もう先月のことになりますが、仕事の谷間に10日ほど旅行に行ってきました。毎年恒例の父、夫との3人珍道中です。父が「ヨーロッパでキノコ狩りをしたい」という要望を出し、僻地旅行家(?)である夫が具体的な場所を決め、ハンガリー、アルバニア、マケドニアという、特に後者2カ国はまったく知らない国へと行くことになったのでした。
今回はその旅行中に買った本の中から、ブックデザインが気になったものを数点ご紹介します。
まずは、一見、クッキーの詰め合わせにしか見えないこれ。
![01-01.jpg](/archives/assets_c/2011/11/01-01-thumb-200x119-5663.jpg)
![01-02.jpg](/archives/assets_c/2011/11/01-02-thumb-200x102-5665.jpg)
写真だとサイズ感がわかりにくいですが、箱も縦横が10cm×30cmくらいで、本当にクッキーが入った箱のように見えます。
透明のフィルムスリーブを抜き、中のクッキーを取り出してみると、これが3冊の本になっていて、それぞれ丸いクッキー、四角いクッキーのレシピ(だと思われる)が一見開きごとに紹介されています。
![01-03.jpg](/archives/assets_c/2011/11/01-03-thumb-200x155-5666.jpg)
各本の表紙は、クッキーのアイシングやチョコレートが本物かのように、つるつるとしたグロス感あるニスが塗られていて、つくりもすてきです。実用書というより、プレゼントなどにちょうどいいのでは? という、思わず買わずにはいられない、かわいいブックデザインでした。
今回はその旅行中に買った本の中から、ブックデザインが気になったものを数点ご紹介します。
まずは、一見、クッキーの詰め合わせにしか見えないこれ。
![01-01.jpg](/archives/assets_c/2011/11/01-01-thumb-200x119-5663.jpg)
![01-02.jpg](/archives/assets_c/2011/11/01-02-thumb-200x102-5665.jpg)
写真だとサイズ感がわかりにくいですが、箱も縦横が10cm×30cmくらいで、本当にクッキーが入った箱のように見えます。
透明のフィルムスリーブを抜き、中のクッキーを取り出してみると、これが3冊の本になっていて、それぞれ丸いクッキー、四角いクッキーのレシピ(だと思われる)が一見開きごとに紹介されています。
![01-03.jpg](/archives/assets_c/2011/11/01-03-thumb-200x155-5666.jpg)
各本の表紙は、クッキーのアイシングやチョコレートが本物かのように、つるつるとしたグロス感あるニスが塗られていて、つくりもすてきです。実用書というより、プレゼントなどにちょうどいいのでは? という、思わず買わずにはいられない、かわいいブックデザインでした。
次はこちら。
![02-01.jpg](/archives/assets_c/2011/11/02-01-thumb-200x162-5667.jpg)
月そのもののように、丸い本。どうしても綴じる部分だけは直線の背になっているものの、上製本でこれはすごい。大きさも直径40cmくらいあって、けっこう巨大です。
さらに驚くことに、この表紙、ウレタンが入っていて、ふんわり丸くなっているんですが、その表面は、月の表面のクレーターに合わせた凹凸が、ボコボコッとついているんです。
![02-02.jpg](/archives/assets_c/2011/11/02-02-thumb-200x100-5668.jpg)
写真じゃわからないですよね......。私の手元にあるので、ご覧になりたい方は、ぜひ九段下に遊びにきてください。多くの人に触ってほしい! 内容はアポロ11の記録写真+テキストですが、ハンガリー語なので全然わかりません。
ちなみにこの本、シリーズというか、ほかのテーマでもこの装丁でいろいろ出版されていて、テニスボールやレコード、車のホイールなど、各種丸形の本が書店に置かれていました。
次にご紹介する本もハンガリーで買ったもの。さほど驚くものではないかもしれませんが、潜水艦や船、沈没船のことを書いた仕掛け絵本です。
![03-01.jpg](/archives/assets_c/2011/11/03-01-thumb-200x149-5669.jpg)
表紙が5mmもあるぶ厚いもので、そこに潜水艦の覗き窓のような形が型抜きされ、中にはレンチキュラーで3D印刷されたタコが覗いています。レンチキュラー、写真だとまったくわからないですね......。
![03-02.jpg](/archives/assets_c/2011/11/03-02-thumb-200x149-5670.jpg)
表紙をあけると、タコのレンチキュラーが貼られていて、左下にちょっと見えるように、さまざまな仕掛けが各ページに施されています。パッと書店で目立って、ほしくなってしまうブックデザインでした。
![03-03.jpg](/archives/assets_c/2011/11/03-03-thumb-200x149-5671.jpg)
最後の一冊は、アルバニア(私は今回初めてこの国の存在を知りました。近年までいわゆる鎖国状態で、その後多くの国民がねずみ講の被害に合って国が破綻したという、いろんな意味ですごい国です。でも、のんびりしていてい人も親切。建物のきれいでいいところでした)で買った絵本です。
![04-01.jpg](/archives/assets_c/2011/11/04-01-thumb-200x156-5672.jpg)
主人公の動物がマフラーと帽子をいろいろ使われたり、なくしたりして、最後戻ってくるというようなお話っぽいのですが、文字が読めないので全然わかりません......。でもこの本、すごいのは、物語のキーになっている帽子とマフラーが、本当に毛糸でつくられた感じを出すために、全ページにわたって、フロッキー加工されているんです!
![04-02.jpg](/archives/assets_c/2011/11/04-02-thumb-200x129-5673.jpg)
![04-03.jpg](/archives/assets_c/2011/11/04-03-thumb-200x149-5674.jpg)
![04-04.jpg](/archives/assets_c/2011/11/04-04-thumb-200x149-5675.jpg)
フロッキー加工とは、糊を刷った上にふわふわの「パイル」と呼ばれる繊維を植え込む加工のこと。日本だと、表紙に施すだけでも高いのに、全ページに加工しているとは。おまけに赤とオレンジの2色のパイルを植え込むなんて、どうやっているんだろう......。私いままで見たことない気がします。
とまあ、駆け足で4冊ご紹介しました。内容が読めないものばかりなのですが、どれも類推するに中身と合っているブックデザインになっていて、それがうまく印刷加工されているところに惹かれました。
うーむ、私も負けないように、いい本つくろ。がんばるぞ!
【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp twitter: @tsudajunko
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