ところのほんとのところ[46]不安と期待の個展【上海1秒】
── 所幸則 Tokoro Yukinori ──

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急激に冷え込んで来た。日本の秋はいったいどこへ行ったのか。今日11月28日、木曜日、朝8時半、ものすごく寒い。最高気温10度いかないかもね。12月並みの気温とか、最近気象がおかしい。

さて、いよいよ二つの個展も明日で終わり、個展や「東京フォト」などイベントラッシュも一段落する。今回の冬青ギャラリーは、一つのテーマでくくるとなかなか出せない作品も多かったので、自分では楽しめました。

客層もちょっと面白かったですね。普通の趣味のおじいちゃんから、ヌードはもうちょっとエロくしてくれるとうれしいなあとか、構図の講義まで受けました。ちょっとピントがずれていましたが面白かったです。

もうじき上海での個展が始まる。本来ならワークショップも同時期にあって、渡航費用から額縁代金まで、費用すべてこっちもちでも平気なはずだったのだけど、ワークショップが当分延期になってしまった影響でお金が入らなくなった。随分ショックな[ところ]です。

延期の理由は、言わずと知れた尖閣問題だけど、何故このタイミングで? と思うときにやってくれる。かの国は、内政がまずい方向にいくと日本と問題を起こすようにしてるようで。気のせいならいいんだけど、とまあそんなわけでこの時期は問題があるということで、ヘタをすると個展の中止もありえたのですよね。まあ、どうなるかは始まってみないとわからないのが現実なんだけど。



今回の個展は上海のM50(莫幹山路50号)という、上海で最もクリエイティブな所といわれているアートギャラリーエリアだ。もともとは老朽した工場の作業場でしかない場所だったけれど、今ではニューヨークのソーホーのような感じになっている。実際、上海では最大のアートエリアなんだけれど、最近ではもう少しこぶりなエリアも3〜4か所存在していて、上海のアートシーンの今後が楽しみではある。

この上海のエプサイトはアート村にあるせいか、日本にあるカメラ関係の企業ギャラリーとは随分趣が違っていて、写真のアートギャラリーに近いイメージだ。実際の仕切りも、上海で現代アートのギャラリーを運営している鳥本くんに全体のコーディネートを依頼している。今後は、彼のオフィス339というギャラリーにアジアでの個展、アートフェアなんかを任せることにしている。

個展が決まってからこの一年間、上海には随分通ったから、もし中止になったとしたらかなりのダメージだ。[ところ]はどうも海外での個展についてないことが何度かあって、パリではアニエス・ベーのギャラリーで是非と言われた後、リーマンショックで業績が悪化してだめになってしまった。イタリアでも似たようなことがあって中止になった。しかも、今回はスマップのコンサートまで中止になったりしたので本当に心配でした。

今のところ額縁とか、DMとか、いろいろ問題も出てきてるみたいだけど、中国というお国柄を考慮すれば、小さいことはとりあえずは気にしないでいこうと覚悟は決めています。

個展の名称は【上海1秒】。11月6日オープニングパーティーで12月19日まで。内容は、15枚ほどが上海を中心とした中国の都市の写真、12枚ぐらい渋谷、12枚同じぐらい世界の各都市といった構成。40枚弱の作品群です。最近では最大級の作品点数の個展になります。

ずいぶん世界を撮って歩いたので、いつか世界中の都市写真を一挙に展示してみたいという気持ちはあるのだけど、そんなに広いギャラリーないからな。公的なスペースじゃないと、そんな広さは無理なんだろうな。ひとつの都市ずつ個展するしかないのかなと思ったりする[ところ]です。

来週にはもう上海で個展が始まってしまうんだなあと、カレンダーを見ながらちょっとどきどきしています。上海の人がどう捉えるんだろう、僕の上海の写真。渋谷の写真。見当もつかないので楽しみではあります。

【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/
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所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/
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