今年最初の『デザインのひきだし』も、なんとか無事発売になり、早いところでは今週から書店店頭に並び始めました。
で、編集しているときには気づかなかったのですが(それもどうかと思いますが)、今回で15号。年3回刊行なので、早くも創刊から5年がたってしまったということなんですね......。いやぁ、早い! 5年たったからといって、特に何をする訳でもないのですが。
最新号の内容は、ここでは特に触れませんので、よければ以下でご覧ください。
< http://www.graphicsha.co.jp/book_data.php?snumber3=1143
>
今回ご紹介する、思わずジャケ買いしてしまった書籍、一冊目は『七十歳死亡法案、可決』(垣谷美雨著/幻冬舎刊/1500円+税)。ブックデザインは鈴木成一デザイン室。
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344021258/dgcrcom-22/
>
まるで本物の新聞紙が巻かれたようなカバー(それもちょっと斜めに)。その新聞の一面記事タイトルが、書名になっている。カバーの背にはタイトルなし(帯にはある)。
私は本当にある何かを、擬態して使っているデザインになぜか惹かれてしまう。この本も、カバーの新聞紙感に目を引かれ、手に取った。カバーはMagという、新聞紙のようなグレーの紙に、このカバーのためにつくられた新聞様のビジュアルが刷られている。フルカラーの帯を外すと、そこには帯にカラーで刷られた登場人物のイラストが、赤一色で新聞紙の上に刷り込まれている。
で、編集しているときには気づかなかったのですが(それもどうかと思いますが)、今回で15号。年3回刊行なので、早くも創刊から5年がたってしまったということなんですね......。いやぁ、早い! 5年たったからといって、特に何をする訳でもないのですが。
最新号の内容は、ここでは特に触れませんので、よければ以下でご覧ください。
< http://www.graphicsha.co.jp/book_data.php?snumber3=1143
>
今回ご紹介する、思わずジャケ買いしてしまった書籍、一冊目は『七十歳死亡法案、可決』(垣谷美雨著/幻冬舎刊/1500円+税)。ブックデザインは鈴木成一デザイン室。
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344021258/dgcrcom-22/
>
まるで本物の新聞紙が巻かれたようなカバー(それもちょっと斜めに)。その新聞の一面記事タイトルが、書名になっている。カバーの背にはタイトルなし(帯にはある)。
私は本当にある何かを、擬態して使っているデザインになぜか惹かれてしまう。この本も、カバーの新聞紙感に目を引かれ、手に取った。カバーはMagという、新聞紙のようなグレーの紙に、このカバーのためにつくられた新聞様のビジュアルが刷られている。フルカラーの帯を外すと、そこには帯にカラーで刷られた登場人物のイラストが、赤一色で新聞紙の上に刷り込まれている。
表紙も同様に、新聞紙が巻かれているようになっているが、こちらはカバーが斜めの新聞なのに対して、表紙は新聞紙がまっすぐなポジションで使われている(記事もきちんと書かれてちょっと面白い)。
カバー用につくられた新聞のビジュアルは、もちろん書体も実際の新聞書体ではないなど、細部は本物と違うのだが、こうした擬態物にありがちの「偽物っぽさ」がない。「70歳になったら、誕生日から30日以内に死ななければならない」という法律が可決され、そこから物語が始まるのだが、このショッキングな法案を知らせる新聞を使うというのは、まさにドンピシャ。
内容は、これから義理/実の両方の両親が介護世代になっていく自分にとっては、少し身につまされる内容であったが、カバーの淡々とした雰囲気のせいか、読了後、そんなにどんより暗い気分にはならなかった。
もう一冊は『御朱印帖』(飛鳥親社/1333円+税)。ブックデザインは尾原史和さん、堀康太郎さん(スープ・デザイン)。
< http://www.asukashinsha.co.jp/book/b94950.html
>
これはお寺や神社で「御朱印」を書いて(捺して)もらうための御朱印帖。通常はありがたい感じの織物クロスの表紙に蛇腹折りの御朱印帖が多いが、これはそんなのじゃなくもっと新しくかわいい御朱印帖が欲しい、という人のためにつくられたもの。前半には、御朱印をもらうにはどうしたらいいかなどのガイドが印刷され、残りはすべて御朱印を捺してもらうための白紙。
まずこの本を開いて驚くのが、ガバッと思いっきり水平に本が開くこと。予想外の開きっぷりにちょっと驚くほどだ。この広開性に驚いて造本をチェックすると、おお、コデックス装なのか!
コデックス装とは、近年はやりつつある製本方式で、実は名前もこれが正式なものかは定かではない。どんな製本かというと、本文用紙が折られ、それが糸かがりされて背に糊がついた状態のまま、表紙を巻いていない製本方式のこと。背は折丁やかがり糸がそのまま見えてしまっている。
かがった背を薄く糊で固めているだけなので、本文部分のノド側(糊で綴じている方)に、ページを開く際に阻害する要因がなく、ガバッと180度開く。背は折丁やかがり糸が見えているのがまたキュートなのだが、あら、この本は、かがり糸がカバーと合わせて(表1が赤/表4が青)、赤と青の2色が使われている。かわいい。
そして肝心の御朱印部分は、本文用紙に奉書紙を使っているそう。筆で文字を書いたり、印を押したりするので、その適性を考慮して選ばれているそう。実際にお坊さんにその使い心地を聞いてみたいものだ。さすがに自分でそこに文字を書いたりするのは憚られるので。おまけに、乾ききらない墨などを吸い込み「吸い取り紙」がついているのも小憎らしい。
表紙や赤と青の糸が見える背など、全体的にキュートでかわいく、かつ、御朱印を書いてもらいやすい、180度開く広開性や紙の選定など、あらゆるところに気を使って適材適所に資材や加工を選んでいるところに、もうキュンとしてしまいました(変態か・苦笑)。
とまあ、今週もまたジャケ買いに散財しているのでした。とほほ。
【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp twitter:@tsudajunko
『デザインのひきだし15』の発売が始まりました! 板紙付録など付録満載で、束厚が24ミリ(当社比1.8倍)。表紙は巻末特集「3D印刷 A to Z」と連動して、ビジュアルがスムーズに動きますので、ぜひ現物を手に取って本を縦方向にゆらゆらさせてその動きをご堪能ください!
デザインのひきだし・制作日記 < http://dhikidashi.exblog.jp/
>