ところのほんとのところ[63]「東京フォト2011」と上海でのワークショップにて
── 所幸則 Tokoro Yukinori ──

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「東京フォト2011」での展示販売が無事終了しました。[ところ]の新作がとても評判がよかったそうです。出展2点だけで少し寂しかったのだけど、素直にうれしいものです。

学生時代から憧れていた大先輩写真家のハービー山口さん、細江英公さんに続いて、鋤田正義さんにも[ところ]のモノクロの渋谷シリーズが素敵だと言っていただいて、本当にうれしかったです。

本当は毎日行きたかった「東京フォト2011」なのに、体調を崩してしまい最終日だけになったのがとても残念です。ギャラリー21の方にもがっかりさせてしまったと思います。所幸則はなぜこなかったのか、と。体調管理も作家の責任ですから、大変申し訳なかったと思った[ところ]でした。

それでも最終日ということもあり、たった一日なのにいろいろな人に会えてよかった。「月刊キャパ」の編集長の石田さんとも連載の打ち合わせもできたし。なかでも、[ところ]が大学生の時から憧れていた鋤田正義さんと充分にお話できて、純粋にうれしかった。David BowieやTレックスのレコードジャケットは本当に見事で、当時非常に興奮したものです。鋤田さんが、これから東京をどう撮っていくのか楽しみです。[ところ]はすごく期待しています!

そして、今回発表した写真が完成できたのは友人の松枝君のおかげです。震災ショックから街を撮る意欲が戻ってなかった[ところ]を街に連れ出し、写真を撮らせた松枝君にはとても感謝しています。この写真は傑作ですよね。その後ミーハーにも、東京画ブースにて鋤田さんをiPhoneで撮っちゃいました。



「東京フォト2011」も無事終り、また体調を崩して寝込んでしまった[ところ]ですが、実は「東京フォト2011」の寸前に上海に行っていたのです。上海外◎美術館(Rockbund Art Museum)でワークショップを行いました。
< http://www.rockbundartmuseum.org/cn/cn_newsList.asp
>

ロックフェラー財団が、上海でバンドと呼ばれるエリアに建てた美術館なのでロックバンドなんですね。やっと理解しました! すいませんでした! 今回は100席だったそうですが、立ち見の人もいたので実際は120〜130人ぐらいの参加者でしょうか。

上海は今写真が大ブームみたいですごい熱気。驚いたことに[ところ]のファンで「所さんの真似してるので見てください!」という学生までいたのにはびっくり。彼のiPhoneには[ところ]の作品のすべてが収められていて、それもすごいことです。卒業制作で彼の仲間が多くいるそうですよ。

まあ学生達の「所幸則の模写」みたいなものでしょうね。欧米の美術館で模写して勉強する美術専攻の学生は多いですよね。まあそういう感じなんだろうなと好意的に思うことにした[ところ]です。とにかくその熱意、日本と違うなーと思いました。

まず[ところ]の写真家としての歴史から講義。1984頃のモノクロで印画紙まで自分で作っていた時代、1987からのエアーブラシやオペークインクマスク、デュープ合成など様々な手法を駆使して不思議な作品を作っていた時代、1933からの少しずつデジタル技法が混ざっていった時代、1996年からの完全デジタルに移行し、天使や妖精たちを多く手がけた時代。

それらの作品をまとめた「天使に至る系譜」を第一期所幸則の最後の写真集として出版したあと、現在の「今を生きる」をテーマにモノクロームで始めた「シリーズ渋谷1sec」までの話。

みんながこんなに熱心に聞いてくれるのはすごいことだと思った。その後、交流を兼ねて、バンドというエリアを一緒に歩いて撮影会を行う。写真を撮りつつ、風景やスナップの[ところ]が思うことを話したのだけれど、みんな積極的で撮った写真をどんどん見せてくる。そのレベルが高い。中国恐るべし、と[ところ]は思いました。

中国の写真雑誌は山のようにあるのですが、レベルが高いとはお世辞にも言えない。だけど一般のレベルが高い。これはどういうことなんだろう。ちょっと不思議に感じた[ところ]でした。

それにしても、日本人もこういう機会には積極的に写真見せに来たり、コミュニケーションを取ったりすればいいのになあと思う。撮った写真の講評の後、何か質問ありますか? という時間も、日本ではまず手があがらない。今回は、時間がないのでどうしてもという人だけでお願いします、なんていう手を上げにくい状況でもすぐ質問してくるあの貪欲さはすばらしい。日本人として負けてられないなと、[ところ]は燃えましたね。

【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/
>
所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/
>