今度は「輪ゴムカメラ」だ。カメラを輪ゴムでグルグル巻きのボールのようにして、地面に弾ませながら撮影を行う。というようなものではもちろんない。
ただ、輪ゴムでカメラをぶら下げて、ヨーヨーのようにびよんびよんさせながら撮影を行う。シャッタースピードを遅くしておいて、世の中のすべてがブレブレになって映るというところがポイント。今までわざと手ブレさせたり、カメラを放り投げたり、バネを取り付けたりしてきたけど、その延長線上にあるのがこの輪ゴムカメラだ(あんまりいいネーミングじゃないな)。
手でブレさせた場合というのは、どうしても自分の手の動きに支配されてしまう。するといまいちブレ方にキレがないというかコクがないというか、あざとさが出てしまう。あざとさが出ないようにするには、カメラを放り投げる、という方法もあるが、これだと狙った被写体は写せない。
そう、今回は撮りたいものがあるんだけど、なかなかうまく撮れず、意図しなかったようなフレーミングになってしまう。というあたりを狙っていきたいのだ。これは、星飛雄馬が大リーグボール養成ギブスを装着しながらメシを食い、「父ちゃん、うまくメシが食えねえよー」と、身悶えしている状況を思い浮かべていただければいいと思う。狙っているのは大リーグボール3号のような写真だ。
ただ、輪ゴムでカメラをぶら下げて、ヨーヨーのようにびよんびよんさせながら撮影を行う。シャッタースピードを遅くしておいて、世の中のすべてがブレブレになって映るというところがポイント。今までわざと手ブレさせたり、カメラを放り投げたり、バネを取り付けたりしてきたけど、その延長線上にあるのがこの輪ゴムカメラだ(あんまりいいネーミングじゃないな)。
手でブレさせた場合というのは、どうしても自分の手の動きに支配されてしまう。するといまいちブレ方にキレがないというかコクがないというか、あざとさが出てしまう。あざとさが出ないようにするには、カメラを放り投げる、という方法もあるが、これだと狙った被写体は写せない。
そう、今回は撮りたいものがあるんだけど、なかなかうまく撮れず、意図しなかったようなフレーミングになってしまう。というあたりを狙っていきたいのだ。これは、星飛雄馬が大リーグボール養成ギブスを装着しながらメシを食い、「父ちゃん、うまくメシが食えねえよー」と、身悶えしている状況を思い浮かべていただければいいと思う。狙っているのは大リーグボール3号のような写真だ。
まず、初めに犠牲になったカメラはリコーGX100だ。充分現役のカメラで、買った当初は大切に扱われていたが、最近はちょっと荒っぽい実験にも使われるようになってきてしまった。というのは、シャッタースピードやピントがマニュアル調整できるから、コンパクトカメラとしては使いやすいのだ。
輪ゴムの着け方はいろいろ考えたが、結局ただグルッと一周回すだけ、というところに落ち着いた。縛ったりしているわけじゃあないんだけど、まあ、なんとなく留まっていて落ちそうな気配はない。
あとはヨーヨーのようにびよんびよんさせながら写すだけだ。まずセルフタイマーを2秒に設定して、シャッターボタンを押す。そしてびよんびよんさせているうちに2秒が経ち、シャッターが落ちるというわけだ。
この方式でしばらく撮影してみたのだが、シャッターの落ちるタイミングがうまくコントロールできないので、レリーズを使うことにした。これだったら、レンズが被写体の方を向いている時に撮影することができる。第一段階はクリアだ。
●手ぶれ補正VS輪ゴムカメラ
しかし、撮っていると少し不満が出て来た。揺らしながら撮影しているせいなのか、撮影のエラーが起きやすい。まあ、こんな変な撮影をすることは想定していなかっただろうから文句は言えないんだけど、もうちょっとカッチリ撮影のコントロールがしたい。そこで一眼レフで撮影してみることにする。
最近ではあまり出番のなくなったニコンのD100があったので、こんどはこちらで試してみることにする。第二の犠牲者だ。レンズはコシナのCarl Zeiss Distagon 25mm。落っことしたらこっちのほうが問題だな。しかし写真界の発展のためにはやむを得ない。ディスタゴン君、すまん……(合掌)
今度はボディの下にある三脚の穴に金具を取り付け、そこに輪ゴムを留めるという方法を撮った。重さ対策として輪ゴムは2本にする。と言っても普通の輪ゴムよりは少し幅の広いタイプ。3mmあるから、かなりの重量に耐えられる。と思う。
輪ゴムの先にはさらに手で持つための金具を付けて完成。これでぶら下げると逆さまの状態でカメラは吊り下げられることになる。これはボディの下部にゴムが取り付けられているからだ。まあ、撮ってからPhotoshopで回転させればいいんだから。何の問題もない。
ということで、早速テスト撮影。今回は重量があるから、動きもゆったりとしている。手でわざとブレさせようとすると、こういう動きは出せないんだよ。レリーズは見当たらなかったので、また2秒間のセルフタイマーで撮影を行う。
結果。なかなかいい感じに撮影できた。撮影している姿はすごくかっこいいとは言いがたいが、写真としての可能性は感じる。それにピントや露出などの制御もしやすいから、方向としては間違っていなかった。ただし問題点もあった。それはちょっと重たいということだ。
ヘルスメーターで計ってみるとレンズ込みで約1200グラムもあった。通常の撮影であれば問題はないんだけど。ずうっとぶら下げて、びよんびよんさせながら撮影するのは、ちょっと辛い。たぶんこれを続ければ一年後には本当に大リーグボールが投げられるようになっているだろう。
そこでもう少し軽量化することを考えてみる。D100というのは、7年前に発売された機種だからちょっと重い。最新のカメラならもっと軽いし、液晶画面は大きいし、もっと使いやすいはず。どうしてくれようかと思ったら、D40がレンズ付きで39,800円で発売中だ。これは最新というわけではなく型落ちで安くなってるんだけど、すごくお買い得だと思う。だってD100は30万円もしたんだから。
でも輪ゴムカメラのためにD40を買うというのもなー、などと思っていたら、今度はD5000が発売になった。こいつはニコンの一眼レフとしては初めてバリアングル液晶モニタが搭載された機種だ。液晶のモニタの方向がいろいろ変えられるやつね。上から覗いたり、下から見上げたりという撮影が出来る。
これって輪ゴムカメラに最適なんじゃないだろうか。びよんびよんさせながら上から液晶画面を見ることができる。ライブビュー機能をオンにしておけば、どのあたりが写っているのも常に確認できる。D40よりは重いけど、キットのレンズ込みで約800グラム。価格ドットコムの一番安い店で、7万円を切っていた。
まるで買う予定がなかったカメラなんだけど、バリアングル液晶モニタに惹かれてつい買ってしまった。そう言えばGX100の時はやはり着脱式の液晶ビューファインダーに惹かれて買ったんだった。オレはなんかこういう可動式のメカに弱いのだろうか?
レンズキットのズームレンズには手ぶれ補正機能がついている。わざとブラしたいんだから、当然ここはオフにしておくべきだが、オンにしたらどうなるのか? もしかしたら今までに見たことのなかったような写真が撮れるかもしれない。期待しながら手ぶれ補正オンで撮影してみた。
結果。かえってギザギザにブレるような写真になってしまった。美しくない。きっと一生懸命「補正しなきゃ、補正しなきゃ」と思ってレンズも頑張ったんだろうけど、ブレ幅が大き過ぎてどうにもならなかったんだね。オフにしといて上げるからゆっくり休んでいてください。
D5000を輪ゴムでブラ下げてる撮影風景を、動画にしてYouTubeにアップしてみた。私がサンダル履きで主演しています。
< http://zenji.jugem.jp/?day=20090601
>
そして、撮った写真はこんな感じ。
なかなかいいじゃないか。
< http://www.flickr.com/photos/zenji001/sets/72157619450435713/
>
渋谷のスクランブル交差点でも撮影してみたんだけど、顔がボケてよく分からないから、街中のイメージカットにもお使いいただけますよ。
【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
上原ゼンジの新刊「ボケ/ブレ不思議写真術 カメラプラス」雷鳥社(1,575円)
< http://www.zenji.info/profile/book/fushigi/fushigi.html
>
上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/
>
輪ゴムの着け方はいろいろ考えたが、結局ただグルッと一周回すだけ、というところに落ち着いた。縛ったりしているわけじゃあないんだけど、まあ、なんとなく留まっていて落ちそうな気配はない。
あとはヨーヨーのようにびよんびよんさせながら写すだけだ。まずセルフタイマーを2秒に設定して、シャッターボタンを押す。そしてびよんびよんさせているうちに2秒が経ち、シャッターが落ちるというわけだ。
この方式でしばらく撮影してみたのだが、シャッターの落ちるタイミングがうまくコントロールできないので、レリーズを使うことにした。これだったら、レンズが被写体の方を向いている時に撮影することができる。第一段階はクリアだ。
●手ぶれ補正VS輪ゴムカメラ
しかし、撮っていると少し不満が出て来た。揺らしながら撮影しているせいなのか、撮影のエラーが起きやすい。まあ、こんな変な撮影をすることは想定していなかっただろうから文句は言えないんだけど、もうちょっとカッチリ撮影のコントロールがしたい。そこで一眼レフで撮影してみることにする。
最近ではあまり出番のなくなったニコンのD100があったので、こんどはこちらで試してみることにする。第二の犠牲者だ。レンズはコシナのCarl Zeiss Distagon 25mm。落っことしたらこっちのほうが問題だな。しかし写真界の発展のためにはやむを得ない。ディスタゴン君、すまん……(合掌)
今度はボディの下にある三脚の穴に金具を取り付け、そこに輪ゴムを留めるという方法を撮った。重さ対策として輪ゴムは2本にする。と言っても普通の輪ゴムよりは少し幅の広いタイプ。3mmあるから、かなりの重量に耐えられる。と思う。
輪ゴムの先にはさらに手で持つための金具を付けて完成。これでぶら下げると逆さまの状態でカメラは吊り下げられることになる。これはボディの下部にゴムが取り付けられているからだ。まあ、撮ってからPhotoshopで回転させればいいんだから。何の問題もない。
ということで、早速テスト撮影。今回は重量があるから、動きもゆったりとしている。手でわざとブレさせようとすると、こういう動きは出せないんだよ。レリーズは見当たらなかったので、また2秒間のセルフタイマーで撮影を行う。
結果。なかなかいい感じに撮影できた。撮影している姿はすごくかっこいいとは言いがたいが、写真としての可能性は感じる。それにピントや露出などの制御もしやすいから、方向としては間違っていなかった。ただし問題点もあった。それはちょっと重たいということだ。
ヘルスメーターで計ってみるとレンズ込みで約1200グラムもあった。通常の撮影であれば問題はないんだけど。ずうっとぶら下げて、びよんびよんさせながら撮影するのは、ちょっと辛い。たぶんこれを続ければ一年後には本当に大リーグボールが投げられるようになっているだろう。
そこでもう少し軽量化することを考えてみる。D100というのは、7年前に発売された機種だからちょっと重い。最新のカメラならもっと軽いし、液晶画面は大きいし、もっと使いやすいはず。どうしてくれようかと思ったら、D40がレンズ付きで39,800円で発売中だ。これは最新というわけではなく型落ちで安くなってるんだけど、すごくお買い得だと思う。だってD100は30万円もしたんだから。
でも輪ゴムカメラのためにD40を買うというのもなー、などと思っていたら、今度はD5000が発売になった。こいつはニコンの一眼レフとしては初めてバリアングル液晶モニタが搭載された機種だ。液晶のモニタの方向がいろいろ変えられるやつね。上から覗いたり、下から見上げたりという撮影が出来る。
これって輪ゴムカメラに最適なんじゃないだろうか。びよんびよんさせながら上から液晶画面を見ることができる。ライブビュー機能をオンにしておけば、どのあたりが写っているのも常に確認できる。D40よりは重いけど、キットのレンズ込みで約800グラム。価格ドットコムの一番安い店で、7万円を切っていた。
まるで買う予定がなかったカメラなんだけど、バリアングル液晶モニタに惹かれてつい買ってしまった。そう言えばGX100の時はやはり着脱式の液晶ビューファインダーに惹かれて買ったんだった。オレはなんかこういう可動式のメカに弱いのだろうか?
レンズキットのズームレンズには手ぶれ補正機能がついている。わざとブラしたいんだから、当然ここはオフにしておくべきだが、オンにしたらどうなるのか? もしかしたら今までに見たことのなかったような写真が撮れるかもしれない。期待しながら手ぶれ補正オンで撮影してみた。
結果。かえってギザギザにブレるような写真になってしまった。美しくない。きっと一生懸命「補正しなきゃ、補正しなきゃ」と思ってレンズも頑張ったんだろうけど、ブレ幅が大き過ぎてどうにもならなかったんだね。オフにしといて上げるからゆっくり休んでいてください。
D5000を輪ゴムでブラ下げてる撮影風景を、動画にしてYouTubeにアップしてみた。私がサンダル履きで主演しています。
< http://zenji.jugem.jp/?day=20090601
>
そして、撮った写真はこんな感じ。
なかなかいいじゃないか。
< http://www.flickr.com/photos/zenji001/sets/72157619450435713/
>
渋谷のスクランブル交差点でも撮影してみたんだけど、顔がボケてよく分からないから、街中のイメージカットにもお使いいただけますよ。
【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
上原ゼンジの新刊「ボケ/ブレ不思議写真術 カメラプラス」雷鳥社(1,575円)
< http://www.zenji.info/profile/book/fushigi/fushigi.html
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上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/
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