3Dプリンタ奮闘記[20]3Dプリンタの活用・番外編その5 日本のモノ作りの精神
── 織田隆治 ──

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これはホビーユースにも求められることだが、3DCGや3DCADが出来るからといって、3Dプリンタがすぐにスラスラ使える、というわけにはいかない......これまでさんざん書いて来たことだ。

そこで、これからは3Dプリンタの出力を理解していて、その特徴を生かして出力も出来る人の需要が必須になってくるのは間違いない。

出力センターのような所も今後色々と出て来るだろうし、家電量販店にも3Dプリンタが並び始めていて、出力の失敗を身を持って知り、そういった知識を身に付けていくことが重要だ。

ホビーユースでの3Dプリンタについては、ワンフェス等の造形イベントでも、かなりの頻度で3Dプリンタが出展され、3Dプリンタで出力した造形物が並び出している。

そういったホビーユースでの出力にも、Zプリンターのようなフルカラープリンタや、光造形等の繊細な造形物を出力できるプリンタでのサービスをしてくれる所も増えて来た。

何を隠そう、この僕も、今月新しい高精度の光造形のプリンタを導入し、そういった出力サービスにも対応して行くつもりでいる。当然、僕自身の造形物も、今後プリンタを使っていくものも増えていくと思う。

このまま、3Dプリンタを一時のブームで終らせないためにも、色々とアイデアや計画を立てていくつもりだ。




今のところ、家電量販店での販売は、やはり3Dデータの扱いが難しいことから、爆発的に売れる! という訳にもいくはずもなく、客寄せパンダ的要素が強い。

日本製の3Dプリンタもチラホラ聞かれるようになり、今後の展開には、色々と知恵を絞っていかなければならない。

要はアイデアなんですよね。これ必須。

どんなに凄い機械でも、生かすも殺すも、使う人、使うアイデアだ。そういったアイデアを形にしていく場所も、まだまだ足らないと思っている。

確かに、色々と3Dプリンタを触ったり、見たりできる所が増えては来ている。しかし、そこを中心としたコミュニティ、もしくはビジネスにつなげる、という点では、まだまだ発展途上の観は否めない。

何をするにも、そういった大きな動きが必要なのだ。関東ではそういう動きがチラホラと見られようだが、関西はどうだ? 全国的にはどうだ?

物作りをする町工場、デザイナー、メーカー、すべてをうまく繋げ、日本のモノ作りを発展させていく動きを起こさないといけない。そういった動きに、微力ながらも参加、牽引していこうと思い、僕は今色々とチョコマカ動いている。

日本のモノ作りの精神、大事にしたいですよね。まだまだやりたいこともあるし、やらないといけないと思ってます、はい。言うだけでなく、まずは自分から動く必要があるんだな、これが。

最近、模型製作の仕事が異常に増えてきている。これまでは、3DCGでの業務がメインで、模型はオマケ的要素が強かった。今、逆に模型製作の業務が半分以上を占めるようになってきた。

この世知辛い世の中。みな癒しを求めているのね、と感じるのである。

え? 癒しと模型とどう関係すんのよ? と言われるかもしれない。しかし、それがどうしてそうなのである。

これまでは、高度な3DCGを使ってモニターの中でARやプロジェクションマップ、といった表現がもてはやされて来た。しかし、それは基本的に仮想現実なのである。

模型の「実在する存在感」というものに、ホッとする真理が働いている気がする。昨年だったか、映画や映像に使用されるプロップやジオラマ、着ぐるみの展示が行われた。僕も同然、東京まで見に行った訳だが、やはりその存在感は凄いものがある。

CGバリバリという物より、目の前に実在し、見て触って(展示には触れないですけどね)ということが出来る模型の力を感じた。

今年だけでも、僕が製作したジオラマは5件。模型に至っては10点を超える。そういった面でも、3Dプリンタの底力を感じるのである。

模型っていいよ! 何より見てワクワクするし、集客力もハンパないです。

【織田隆治】FULL DIMENSIONS STUDIO(フル ディメンションズ スタジオ)
< http://www.f-d-studio.jp
>

本当、最近模型製作ばっかりです。すごく楽しい!たまには3DCGもやらないといけないな......と思う今日このごろです。