[3058] ジャケ買い、復活の日々

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《全米という魔物しか知らない感じ》

■気になるデザイン[60]
 ジャケ買い、復活の日々[後編]
 津田淳子

■装飾山イバラ道[77]
 「アメリカン・アイドル シーズン10」を見る
 武田瑛夢

■おかだの光画部トーク[56]
 Apple WWDC 2011の写真関連機能をピックアップ
 おかだよういち



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■気になるデザイン[60]
ジャケ買い、復活の日々[後編]

津田淳子
< https://bn.dgcr.com/archives/20110607140300.html
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(前回、前編としなかったけど、今回後編です)

世の中はクールビズとか、サマータイムとか、夏の電力不足に向けていろいろ試行錯誤している中、当然我が社も冷房を控えたり、電気を消したりするわけですが、一番の不安は会社の窓がほとんど開かないということ。空気の入れ替えができないので、今も私の机の上にある簡易温度計(示温印刷されたアバウトな温度計)は、30度に......。いったいどうなることやら。

そんな中、『デザインのひきだし13』が発売となりました(場所によってはまだ書店店頭に並んでないかも......)。今回は「青焼き+箔押し」という貧乏なんだか金持ちなんだかわからない表紙になっていますので、ぜひ書店店頭でご覧下さい。
< http://dhikidashi.exblog.jp/
>

さて、書店店頭でいつも装丁が気になる本を、値段も見ずに買い、レジで涙目になている私ですが、のど元過ぎればナントやらで、相変わらず本のジャケ買いを続ける毎日です。毎回2冊ずつ気になる装丁の本をご紹介していくつもりのこの連載ですが、震災以降、ジャケ買いした本がかなり溜まってるため、前回・今回の2回でそれらをダーッとご紹介します。

『ヴォイド・シェイパ』(森博嗣著/中央公論新社/1800円+税)
ブックデザインは鈴木成一デザイン室。
< http://www.chuko.co.jp/tanko/2011/04/004227.html
>

森博嗣の新シリーズだが、同著者の『スカイ・クロラ』シリーズの後継と思えるブックデザイン。透明フィルムがカバーになり、写真とも絵とも思える表紙がそこから覗く。前シリーズは「空」の写真だったが、今回は山脈だ(それは内容を読めば納得)。それが表紙から見返しにまで続くのがまたいい(見返しのチリ部分が、見返しの山脈と微妙に繋がっていないのが残念ではあるが、しょうがないか)。静謐ででも強い。帯がある状態だと表紙にも背にもタイトルが見えないのが、書店では逆に目立つ。それにしても帯に箔押しが使えるのはうらやましい。

『六条御息所 源氏がたり 二、華の章』(林真理子著/小学館/1800円+税)
ブックデザインは木村裕二さん+金田一亜弥さん(木村デザイン事務所)。
< http://waraku-an.com/genji/index.html
>

墨でタイトルや著者名が刷られたトレーシングペーパーのカバー。そしてその下に帯(?)がかかり、表紙とともにカバーから透けて見えるというしかけ。紗がかかって見えにくい感じが、現実ではない物語の雰囲気を醸し、なんとも惹かれてしまう。そしてカバーをとって驚くのは、表紙がクロス装、タイトルは箔押しという豪華な仕様なこと。クロス装の本は本当に美しく大好きだが、昨今はコストの関係などから新刊で見かけることはかなり減ってしまった。だがこうして美しく丁寧につくられた本を見ると、はやり本とはかくあるべき、などと思ってしまう。

『魯迅の言葉/魯迅箴言』(魯迅著/中村愿翻訳/平凡社/1700円+税)
ブックデザインは原研哉さん、程藜さん。
< http://www.heibonsha.co.jp/catalogue/exec/browse.cgi?code=482016
>

書店で平積みされた本書を見て、思わず目をこすってしまった。カバーから表紙、そして小口塗装まですべて濃い赤で統一されているのだが、カバーの赤がどうも少しムラに見える。手に取って裏なども見てみると、あっ、これは意図的にムラを刷っているのかとわかる。その大きなムラはカバーだけではなく表紙にも続き、シンプルながら箔押しされた強いタイトルと一緒になって、深いイメージを与えている。ついつい手に取ってしまう一冊だ。

それにしてもこのタイトルの箔は何色なんだろう。濃い茶色のような、見たことのない色に思える。そしてバーコードが限度ギリギリぐらいに思える赤茶色で刷られているのもこだわりを感じる。ちなみに本書は日中同時刊行で、どうやら中国語版は白い本のよう。こちらも入手してみたい。

『白桃』(野呂邦暢著/豊田健次編/みすず書房/2800円+税)
ブックデザインはみすず書房の編集者・尾方邦緒さん。
< http://www.msz.co.jp/book/detail/08089.html
>

みすず書房の「大人の本棚」シリーズは、この『白桃』だけに限らず、どれもすてきな装丁だ。シリーズすべて、カバーは凸版で色ベタが印刷され、そこに題箋を模したタイトルが刷られている。紙自体に細いエンボスラインが入ったNTストライプGAを使っていて、そのエンボスラインもまた、この教養高いシリーズに合っている。薄表紙でしなやかな造本も、読みやすくてすきなところ。シリーズ通していいのだが、この『白桃』はカバーのビンクが何とも言えずいい色。

『死んでも何も残さない 中原昌也自伝』(中原昌也著/新潮社/1400円+税)
装画とタイトルは100%ORANGE/及川賢治、装丁は新潮社装幀室。
< http://www.shinchosha.co.jp/book/447203/
>

この本は、カバーと帯の色の激しさ、そして装画の強さ、その2点で手に取ったもの。すごいパワーを感じる。でもそれだけだったらこの本は買わずに棚に残したかも。最後の決め手となったのは本扉の文字。著者本人が書いたかのような不器用で強い文字。これで完璧にこの本を読みたくなりました。

『志村正彦全詩集』(志村正彦著/PARCO出版/2000円)
ブックデザインは名久井直子さん。
< http://www.amazon.co.jp/志村正彦全詩集-志村正彦/dp/4891948809
>

今回2冊目のクロス装の本。紙管原紙のような粗野なボール紙でつくられた函、これは留めてあるステッチ(ホチキスのようなもの)が銅色なのもすてき。本体はブルーのサテンが使われたクロス装で、そこに著者が描いたヤクザネコが空押しされている。白くてしなやかな本文もよく、各詩のタイトルの入り方が自由なところも、なんだか本書に合っているような気がして好き。そして花切れがアクセントになっているところも、細部まで丁寧につくられたことが伝わって高感度大。

『箱庭図書館』(乙一著/集英社/1300円+税)
ブックデザインは松田行正さん+日向麻梨子さん。
< http://www.amazon.co.jp/箱庭図書館-乙一/dp/4087713865
>

ホントのことを言うと、こういう尖ったデザインの本はあまり好きではないのだが、本書は別。どこが別だと問われると困るのだが、全体から出る雰囲気が尖りすぎておらず、どうにも書店で気になってしまった。目次まで気を配ったレイアウトも、見返しのキャストコート紙によるツルッツルな感じも、どれもなんだか欲しくなってしまう感じを高めていた。気になるところとしては、帯の「乙一」という文字の字間がくっつきすぎでは......というところと、カバーのやはり「乙一」というタイポグラフィ。画数が少ない文字の組み方、見せ方は難しいですね。

今回紹介した本に多く見られたのが、「本文用紙が白い」ということ。『箱庭図書館』『志村正彦全詩集』『魯迅の言葉』『ヴォイド・シェイパ』どれも白い。基本的にはクリーム色の本文用紙が好きなのだが、これだけ多くなってくると目も慣れたもので、以前より気にならないな。内容やブックデザインによっては、白い本文用紙が似合う場合も多いですしね。

よし、これで溜まっていた本をいろいろご紹介できたので、またジャケ買いがどんどんできるぞ(笑)。

【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp  twitter: @tsudajunko

『デザインのひきだし13』がようやく書店に並び始めました。名久井直子さんがさまざまな本づくりの現場を訪ねたデザインのひきだしの連載をまとめた『本づくりの匠たち』が好評発売中です。

デザイナーの「やりくり上手」の秘密が満載の『予算がなくてもステキなデザインのフライヤー・コレクション』、『装丁道場』『見た目よし! 機能よし!のショッピングバッグコレクション』『グッズづくりのイエローページ』、『デザインのひきだし』バックナンバーも好評発売中です!
デザインのひきだし・制作日記 < http://dhikidashi.exblog.jp/
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■装飾山イバラ道[77]
「アメリカン・アイドル シーズン10」を見る

武田瑛夢
< https://bn.dgcr.com/archives/20110607140200.html
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毎年楽しみの「アメリカン・アイドル」。今年はシーズン10回目を迎える。全米から集まる10万人の歌手になりたい人から、たった一人の優勝者を決めるオーディションのリアリティ番組。
パフォーマンス披露の日と、結果発表日の2回の放映が同じ週にあるので、見るのが忙しい。もちろん、歌う歌を決めて練習して本番を繰り返す候補者に比べればなんてことはないけれど。過去のアメリカン・アイドルについての詳しい説明は下記の記事を参照して下さい。そして、ここから以下は本戦のネタバレを含みます。

・装飾山イバラ道[29]「アメリカン・アイドル」にハマる/武田瑛夢
< https://bn.dgcr.com/archives/20090210140500.html
>

・アメリカン・アイドル シーズン10 FOX
< http://tv.foxjapan.com/blog/ai10/news/
>

●新しくなった審査員

シーズン10では、ジェニファー・ロペスとエアロスミスのスティーヴン・タイラーが新しく審査員に加わった。私には、何といってもジェニファー・ロペスが華やかなファッションとメイクで登場するのを見るのが楽しみに加わったのが大きい。

アラフォーなのに昔よりきれいになっちゃったので、米「ピープル」誌から「世界で最も美しい女性」に選ばれた。この件は番組中にも取り上げられ、ジェニファーは思いっきりテレていた。

彼女は地方予選の頃から抜かりなくファッションをキメていたし、アメリカの地方の州の参加者(素朴な)が、ジェニファーの本物を前にして緊張しながら歌う様子が良かった。ジェニファーの「憧れの存在」であるという自覚と存在感が、参加者に与えた力は大きかったと思う。かっこいい女性としか言いようがない。

前シーズンで、厳しい辛口コメントで憎まれ役のサイモン・コーウェルがやめることが決まっていたので、今回は新しい審査員が入るのはわかっていたけれどランディ・ジャクソン一人だけが継続されて、二人加わったのはちょっと意外だ。ただ、審査員3人のバランスを見ると、中央に女性一人という番組当初のスタイルに戻ったので良かったのかもしれない。

肝心の批評コメントは、地方予選の時のジェニファー・ロペスはなかなか「NO」と言えなくて、合格できなかった参加者の表情に心を傷めている様子だった。ていねいに言葉をかける姿から、彼女の優しさや真剣さを感じることができた。

スティーヴン・タイラーは見た目がハデでロッカー代表みたいな人なので、もっとワイルドにダメ出しを言い放つかと思っていたら、まったく違っていた。優しい目で相手をみつめて、言葉を選んで批評するタイプだったのだ。

一度ランディが参加者に厳しい事を言った後に、スティーヴンに後ろから「ヘタって言うな!」と諭されていた。もしかしたらちょっと拍子抜け? ってくらい、ジェントルマンなスティーヴンの性格が表に出てきて、ランディが途中から悪者キャラに変わって行くのがわかったくらいだ。ここらへんはプロデューサーの指示が入ったのかもしれないけれど、3人とも優しい審査では、視聴者に刺激が弱い。

ということで、今回は審査員とのバトルっぽい要素はほとんどなくなり、候補者を応援する審査員という良心的な番組に変わったような気がした。ただ、「褒めてのばす方式」に変わったと思えば問題はなく、オーディション番組として粒よりの候補者が残っていった結果になったと思う。今後は見ている人のためにも、候補者のためにもなる真に迫る評価コメントが課題かもしれない。

●より低年齢に

日本でもアイドルは低年齢化する一方だけれど、今回からアメリカン・アイドルのオーディション参加者の年齢が引き下げられ15歳から参加可能となった。前年までが16歳から28歳だったのでわずか1歳の差だけれど、これが参加者にはとても大きい違いだったようだ。実際に15歳の参加者たちの初々しさや輝きは素晴らしかったし、「何歳なの?」「15歳」「ワオ!」って感じで、かなり若さが有利に働いているようにも見えた。

もし参加年齢の下限が16歳のままで、今回この15歳たちに会えなかったらと思うとゾっとする。どうせ来年のシーズン11を受けたでしょ? と言う意見もあると思うけれど、若い子は1年で進みたい方向も変わるし、影響されるものも変わる。ダンスやスポーツや勉強や、歌以外に自分を中心として放射状に可能性が広がっているのだ。もちろん望まない何かが起こって、道を断たれることだってある。

今回決勝に参加するローレンも地方予選当時は15歳で、見ていた人の度肝を抜いた。私も地方予選でローレンを初めて見たシーンが忘れられないし、スティーヴンに「ダイヤの原石をみつけた」と言われていた。年齢だけの条件で人を集めてオーディションし、審査員全員が地方予選からすべての参加者に会って歌を聞くというこのシステムが生きた瞬間だ。これがこの番組の根幹なのだと思う。原石だからこそ見つけがいがあるものね。それだけに、アメアイの審査員を引き受けるということはいかに大仕事かということがわかる。拘束時間がものすごいと思うからだ。

●突然のさよなら

今回はハリウッドオーディションを勝ち抜いたTOP24をステージで歌わせて、いっきに13人までにしぼるという方式をとった。

TOP13は実力者揃いで、このシーズンのレベルの高さがわかる。この後は、電話やネットでの全米投票で最下位の得票数の人が一人一人脱落していく。だからずっと落ちなければ10週以上は歌い続けられるということ。ただ有力な候補者が脱落してしまいそうな場合、TOP5までの間は審査員が1回だけ「候補者を救う権利」を使って救うことができる。過去のシーズンで、有力な候補者が早期に脱落したことがあったために取られた安全策のようだ。救う権利が使われるかどうかのドキドキもひとつの見せ場になっていた。

毎回の結果発表は、まずボトム3を発表する方法をとる。得票数の少なかった人を3人ステージ左端のハイチェアに座らせるのだ。それもゲストの曲の合間に一人一人がダラダラと発表される。得票数の多かった人は右側のローチェアに誘導されて、ホッとくつろぐことができる。なんだか残酷な瞬間だけれど、公平な投票結果だからしかたなく、すべて含めてリアリティショーだからみんな覚悟の表情だ。

毎回のアメリカン・アイドルを見ていると、ずっとボトム3に入らなかった人が最後まで残ることが多い。これはまぁ当たり前だ。そして今回見ていて思ったのは、それまでボトム3に入っていなかった人が突然最下位になって、ストンと脱落してしまうシーンが多かったこと。逆にボトム3の常連なのに長続きする人もいた。

たぶんその理由はお気に入りの候補者が1回でもボトム3に入ると、ファンに危機感が出てバンバン電話投票されるからだと思う。その結果、余裕で大丈夫だろうと思われていた優勝候補のような人が、初めてのボトム3入りで一気にさよならしてしまう。今回はピア・トスカーノが脱落した時のショックが大きかった。美人でセリーヌディオンなんかのビッグソングを歌ってもかっこいいピアは、私も大好きだったのですごく残念だった。審査員が救う権利は使った後だったので、審査員も他の候補者も呆然とするだけ。

ジェームズ・ダービンが落ちた時も驚いた。ジェームズ・ダービンはその素晴らしい声質で、スティーヴンから「お前になりてぇ」とまで言わせいたので、優勝すると思っていた人も多いはず。でもかなりオーディションも終盤に入っていたので、もう誰が落ちるかなんて全米という魔物しか知らない感じだった。

●お祭り騒ぎの決勝

この記事を書いている日、私はまだ結果を知らない。最後に誰が優勝して紙吹雪を浴びるのかすっごく楽しみ。結果発表の最終回には、超豪華ゲストが来て紅白さながらの大ステージが展開される。今回の決勝出場者の男女2人ともカントリーが得意なタイプなのでカントリーファンの投票が割れるのか、あくまでも人気が結果を左右するのか。

私は上にも書いたローレンという女の子がとてもかわいかったので、紙吹雪を浴びて欲しい。ただどちらも歌手としてはデビューできると思う。他にデビューして欲しいお気に入りはポール・マクドナルド。明るい笑顔と特徴的な声、おシャレな雰囲気でトリコになった人も多いはずだ。

私はアメリカン・アイドルは全部録画して、余分なところをカットして歌と評価コメントだけにしている。そうすると2時間の録画も20分以下になる。ただこれが何週分もあるので、HD残量を圧迫しているのが悩みの種だ。

●日本で見るアメアイ

今回のシーズンは、始まってしばらくして日本では震災があった。アメアイなんて見る気分じゃなかったし、見ている場合でもなかった。でも少しだけ元気になって、録画を久しぶりに見たら、まったく別世界のステージでいつも通りの番組が進行されていた。

赤や青のライトを駆使した電気料金無限大みたいなステージ、ジェニファーとティーヴンが横に並んでパフォーマンスを審査している様子。この時になんとも言えないありがたさを感じ、地球のどこかが大変でも、地球のどこかは勝手に達者でいてくれることに感動した。

日本は9日遅れの放映ということで、しばらくしたら審査員3人が日本へのお見舞いコメントを流していた。私にとってはアメアイはちょっとした「どこでもドア」みたいな、ちょっとアメリカ見てきますという気分転換になる。身の回りとはまったく関係ない異次元さに救われることもあるのだ。いつまでも達者で番組を続けて欲しい。遠いけれど同じ地球の上の宝物のようなショーだ。

【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/
>

ジメジメして嫌な季節だけれど、バスマットって洗濯しても乾きが悪かったり、他の何と一緒に洗えばいいんだよって感じでストレスですよね。そこでうちは「珪藻土」を使ったバスマットに換えました。白っぽい土を固めたようなものですが、ものすごく水の吸い込みが良いです。洗濯必要なし。質感は「栗らくがん」のようで、ギュンギュン足の下から水がなくなります。一度使うとやめられないです。厚みや高級感いろいろありますがうちは下記のを買いました。

・珪藻土バスマット
< http://item.rakuten.co.jp/yamayuu/ubs-1/
>

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■おかだの光画部トーク[56]
Apple WWDC 2011の写真関連機能をピックアップ

おかだよういち
< https://bn.dgcr.com/archives/20110607140100.html
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さて、今回は日本時間の今朝方2時から4時くらいまで行われていたAppleのWWDCの基調講演で発表された内容から、写真やカメラに関する内容をピックアップしてご紹介します。

と、その前にひとつ。前回の天体つながりで、ひとつ面白いカメラ関連新製品の発表があったのでそちらから先にご紹介。

PENTAX GPS UNIT O-GPS1
発売日:6月下旬予定
価格:19,800円(税込)(yodobashi.com:< http://goo.gl/FLWRF
>)

PENTAXの一眼レフカメラ、K-5とK-rのホットシューに装着するGPSユニットです。GPSユニットなので、画像のメタデータに撮影位置情報を記録するのですが、この製品はそれだけじゃない。今までになかった面白い機能が付いています。それが「アストロトレーサー(Astrotracer)」。

通常、天体写真を撮る場合、被写体となる星が暗いので長い時間シャッターを開けた状態で、より多くの光を取り込む長時間露光が必要になります。三脚にカメラを固定して、レンズを空に向けて長時間露光します。当然地球は自転していますから、星は徐々に動いて写真には星の光が線になって写ります。そのような写真のことを「星景写真」と言います。
< http://goo.gl/RqLdL
>

星の光が線の軌跡を描く写真ではなく、ちゃんと星の状態、点の光で写っている写真を「星野写真」と言います。こんな風に写すには、星が光跡を描かないように、星の動きと同じ速さと方向にカメラを動かす必要があります。
< http://goo.gl/FqPEK
>

もちろん、手では無理なので天体望遠鏡に付いているような赤道儀に、モータードライブなどを組み合わせるなどかなり大掛かりになりますが、このPENTAXのGPSUNITはなんと、カメラ本体に内蔵した手ブレ補正システムと連動して簡易的な天体追尾撮影ができるそうなんです。赤道儀じゃなく普通の三脚で大丈夫なんです。

GPSユニットが、位置情報とセンサーでカメラの向きや方角を元に星の動きを計算して、カメラのイメージセンサーを動かして星を追尾するという、その発想はなかった! という機能です。

元々は手ブレ補正用にイメージセンサーを動かす仕様なので、何10分も何時間も追尾できるほどの動き幅や角度はないのであくまで簡易的ですが、K-5の場合50mm以下のレンズで300秒も追尾可能だそうです。

天体ファンだったら、この機能のためにだけでもPENTAXの一眼レフが欲しくなるんじゃないでしょうか。
< http://goo.gl/6HpNQ
>

手ブレ補正機能がレンズに内蔵されている、ニコンやキヤノンでは考えられない、ボディ側のイメージセンサーを動かすタイプのペンタックスならではの面白い機能ですね。

●Appleの最新情報

今回発表されたのは、来月リリースされる新しいMacのOS、「Lion」と秋にリリースされるiPhoneやiPadなどのデバイス用OS、「iOS5」、それらを繋ぐクラウドサービス「iCloud」。ハードの発表はありませんでした。

が、OSが変わるだけでiPhoneのカメラの機能も大幅に変化するのは、前回「iOS4」になった時にも体験したので大いに気になります。

iOS5ではTwitterがOSレベルでサポートされるので、標準のカメラアプリにも撮ってすぐTwitterにアップできるようになります。

そしてそのカメラアプリは、ロック画面にもアイコンが置かれて、いつでもすぐに写真が撮れる状態になります。写真を撮りたい時に、いちいちiPhoneをロック解除するのに、画面をスワイプしてパスワード4桁入れて、カメラアプリを起動してって作業をせずに、いきなりアプリ起動して撮れるのはいいですね!

さらに、今までは画面にシャッターボタンが表示されて、それをタップするしかなかったのですが、ボリュームボタンをシャッターボタンに使っての撮影も可能だそうです。普通のコンデジのような、手持ち感覚で撮れそうですね。あとは、赤目補正、トリミング、回転などの簡単な編集ができるそうです。

そして、iCloudというサービスですが、これも写真に関する部分がありました。「Photo Stream」機能。iPhoneとMacやiPadと写真を同期するものです。例えば、iPhoneで撮った写真がiCloudにアップされ、MacのiPhotoやiPadのカメラロールにプッシュされる。MacでiPhotoに入れた写真が、iCloud経由でiPhoneやiPadにプッシュされる。というような感じです。写真1000枚が30日間無料で保存されます。

写真・カメラ関連の新機能はこれくらいです。その他も魅力的な機能やUIが盛りだくさんなので、興味のある人はAppleのサイトを見たり色々検索してみてください。
< http://developer.apple.com/wwdc/
>

ますますiPhoneばかり使って、コンパクトデジカメの出番がなくなりそうな気がします。秋のリリースが待ち遠しいですね!

【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】

前回もお知らせしました、Webサイト構築に大変心強いa-blog cmsの紹介&ハンズオンセミナーを今週末6月11日(土)に大阪で開催します。Webデザイナーさんや企業のWeb担当者さん、プログラムが解らなくても大丈夫です。まだ席
ありますので是非ご参加ください。
< http://atnd.org/events/14872
>
< http://atnd.org/events/14907
>

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■編集後記(6/7)

・わたしの若い友人は、酒呑みで、スモーカーで、パチンコ好きである。これでデブの汗っかきだったら近寄るなといいたいのだが、スポーツマンなのでみかけはスマートで、年齢差を感じないほどに話が合うため、ときどきSFや漫画のおすすめ作品について語り合う。アルコールとタバコは嗜好だから気にならないが、パチンコついては不愉快千万。会う度に博打はやめろとたしなめているが、一向に聞き入れない。何勝何敗で儲かっているはずだと言う。果ては、必勝法を会得したなどとぬかす。目をさませバカ野郎。君はいわゆる独身貴族だから、勝って遊びや買い物に使おうと思っているのだろうが、パチンコ依存症を患う主婦や年金受給者は、ローン返済の足しや生活費補填のためなんとか金をふやしたいと、勝てるはずのないパチンコに必死なのだ。結局金を捨てることになり奈落の底へ落ちる。年金受給日に全額つっこみ、使い果して号泣していたお婆さんの話をしたのは君ではないか。そもそも若い君が、労働の対価ではない金をたまたま得たとして、恥ずかしいと思わないのか。そう言っても馬耳東風。本人は認めないが、パチンコ依存症であろう。パチンコは完全に違法な賭博である。昭和のよき時代にあった庶民の娯楽とは全然違うものである。こんなものが放置されているのが異常だ。一刻も早く非合法化すべきである。一刻も早くお遍路に行ってほしい男もいる、今日の日本である。(柴田)

・iOS5。3GSやiPadもサポート。ロック画面上への列記表示がとても嬉しい。プッシュ通知があるからと安心していたら、一番上のものしか確認できていなかったりする。Boxcarいらなくなるかな。BoxcarはGrowlやRSSの登録もできるし、元のメールにフィルタかけて通知させるものを選択できたりするから、いらないってことはないか。スケジュールやToDoが表示できたらいいなぁ。Windows MobileやAndroidならできるのに。おかださんが書かれているようにカメラも嬉しい! 知ってた? 今でもiPod機能の一部はホームボタン2回押しで出せて、ロック解除しなくても使えるよ。Widgetもいいな〜。純正になっちゃって、いままでアプリとして提供していた人たちはどうするんだろう......。Macもそうだったなぁ。OSがあがるたびにシェアウェアの機能が取り込まれてしまって。母艦(パソコン)がなくてもOSのバージョンアップやバックアップがとれるのもいいね。iPadとパソコンのどちらを買おうか聞かれた時に、母艦がないと使えないよとパソコンを薦めていた。雑誌の配信は日本じゃどこまでやれるんだろう。Macの新OS、Lion。前々から告知されていて特に驚きはないものの、使っているファイルの、過去のバージョンをも保存できるAuto Saveは、地味ながら役立ちそう。iCloudは使ってみないと何とも。/マックiTunesのApp Store。ダウンロード済みがどうか表示が出るようになってる。便利。(hammer.mule)
< http://www.apple.com/jp/
>  詳しくは公式へ
< http://events.apple.com.edgesuite.net/11piubpwiqubf06/event/
>
今朝の基調講演
< http://itunes.apple.com/jp/app/id321493542
>
Boxcar。いまは複数登録出来るよ
< http://www.apple.com/jp/
>  詳しくは公式へ
< http://events.apple.com.edgesuite.net/11piubpwiqubf06/event/
>
今朝の基調講演