ところのほんとのところ[28]パリの7日間
── 所幸則 Tokoro Yukinori ──

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◎1日目
パリに着いたらいきなり、迎えに来てくれた西美さん(画家)の知り合いの個展のオープニングに連れて行かれた。[ところ]はつかれているのだけれど...。このまま寝ないでパリで深夜まで起きていた方が、時差ぼけにならないし、パリ初日にすぐ寝るのもどうかなっていわれ、ま、まあたしかにそうだけど。

結局、日本で5時に起きて、オープニングと会食につき合って寝たのが日本時間の8時だから27時間起きてたことに。すっごい眠たかったです。だけど、日仏ハーフなのにほとんど日本語喋れないAliceちゃんが一生懸命、[ところ]の写真と自分のしたい表現について話してくれて随分助かった。洋服の方のデザイナーらしい。

◎2日目
2日目はとにかくバスティーユまでメトロ1号線で向かい、写真を撮りまくる。本当は偵察気分だったけどなんだか火がついちゃって...。16GBのカード5枚分撮ってしまった。

だいたい[ところ]は、2時間以上集中すると消耗しきってしまう。ふらふらになりながら、バスティーユの最近人気のカフェっぽいレストランで食事。フォアグラのテリーヌと、ステーキ。フライドポテトをほとんど残してたら、みんなに、トコロはフリッツ(フライドポテトをフランスではこう呼ぶ)が嫌いなのか? とせめられた。ほんとフランス人てフリッツが好きだね。夜のパリフォトのレセプションはパス。疲れて爆睡......。



◎3日目
3日目、朝はいつもクロワッサンを常宿の近所で買うのが習慣。それを持って西美さんのアトリエに行き、コーヒーを飲みながら食べる。とりあえずギャラリー21のキュレーターの太田さんと、岡山君と11時にルーブルの「パリフォト」の入り口で待ち合わせしてるのでそこに向かう。待ってたら、もうひとり思いがけない人がいた。写真家のM.HASUIさんだ、初めて挨拶してしゃべる。ちょっと緊張した。有名人と会うのはやっぱりね(笑)

みんなで「EYEMAZING」のスーザンのところにいき、新作を見せる。太田さんに通訳してもらう。もともと「パリフォト」に寄るのはそれだけが目的だった。パリの撮影と、その後のドイツのとある街を、今後どう撮るか考えるために見に行く。それがヨーロッパにきた本来の目的、だけどせっかくお互いパリにいるんだし、新作持ってチラットだけ。

「EYEMAZING」の彼女は、僕の写真の黒が凄く好きなんだそうで、もちろん来年の号で新作をまた特集したいと、本当にすごい笑顔で迎えてくれた。で、あとは太田さんと情報交換のはずだったけど...。

「EYEMAZING」のスーザンいわく、パリでトップクラスの老舗ギャラリーbaudoin lebonのディレクターがトコロの写真が良いって誉めてたから、行ってくるといいと言われ、彼女の推薦で会場で見てもらうことに。

アートフェアの会場内でなんて、普通は礼儀的にありえないんだけど、紹介の場合はいいのかな。相手が見たいというわけだから...。「eyemazing」のスーザンにそういわれたと言えば大丈夫だからということで、太田さんと二人で向かう。

baudoin lebonのブロンドの女の子が、いきなりもの凄く喜んでくれた。一番偉いディレクターが16時に来るから、是非もう一度来てくれと言われうれしいんだけど。太田さんが13時半にはいなくなっちゃう...。えーと、英語もフランス語も喋れない僕だけでー??

とりあえず時間が空いたので、後藤繁雄さんとうつゆみこさんに会いにGPのブースに。ギャラリーの話を一応してみる、情報収集です。後藤さんも、そこはパリでも老舗だねーって言う。渋谷のシリーズは凄くいいからよかったですね、だって。そうかー、随分広いブースだったなー、たしかに。

それにしても荷物が重い。でっかいA2サイズ(重さ10キロ)のケースをスーザンに預けて、ルーブル近辺を偵察に。ここも僕のテーマであるパリメトロ1号線沿いだし、と思いながら撮り始める。燃えた。また2000枚近く撮ってしまった。いいのが撮れたけど。ふらふらになりながら、また「パリフォト」会場へ。

一番偉いディレクターと、興奮してたさっきの子も来た。どうやら彼女もキュレーターらしい。ビューティフルとかクールとか時々聞こえてくるけど、ほとんどフランス語なので、よくわからず。ニッコリ笑って帰る...。こういうとき語学で損してるなーと思う。疲れたー。

ホテルの側で飯。鴨の内臓のテリーヌと生ハムと鴨の脚のコンフィがのったサラダを食べる。ここのお店はいつも並ぶけど、ほんとうまい。ナシオン地区一のお薦めの店。名前知らない...。

◎4日目
4日目、朝は変わらずクロワッサン食べて終わり。僕の撮影風景を撮ってもらいに(12月20日売りの「キャパ」用)ギャラリー21の岡山君が泊まっているホテルの側のオペラ座で待ち合わせ。撮ってもらって、帰りは偵察しながら撮影。また2000枚撮った...。

筋肉痛と疲労がピークだけど、データの整理をしなくては。2TBのHD持って来た意味ないし...。ほんと整理だけでも疲れるね。

◎5日目
5日目はさすがにもう撮影はやめ! 体力回復に、参鶏湯を食べに西美さんとオペラ座近くの韓国料理屋に。もう一度通訳を頼んだ西美さんと、baudoin lebonのディレクターに会いに「パリフォト」会場に向かう。においが気になるかもってことで、エスプレッソを飲みに、まずカフェに寄る。

超ハイテンションの彼女がまたお出迎えしてくれる。こんなに笑顔だと惚れそうだ。ディレクターを呼ぶから30分後に! ってことで「パリフォト」をうろつく。うーん、去年より面白いかも。今年はアラブエリアが招待年だ。日本年の去年は、ある意味見慣れたものも多かったということもあるかもしれない。アラブエリアのギャラリーの写真は、見たことがないタイプのものも多く刺激的だ。

で、30分後。前回見せたときの感想を聞きたいのと、お礼の挨拶。私たちはとても気に入っている、ミィーティングにかけたいと思ってる、とのこと。うれしい!

良いことがあったので、頼まれてた土産を買いに行く。しかし、五つ星に泊まっているギャラリー21の人のところも、[ところ]のところも、西美さんのアトリエも、今いちネットが遅い。なぜ? ニコ動もこれではちゃんとできないようなきがする。毎週土曜日のニコニコ動画は、日本に帰るまでお休みにして今日は早めにねよう。[ところ]は一人旅が好きじゃないのかも。だんだん辛くなって来た。

◎6日目
6日目は、風が強くて。曇ってて、たまに雨がぱらつく。風はごうごう音をたてて寒い。とうとうパリの冬が近づいた感じ、今年は去年より全然寒くなくてビックリしてたんだ。リヨン駅周辺を偵察していて、いいポイントがありそうな場所に引き寄せられるままに歩いていたら、絶好のポイントを見つけた。

晴れた日ならかなり良い場所だ。憶えておかなければ! 巨大な建物の中を歩いたり登ったりしてたら行き着いたんだけど、たぶん平日だと入れない。なんだか会社の敷地内のような感じ。

しかも途中にテントが点在してて、ホームレスの溜まり場の横を通らなきゃいけなかったので、かなり怖かった。巨大な建築物の中にあるんだ。突っ切ったのはいいけど、帰りも同じ場所通らないと帰れないのかもと思ってたらやっぱりそうだった。うーん。渋谷のガード下は怖くないんだけど、外国だと怖い。あのポイントでは撮りたいからまた行くだろうけど、何年も住んでたら平気なのかなー。渋谷で見かけても平気なように。

◎7日目
7日目にはドイツに上陸するための準備と、パリで撮った写真をとりあえずセレクトして、文章を書いてもらうギャラリー21の太田さんに何点か送らなければ、ということで大雑把ではあるが5点仕上げた。疲労で倒れました......。明日はドイツに発つ日だ。大丈夫だろうか、旅慣れないところとしては不安がいっぱいなのである。

【ところ・ゆきのり】写真家

CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/
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所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/
>

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by G-Tools , 2009/11/27