3Dプリンタ奮闘記[21]新しい3Dプリンタがやってきた。ヤア!ヤア!ヤア!
── 織田隆治 ──

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さて、今回はちょっと私事について書いてみます。実は、先週に事務所の引っ越しをしたのですが、そこに新しい3Dプリンタがやってきたのである。

「3Dプリンタがやってきた。ヤア!ヤア!ヤア!」てな感じ。

これまでは、熱溶解型の3Dプリンタ「BFB 3D TOUCH」を酷使してきた訳ですが、今回の3Dプリンタはちょっと違う。

機種はStratasysの「objet24」である。これは、3DプリンタのEDENシリーズのデスクトップ型となり、EDENと同じくインクジェット式の紫外線硬化型の3Dプリンタとなる。

このプリンタの特徴は、UV(紫外線)で硬化する液体樹脂を、インクジェットの方式でヘッドから噴射し、それを紫外線ランプを照射して固めて積層するタイプとなる。




この紫外線硬化型の3Dプリンタは、メイン材と補助となるサポート材を同時に噴射、プリントすることができ、別の紫外線硬化型の3Dプリンタであるプロジェクターで、断面を液体UV硬化樹脂に照射して固める3Dプリンタより効率良くプリント作業が行える。

積層ピッチは28ミクロン。
造形サイズは(X)234mm×(Y)192.6mm×(Z)148.6mm
造形の解像度は、X軸:600dpi/ Y軸:600dpi/Z軸:900 dpi
となる。

つまり、上記のスペックから見ても、熱溶解型の3Dプリンタ「BFB 3D TOUCH」より、遥かに精度の高い造形物を製作することができる。

サポート材も、ウォータージェットで除去できるジェル状硬化の樹脂サポート材だ。これは、羊羹のような質感で、毛の固い刃ブラシなんかでゴシゴシしても除去できる優れものだ。

搬入の日。重たい荷物、しかも、本体サイズが(W)825mm×(D)620mm×(H)590mmとなり、デスクトップとは言え、かなりデカイ。

事務所のエレベータを見た担当者さんが、「入るかなぁ......ちょっと不安ではありますが、やってみます」という言葉にビビらされながらも、なんとかギリギリでエレベーターに載ったようで、事務所にやってきた。重さも93kgという、僕よりもはるかに(?)重いヘビー級だ。

とにもかくにも、なんとか事務所に招き入れることが出来た。セッティングに半日以上をかけたobjet24は、神々しくもあった。

テスト造形をやって頂き、前もってサンプルを見て知ってはいたものの、その精度にまた驚かされる。

objet24は、ランク上のobjet30、objet30Proとは違い、白色の樹脂でしか造形できませんが、基本色違い、クリアの造形ができないということだけなので、僕のように原型やモックに使う分には何も問題はありません。

これで、今後のモック製作や模型製作は、確実にレベルアップできる。

UV硬化の樹脂は、その耐久性が問題になるわけだが、シリコンで型を取り、レジン等の樹脂に置換えることにより、その辺りはカバーできる。この樹脂は切削性も良く、ヤスリを当てると比較的簡単に、よりなめらかな表面にすることができる。原型制作にはピッタリだ。

もちろん、モック製作に至っては、精度が良いこともあり、ほぼ製品に近い状態でテストできる。樹脂の強度等は、これからすこしずつテストして行くつもりだ。

そこで、以前から使用している熱溶解型の3Dプリンター「BFB 3D TOUCH」はどうなる? いやいや、これはまた全然アプローチが違う。大きな物、そのまま長期に渡って使用する物については「BFB 3D TOUCH」の方に旗が上がる。

これは、使用する樹脂がABSやPLAといった、劣化に強い樹脂である点。そして、素材の単価がobjetに比べてかなり安い点にある。「BFB 3D TOUCH」はまだまだ酷使していくつもりだ。まだまだ頑張ってもらわないといけない。

いくら高価で精度の出るプリンタがあっても、その仕様による使い分けが必須となる、ということだ。高けりゃいいってものでもない。3Dプリンタを生かすも殺すも、そのプリンタの特性を理解し、うまく使い分けていくことにかかっているのだと思う今日この頃である。

今後、関西ではあまりない、3Dプリント出力サービスなるものも、このobjetで検討している。しかしながら、まだまだ樹脂の単価が高額なことから、一般に普及するというか、B to B、もしくは、フィギュア製作のデジタル原型をプリントするサービスから始めていこうかと思う。

【織田隆治】FULL DIMENSIONS STUDIO(フル ディメンションズ スタジオ)
< http://www.f-d-studio.jp
>

本当、凄いですわ。これ。でも、実際素材が高価なので、プリントするには、データ製作にはかなりの考慮とトライ&エラーしてからです(笑)