」と墨文字がスクリーン印刷された本物のポケットティッシュが貼られていたのだ。うーん、アイデア勝負。面白いですな。
< http://www.dgcr.com/kiji/20090310/01 >

とまあ、変わった印刷物が好きでたまらないわけなのですが、そんな私なので、街中どこででも印刷物があれば凝視してしまう癖がある。その癖のお陰で日々面白い印刷物に出会ったり、謎に出会ったりして楽しいのですが、国内でもっとも「?」と思うことが多いのが沖縄ではないだろうか。

そのひとつが、牛乳やお茶、ジュースなどの1リットル紙パックのこと。いや、1リットルパックとは言えない。……だって、946mlしか入っていないのだから。

離島旅行が好きな私は、沖縄へよく行くのですが、その際、スーパーなどでその地ならではのパッケージなどをしげしげと眺めている。そうしたときに気がついたのが、飲み物パックの内容量表示が946mlになっていたこと。たまたまその商品だけなのかと思ったら、どのジュースを見ても、どの牛乳を見ても、どれも946ml。

うーむ。なぜだ。疑問に思って、そのお店のおばぁに聞いてみても、「それが普通よぅ」と言われただけで、どうして1リットルじゃないのかわからない。そうなると俄然気になる。

その島にいる時にはわからなかったので、帰って来てから調べてみたら、やっとわかりました。戦後、沖縄がアメリカ統治下に置かれていた頃の本土復帰2年前に、初めて沖縄に牛乳工場がつくられた。だが、その時入ってきた機械や紙パックなどのサイズは全て米国製。従って、その容量を測る単位も米国で使われているものが基本となった。そう「ガロン」なのだ。1ガロン=約3758ml。

で、沖縄が本土復帰の際に、日本で一般的な容量「1000ml」に合わせようと1000mlにもっとも近い「クゥォーターガロン(1/4ガロン)=946ml」で製造・販売するようになったんだそうだ。なるほど。

でもここで気になるのは、なぜか明治や森永などの大手メーカーが販売するものも、沖縄では946ml。もともとの沖縄サイズに合わせてるんだろうけど、沖縄で消費するものだけのために、そのサイズのパックをデザインしたり、製函したりするのって大変じゃないのかしら。

とまあ、今日は気になる「デザイン」の話とはちょっと違ってしまったのですが、印刷物を凝視してたからこそ出会えた謎だったので、ちょっとお話してみました。

そうそう、他にも気になる謎は多々あるものの、未だに理由がわからないものがある。それが、沖縄のお酒・泡盛の3合瓶の謎。1合=180mlだから3合だと540mlですよね? でも泡盛の3合瓶はみーんな600ml。泡盛は戦時下など、物資不足の際にビール瓶を代用して使ったので、その名残で3合瓶が600mlになっているとも聞いたのだが、ビール瓶って633mlですよね? ……うーん、よくわからん。この謎、ご存知の方がいたら、ぜひ教えてください!

※ビール瓶が633mlと半端な数値なのは、ビールが造り始められた明治のはじめは4合が主流だったものの、時代とともに量が少なくなり、昭和19年の酒税徴収の絡みから、当時最も小さかった3合5勺(630ml)に統一されたところからきたもので、3mlは底上げしていた瓶底を平にしたための増加分、だそうですよ。いやぁ、調べてみると面白いっすね、こういうことは。

【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp

前号で特殊印刷をうまく使って表現したかわいいステーショナリーをご紹介すると書きましたが、それはまたの機会に。だって、泡盛の3合瓶の謎を広く聞いてみたかったんです! すみません。

箔押しのことを完全網羅した『デザインのひきだし6』発売中! 「箔押しのA to Z」「板紙の魅力」の2大特集はどちらも必見です。他に最近作った本は『ハニカムペーパー・クラフト』『標準 印刷見本帳1 蛍光色×CMYK×マット/グロスニス編』『デザイン事務所の封筒・名刺・ビジネス文具コレクション』『しかけのあるブックデザイン』など。
< http://www.graphicsha.co.jp/
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■装飾山イバラ道[31]
iPhoneアプリいろいろ

武田瑛夢
< https://bn.dgcr.com/archives/20090310140200.html
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最近、iPhoneのアプリケーションが増えすぎて整理しなければと思っている。iPhoneのアプリケーションは、1画面に4×4の16コのアイコンを表示することができる。画面は、「設定」等が置かれている初期画面を含めると9画面まで増やすことが可能。増えたら指で横にすべらせて、スクロールすればいいので簡単ということもあり、ついついアプリを追加していってしまうのだ。大半が無料アプリだし、ダウンロードしても数回しか使わないものもある。

どんどんリリースされる新作アプリをチェックするたびに、自分のiPhoneにも増え続けるアプリ。今月、とうとう最終画面の9面目に突入した。今までで100コ以上のアプリをダウンロードしたということになる。

アプリは一度ダウンロードしてMacのiTunesと同期しておけば、iPhone上で削除しても必要になったら戻すことができる。しかしながら、古い服をなかなか捨てられないのと同じで、使わずとも目に付くところに置いておきたくなってしまうのでたまりがちなのだ。

なにをそんなにダウンロードしているかと言うと、ゲームや辞書や教育ツールに新聞など。1,000円を超えるアプリはほどんどない。有料アプリで一番高かったのが「大辞林」で2,500円だ。調べたい語句の説明文の、どんな単語からでもジャンプして意味を調べられたりするのが、紙の辞書にはない自由さ。「イカ」で検索するとイカの姿の図も表示された。やっぱり図が出てくると嬉しいので、図鑑のすばらしいアプリがあったら欲しいかも。

ゲームでは一見単純に見えるパズルゲームが、実は奥が深くて長く楽しめるのでいい。なかでも最近のお気に入りは「Lock'n'Roll」という4色のサイコロのパズルゲーム。4つの色と4つの数のサイコロを、4×4のマス目に縦横斜めなどで揃えていくものだ。ライン以外にも4隅や両隣の4コマでも揃えられ、ある決まった役が作られるとそのサイコロを消すことができる。

揃えながらサイコロを消しては「Roll」ボタンで振って、延々と点数を重ねていく単純なゲームだ。ある決まった得点を超えると、どこにでも置けるジョーカーが登場する。

・「Lock'n'Roll」
< http://www.eimu.com/dgcol/roll1 >

・「Roll」ボタンを押した直後。ジョーカーを使って同時に3つのラインを消すことができた。
< http://www.eimu.com/dgcol/roll2 >

単純だけれど、すべての可能性を見通したサイコロ配置が流れを決めるので、考えなしでサイコロを置くのと、戦略的に置くのとでは後々の得点に大きく差が出る。例えば、4色で全て同じ数のサイコロを4つ並べると一番高得点なので、それを狙いがちだけれど、なかなか揃わずにゲームが終わってしまうパターンが多い。

回数をこなしてわかったのは、4色の色違いで数が1、2、3、4を揃える役を使って消すことができるパターンが多いこと。欲ばらず、後で困らないための配置の仕方で生きながらえたほうが、思わぬラッキーが来ることがある。

私よりもパズル系が好きなだんなさんが、先に高得点をたたき出してきたので、負けじと本気で取り組んでみた。サイコロを振って目を出すシーンが必ずあるゲームなので、「運」も良くないと続かない。なかなか良い目が出ないと、サイコロが消えずに、あっという間にマス目はすべて埋め尽くされてゲームオーバーになる。

最初は1,000点を越えるのも大変だったのに、コツをつかむと5,000点近辺をうろちょろするようになった。ネットのランキングに載るにはまだまだだったけれど、ヒマな時に練習するだけでだいぶうまくなった。とうとう1万7,000点台になり、ここ最近の1時間でプレイした約3,000人の中で7位になって、ランキングに掲載された。

・Worldwide ハイスコア!
< http://www.eimu.com/dgcol/roll3 >

一瞬でも世界7位というのは嬉しい。しかし、時間関係なしの全体ランキングでは1位の人が40万点を超えているので、世の中には信じられないくらい強い人がいるものだと思う。

私は自己最高点はもう超えられないと思うので、すっかり熱も冷めた。でも実は途中からだんなさんの助言も借りたので、自力では無理だったと思う。だんなさんが一人でやった点数を、超えてしまったのが気に食わないみたいだけれど……。でも、あの時はもう絶対ダメだというようなシーンで何度も返り咲いたり、マス目全体が見通せているような感覚があった。思い切りだけはいいので、さっさと決めて進めるタイプだ。

一方、もっと派手で元気なゲームがコナミの「DanceDanceRevolution S」。アーケード版などでは、足でジャンプしたりして矢印をタイミングよく押していくけれど、iPhoneだとそれが指になる。どの指を使うかは人それぞれなようで、私は両手の親指だ。無料のバージョンでプレイしていたので、今回のフルバージョンを楽しみにしていた。曲もDDRらしいし、キャラクターのダンスもなめらかで楽しい。実際はプレイ中にダンスをながめる余裕はないけれど、ゲームの完成度はとても高いと思う。

・「DanceDanceRevolution S」。
< http://www.konami.jp/products/touch_ddrs/
>

DDRは考える間もなく指を動かさなければいけないゲームだけれど、常に全体を見ているという点では「Lock'n'Roll」との共通点もあるかもしれない。

一番最近買ったのはサイレントヒル。暗い病院内を、ライトひとつと銃を持って敵を倒して進んでいく。怖いのでびくびくしてるとなおさら操作に手間取って、幽霊みたいのがどんどん近づいてくる。時間がたつと手持ちのライトの電池が減って、暗くなっていく仕組み。オバケ屋敷系のゲームだ。

・「SILENT HILL The Escape」
< http://www.konami.jp/products/touch_sh/index.html
>

あいかわらず地図が苦手なので、自分がいる場所と目的地の認識がヘタなのが致命的だ。そのうえ画面にミラーシールを貼っているので、暗くなると見えないのが困る。もしかすると、ミラーだから部屋を暗くすれば見やすくなるのかもしれないが、それは怖すぎるので却下だ。結局、このゲームをやる時だけは「設定」でiPhone画面の明るさを最高にして対処している。ホラーは好きだけれど、先に進めそうにない気がしている。

最近のアプリは、じっくりと作りこまれたものが多くなってきたので、価格が多少高くても満足できるものにあたることが増えた。アプリを入れる場所に限りがあるので、必要なものを厳選して整理していかないといけない。季節の洋服の整理と同じなのだ。

【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト“デコラティブマウンテン”
< http://www.eimu.com/
>

「やさしいデザイン」が台湾で繁体字版として発売されました。台湾でのタイトルは「愛上設計」。「培養設計品味的第一本書。」と書き添えられています。漢字だとなんとなく感じはわかりますね。

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■おかだの光画部トーク[10]
初心者向けデジカメ入門:1 カメラを選ぶ《その9》
マクロレンズ

おかだよういち
< https://bn.dgcr.com/archives/20090310140100.html
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3月に入って少し暖かくなってきました。この季節になると、春っぽい被写体が撮りたくなってきます。春っぽい被写体と言えば花。桜をはじめ、春は色とりどりのきれいな花がいっぱい。そこで今回は、そんな花を撮るのにかかせないマクロレンズについてです。

マクロレンズとは、簡単に言うと小さな被写体を大きく写せるレンズのことです。花だけでなく、昆虫や宝石や時計などの商品撮影でも威力を発揮します。

デジタルになってから、撮影した画像をPC上で確認するようになり、ソフト上でピクセル等倍にまで拡大して見ることできます。でもカメラによって画素数も違ったりするので、マクロレンズがどれくらい大きく写せるかを見るスペック「撮影倍率」という項目が、あまりピンと来ないかもしれません。

撮影倍率1倍、1:1、等倍とは、被写体と同じ大きさの像をセンサー上に写せるということです。フィルムで考えると、もうちょっと解りやすいかもしれません。100円玉を撮影倍率1:1のマクロレンズで一番近づいて撮ると、フィルムには100円玉と同じ大きさの像が写ります。デジタルで考えると、APS-Cサイズのセンサーだと22〜23mm×15〜16ミリ程度。100円玉の直径が22.6ミリなので、等倍で撮ると画像の横幅いっぱいに100円玉が写る感じになります。

1000万画素を超える最近のデジカメの画像だと、4288×2848ピクセル全面いっぱいに100円玉が大きく写ってるわけですから、PC上で拡大してピクセル等倍で見ると素材のテクスチャまで見えるくらいに撮れているので、普通のレンズで撮って、PC上で拡大して見るのとはわけが違います。

カタログなどを見ると、撮影倍率の他に、最短撮影距離○○cmなどと書いてあります。これはフィルム面またはセンサー面から被写体まで、一番近づいてもピントが合う距離のことです。つまり、この数値が小さいほど被写体に物理的に近づいて撮影が出来るわけです。

前回までご紹介した標準ズームや単焦点レンズなども、最短撮影距離が短く、比較的大きく写せるマクロ機構搭載のものを挙げてきましたが、それでも0.25倍や0.4倍程度なので、本格的なマクロレンズは普段とはまた違った世界がファインダーを通して発見できるはずです。

焦点距離によって、標準マクロ(50〜60ミリ)、中望遠マクロ(90〜105ミリ)、望遠マクロ(180〜200ミリ)と分類されて、それぞれボケ具合が違う。また使用するシチュエーションが違ってくるので、撮影する被写体によってチョイスが変わってきます。

例えば、花の蜜を吸っている蜂を大きく撮ろうと、近づきすぎると逃げてしまったり刺されたりと、思うように大きく写せません。そんな時は、望遠マクロであれば、蜂が逃げない程度離れていても大きく写せます。

逆にカフェなどで、果物がいっぱいの可愛いケーキが出てきて大きく撮ろうと思った時、席に座ったままだと望遠マクロは使えません。隣の人が座っている所まで行って撮るのも迷惑だし。そんな時に標準マクロを使えば、自分の席でさらにケーキに近づいて大きく撮れます。このレンズの先端から被写体までの距離を、ワーキングディスタンスと言います。望遠になるほど、同じ撮影倍率でもワーキングディスタンスが長くなります。

そんなマクロレンズのわたしのオススメは、タムロン SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1です。
< http://www.tamron.co.jp/lineup/272e/
>
< http://www.amazon.co.jp/dp/B001FB6PKC/
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フィルムの時代から、ボケの美しさとピントが合ってるところのキレの良さに定評のあるレンズで、何世代も進化を続け今はデジタル専用の設計で出ています。中望遠マクロなので、先程のカフェでのケーキの撮影はちょっと長すぎるのですが、花や昆虫を撮るのにはとても素晴らしいレンズですよ。

レンズを買うお金がないけど、マクロレンズの世界に触れてみたいという場合は、クローズアップレンズというチョイスもあります。これは既に持っているレンズの先に、フィルターやレンズプロテクタのように取り付けるレンズで、虫眼鏡のようなものです。
< http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_ss_gw?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Daps&field-keywords=%83N%83%8D%81%5B%83Y%83A%83b%83v%83%8C%83%93%83Y
>

広角レンズに取り付ける場合、周囲に縁が写ってしまうケラレが出る場合がありますので、ちょっとだけ注意。

マクロレンズは、とにかくとても被写界深度が浅く、数センチとか数ミリ動いてしまうだけでピントが外れてしまいます。また、撮影倍率が高くなるほど手ブレも劇的に目立ってしまいますので、手持ちで正確に撮るのはとっても難しいものです。三脚を使うのがブレやピンボケの失敗をしないコツですよ。

flickrのマクロレンズのグループを検索すると、色々な素晴らしい作品が見られますので、参考にしながら、この春ステキな花の写真をとってみてはいかがでしょうか。
< http://www.flickr.com/search/groups/?q=macro
>
< http://www.flickr.com/groups/flowers_macro_world/
>
< http://www.flickr.com/groups/world_up_close_nature_macro/
>


【おかだよういち/WEBクリエイター・デザイナー+フォトグラファー】
< http://s-style-arts.info/
> < mailto:okada@s-style-arts.com >
出たばかりのMac miniを速攻買ったのですが、箱から出したもののバタバタしてて、まだ電源を入れていない状態です。

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■編集後記(3/10)

うわさの日本史 (生活人新書)・加来耕三「うわさの日本史」(NHK出版 生活人新書、2008)の中の「赤穂浪士」をチェックした。刃傷事件がなぜ喧嘩両成敗とならなかったのか、江戸の庶民はなぜ内匠頭に喝采を送ったのか、なぜ幕府も「うわさ」を利用したのか、赤穂浪士はなぜ討ち入りを断行したのか、内蔵助の放蕩は作戦だったのか、「忠臣蔵」が愛される理由、以上の6件を検証しているが、これは小説ではないから珍解釈はない。しごくまっとうなご意見で、これだけは一応おさえておきたい「忠臣蔵」の基礎、といった趣で、「忠臣蔵」のおさらいに格好の読み物だ。浅野内匠頭が吉良上野介に斬りつけたが失敗、即日切腹、赤穂藩はとりつぶし。大石はじめ46人の男が討ち入って吉良の殺害に成功、のちに切腹。歴史的事実はこれしかない。「忠臣蔵」が長く日本の国民に愛され、支持されてきた理由は、実はそこに集約されているのではないだろうか、と筆者は説く。歴史的事実以外は、何をどう創造しても許される。多くの作家によって書かれ、その時々の流行、時勢によって内容はどう変わろうとも、事実はびくともしない。「この変化自在さにこそ、『忠臣蔵』の魅力、国民文学の金字塔たり得る秘密があるのだろう」。内匠頭は遺恨の理由を口しないまま死んでいった。その沈黙が「うわさ」を引き寄せ「忠臣蔵」という物語を作るもととなった。小説では、遺恨の理由を明らかにしないと、討ち入りの大義名分が成立しない。そこでいろいろな解釈のもとに新しい「忠臣蔵」が生まれる。われわれが感動するのは「事実」ではなく、うわさをもとに創られた「忠臣蔵の世界」なのである。嗚呼「忠臣蔵」ウォッチャーはやめられない。(柴田)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140882735/dgcrcom-22/
>
アマゾンで見る

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)・西原理恵子さんの「この世でいちばん大事な『カネ』の話」を読んでいる。今年はじめに、読売新聞の書評欄「ビジネス5分道場」(たぶん)で、「読むべき!」と紹介されていたのがきっかけ。書店に並んでいても手にとらなかっただろうタイトルと装丁。たとえ手にとっても中を開いて、その色使いに中身を読まずに戻していただろうと思う。上下の色帯がうっとおしくて本文に集中できないの。慣れるまでつらかった。内容は西原さんの半生記。リアルで濃い。表紙や色帯はその濃さを和らげるためのものだったのかもしれない。いかに貧乏だったか、貧乏の継承、悪いことに手を染める心境、高校退学、育てのお父さんの自殺、上京、予備校時代、美大時代、駆け出しの頃……。後半はギャンブルのお話になるらしいのだが、まだそこまでは読んでいない。シンナーに手を出し亡くなる人を見ながらも、抜け出せない若者。居場所のない人たちや、いわゆるヤリマン(本文ママ)という人たちの心境を西原さんは綴る。故郷には戻りたくない(戻れない、ではない)と上京、美術予備校に通うが最下位。最下位は最下位なりの戦い方があるよね、最下位の居場所があるよね、と在校中にエロ本の部署にまで売り込みに行く強さ、行動力、開き直りが何ともかっこいい。自分を客観視して、対策を練るそのたくましさったらもう! 現実的なところが素敵。「ゲージュツ」がやりたいのではない、「作品」が作りたくはない、「プライドでメシは食えない」と、ぶれないところも。まだ半分しか読んでないけど、実は西原さんの漫画はほとんど読んだことないけど、ガツンと来ました。タイトルと表紙と色帯に負けないで読んでみて! 仕事頑張ろうと思ったよ。/培養設計!(hammer.mule)
< http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20090106/181963/
>
日経ビジネスで書評見つけた
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動画書評なるものがあるのね。検索してたら出てきたよ
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4652078404/dgcrcom-22/
>
あとはアマゾンのレビューぐらいか(51件・ランキング35位)