ところのほんとのところ[66]カメラが変わると写真が変わる
── 所幸則 Tokoro Yukinori ──

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これからのカメラはどうなるのか。これは写真家にとっては非常にストレートに影響を受ける問題。当然[ところ]もそうだ。

写真家じゃない人や、趣味レベルで写真を撮ってる方たちからすると、機材が大きく変わると撮る写真が変わるの? しょせん撮る人間が大事でカメラは道具でしょう? と思う人は多いのではないだろうか。それは半分正解で半分はわかってないと、[ところ]は思う。

例えば、ポートレートを撮るときに、被写体となる人の前に立つ人物について。30才の男性を堀北真希がカメラを構えて撮るのと、渡邉恒雄(読売グループの偉い人)が撮るのと、芦田愛菜ちゃんが撮るのとでは、相手の気持も変わるし表情も変わるのは理解できるでしょう。

撮る人が変わってるんだから、という意見がでそうだけれども、[ところ]が赤い短パンに銀のシャツにピンクの帽子で笑顔で撮るのと、黒ずくめで真っ黒なサングラスをかけて怒った顔で撮るのとでは、相手の反応が変わる、これならわかってもらえると思う。

カメラの話は? という話が出てきそうだけれども、同じことです。例えば、小さいおもちゃのようなカメラだと写真家も気楽に撮れるし、写される側も軽い気持ちで応じられるけれど、10kgもあるような大きな三脚に載った大きなカメラで構えられると、つい真剣になってしまうものなんです。

それは写される側もそうだけれども、写真家側も慎重にシャッターを切ったりするようになるんですよ。つまり、カメラも変われば写真家側の気持ちも変わるということ。




街でスナップを撮るときでもそうです。例えば、キヤノン1Dsなど重たいカメラを持っていると、撮る気満々の意識が伝わって、回りの人も「お、撮ってるな!」と構えてしまうわけです。しかし、例えば黒い服を着た熟練者がブラックボディのコンパクトデジカメで撮っていると、街の中に溶け込んで人の流れも変えなかったりします。

カメラが変わると写真が変わるとは、簡単な例を上げていくとそういうことなんです。

最近、ニコンやキヤノンなどはすごく高感度センサーのカメラを出してきています。そうすると、ISO感度1600や3200でもきれいに撮れるようになります。これは加速していて、もうすぐISO感度10万でもすごくきれいに撮れる日も来るでしょう。

そうすると、しっかり構えなくてもまずブレることはない。夜でもぶれずに、きれいに写る。以前は脇を締めてしっかり構えないと撮れなかったものまで、リラックスした適当な動きの中でも撮れるようになっています。

そして、今度は一眼レフでも光学ファインダーじゃないカメラが出てきました。肉眼でレンズ越しに見ながら撮っていたのが、液晶モニターを見ながら撮る。コンパクトデジカメではもうすでにそうなっていますよね。携帯電話のカメラもそう。手を伸ばして液晶画面を見ながら写真を撮るのが、一般的な人の写真の撮り方になってきてます。

[ところ]がデジカメになっても大事にしていたのは、レンズ越しに見て撮ることでした。カメラ選びの基準は、ファインダーから覗いたときに画面が広く明るいこと、それが一番でした。それで、アナログ時代ニコン中心だった[ところ]はキヤノン1Dsシリーズに変えました。そして今は、ソニーα900とシグマSD1になっています。

最近ソニーは、微細なピント調節やピントチェックが可能な、高解像度の有機ELファインダーを搭載した一眼レフα77を出してきました。今後どういう方向にいくのかすごく気がかりなんです。とりあえず一度使ってみようと思っています。

[ところ]の写真がどう変わってしまうのか、そしてカメラはどこへ向かうのか、とても気になっているところです。

・ニコニコミュニティ「写真家の異常な愛情」
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【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/
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所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/
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