先週金曜日に、来月発売の『クリエイターのための法律相談所』という書籍を校了しました。金曜日に校了すると、土日は気分も軽く、開放感あるステキな週末になるのですが、実は携帯が鳴るたびにドキドキ......。
何かデータに不備があったり、仕様確認など、印刷会社から連絡が入ることがあります。自分で対応できることならいいのですが、デザイナーや他の人の手を煩わせることになると、土日はまんじりともしない時間となります。
今回は幸いにもそんな連絡はなかったのですが、家族や友人の電話に、いちいちびくびくする週末でした。
さて、そんな週末に、久しぶりに(といっても一週間ぶりくらい)書店に行き、またジャケ買いをしてしまいました......。レジが済むと荷物の重さに我に返るのですが、書棚を見ているときは興奮してそれどころじゃないんですよねぇ。
ジャケ買いした一冊目は『第五番』(久坂部洋著/幻冬舎/本体1900円)。ブックデザインは鈴木成一デザイン室。
< http://www.gentosha.co.jp/search/book.php?ID=102497
>
最初に書店で目にしたとき、なんだか水疱瘡のような、ぶつぶつとした感じが少し気味悪く感じました(実は水玉やぶつぶつが苦手で、寒気がするのです)。というのも、子どもの手の写真の上に、白いランダムな大きさのぶつぶつが盛り上がって印刷されているんです(スクリーン印刷で透明インキを厚盛りして印刷している)。
気味が悪い感じがしつつも、少し幅広目の白いきっぱりした帯の潔さ、品のある全体感が気になり購入。
何かデータに不備があったり、仕様確認など、印刷会社から連絡が入ることがあります。自分で対応できることならいいのですが、デザイナーや他の人の手を煩わせることになると、土日はまんじりともしない時間となります。
今回は幸いにもそんな連絡はなかったのですが、家族や友人の電話に、いちいちびくびくする週末でした。
さて、そんな週末に、久しぶりに(といっても一週間ぶりくらい)書店に行き、またジャケ買いをしてしまいました......。レジが済むと荷物の重さに我に返るのですが、書棚を見ているときは興奮してそれどころじゃないんですよねぇ。
ジャケ買いした一冊目は『第五番』(久坂部洋著/幻冬舎/本体1900円)。ブックデザインは鈴木成一デザイン室。
< http://www.gentosha.co.jp/search/book.php?ID=102497
>
最初に書店で目にしたとき、なんだか水疱瘡のような、ぶつぶつとした感じが少し気味悪く感じました(実は水玉やぶつぶつが苦手で、寒気がするのです)。というのも、子どもの手の写真の上に、白いランダムな大きさのぶつぶつが盛り上がって印刷されているんです(スクリーン印刷で透明インキを厚盛りして印刷している)。
気味が悪い感じがしつつも、少し幅広目の白いきっぱりした帯の潔さ、品のある全体感が気になり購入。
読んでみると、内容は──薬がまったく効かない新病・新型カポジ肉腫が列島に同時多発。一方ウィーンでは天才医師・為頼がWHOの奇妙な関連組織メディカーサから陰謀めいた勧誘を受ける。『無痛』著者の壮大なミステリ──ということで、なるほど新型カポジ肉腫とかウイルスとか、そんなイメージを表していたんだなと納得。
また読んでいる間中、手に表紙のつぶつぶを無意識に感じ、それも物語感を高めている気がしました。気味が悪い感じがありながらも、なるほどと感じさせられたブックデザインでした。
もう一冊は『ピンクとグレー』(加藤シゲアキ著/角川書店/1300円)。ブックデザインは鈴木久美さん(角川書店装丁室)。
< http://www.kadokawa.co.jp/pink-gray/
>
タイトル通り、グレーな地に、ピンクがメインカラーとなった装画が美しいカバー。装画のところどころは、細いラインが(ダイヤモンドの輪郭や時計の針など)金の箔押しになっていて、これがまた美しさを際出させる。
カバーの何とも言えない上質な美しさに加えて、そのカバーをとった表紙もいい。黒ベタの上に、イラストが金色で刷られ、また光の加減で別のイラストが見えるよう、マゼンタ系の透明インキでも刷り重ねられている。うまい。
この本の著者はジャニーズの方らしいのですが、そうしたタレント本(と言っていいのかわからないが)にありがちな、その人を全面に出したり、デザイン過多だったりする本とは一線を画した、本として本当に美しい仕上がりにうっとり。これこそ、この装丁だったからこそ出会った本だろう。
ブックデザインを手がけた鈴木久美さん、お目にかかったことはないが、近年、いいなと思って手にとると、その装丁に名前が記されていることが多い方の一人。他にも『ワン・モア』や『短くて恐ろしいフィルの時代』など、何冊も鈴木さんの手がけた本をジャケ買いしている。
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041100577/dgcrcom-22/
>
『ワン・モア』
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047916447/dgcrcom-22/
>
『短くて恐ろしいフィルの時代』
これからもどんなブックデザインに出会わせてもらえるのかと、楽しみにしているお一人だ。
そうそう、ちょっと宣伝になってしまいますが、最初に書いた『クリエイターのための法律相談所』、こちらは「請求し忘れていたデザイン料は、何年か経つともらえないの?」とか、「データを他に流用されても、文句言えないの?」など、著作権だけでは解決できない(著作権に関する本は何冊か出てるんですが、それだけではどうにも対応できない法律諸問題があるので)法律のことをまとめています。
来月初旬には書店に並ぶと思いますので、黄色い表紙が目についたら、ぜひ手に取ってご覧ください!
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4766123409/dgcrcom-22/
>
【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp twitter: @tsudajunko
デザインのひきだし・制作日記 < http://dhikidashi.exblog.jp/
>
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