境界線の歩き方[12]コスコレに行ってきた☆ダンマス3は家で見ていた
── 出渕亮一朗 ──

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「ダンマス3」ことニコニコ動画踊ってみたの祭典「Nico Nico D@nceMaster」の3回目が、2011年10月15日に六本木nicofarreにて行われた。これは絶対見たい! とチケット発売日に電話スタンバイ。が、発売開始時刻とともにかけた電話はつながらず...10分後、チケット完売のつぶやきがtwitterで流れ始めた。人気半端ないなと思いつつ、ダンマス3はニコニコ生放送を予約して見ることにした。

私はタイムシフトで見たのだが、リアルタイムで見ている人は映像を見ながら直接PCから打ち込んだコメントを会場に流すことができるのだ。nicofarreは正面左右の壁がすべてLEDの画面となっており、ここに映像を映すことができる。コメントは右⇒正面⇒左と壁を回って流れて行く。それをまた自宅のPCで見れるので、かなり参加している気分となる。

3回目のテーマは「実力で勝負じゃない、知名度で勝負じゃない、個性で勝負だ」ということで、「サラリーマン」「JK」「コスプレ」枠などいくつかのジャンルにエントリーして選考された人たちが出演している。出演順を自宅視聴者のアンケートで決めたりとか、かなりインタラクティブだ。

ある統計によると、ニコ動での踊ってみた人最多数のハッピーシンセサイザーの振り付け師、人気上昇中のめろちんや、笑顔でフリームーブのにゃんたろ、特別出演枠のDANCEROIDとか見どころはいっぱいあったが、クライマックスはラストの少し前に訪れた。

どこでもいそうなおじさんが、白い雨合羽みたいなものを着て一人で舞台に立った。曲はまさかのストロボナイツ。しかし動きはたどたどしく、まるで、雨の日の交通整理のお巡りさん。

だけど、あれ、なんか目から水が...、視聴者も同じように感じたのか、画面に、「あれ、なんか目から水か...」「感動...」といったコメントが流れ始めた。そして、「感動...」「感動...」「こんなに感動したストロボナイツは始めてみた」といったコメントで画面が埋め尽くされた。



なんで、あれで。本当に人間の心ってどうなってるんでしょうね。まさに、テーマ通りの結果となったダンマス3でした。確か主催者発表によると、ダンマス3のニコ生放送に訪れた方は約20万人、コメントは約40万件近くだったと思う。最近のテレビ離れしたと言われる若者はどこに行ったかというと、こんなとこに集まってたんですね。

続いて2011年12月4日には、コスプレーヤーのための祭典、TOKYO NICONICOCOSPLLECTION(コスコレ)が同じくnicofarreで行われた。これはけっこう余裕でチケットが取れた。

初めて入ったnicofarreはやはり楽しい会場だった。壁面に映像やコメントが流れて行く。会場内から携帯を使って壁面にコメントを流している人もいた。また全世界にも生放送されたということで、海外からとみられるコメントも流れていた。

このイベントでは、コスプレーヤーのウォーキング、アクション、ダンスの三つのスタイルで構成されていた。ダンスは踊ってみたの有名ダンサーたちが初音ミク等のコスプレをして踊るものだった。会場は熱気に溢れているけど、ポジションが悪いと見づらいのも確かだ。家のPCで、すばらしいカメラワークでじっくり見るのもまた悪くないよ。

最近、代々木公園にあるダンサーの「聖地」のひとつ、「青壁」を探しに行ってみた。このすばらしいグラフィティが描かれた壁の前で、踊ってみた動画がたくさん撮られているのだ。たぶんあの辺だろうと思った所にやはりあった。

それはある公園口の前の陸橋の柱なのだが、なるほどな〜と思った。代々木公園の周りの道路は「ここでスピーカー等で大きな音を出さない事」という内容の看板がある。公園内にも同様の看板がある。公園口から向かって左に「赤壁」右に「青壁」があるのだが、ここは確かに道路でもなければ公園内でもないという、まさに法の目をかいくぐった地点なのだ。

同じ辺りにあった25年ぐらい前の、代々木公園の歩行者天国を思い出す。所狭しといろんなパフォーマーがいて、隣同士に並んでいるバンドが演奏するので、もはや音楽ではなく、公園中にノイズがわんわんいっている感じだった。そんな中を大勢の観客は通り過ぎたり集まったりしていた。

突然、代々木公園のホコ天を中止にしてしまった当時のお偉いさんは、本当に味気ないことをしてくれたものだと思う。日本を訪れる海外からの観光客の大きなお目当てのひとつが、代々木のホコ天であったことを知らなかったのだろうか。

今、東京の若者がいつでも自由に屋外で表現できる場所は、この青壁の周りの狭い場所に狭められてしまったのだろうか? いや、だけど、インターネットのおかげで今では自宅でも、どこの田舎の公園でも自分の表現ができ、世界中の人たちに見てもらうことができるのだ。

Google ChromeのCMじゃないけど、自宅で撮ったダンスムービーがYouTubeで何百万回も再生され、今や世界中の10代女の子のカリスマに弱冠20歳にしてなった、DANCEROIDの愛川こずえさんみたいな人もいる。

でも、人とのつながりが希薄になった? これぞという人がいれば連絡を取って直接会いに行けばいいのだし、広く浅くも、個人と深くもどちらの付き合いができるようになったということは、選択枝が増えたということで幸せなことなんだろう。

今のこのサブカルチャーシーンは、私が昔から好きな沖縄芸能と発祥が似ているのじゃないかと考えている。まず、琉歌を作る人がいる。それに歌三線を付けて曲を作る本家がいる。それをあちこちで歌って広めて回る、「歌ってみた」の人が出てくる。さらにその歌にフリを付けて踊りにして「踊ってみた」の人が出てくる。こんな感じで匿名の作り手たちが次々に感応して、パワーのある沖縄芸能が生まれた時代があったんじゃないかと思う。

ひとつカミングアウトすると、「何面白そうなことやってんだよー、自分も混ぜてくれよー」みたいな感じで、実は私の踊ってみたチャンネルもあるのです。場所は秘密ですが。探してみてください。いや、探さないでください。

ニコニコ動画踊ってみたの祭典! Nico Nico D@nce Master
< http://www.nicovideo.jp/danmas
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ダンマス公式サイト

TOKYO NICONICO COSPLLECTION
< http://www.nicovideo.jp/niconico_coscolle
>
コスコレ公式サイト

コスコレ!れいちぇる×仮面ライダー217 magnet公式画質
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れいちぇる「巡音ルカ」、仮面ライダー217「初音ミク」でmagnetを踊っています。いわゆる「百合」がテーマです。少々ショッキングなシーンも。

【こげこぞ】Spring Showerはしゃいで踊ってみた【EGO[K]OZO】HD
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こげ子さんとこぞうさんが代々木公園の「赤壁」と「青壁」の前で踊っています。例は山ほどあるけどこれを選んだのは、一番最近のもので好きなダンサーが踊っているのが理由。

【りりり】Bad Apple!!【ただのん・仏壇仮面】
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子供のダンスなんてかわいさで釣ってるだけで、動きを表面的にまねしただけのものだと思っていたんですが、この6歳のりりりちゃんはすごすぎる! 海外からも驚愕と賛辞のコメントの嵐。バックの二人と踊りたいとサンタさんにお願いしたら、かなったそうです。


【出渕亮一朗】ryoichiro.debuchi(a)gmail.com
コンピューターグラフィックス、インタラクティブアート分野のアーティスト
グラフィックス分野のプログラマー
< http://www.debuchi.com
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今回12回目の一周年を持ちまして、「踊ってみたの系譜」に始まった、この「境界線の歩き方シリーズ」はいったん終了とさせていただきます。短い間でしたが、ご愛読ありがとうございました。ネタがたまれば、またその時に何か再開したいなと考えています。