デジアナ逆十字固め...[116]宙玉レンズで桜玉
── 上原ゼンジ ──

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私が原発に関心を持ったのは、1987年に刊行された「危険な話」(広瀬隆)によってだ。ベストセラーになった本なので読まれた方も多いと思うが、原発の危険を説いた本で、読んだ当時は大変な衝撃を受けた。いつ日本の原発がメルトダウンしてもおかしくない、といった内容に「エライこっちゃ」と思った。

その後、テレビ朝日の「朝まで生テレビ!」で原発推進派と反対派が意見を戦わせるといった回が何度かあったが、興味深く討論を聞いていたことを覚えている。「危険な話」がきっかけだったので、最初はもちろん自分も反原発の立場で番組を視聴していた。原発を推進する頭が良くて弁の立つ科学者や政治家のことを、憎ったらしく思いながら見ていた記憶がある。

ただ、回を追うごとにそういった気持ちはすこしずつ変化していった。反対派の中には、まず反対ありきで、情報を曲げたり、非科学的なことを言ったり、エキセントリックであったり、という人がけっこういて、少しずつ気持ちが萎えていった。

いっぽう推進派の中にも、理知的で信じられそうな人もいたので、単純に「原発=悪」とは思えなくなっていった。積極的に付き合いたいとは思わないけど、仕方がないのかなあ、というふうに気持ちは変わっていった。

そして番組はいつも意見が平行線のまま終了となり、後味の悪さだけが残った。まず推進ありきで、都合のいい情報ばかり流すのではなく、かと言って反対ありきで話を誇張したりするのでもなく、バランスがとれた意見が聞いてみたいと思っていたが、そういった意見は残念ながら出てこなかった。そして、私は「原発で作った悪い電気」(by渡辺和博)を消費しながら、今まで生きてきた。



●理屈ではなく、気持ちを優先させたい

今回、福島原発で事故に起きたからといって、原発反対派の人達から「ほーら、言ったでしょ」とは言われたくないし、今すぐ原発を全廃せよなどという意見にはまったく乗れない。鉄道や病院に電気が供給されなくなったら大問題だし、いちいちパソコンの電源を落とさなければならない計画停電は大きな負担だ。

しかし、今回の事故で学んだことを活かせば、より原発の安全性は高まるなどと言って、今までと同じように原発を使おうという意見がけっこうあるということにも疑問を感じる。原発はもういいから、他のエネルギーに変えていこうよ。時間がかかるかもしれないけど、そこに集中していけば道は開けるはず。

誰でも原発や放射能は嫌でしょ。だったら理屈ではなく、その「原発やだよ」という気持ちに従って、方針を決定してもいいはず。現状を考えれば原発に頼らざるを得ない、なんて無理に自分を納得させようとする必要はない。「原発は安全である」というのが嘘だったように、「原発に代わるエネルギーはない」というのも不確かなことだと思う。嫌な原発を使い続けて、心の健康を失っていくよりも、新しいエネルギーの開発に心踊らせたい。まあ、オレが開発できるわけでもないんだけど......。

●写真を提供します

被災地の人達の役に立つようなことができない私は、ここ最近春の花の撮影をしていた。まだ、花の美しさに心をシンクロさせることができない人達もたくさんいるだろうし、私の写真を見て、心を癒してくださいなんていう脳天気なことも言えない。でも何枚か気に入った写真が撮れた。

この春に撮影した写真は、できることなら復興支援に関わるビジュアル要素として、役立ててもらいたいと思っている。あるいはポストカードにして売上げを寄付するとかいうことでも構いません。無償で提供しますので、何かアイディアが浮かんだ方はご連絡下さい。

◇桜を宙玉レンズで撮影
桜玉と名付けた。
< http://www.soratama.org/gallery/sakura.html
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◇宙玉ギャラリーのバリエーションが増えました
私以外の人が撮った宙玉写真もアップ
< http://www.soratama.org/gallery/soratama.html
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